Sストレンジジャーニー   作:dwwyakata@2024

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4、決戦前の二つ

五階まで調査したところで、一度戻る。

 

案の定、六階には二百を超える悪魔がいる様子で。それも、今までとは質が段違いのようだった。

 

ただ、サクナヒメやケンシロウが遅れを取るとも思えない。

 

今回は威力偵察。

 

というわけで、本番の攻城戦は次だ。

 

一度引き上げる事にする。

 

ちなみに、敵は追撃を仕掛けては来なかった。

 

ランデブーポイントに戻る。その途中、ヒメネスが話をしてくる。

 

「さっき仲間にした奴な、バグベアという悪魔らしい。 ただ基本情報が25%も違っていやがる」

 

「悪魔を使って生体実験をしていて、その成果と言う事か」

 

「そうだろうな。 で、出来損ないだから痛めつけられていたと。 勝手に作り出しておいて、反吐が出やがる」

 

ヒメネスが嫌悪を隠しもせずに言う。

 

ブレアは無言で運転している。サクナヒメは、時々後方を見ていたが。それ以外には言葉を発しなかった。

 

方舟に到着。

 

プラントを一瞥する。急ピッチで動いて、色々な物資を抽出している様子だ。

 

また、夜魔の一族に、張りぼての街は壊してほしいと頼まれていたというのもある。

 

もともとあの街は、夜魔の一族の街を壊した上で、ミトラスが「美学に沿って」作り上げたものらしい。

 

一度更地にして、全て作り直すそうだ。

 

というわけで、重機が活躍。

 

バリバリ街を破壊して、プラントに運び込んでいた。

 

サクナヒメが呼んでくる。

 

「二人とも、何をしておる」

 

「ああ、派手に壊しているなって」

 

「プラズマバリアの内側での作業だ。 放っておくといい。 それよりも、わしはもう行くぞ。 そなたらはゴアに話をして、以降の指示を頼め」

 

「OK姫様。 お疲れ」

 

周囲の兵士が青ざめるが、ヒメネスは相変わらずだ。

 

ゼレーニンは青ざめた顔で戻って来たが。ヒメネスを見ると、ついと視線を背ける。ヒメネスも、同じように視線をそらした。

 

やっぱり息がぴったりで、ちょっと呆れる。ケンシロウは興味なさそうに、無言で奥に戻っていった。

 

更にストーム1も戻ると、ゴア隊長から連絡が来る。

 

次の作戦、ミトラス撃破のための攻勢まで休憩、と言う事だった。

 

ヒメネスと共に休憩室に出向く。

 

ヒメネスがバガブーと呼ぶ事にしたらしい悪魔のことは聞かない。

 

ヒメネスの行動にしてはイレギュラーすぎる。

 

短時間だが、多くのミッションを一緒にこなして、ヒメネスという人間の事は分かったつもりである。

 

だから、向こうが話してくれるまで待つつもりだ。

 

不意に、春香の声でアナウンスが入る。

 

「クルーの皆様に連絡です。 先に襲撃を掛けて来た第三勢力、アレックスと呼ばれる女性の痕跡を辿った結果、新しい空間にスキップドライブできそうだと言う事がわかりました。 ミトラスを倒した後は、二つ移動先の選択肢が出来る事になります」

 

「ほう。 あの女、何を考えているんだろうな」

 

「さあ、何とも分からない」

 

「ミトラスを撃破後の行動については、アーサーが判断します。 しばし、作戦までに英気を養ってください」

 

放送が終わる。

 

ため息をつくと、ヒメネスは自室に戻っていく。

 

唯野仁成は、ふと気付く。

 

目の前に、見た事も無い奴がいた。

 

「この船は面白いですねー。 文字通りの英雄豪傑が何人もいる。 中には私に勝てそうな人もいそうだ」

 

「誰だ」

 

とっさにアサルトライフルに手を掛けるが。

 

相手がにこにこと笑みを浮かべているので、戦意は湧かなかった。

 

それは小柄なメイド服を着た女に見える。いわゆる瓶底眼鏡と言われるようなぐるぐる眼鏡を掛けていて、いかにもドジでおっちょこちょいな雰囲気を出している。

 

だけれども、分かる。

 

此奴は、見た目通りの存在では無い。

 

「特に貴方は面白い。 霊がとても強い。 あり方が完成している他の英傑達と違って、これからどんどん伸びる霊だ。 暗躍を始めたペテン師や腹黒女神の降臨に居合わせる運命も面白いですねー」

 

「……俺は唯野仁成。 貴方は?」

 

「さいふぁーと呼んでください。 ふふ、それでは。 きっとまた会いますよ」

 

気がつくと、目の前に小柄なメイドはいなかった。

 

更に、アンソニーが不思議そうに話しかけてくる。

 

「どうしたんだヒトナリ、ぼーっとして」

 

「今、此処にいた奴は」

 

「いや、あんた一人でぼーっとしてたぜ」

 

「……そうか」

 

アンソニーが咳払いして。リャナンシーに会わせてほしいと言う。何でも一目惚れしたとか。

 

呆れて頭を掻いて、後でなと追い払うと。

 

唯野仁成は憮然として考え込んだ。

 

あれは尋常な存在じゃ無い。プラズマバリアを展開している船の中に平然と入り込んでも来た。

 

もしも、あいつが何か悪意を持って行動していたら。

 

寒気がした。

 

この船にいる英傑全てが全力で相手をしなければ、勝てないかも知れないと感じた。

 

 

 

(続)




英雄達の船に興味を持つあの方登場。

様々な思惑が交錯する中、ボーティーズでの戦いも佳境に入ります。



なお、ヒメネスがサクナヒメにかなり丁寧に接しているのは、唯野仁成と同じ理由。

相手の実力を認めているからです。

ストーム1についてはまだちょっとウザいと思っていますが、実力については本物だと尊敬しています。
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