Sストレンジジャーニー   作:dwwyakata@2024

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嘆きの胎での死闘。アモンを奪われたものの、しかしながらアレックスを撃退することについに成功します。

次はエリダヌスの攻略です。「大母」は複雑な情勢の中待ち構えています。


円環の巨大蛇
序、調整を終えて


苦い戦いだった。唯野仁成は、三層の囚人を奪われた事を報告せざるを得なかった。始末書を覚悟していたのだが、それは必要ないと言われた。

 

戦闘で消耗していたとは言え、アレックスを実力で撃退した事。

 

更には苛烈な乱戦の中で死者を出さなかったこと。

 

何よりも、四層への入り口がアモンがいなくなったからか、開いていることが確認されたこと。

 

そして多数の看守の情報集積体が得られたこと。これらから、失点は充分に帳消しになると言われたのである。

 

作戦参加したクルーも、皆同じように言われ。誰も責められることは無かった。良い職場だなと唯野仁成は思う。失敗を一度したら殺される、というような職場だったら、もう終わりだったが。

 

幸い此処は違ったと言うことだ。

 

ただ、課題も生じている。

 

アレックスに協力的な姿勢を確実に示すようになったシャイターン。あれは悪童じみた姿をしているが、実力ははっきり言って相当なものだ。看守悪魔にも劣らない。ただ、アレックスに対してかなり露骨なアプローチをしていたから、嫌がられて関係破綻するかも知れないが。

 

ただアレックスも消耗が激しい様子だったし。この間の戦いで手札は全て見きった自信もある。

 

今までは実力的な問題もあって、アレックスには勝てる気がしなかったが。

 

次は、勝てる。

 

その自信は、唯野仁成の中に、客観的なものとなって根付いていた。

 

恐らくだが、ヒメネスももうアレックスを撃退出来るはずだ。問題なのは魔神アモンの存在で。

 

あれだけは、スペシャルが対応しなければならないだろう。

 

アレックスと交戦時。アレックスのデモニカのAIと思われるジョージの言葉を聞いている。

 

まだアモンのスペックは、サクナヒメより上だと。

 

囚人との激戦の末、無理矢理従えたのだ。

 

アモンは三層には似つかわしくないほど強い囚人だったという話も聞いている。

 

アレックスは、悪魔達を駆使してアモンを倒したようだが。

 

いずれにしても、アレックスの戦力が相対的に上がったのもまた事実だろう。

 

色々思考を彷徨わせながら、唯野仁成はコーヒーをすする。ヒメネスが来たので、コーヒーを淹れようとしたが。ヒメネスが今日は紅茶の気分だといって、紅茶を自分で淹れた。珍しい事もあるものだ。

 

「四層を少し探索したら、またエリダヌスに戻るそうだ。 鉛玉の補充が終わるからな」

 

「また大物か、軍勢との戦いがありそうだな」

 

「ああ……。 魔王ですら、死の声には勝てないんだな」

 

「……」

 

少し前のエリダヌスにおける会戦で。ヒメネスが使っているモラクスが、マンドレイクの大群に寄って文字通り縊り殺された。

 

マッカをつぎ込んで蘇生はさせたが、流石に思うところがあったのだろう。ヒメネスは、あれから色々調べ続けている。

 

例え魔王であっても。

 

此処では絶対では無い。

 

それは、勉強になる事だっただろう。

 

「看守悪魔の中に、使えそうなのがいないか探してみるつもりだ」

 

「ロキが充分強いじゃないか」

 

「まだたりねえ。 ヒトナリ、お前だって、単独でアモンを連れたベストコンディションのアレックスが来たら勝てる気がしないだろう?」

 

「ああ、それはそうだな」

 

紅茶を飲みながら、露骨に嫌そうな顔をするヒメネス。

 

慣れない事はするもんじゃないなとぼやくが。色々と試してみたいと思っての行動なのだろう。

 

