Sストレンジジャーニー   作:dwwyakata@2024

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軍事演習ごっこをしているだけの悪魔。

単騎で国を潰せる戦場の申し子。

人間と悪魔の差があったとしても。

勝敗は残念ながら、最初から見えていました……


2、地下の市街地戦

ストーム1から、真田の元へ映像が送られてくる。

 

飛行能力を持つ悪魔がカメラを持って飛び。

 

上空から街を撮影。

 

勿論狙撃されることも想定されての処置だ。

 

更に、飛行能力を持つ悪魔に、人間を抱えさせて飛ばせるようなこともしない。そこまで信用はしない、という事である。

 

軍用の高性能カメラの映像から、すぐに真田は地下の街の地形を割り出す。

 

この高性能カメラは、市街地戦が想定される場合に用いるもので。

 

衛星画像よりも遙かに優れた高精度で、街のあらゆる地形を把握することが出来る。

 

また一度の撮影で、赤外線、紫外線、放射性物質なども撮影することが出来。

 

熱源反応も当然確認することが出来る。

 

極寒の地で平然としているとは言え。

 

悪魔もどうやら体熱をある程度保っているらしい、と言う事は。既に仲魔とした悪魔を解析して確認済みである。

 

そして-80℃の世界で、ある程度まとまった熱源を確保する労力を考えると。

 

デコイで熱源を作るのは、コストが高すぎる。

 

真田はそれらの情報を総合し。

 

作戦部隊に転送する。

 

作戦部隊はそれらから、敵の分布などを割り出し、前線のデモニカに送る。

 

そういう事だ。

 

また、唯野仁成が有益な情報を割り出した。

 

非常に小さな反応にまで、自分を隠蔽できる悪魔がいる、と言うことが分かったのである。

 

そして、その情報を元に。

 

安全圏と思われていた場所に潜伏していた悪魔を、今ライドウさんに狩って貰っている所だった。

 

既に十匹以上が見つかったそうで。

 

背後を突かれる畏れは減ってはいる。

 

ただ疑問はある。

 

発見された隠蔽能力持ち。例外なく夜魔フォーモリアであったようだが。

 

此奴らには、転送能力の類は持っていない。

 

そうなると、船内にいきなり敵が出現したり。

 

人質を船外に連れ出したり。

 

また、先の橋頭堡確保作戦で、背後にいきなり敵部隊が出現したことに対して、説明がつかないのである。

 

まだ解析の必要がある。

 

ライドウさんと連携し。敵の情報を、更に探っていかなければならないだろう。

 

ラボから連絡が来る。

 

部下の一人であるアーヴィンが、デモニカのアップデートをしたいという。

 

唯野仁成が見つけてくれた解析能力を、全員のデモニカに配布したい、というのだ。

 

勿論許可する。

 

真田としては、もっと戦略的な研究と。まだ治りきっていないレインボウノアの細部修復に注力したい。

 

アーヴィンは優れた研究者で。任せてしまって良いだろう。

 

ただ、勿論上がって来たものに関しては。

 

真田が目を通すが。

 

忙しく研究室で作業をしている間に、何人かが交代で休憩に出向いていく。真田も時々休憩を取るが。

 

誰よりも働いていた。

 

サイボーグ化している体という事もあるが。

 

やはり真田は実感する。

 

未知への挑戦を、真田は楽しんでいるのだと。

 

エンターキーを叩く。

 

街の図が出来た。

 

すぐに前線にいるゴア隊長の所に送る。ゴア隊長が、間髪入れずに連絡を入れてきた。

 

「真田技術長官、詳細すぎるほどの地図、有難うございます」

 

「役に立てましたかな」

 

「完璧でしょう。 敵のゲリラ狩りをしているライドウ氏が戻り次第、攻勢に出ます」

 

ゴア隊長は歴戦の指揮官だ。

 

前線に出ているのが若干不安だが。この状況下では、前線で指揮を執るのが一番ではあるだろう。

 

なおモラクスらしい熱源も既に確認している。

 

街の奥。

 

凱旋門かなにかのような建造物の真下に、異常な熱源反応がある。

 

