Sストレンジジャーニー   作:dwwyakata@2024

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※天海春香について

アイドルマスターシリーズの主役の一人。多分もっとも有名なデジタルアイドルの一人でしょう。

本作で登場願ったのは戦闘要員としてではなく、空気の緩和のスペシャリストとして必要と判断したからです。

原作では早々にゴア隊長が戦死して、アーサーが指揮を執るようになった結果、幾つもの取り返しがつかない事が起きていますからね。

本作では、極限状態の空気の緩和のために、本作世界のレジェンドアイドルの一人である彼女に国際再建機構が声を掛けています。なお、春香さんが選ばれたのは、同期13人の中で「もっとも親しみやすいから」です。


2、追撃、逆撃

 

ショッピングモールから出ると、ゼレーニンが表情を引きつらせて待っていた。ヒメネスはどうしていいのか分からない様子で横を向いている。

 

なお、吐瀉物は一部ショッピングモールの入り口からもはみ出していた。それほどオーカスは食い続けていたという事である。貪欲にも程がある。そして、それを力に変えていたのであれば。強さも納得ではある。

 

「とりあえず、オーカスバスターの着弾と効果は確認しました」

 

「それで、このまま追撃か、一度撤退か。 此方は忙しくて指示が聞き取れていなくてな」

 

「撤退だそうです。 どのみち、これではショッピングモール内で身動きが取れませんので」

 

ゼレーニンは、触るのも嫌そうにオーカスの体内から逆流してきたものを見ている。

 

実際には物理的に喰らって吐いたものではない。だが、それだと分かっていても、嫌なものは嫌なのだろう。

 

育ちが良さそうなゼレーニンにはなおさらである。

 

一旦方舟に戻る。

 

サクナヒメはすぐに風呂に行くと言って消え、女性陣もそれに習った。

 

ヒメネスはどうするべきか悩んでいたようだが。ゼレーニンが速攻で風呂に行ったのを見て、良い気分はしなかったらしい。ふて寝すると言って、デモニカをクリーニングに預けて私室に。

 

一方ストーム1とケンシロウは一旦物資搬入口で待機。

 

この二人まで戦闘状態を外れると、戦力が半減する。サクナヒメが戻ってから、風呂なりデモニカのクリーニングなりに行くのだろう。

 

何というか、管理職にちゃんと責任があるのも、ある意味大変だ。

 

勿論管理職が仕事をせず、ふんぞり返っているだけというのもロクな職場ではないのだけれども。

 

唯野仁成も居残り組だ。

 

何名かの機動班は同じように物資搬入口で、憮然としている。

 

ムッチーノが来て、おしぼりを配ってくれた。

 

「大変だったなヒトナリ。 ここならデモニカの顔の部分だけは脱いでも大丈夫だし、使ってくれよな」

 

「ありがとう。 気が利くな」

 

「俺は通信班だし、見ての通り戦闘は殆どできないからね。 だから少しでも役に立てるように動かないと」

 

本来人前で、顔をタオルやおしぼりで吹くのはあまり褒められた行為では無いけれども。今は流石にそんな事も言っていられない。

 

サクナヒメがさっぱりした様子で戻ってくると、続いてストーム1が風呂に行く。他の面子も交代で。

 

ヒメネスもそそくさと風呂に行ったらしい。

 

唯野仁成は、最後まで残る。

 

戻って来たミアが、呆れた様子で言った。

 

「あんた最後尾だっただろ。 最初に風呂に行く権利あったと思うけれどな」

 

「……俺は別に我慢できるからかまわないさ」

 

「そうか。 いずれにしても精神衛生上良くないと想うから、風呂には入りなよ」

 

「ああ、分かっている」

 

ケンシロウはぼーっとしている様子で、特に気にしている感じは無い。

 

しばらく物資搬入口で待っていると。

 

やがてストーム1が戻って来たので、やっと風呂にする。三交代で風呂にしている間に、二時間ほどが経過していた。

 

デモニカのクリーニングも全員分が完了する。

 

本来必要ないかも知れないけれども。流石に今回は、気分の問題である。元々密閉式の極地用スーツだ。ただでさえ、着ている事にストレスが掛かるのだから、こういう処置は必要である。

 

ケンシロウなどの体が特に大きな人員は、特別製のデモニカを使っている。

 

だからそういう人達は、オーバーホールも時々必要になる。

 

幾ら千人からの人員を収容できる、この巨船といえども。

 

デモニカの予備をなんぼでも置いておくようなスペースは存在していない。

 