だから止めるつもりは無いし。

 

失敗したとしても、それは尊い失敗だと思う。

 

ゼレーニンが来る。

 

そして、険しい顔のまま、向かいに座る。

 

「唯野仁成、ヒメネス」

 

「何だ」

 

「何かあったか」

 

「パワー達が望んでいるとおり、力を与えてあげたいの。 悪魔合体というシステムを使いたくはないけれど、他に方法が無いのは認めるわ。 だから……悪魔合体のアドバイスを頂戴」

 

頷く。ついに、覚悟を決めたか。パワー達が献身的に守ってくれるから、相当につらいだろうが。

 

そのパワー達がそうしてくれと言っていたらしいのである。それは、ゼレーニンも覚悟を決める他無い。

 

そもそも天使パワー程度の悪魔では、既に通用しない状況が来ているのだ。それについては、唯野仁成も見ている。嘆きの胎三層でも、パワー達はゼレーニンを守るために粉々になって、また再生されただけだった。そのうち体を張ってもゼレーニンを守れない時が来てしまう。

 

ゼレーニン自身が豊富な戦闘を行って、パワー達に戦闘経験を積ませる手もある。事実そうやって、あまりランクが高くない悪魔を一線級に無理矢理据え置いている機動班クルーもいる。

 

だけれども、それははっきりいって効率が悪いという話も既に唯野仁成は聞いている。悪魔にはやはり成長限界のようなものがあって、ある程度のラインから成長しづらくなるらしい。

 

アリスのようなタイプは例外中の例外。

 

更に元々高位の悪魔は、特殊な能力を持っている事が多い。地母神キュベレが炎を完全無効化していたように、である。

 

パワーにはそういうものは一切無い。元々天界における使い捨ての雑兵だからだ。堕天するのも視野に入れた、文字通り十把一絡げの使い捨て。だから弱い。

 

そろそろ、確かに決断は必要だったと言える。

 

例え調査班でも。不意の一撃を耐えられるくらいの手持ちがいなければ、今後は足手まといになる。

 

最近では調査班にも、機動班が使ったデータから割り出し、使いやすい悪魔を配備しているのである。

 

ゼレーニンも、いい加減動かなければならない所だっただろうと、唯野仁成は思う。

 

ただ、相当な苦悩の末の決断の筈だ。茶化すことはあってはならない。

 

理論については、既に知っていると言われた。ヒメネスも頷くと、幾つかの話をしていく。

 

今まで露骨に嫌っている様子を見せていたゼレーニンに対して、ヒメネスはむしろ何処か熱い様子で必要なノウハウを教えていき。

 

ゼレーニンは飛び級で博士号を取っている頭脳をフル活用して、真綿が水を吸い込むように全ての情報を吸収していった。

 

ヒメネスは貪欲に試行錯誤を繰り返している。バガブーは例外として、他の悪魔は同意さえあれば合体の実験材料としてみている節すらある。勿論最終的には強い悪魔になるように調整はしているが。その究極解が「魔王」で手持ちを揃える事なのだろう。

 

一通りヒメネスからコツを聞いたゼレーニンは、熱心にメモを取っていたが。今度は唯野仁成にも話を聞いてくる。

 

此方でも、ヒメネスと似たような話しか出来ない。唯野仁成だけが知っているような事はあまりない。

 

ただ、DBには、千人いるクルーの悪魔合体プログラムに関する所感が多数あり。合体結果が全て載せられている。

 

それも参考にしてほしいというと、ゼレーニンは頷き。そしてすぐに自分なりの理論を組み立てて行った。

 

この辺りは流石は本職の学者だ。

 

自分で戦闘は出来ないかも知れない。だがデモニカで強化は入っている。本当なら、その気になれば銃器を握る事だって、剣を振るうことだって出来る筈だ。だが根本的に性格が戦いに向いていない。

 

だからゼレーニンは、戦いを仲間に任せる。

 