唯野仁成が配下に加えた堕天使メルコムの話によると。多数あるシュバルツバース内世界の中でも、あまり強くない支配者と言う事ではあるが。

 

部下に近代戦の軍事調練をしたり。狡猾極まりない戦術を駆使したりと、侮れる相手では無い。

 

今の時点では敵の先手先手をとれているが。

 

此方が守勢に回ったら、一気に崩される可能性も高い。

 

此方は人員を追加できないのだ。

 

現地で悪魔を戦力として得る事は出来るが。

 

それだって、機動班以外では抵抗があるものも多いらしく。

 

さっきも、正太郎長官が一神教徒数名から嘆願書を貰っていた。

 

勿論、悪魔召喚プログラム使用反対の嘆願書だ。

 

正太郎長官は丁寧にクルー達を諭していたが。

 

このままいくと、悪魔召喚プログラムの更なる重要機能を開示した場合。

 

どれだけの反発があるやら。

 

何より、真田の直接の部下であり。

 

未来を担う学者になってほしいと思っているゼレーニンですら、悪魔召喚プログラムの使用には懐疑的なのである。

 

この方舟にはスペシャリストが乗っているが。

 

決して一枚岩ではない。

 

真田のデモニカに連絡が入る。

 

ライドウさんからだった。

 

「今、残党狩りが終わった。 それで妙なことがある」

 

「何でも話していただきたい」

 

「うむ。 実を言うと、隠蔽能力持ちのフォーモリアの一部を屈服させることには成功したのだが。 屈服した直後に、爆発して死んでしまった」

 

「何……」

 

そういえば、だ。

 

悪魔は勝てないと判断すると、命乞いをしたり、降伏したり。

 

生存しようという意思を、強く見せてくる事が珍しく無い。

 

実際先の橋頭堡確保作戦でも、攻撃部隊の一割ほどは降伏を選んだ。

 

要するに、主より強い存在が出現した場合。

 

柔軟に生きる道を選択する存在だ、ということだ。

 

それが自爆。

 

確かにおかしいと言えばおかしい。

 

「怪我はありませんでしたか」

 

「そこまで俺は柔じゃあない。 問題は、別にフォーモリアに自爆して俺を巻き込もうという意思が感じ取れなかった、と言う事だ」

 

「……何か更に仕掛けがあると」

 

「モラクスがいちいち隠密部隊の動向を掴んでいて、全ての自爆処置をしているとは考えにくい。 一応、フォーモリアの全てのデータは送っておく。 解析を進めておいてほしい」

 

承知したと応えると。

 

真田は解析に入る。

 

笑顔が零れていたらしく。ゼレーニンが眉をひそめる。

 

「真田技術長官、嬉しそうに見えます。 敵の脅威が、想像以上だと言うのに……」

 

「敵は敵、技術は技術だ。 新しい技術を目にしたら、楽しむくらいでないとな」

 

「不謹慎に思います」

 

「勿論優先すべきは味方の安心だ」

 

表情を引き締めると、送られてきたデータを解析。

 

フォーモリアという悪魔の生きている状態でのデータがほしい所だが。

 

今のところ、捕獲に成功したものはいないらしい。

 

ただ、気になるデータがある。

 

先に唯野仁成が送ってきたデータを再確認したところ。

 

どうやら空間の穴を行き来している悪魔が、フォーモリアのようなのである。

 

更に、他にも情報が出てくる。

 

「モラクスが交易をしている……」

 

「真田技術長官?」

 

「皆、この会話内容を見て欲しい」

 

皆のモニタに転送する。

 

橋頭堡確保作戦で降伏してきた悪魔達との会話内容を精査したものなのだが。

 

モラクスに対する尋問を、現在橋頭堡にした前線陣地で行っているのだが。

 

その中に、モラクスがどういう悪魔か聞いているうちに。

 

仲魔となった悪魔が零したものがあったのだ。

 

それによると、モラクスは他の世界の悪魔と交易をして、情報や技術を交換していたとある。

 

それを聞いて、ますます妙だなと真田は思う。

 

