本作のストーム1には秘密があるのですが、それは最後のおまけをみてください。
この人の戦闘力は概ね地球防衛軍シリーズそのままです。
つまり、この人だけで宇宙人を撃退出来るレベルです。本作ではまだ装備が整っていませんが、その代わりにデモニカがあります……
報告を受けた俺、ストーム1が早足で行く。
既に周囲は完全に安全圏。
仲間にならなかった悪魔もいるが、会話の結果縄張りを侵さないなら攻撃しないという事で交渉は成立したという。
また長期戦を見越して持ち込んだ合成肉と交換で、インゴットに加工した高純度のプラチナなどの貴重な物資を得られたらしく。
資材については、かなりの+になったそうだ。
また、方舟近くのプラントも既に稼働を開始し。故障した機器の材料などは、どんどん生産しているという。
上手くは行っている。
だが、主に妖精達で構成されている悪魔達から、話を聞かされたのである。
アントリアの主が、やはりオリアスではないと。
それは更に地下にいると。
その地下への通路を、唯野仁成とヒメネスのコンビが見つけて。今、俺が呼ばれて出向いている所だった。
悪魔召喚プログラムは既に使っている。
悪魔との会話だけでは無い。
仲魔も得た。
妖精の中で腕自慢の者をと頼んだところ。精悍な騎士のような者が出てきたのである。
正確には妖精では無く、「幻魔」とよばれる分類に入る「クーフーリン」という者だそうだが。
うっすらと俺も名前は聞いたことがある。
確かケルトの英雄だったか。
クーフーリンは鎧姿に槍を一本持った誠実そうな青年で。
俺に対しても無茶な交渉をしてくる事はなく。
自然に仲間となってくれた。仲魔だったか。
恐らくは、実力を認めてくれたのだろう。
ヒメネスがハンドサインを送ってきている。
他の機動班は、其所からは離れさせた。話を聞く限り、とても安全とは思えないからである。
全員を生還させることを目標とする。
真田技術長官も、正太郎長官もそう言っていた。
これほどのミッションだ。
犠牲は避けられないだろうと、俺は現実的に考えているが。
しかしながら、最優先目標に全員生還を挙げるのは賛成だ。
目標というのは、基本的に最善から設定。
それから、状況を見て下げて行く。
そうすることで最高の成果を上げられることを、俺は長年の経験で知っていた。
敬礼する唯野仁成。
ヒメネスが、顎でしゃくった。
「この下でさ」
「良く此処が分かったな」
「俺の仲魔が教えてくれたんで。 どうも悪魔は、鞍替えすると前の主の事を気にしないようでね」
そうかと、俺は呟く。
まるで欧州の傭兵だなと思ったからだ。
そこは暗がりへとつながるような、深い深い穴。ゆっくりと、クリアリングしながら降りていく。
そして、一番下まで到着した俺は。
即時で連絡を入れていた。
通信は、展開している機動班のデモニカを経由して行う。
「此方ストーム1。 恐らくアントリアの深部に到着した」
「此方ゴア。 これは……!」
「そのままデモニカの映像を其方に送っている」
「分かった。 対策を練ろう。 一旦戻って来て欲しい」
どうもそうはいかないらしい。
ハンドサインを送り、先に唯野仁成とヒメネスを戻す。俺は、仁王立ちし。俺用に真田さんが開発してくれた最強のアサルトライフル、AS100Fを構えていた。弾丸の一つずつが象を殺傷しうる、圧倒的火力を投射できる制圧火器だ。
無数の悪魔の群れが、此方に向かってきている。
それも、恐らくサクナヒメが薙ぎ払った以上の数だ。
「軽く運動してから戻る」
「いくら君がワンマンアーミーでも……!」
「この数を削れば、かなり此処の支配者の戦力を削れる。 何、死ぬような無様はしない」
クーフーリンが、槍を構える。
そして中空に躍り上がると。その槍を投擲していた。
空中で多数に分裂した槍が、飛来する大量の悪魔に真正面から襲いかかる。
見る間に地獄絵図になるその場で、俺はアサルトライフルを乱射しながら、ゆっくり敵を誘うように穴の中に下がっていく。
当然敵もそれを追撃に掛かってくるが。
其所に投擲したのは、俺用に開発された特殊グレネードである。
密集して身動きが出来ない悪魔の大軍が、一瞬でまとめて肉塊になる。
予想外の抵抗に慌てたらしい敵が及び腰になった所に、背負っていたライサンダーを引き抜くと、即時に狙撃。
少し後方、二㎞ほど先にいた大きめの敵の頭を撃ち抜いていた。騎士のような姿をした悪魔だったが、ライサンダーによるヘッドショットには耐えられなかった。
「ベレス様っ!」
「あれも前線の将にすぎないようだな……」
「おのれ人間があっ!」
やはり敵の調練は足りていない。露骨な混乱が見える敵を見てそう判断。
人間式の戦い方を仕込まれているようだが、所詮付け焼き刃だ。また洞窟の中に戻る。敵は迂闊に追撃は仕掛けてこないが。洞窟の入り口には集まり、どう追撃するかぎゃあぎゃあ騒いでいる。
馬鹿共が。終わりだ。
周囲には、俺が戦場で使いやすいように改良したC4の発展型。C70爆弾が、最初にクーフーリンが槍を投擲したときに仕掛けてあるのだから。
起動。
爆裂と同時に、外では悲鳴が聞こえなくなった。
爆炎越しに、洞窟を飛び出しつつ、更に第二射の槍をクーフーリンが投擲する。
それは視界を遮られていようが関係無く、敵をまとめて貫き、殺傷したようだった。
気配消失。
煙が消えたタイミングを見計らって洞窟を出ると、わずかに生き残った敵は慌てて逃げ出すところだった。
それにしても、此処は。
周囲を見回す。
まるで、戦場だ。
焼け焦げた家。燃える何かの建造物。真っ赤に焼ける空。
空爆でも行われたかのような、恐ろしい光景である。俺が、何度も今まで見てきたものだ。
そして、ドローンで事前に送られてきた映像そのもの。
あれは、実際の光景だったのだ。
「入り口の敵を掃討。 指示通り戻る」
「ああ。 ……流石ワンマンアーミーだな」
「何、勝てる条件が整っていただけだ。 それにここから先は骨が折れるだろう」
俺は通信を切ると、一度戻る事にする。
今数百ほど敵を削ってやったが、それでも敵の主力がまだいる可能性は否定出来ない。
それに何より。洞窟を降りてきたのに、空がある。真っ赤な空が。
この有様を見る限り、此処が氷の洞窟の地下だとはとても思えない。
どうやら、無数の宇宙が重なりあった不可思議な世界だというのは本当らしい。
そう俺は思いながら。一度指示通りに撤退した。
(続)
原作では早々に戦死してしまったゴア隊長を救い、負傷者を多数出し擱座したとは言え継戦能力を残したままシュバルツバースへの突入に成功。
しかしこの世界は、既に幾つもネジが狂っています。
英雄達がいても、決して楽な戦いにはなりません。