こればかりは、仕方が無いとは言っても。

 

まあ、誰かが犠牲にならなければならない所だ。

 

さて、此処からだ。

 

休憩を入れたいと思ったのだが、春香の声でのアナウンスが入る。何かがあったという事である。

 

「オーカスが動き出しました。 現在、ショッピングモール二階へと移動中のようです」

 

「あの巨体でどうやって……」

 

「現時点ではよく分かっていません。 出現したり消えたりを繰り返しています。 二階にある大きな空間を目指しているようですが、まだ分析の途中です。 そこで……」

 

春香の声が申し訳なさそうに揺れる。

 

戻って来たヒメネスが、露骨に嫌な予感がすると顔に書いていたが。それが程なく適中した。

 

「オーカスが吐き戻した物資を、遠隔で調べていたところ。 どうやら情報集積体の反応があるようです。 大まかな場所も分かっています」

 

「おいおい。 あのゲロの中を拾いに行けってのか……」

 

ヒメネスがぼやく。

 

気持ちは分かるが、この世界の本来の住人は真面目な地霊達だ。

 

放っておくと、回収されてしまうだろう。ゲロでも気にせずお片付けを始めていたのである。

 

げんなりした皆の中で、最初に立ち上がったのはストーム1だった。

 

「やむをえんな。 俺が調査班を護衛する。 何人か調査班来て欲しい」

 

「……分かりました。 行きます」

 

ゼレーニンが最初に挙手すると。

 

育ちが良いだろうゼレーニンですら汚れ役を買って出たと言う事もあってか。何人かが挙手。

 

流石に、ゼレーニンが汚れ役をするのに。自分達だけゲロは嫌だ等と言っていられないと言う事なのだろう。まあ、気持ちは分かる。

 

続けて、サクナヒメが立ち上がる。

 

「春香よ。 あのオーカスとやら、また時間がたてばメシを食えるようになるのだろう?」

 

「はい、しかしオーカスが移動中の地点は壁などに阻まれており、辿りつくのは困難です」

 

「ならば情報集積体を解析しておくしかあるまい。 わしも出る。 機動班、何名か志願せよ。 手分けして情報集積体を集めるぞ」

 

「分かりました。 俺が出ます」

 

唯野仁成が挙手。

 

マジかよと顔に書いていた機動班の兵士もいるが、やむを得ないかと、何人かが志願していた。

 

とにかくさっさと終わらせなければならない。

 

ヒメネスも、志願した一人である。

 

或いはヒメネスの場合、この汚い仕事をさっさと片付けてしまいたいという気持ちがあるのかも知れなかった。

 

二班に分かれて出る。三班目は出ないようにと、真田さんからお達しがあった。

 

というのも、オーカスが物資の再吸収を始めるまでは此方も動けないだろうという推察が立っているからだそうだ。

 

更に言えば、オーカスの行動として。

 

この方舟を直接次は狙って来る可能性があるという。

 

勿論対応は出来るが、その間に外に機動班が出ていた場合、救助は困難だという。

 

故に、速攻で情報集積体を拾い集め。戻ってくるしか無い、と言う事だ。

 

ジープにスコップなどを積み込んで、すぐに二班で出る。今度はサクナヒメ班が前衛、ストーム1班が後衛だ。まあ調査班がメインだから、当然の編成だろう。

 

ショッピングモールにジープを横付けすると、ゴミの山に分け入る。勿論唾液などで汚れているわけでは無いのだが。

 

あの巨大な怪物が吐き出したものだと思うと、とてもでは無いが触りたくないという心理が働くのもよく分かる。

 

周囲を警戒。

 

一応仕掛けてくる悪魔はいない。

 

それにしても、どうしてオーカスは軍勢を従えていないのだろう。それがちょっとよく分からない。

 

地霊達が片付けをしているのは今も変わらない。急がないと、情報集積体も片付けられてしまうだろう。

 

ムッチーノから通信が来る。

 

「オーカス、休憩地点と思われる場所に到達。 傷を癒やしている模様」

 

「オーカスバスターの効果がなくなるまでの想定時間は?」

 

「およそ五時間かと」

 

「ならば三時間で片付けるか……」

 

ストーム1とムッチーノの通信が聞こえてくる。

 

ため息をつく。最初の予定地点らしい場所に来た。ベンツの偽物らしい車が、粗雑にひっくり返っている。

 

旗を立てて、手を振って調査班に声を掛ける。

 

この辺りに情報集積体がある、と言う事だ。

 