混沌勢力の悪魔は、互いに競い合うようなケースが多く。それが秩序勢力の悪魔によって徐々に押されていった経緯になっていると言う。

 

要するにまとまりがないのである。

 

ある程度の勢力になると、その勢力が自立して好き勝手を始め。

 

自分のやり方が正しいと思い込み。

 

その思考方法のまま、部下にも自分のやり方を押しつけていくようになる。

 

人間のやり方を勉強する、何てのもそもそも妙だし。

 

他の混沌勢力の長と、交易して情報交換し合い、連携して敵である人間と戦おうとするだろうか。

 

皆に意見を聞くと。

 

困惑した様子で、視線を返してくるばかりである。

 

皆、悪魔なんてシュバルツバースが出現するまでは、いる筈が無いと思っていた者達ばかりである。

 

ここに入ってから、価値観やら手持ちの情報が短時間で変わりすぎている。

 

真田は二度の宇宙の旅で、無茶苦茶な情報の更新を、高速で何十度も強いられてきた過去があるから慣れているが。

 

今此処にいるメンバーに、自分と同じ事を求めてはならないだろう。

 

ふむとつぶやき、腕組みした後。

 

少し休む事にする。

 

今の情報提示で、皆に考える時間を与えて。

 

自分も考えたいと思ったからだ。

 

少しベッドに横になり、眠る事にする。カプセルばかり使っていては、やはり体に良くないと思うからだ。

 

数時間眠って、起きだす。

 

状況を確認。

 

どうやら、戦闘を開始すべく、ストーム1が主導して機動班が動き出しているようだった。

 

すぐに艦橋へと移動する。

 

正太郎長官がぼやいた。

 

「この船を地下に移動させる事が出来れば、支援砲撃が出来るのだが……」

 

「現状、出来る範囲での支援を行いましょう」

 

「そうだな」

 

正太郎長官も、少し参っている様子だ。

 

悪魔召喚プログラムの件以降、クルーの「信仰」が予想外に足を引っ張っている。

 

今の時代でも宗教は健在。

 

特に一神教は、非常に強い影響力を持っている。

 

いわゆる西側諸国でもそうだし。

 

中東から来たクルーは、特にその傾向が強い様子だ。

 

悪魔を使うクルーに文句を言い出すものまではいないが。自分は絶対に使わないと明言しているものもいて。

 

そういうクルーに、悪魔を使役しろとは言えなかった。

 

「作戦班、状況を」

 

「ストーム1と真田技術長官が割り出した敵の分布です」

 

「……ふむ、これは」

 

「典型的な縦深陣地です」

 

敵は焼け焦げた街のように見える地形の中で、広く広く分布して、更に突出したら押し包む態勢を取っている。

 

この街自体が、三十キロ四方程度はある巨大なもので。

 

更にその先には、荒野が拡がっているようなのだ。

 

この巨大な焼け焦げた街は、モラクスがアントリアに侵攻し、妖精達から土地を奪い取った後。

 

わざわざ何かしらの方法で作ったのか。

 

それとも、勝手にこれがにょきにょき生えてきたのか。

 

どちらでもおかしくない。

 

街のサンプルは既に手元に届いているが。

 

煉瓦のように見えるものは、煉瓦に非ず。

 

家のように見えるものは、そうではない。

 

いずれもが、レアメタルなどの地上では貴重な物質がグチャグチャに混じり合って出来ていて。それに毒物がトッピングされている状態である。

 

要するに氷の洞窟の土と同じ。

 

中には、本来地上では、特殊な条件下でしか作り出せない物質も混じっていて。

 

プラントを作って抽出したいくらいである。

 

地上では貴重品でも。此処ではその辺の地面に文字通り埋まっているほどなのだ。

 

なお毒物に関しても、廃液として垂れ流しにするつもりは無い。

 

圧縮して銃弾に詰め込み。

 

敵にたたき込めるようにして、再利用である。

 

「敵の推定される兵力は」

 

「恐らく二千ほど」

 

「……二千か」

 

ストーム1ならどうにか出来そうだが、問題はモラクスだ。

 