悪魔である仲魔にも。

 

その判断は、決して間違ったものではないと思う。

 

ゼレーニンはやがて、決断をした。なお、オリジナルのレシピだったが。多分大天使が出来。

 

更にレシピを悪魔合体プログラムに確認した所。ゼレーニンでも扱える大天使が出来るようだった。

 

ゼレーニンが、悪魔合体を始めた。

 

忠義をゼレーニンに誓っているパワー達全てをつぎ込み。

 

更にDBにある悪魔をマッカを使って呼び出して、ガイドに沿って合体をする。

 

自分より強い悪魔は従えられない欠点はあるが。ゼレーニンもそれは承知済み。

 

周囲の人間の戦闘経験などは全て流れ込んできているわけで。悪魔合体プログラムのお墨付きもでている。

 

悪魔合体プログラムは、昔は何が出来るかも分からなかったし。そもそもこんな小さなPCでは使えなかったとライドウ氏に聞いたが。

 

今は出来る。ならば、出来る事をする。それだけの話である。

 

大天使が出来る事は悪魔合体プログラムが墨付きを出した。ただ、今まで誰も作っていない大天使が誕生するようだ。

 

ヒメネスは眉をひそめる。

 

「あんまりそういうのこだわらないで、強いのを単純に選んだ方が良いんじゃないのか?」

 

「パワー達は献身的に尽くしてくれたわ。 だから、せめて願いは叶えて上げたいの」

 

「そうか。 まあ俺もバガブーのことがあるから、あまりどうこうはいえねえ」

 

「ありがとう」

 

ヒメネスとゼレーニンがちゃんと会話してくれるようになって唯野仁成もありがたい。

 

ゼレーニンが、しばらく悩んだ末に。じっとPCを見つめる。パワー達は既に同意している。

 

強くなるのは、彼らの願いでもある。

 

やがて、悪魔合体を行うか否かの最終確認に対して。

 

ゼレーニンは、ボタンを押していた。

 

悪魔合体が開始される。

 

先に唯野仁成が、デモニカを船内の電源につなげておくようにとアドバイスしたが。流石に大天使を作るとなると、そのアドバイスは正しかったらしい。

 

凄まじいスパークが、ゼレーニンのデモニカを走っているのが見える。

 

おおと、ヒメネスが面白がる。

 

魔王を作り出すときも、これくらいのパワーを消耗する。方舟の動力は原子炉、それも核融合だが。

 

それでやっと何とか電力をまかなえるほどである。

 

一応理論上はデモニカでも出来るらしいが、バッテリーが大変な事になるだろう。やはり原子炉の力を借りた方が良い。

 

程なくして、激しい光が迸り。

 

悪魔合体は終了していた。

 

咳払いする。

 

「マッカをつぎ込んで、パワー達をまた呼び出すことも出来るが」

 

「いいの。 彼らの願い通りに、大天使になって貰ったのだから」

 

「そうか。 外で呼び出してみよう」

 

「あのペ天使みてーなのが出てこないと良いけどな」

 

ヒメネスは、こう言うときまで一言多いな。そう唯野仁成は思ったが、ゼレーニンは寂しそうに笑うだけ。

 

物資搬入口から出る。まだ此処は嘆きの胎である。周囲のプラントが、物資をガンガン回収して弾や必要物資に変えている。周囲を警戒している機動班クルーもいるが。唯野仁成達が出て来たのを見て、察したらしい。少し距離を取る。

 

最近は、休憩中に外に出てくると言う事は。

 

強い悪魔を合体で作り出したという事だと、彼らも噂で聞いているのだろう。

 

ゼレーニンが悪魔召喚プログラムを操作。

 

本当に毛嫌いしていたのに。頑張っているなと、唯野仁成は思う。

 

人の心は、一度傷がつくと簡単に治る事はない。

 