更にもう二つ、情報集積体があるらしい。しかも一つは地下だ。あの階段をまた下りなければならないかと思うと、げんなりしてしまうが、やるしかない。

 

上空でアプサラスが真顔で此方を見ている。

 

手伝えとは言えないので、まあ仕方が無い。

 

もう一つ、反応のある場所を確認。旗を立てる。周囲を常に警戒しながら動いているが。それでもちょっと不安だ。

 

今回は、前回とは機動班の面子を変えている。

 

意外な事に、メイビーが志願して出て来ている。

 

何でもこういう不衛生な場所では、怪我をするかも知れないと考えたらしい。まあ有り難い話だ。医療の現場では、おぞましい程汚いものも散々見ているだろうし、却って耐性があるのかも知れない。

 

最後の情報集積体を取りだすべく、地下への階段を掘り出す。

 

悪魔達を総動員して、ゴミをピストン輸送で引っ張り出す。悪魔達も、流石に嫌そうにしたのだが。

 

後でマッカをやるからと、機嫌を取った。

 

文字通り現金なもので、大半の悪魔はそれで大喜びしてゴミを掘り出し始める。流石にハトホルなどの悪魔は、それでも嫌そうな顔をしていたが。

 

階段を掘り返すまで一時間。

 

地下に再侵入する。内部は真っ暗だったので、ハトホルが光の魔法を展開。殆ど埋もれている。

 

かなり奥の方に情報集積体がある。

 

此処はかなりまずいなと、唯野仁成は判断した。もしもオーカスが戻って来たら、逃げようがないのである。

 

サクナヒメも同じ感想を抱いたのだろう。

 

今もオーカスバスターを唯野仁成が持っているとは言え。あの巨体で突貫されたら、多分どうにもならないのだ。

 

「情報集積体はどこじゃ!」

 

「ええと、ナビゲートします。 もう少し奥で……」

 

「姫様、此方です」

 

「ちょっと乱暴にどかすぞ。 皆、少し下がっておれ!」

 

空中に浮き上がると、サクナヒメが無数の剣を周囲に出現させる。何度か見せた大技だ。剣が一斉にゴミ山を抉って、吹っ飛ばす。その間、リャナンシーをはじめとする魔法が得意な悪魔達を機動班が展開。

 

皆で壁を張って、ゴミが飛んでくるのを避けた。

 

「よし、これで少しは探しやすくなっただろう」

 

「情報集積体は移動していません。 調査班、急いで回収を!」

 

「面倒だ、此方で掘り返そう」

 

「おいおい……やってくれるなら助かるけど」

 

ムッチーノがぼやく。サクナヒメはわしは知らんぞと顔に書いている。まあ、ゴミをあれだけどかしてくれただけで充分過ぎるくらいだ。

 

悪魔達と手分けして、作業を続ける。

 

それで気付くのだが。肉のようなものは、まるで料理屋などに置いてある見本の料理のようだ。

 

本当にナマモノの類はないんだなと気付かされて、憮然とする。

 

考えてみれば、この状況である。

 

ナマモノなんて、あっと言う間に変質してしまう。此処にあるのは、情報だけ得て、そこから適当に再現したものだということだ。

 

本来の豚はそれなりにきれい好きな生物なのに。オーカスは、本当に人間が抱いているマイナスイメージの凝縮体だ。

 

しばらく、心を無にして掘っていると。

 

勾玉のような、得体が知れないものが出てくる。

 

すぐに小型の悪魔に、調査班へと持っていってもらう。それからもしばらく周囲を掘っていたが。

 

マッカなどが大量に出てくるので、嫌な予感がした。

 

一応マッカなども回収はしておくが。

 

どうしてあの豚が吐き戻した中に、マッカが大量に含まれているのか。

 

やがて、ゼレーニンから通信が来る。

 

「ありがとう、仁成。 これで正解よ。 高密度の情報集積体だわ」

 

「よし、此方は一旦引き上げる。 其方は」

 

「何とか一つ目は発見したわ。 二つ目を今探している所よ」

 

「姫様」

 

サクナヒメがうんざりした様子で周囲を見る。そして、大きくため息をついていた。

 

流石に、ストーム1だけであの巨大豚から、皆を守りきれるとは思わないと言う事だろう。

 

「分かった、わしも其方に合流する。 この汚物の山から、さっさと離れるぞ」

 

「オーカスの予想回復時間まで、後二時間半!」

 

ムッチーノが急かしてくる。仕事とは言え、ヘイトを買う行動だ。本人も色々と辛いだろう。

 