現在サクナヒメは力の回復中。

 

ライドウさんは、機動班クルーと連携して、敵の罠に備えて貰いたい。

 

ストーム1だけなら、恐らく敵がどんな罠を繰り出してきても対応出来るだろう。どんな状況下からも生還するという事で、敵味方に怖れられてきた戦士なのである。

 

モラクスの戦力が分からない以上。

 

ストーム1に負担を掛けすぎるのは避けたい。

 

何より、機動班クルーの被害を可能な限り小さくしたい。

 

前線のストーム1と連絡を取る。

 

丁度、敵の斥候とやり合っている様子だが。真田と会話はしてくれた。

 

「ストーム1、君の所にも敵の配置は届いたか」

 

「問題ない。 それで作戦は」

 

「君の意見を聞きたいと思ってね」

 

「……敵の縦深陣地は、形だけは立派だ。 大まじめに制圧しようとすれば、大きな被害が出るだろう。 だが敵は生兵法だ」

 

なるほど、そう来たか。

 

ストーム1は、何度か此方に報告してきていたが。

 

敵は近代戦を勉強しているが、まだまだ練度が足りないし、何よりも何処かで人間を侮っている。

 

一番危険なのが、生兵法なのは真田も良く知っている。

 

中途半端に知っている人間が、一番頓珍漢な事をしでかすし。

 

歴史上ありえない大敗北を喫した愚将というのは、実は専門知識そのものは豊富に持っていたりするのだ。

 

今回、モラクス麾下の軍団は、個々の能力は高いものの。

 

軍事調練は中途半端で。

 

聞きかじりの戦略戦術しか使えていないという。

 

それならば、確かに勝ち目はあるし。そもそも悪魔と大まじめに市街戦をしてやる必要はない。

 

「提案だが、俺が突出する」

 

「まて、幾ら君でも二千の悪魔を相手に大丈夫か」

 

「問題ない。 クロスファイヤーポイントまで誘導する。 その間に、他の精鋭でモラクスを叩いてほしい」

 

作戦班が急いで策を練り始める。

 

真田は軽く考える。

 

今、船内はまだ完全に安全とは言えない。フォーモリアの隠蔽能力に、まだ裏がある事が確定だからだ。

 

部隊後方は、ライドウさんが守らないと危ない。

 

敵の首魁には、ライドウさんをぶつけるわけにはいかない。

 

レインボウノアを動かせれば、敵をクロスファイヤーポイントに誘導して、一網打尽とやれるのだが。

 

そうもいかない。

 

そうなると、ケンシロウかサクナヒメだ。

 

すぐに神田に連絡を入れる。

 

サクナヒメは、丁度ひなたぼっこをしていたらしいが、通信には出てくれた。

 

「ふむ、話は分かった。 それなら、わしが船の守りを担当しよう」

 

「敵の察知が出来ると」

 

「力が順調に戻って来ておるでな。 勘も少しずつ研ぎ澄まされてきておるわ」

 

ガハハハハと、サクナヒメが笑う。

 

多分横になって行儀悪く頬杖しながら笑っているのだろう。

 

神田には何度か足を運んだ。

 

ビオトープの一種として作った、小さな田。

 

其所でサクナヒメが大事に育てている田は。昔サクナヒメが親の遺産を食い潰すだけの盆暗だった頃に大失敗をしでかし。追放された先にあった、小さな家と田を再現したものだという。

 

其所でサクナヒメは人間の仲間とともに田植えを行う事の大事さ。

 

神とはどうあるべきか人間とどう接するべきか。

 

守るべきものを守り。守ったものに今度は背中を押して貰う事の意味。

 

それらを全て知ったという。

 

神田は、それら経験の集大成となっている場所で。戒めでもあり。サクナヒメの本当の意味での故郷でもあると言う。

 

「現在、船の中に何か妙な悪意を感じるのだが、それが悪さを出来る程ではない事もわかっておる。 プラズマバリアとやらを突破出来ない事もな」

 

「……続けてください」

 

「この船の構造も全て把握した。 船の守りはわしが責任を持って担当する。 敵の首魁はケンシロウに任せてしまって良いだろう」

 