実際問題、魔王ミトラスに心を壊されてしまったノリスは、未だに医務室で眠り続けている。時々唯野仁成も見に行くが、目覚めるかはかなり厳しいと言うことだ。シュバルツバースで採れる貴重な物資から、高価な薬も作る事が出来る様だが。そもそもそういう問題ではないという事である。

 

ゼレーニンはその場で、ノリスと同じ目にあっている。

 

いつ心がひび割れてもおかしくない。誰か悪意あるものがつけ込んでも全く不思議ではない。

 

だが、ゼレーニンは周囲に支えられ、強くあろうとしている。

 

その行為は尊いと唯野仁成は考える。だから絶対に茶化す事はしない。

 

召喚されたのは、無数の翼を持ち、巨大な本を持つ大天使だった。豊富な口ひげを蓄え、威厳のある顔つきと、静かな目をしている。

 

「我が名は大天使ラジエル。 知恵を司る大天使である」

 

「聞いた事があるわ。 この世の全ての知識を納めた書物、ラジエルの書の管理者ね」

 

「うむ……。 我が中に、そなたへの強い憧憬を感じる。 我の素材となった天使達の願いを、我は汲もう。 これより、力なきを嘆いた天使達の代わりに、天の世界の知識番である我がそなたを守ろうぞ」

 

「ありがとう、ラジエル。 これからお願いするわ」

 

頷くと、ラジエルはPCに消える。

 

ヒメネスが、魔王じゃないのは気にくわないがと余計な事を言いながらも、褒めてはいた。

 

「雑魚から作った割りには良さそうな悪魔じゃねえか。 それに学者には知恵を司る奴は相性が良いかもな」

 

「貴方なりに褒めてくれているのは分かっているわ。 色々助かったし、礼を言わせて貰うわ。 ありがとう」

 

「今ので相当に消耗しただろう。 四層を軽く見てくる任務が来る可能性がある。 休んでおいた方が良い」

 

ゼレーニンはそれを聞くと、頷いて戻っていった。

 

ヒメネスと共にレクリエーションルームに戻る。ヒメネスは、アレックスとの戦闘ログを見ているようだった。

 

「こんな化け物と、相手が多少弱体化しているとは言え渡り合えるくらいに強くなってきたんだな、俺たち」

 

「ああ。 千人いるクルーのデータが並列化され、還元されているからな。 何よりスペシャル達のデータもだ」

 

「姫様に対アレックスを想定して稽古を何回かつけて貰ったが、やっぱり半端ねえよアレは。 少しでもデモニカを使って力の差を埋められているとは言え、ある程度渡り合えるのはでけえ」

 

「……この力は、少し過ぎているかも知れない。 慎重に使わなければいけないだろうな」

 

ヒメネスは、その言葉には応えなかった。

 

少しぼんやりと休憩をした後、呼び出しが入る。案の定、四層を軽く偵察するということだった。

 

ストーム1とサクナヒメが、十人ほどの機動班クルーを選抜する。

 

更に、ケンシロウが四人の機動班クルーと、ゼレーニンともう二人、調査班クルーを選抜した。

 

ライドウ氏は、二線級のクルーを連れて、二層で演習中だ。

 

まず複雑極まりなかった嘆きの胎三層の完全なマッピングを終え、姿を見せている看守をこの戦力で一掃し。今後演習が行えるように整える。また、探索の過程で、貴重な物資などが無いかも調べる。

 

ただでさえ、三層の囚人アモンと、デメテルが欲しがっている「実り」は奪われてしまっているのである。

 

転んだのだ。だが、転んでもただでは起きないくらいの心構えでいないと、この先は進めないだろう。

 

だから、そう図太くある。

 

アーサーのサポートを受けながら、まだ進めていない箇所の探索を進める。空間が歪んでいるから、時々点呼をしながら進んでいく。ストーム1が時々超反応をして、不意打ちを仕掛けようとしてきた悪魔の頭を撃ち抜く。