すぐに一階に戻る。

 

そして、情報集積体があるらしい場所周辺を、サクナヒメが吹っ飛ばして、掘り出しやすくする。

 

冷や汗が流れる。オーカスが乱入してきたら、多分ストーム1とサクナヒメ以外、誰も助からないだろう。

 

急いで情報集積体を回収するように、皆で手伝う。

 

やがて、トゲトゲした球体が転がり出て来た。鈍く光っており、どうもこれらしいと判断する。

 

調査班がすぐに調べて、頷く。

 

ならば、撤退開始だ。

 

「可能な限り急いで方舟に戻るように。 急げ」

 

「俺が最後尾に立つ」

 

ヒメネスが最後尾に。唯野仁成も最後尾に立つことを提案したが、ヒメネスは首を横に振った。

 

皆がそそくさと行く中。ヒメネスは周囲に油断なく銃を構えている。

 

「此処ではお前に負担をかけっぱなしだからな、ヒトナリ。 先にいけ。 どうせ危険はねえよ」

 

「分かった。 兎も角、戻るのを急げよ」

 

ジープに分乗して、皆が戻り始める。

 

その間も地霊達はオーカスの吐き戻した張りぼてや偽物をかたづけて、棚に戻し続けていた。

 

此処では絶対に買い物をしない。

 

多分誰もがそう思っただろう。

 

最初に回収した幾らかの物資すら、汚れて見える程だ。何だか、本当にショッピングモールを模した場所なのか此処は。保健所が入るレベルだぞとぼやきながら、唯野仁成もジープに乗る。

 

ストーム1が急ぐように促し、最後尾を守っていたヒメネスがジープに飛び乗る。

 

慌てている様子からして、碌な事がなかったのは事実だ。

 

「すぐに出してくれ!」

 

「何があった?」

 

勿論即座にジープを出す。サクナヒメはジープに乗らず、走ってついてきている。余裕の様子だ。

 

多分だが、ケンシロウやストーム1ももうジープなんか必要ないくらい身体能力が上がっているだろう。

 

デモニカによる並行しての経験蓄積は、それだけ大きいのだ。

 

「あの豚野郎が降りてくる気配があった! 急いで戻らないとまずいかも知れない!」

 

「確かにショッピングモールが揺れているな」

 

「最高速で頼む!」

 

調査班が必死に情報集積体を抱えているなか、ジープが荒野に急ぐ。

 

レインボウノアも、此方に向かい。ドリフトしながら止まって、物資搬入口を開ける。完璧な操縦だが、それに見ほれている余裕は無い。

 

オーカスだ。

 

ショッピングモールの入り口を吹っ飛ばして、多少縮んだとは言え巨体が姿を見える。

 

そして、凄まじい雄叫びを上げていた。

 

「ブオーノ! よくもやってくれたな人間! ブオーノブオーノ!」

 

「それ、笑い声ではないようだな。 だがそんな鳴き声を上げる生物はいないぞ。 何を真似ている」

 

「やかましいわっ!」

 

ストーム1がわざわざ挑発すると、オーカスは余程頭に来たのか、律儀に答えてきた。

 

何だかストーム1と気があいそうな雰囲気だが。ともかく急いで方舟に、ジープごと乗り込む。

 

オーカスが突貫してくる。アーサーの声が聞こえた。

 

「プラズマバリア、出力全開……」

 

「いや、必要ない。 各員、周囲に掴まれ。 「多少」揺れるぞ」

 

この声は、正太郎長官か。

 

春香が、珍しく慌てた様子で、アナウンスをして来た。

 

「これから方舟はオーカスと格闘戦をします! 皆、周囲の壁に身を固定してください!」

 

「おいおい、冗談じゃねえぜ」

 

ヒメネスがぼやく。

 

突貫してくるオーカスに対して、方舟がそのまんま逃げる。オーカスは複数ある足を忙しく動かして追ってくるが。元々四つ足の動物は、人間などとは比較にならない程移動速度が速い。

 

オーカスは少し足が多すぎるようだが、それでも方舟に追いついてきかねない速度で、荒野を驀進してくる。

 

「ブオーノ! ブオーノ! 喰らってやる! 船ごと喰らってやるぞ! 人間どもおおおッ!」

 

「総員、体の固定を急げ。 終わり次第、奴と戦闘する」

 

正太郎長官の声は冷静だ。程なくして、全クルーから固定完了の報告が上がる。デモニカをつけているから聞こえる。

 