「どうしましょう……」

 

作戦班のカトーが困惑した様子で真田と正太郎長官を見る。

 

真田は少し考え込んだ後、正太郎長官と、デモニカで個別回線をつないだ。

 

「正太郎長官、此処はサクナヒメの言葉を信じましょう」

 

「……そうだな。 姫様はあれで大言壮語は口にしない。 出来る範囲での事を口にしていると見て良いだろう」

 

「気になるのは、船の中にある悪意とやらですが……」

 

「それも、現時点では悪さを出来ないと言っておられる」

 

正太郎長官はもう相当な高齢だが。

 

それでも、戦後の混乱期を鉄人二十八号とともに駆け抜けた歴戦中の歴戦だ。恐らく全世界でも、生存している人間の中では最高クラスの戦歴の持ち主だろう。

 

その判断は、信頼していい。

 

真田は頷くと、ケンシロウに連絡を入れていた。

 

続いてゴア隊長にも。

 

「これより其方にケンシロウを支援として派遣します」

 

「心強いが、大丈夫ですか」

 

「大丈夫。 それと、なけなしの装甲車二台。 更に重機関銃も。 まだ試作段階ですが、レールガンと動力源のトカマク式発電機も其方に送ります。 ストーム1と連携した上で、十字砲火の体勢を整えてください」

 

「分かりました。 此方で実戦の指揮は執ります」

 

さて、此処からだ。

 

敵も指をくわえて見ているだけではないだろう。

 

ゴア隊長が動き出す。

 

同時に、なけなしの装甲車二台が、前線へと移動を開始。機動班の内、敵の奇襲に備えた一部を残した大半が前線に出向く。

 

二千いるという敵の大半をストーム1が引き受けてくれるとして。

 

ケンシロウだけで、モラクスを倒せるかどうか。

 

少し悩んだ末、ケンシロウと軽く話をする。

 

そうすると、ケンシロウは自分から人選をしてきた。

 

「唯野仁成とヒメネスを貸してほしい。 二人の潜在能力は図抜けている」

 

「分かった。 ストーム1と連携して、作戦に当たってくれ」

 

「ああ……」

 

通信を切る。

 

さて、此処からだ。

 

ふと、視線を感じた気がした。振り返るが、見ているものはいない。

 

気のせいか。

 

サクナヒメが艦橋に来る。彼女の視線ではないだろう。

 

サクナヒメは、船内に悪意がまだあると言っていた。悪さが出来る程ではないだろうとも。

 

仮にそれが悪魔だったとしても。

 

現時点では、心配しなくても良いと言う事だ。

 

とはいっても、放置も出来ない。

 

真田は研究室に連絡を入れて、船内の全データを自分の所に回すように指示。不可思議そうにしながらも、研究室にいたゼレーニンはそれを送ってきてくれた。

 

仮に悪魔が入り込んだのなら、シュバルツバースに突入する前後くらいの筈だ。

 

ログとして、建造中の頃から、レインボウノアの内部データはずっと取得し続けている。何があるか分からないからだ。

 

艦橋のモニタに、映像が映る。

 

いわゆる鶴翼に味方が陣地を展開していく。

 

同時にストーム1が、他のクルーを一旦戻し。敵に対してのハラスメント攻撃を開始した。

 

縦深陣に真っ正面から切り込んで、狙撃で敵の指揮官を潰し、殺到してきた相手をグレネードで粉砕し。

 

文字通り阿修羅の如く暴れ狂っている。

 

敵も辟易している様子で、特に確実に指揮官をヘッドショットしてくるので、明らかに反撃が鈍っているが。

 

それでも、ストーム1を調子に乗らせ。

 

更に縦深陣の奥に踏み込ませようとしているのが、真田には分かった。

 

やはりこの辺り、聞きかじりで調練をしている連中よりも、歴戦を積み重ねに積み重ねたストーム1の方が遙かに上手だ。

 

「巧妙な罠だな……」

 

真田がぼやく。

 

作戦班のメンバーが、不思議そうに真田を見たが。何でも無いと返した。

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