点呼が終わったのを確認すると。

 

方舟が、巨大な豚に対して、ドリフトしながら全砲口を向ける。

 

横っ腹に突っ込んで来ようとするオーカス。

 

「いくら大砲が大きくなろうと、鉛玉など、効くものかああッ!」

 

まるで、その突貫は猪のようだったが。

 

するりと、殆ど完璧に。

 

芸術的な動きで、方舟はオーカスの突貫をかわしていた。芸術的なまでの動きである。外の映像は唯野仁成にも見えている。

 

凄いと、思わず声が出ていた。流石は鉄人二十八号の操縦者だ。

 

戦後の混乱期を、鉄の巨神とともに。劣悪なリモコンで完璧に操作しながら乗り切った、レジェンドオブレジェンド。

 

オーカスが、掴み損ねた方舟に、つんのめるようになり。

 

だが、それでもふんばって、掴みかかろうとした瞬間。

 

ゴア隊長が、声を張り上げていた。

 

「撃ちーかたー、はじーめ!」

 

「全砲門解放! 撃て撃て撃てっ!」

 

方舟についている全ての火砲が火を噴く。

 

あのミトラスの、魔法に守られていた城さえも半壊させた砲だ。しかも、オーカスは見た所、オーカスバスターを喰らって弱っている所を無理矢理強襲しに出て来ている。

 

全ての弾丸が直撃。爆裂。

 

しかも、その中にはオーカスバスターの効果がある砲弾もあった。

 

「ブ、ブオーノ! ブオーノーッ!」

 

悲痛な叫び声を上げるオーカス。豪華なマントが吹っ飛び、王冠も外れて吹っ飛ばされる。

 

手にしている王錫らしいものは死守したようだが、これは無理だと判断したのか、そのまま逃げ出す。

 

その背後にも、更にオーカスバスター入りの弾丸が叩き込まれた。文字通り座薬のように弾が叩き込まれたので。

 

流石に唯野仁成も、オーカスに同情していた。

 

「ぶぎゃあああああ! き、貴様らはああああっ!」

 

当然、凄まじい量の吐瀉物をまき散らしながら、オーカスは逃げていく。

 

方舟が止まる。

 

アーサーが、損害を報告するようにクルーに指示。

 

前の不時着の時より遙かに小さいが、それでも船内の彼方此方に細かい損害が出ているようだった。

 

「豚野郎を追い払ったは良いが……」

 

ヒメネスがぼやく。まあ気持ちは良く分かる。文字通り山となったゴミ。全部オーカスの吐瀉物だ。

 

そして、アーサーが空気を当然読まない発言をしてくる。

 

「オーカスの体内から逆流した物資の中に、情報集積体があるようです。 回収をお願いいたします」

 

「冗談じゃねえ! アーサー、お前がやれ!」

 

「私は此処から動けません」

 

「※※※※!」

 

誰かがあまり人前では口にしてはいけない言葉を口にしたが。しかしながら、それを咎める者は誰もいなかった。気持ちは嫌になる程、誰にでも分かったからである。

 

方舟が軽く移動して、停止する。

 

少し休憩を取ることをゴア隊長がアーサーに提案。アーサーもそれを呑む。

 

此処はショッピングモールの外。物資がぶちまけられているのも、ショッピングモールの外。

 

要するに地霊族がお片付けをする事は無い。

 

放って置いても、しばらくは大丈夫なのだから。休憩を取って、更には心の準備をする時間くらいはあるだろう。

 

アーサーの分析によると、これで数日は、オーカスは身動きも出来ないほどのダメージを受けたはずだという。

 

まあオーカスバスターの、それも200ミリ以上も口径がある弾丸を複数。一発に至っては、座薬されているのである。

 

これで数日程度で動かれたらたまったものではない。

 

休憩後、ゴミの山から物資を回収する。プラントをその場に展開して、物資を丸ごと全て回収するのだ。

 

更に、情報集積体の回収も行われたが。

 

安全である事や、時間的余裕がある事からも。唯野仁成やヒメネスは、サクナヒメと一緒にショッピングモール付近での見張りを担当。

 

普段は二線級で仕事をしているメンバーが、捜索に当たった。

 

そうして更に二つの情報集積体が見つかった。

 

真田さんが嬉々として調査に当たってくれているが。はてさて、結果はどうなることだろうか。

 

ともかく、オーカスが復活する前に。

 

早々にとどめを刺したい所だが。恐らくは、そう上手くは行かないだろう事は、唯野仁成にも予想がつくのだった。

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