 

そういえば、またライサンダーがバージョンアップしている様子だ。前はライサンダー2だったのだが。かなり形状が変わってきている。

 

唯野仁成が見ているのに気付いたのか、説明をしてくれた。

 

「これはまだ試作段階のライサンダーFだ」

 

「確かライサンダー2の次の段階、ですね」

 

「そうだ。 俺が時々使っている巨大な砲があるだろう。 あれが最終的なライサンダーの完成形、ライサンダーZFだが。 見ての通り、現状では持ち運ぶのが出来ない代物になっていてな。 そこで少しずつ実戦でデータを取りながら、真田技術長官が改良をして、やがて携行可能なサイズにまで落とし込んでくれる。 お前達用にも、そろそろライサンダー2が支給されるそうだぞ」

 

「開発してくれているわけだな。 ありがたいぜ」

 

ヒメネスの言葉には完全に同意だ。ただ、サクナヒメに、周囲への警戒を怠るなと釘を刺されたが。

 

散発的な戦闘はあるが、エリダヌス上層ほどの激しい戦闘は今のところ起きてはいない。たまに生き残った看守がいるが、前に三層に大集結していた化け物のような看守ではないので、対応は可能だ。

 

倒してしまえば、情報集積体を落とす。

 

つまり、それを解析すれば、悪魔合体で作り出せると言う事でもある。嘆きの胎の情報も持っているだろう。

 

いずれにしても、見つけ次第倒さなければならない。

 

それで、この謎の場所の解析が進むし。戦力も増えるのだから。

 

二日ほど掛けて、三層の完全なマップを作り上げる。空間の歪みは凄まじく、入り口から見えているのに、ぐっと大回りしてやっとたどり着けるような場所もあった。

 

また、この辺りの、嘆きの胎を構成している植物は「蜜」のような何かを分泌していて。それを調査班が熱心に回収していた。

 

専門用語が飛び交っているので、よく分からないが、いずれもが、貴重な品であるらしい。

 

外で揃えようと思うと、ちょっとの分量で豪邸が建つような品ばかりだそうで。

 

聞いていて、頭がくらくらしてくる。

 

ただ、そもそも今機動班クルーが手にしている装備だって、それぞれ高級車に匹敵するようなものばかりなのである。

 

そう考えてみると、戦争は金が掛かるし。

 

此処では、それを軽減できるだけマシだと考えるしか無いのかも知れない。いずれにしても、割切る必要があるだろう。

 

三層の入り口に集合。アモンが倒れたからか、三層入り口すぐ近くに、四層への階段が見つかっている。

 

ただ、四層の看守は更に力を増している様子である。

 

そのうち二線級クルーの演習を、この三層で行う事になるのだろう。

 

それに、である。

 

この間のマンドレイクとの会戦などでも分かったが、二線級といっても既にどのクルー達もそれなりの悪魔を従えている状態になっている。千人程度の人員しかいない方舟クルーだが、実際の戦力は機甲師団十個分には余裕で匹敵するだろう。

 

外にでた後悶着が無ければ良いが。

 

四層の入り口で、唯野仁成は整列して次の指示を待つ。調査班を連れたケンシロウ班が一度方舟に戻り。そして戻って来てから、次の指示が来た。

 

四層の入り口部分を軽く威力偵察して戻るように。まあ、予想通りの指示だ。

 

四層に足を踏み入れる。何があるか分からないから、勿論手持ちの最強悪魔を常に展開している状態だ。

 

だが、ぶるっと悪寒がある。

 

力がついてきているからだろう。四層の悪魔が、更に凶悪な連中だと言う事が、肌でわかるのだ。

 

看守もヤバイのがいるだろう。此処もまた、一秒でも気を抜けない場所だ。

 

サクナヒメも剣を抜いたまま、周囲を厳しく見張っている。ストーム1も、ずっとアサルトに手を掛けていた。

 

そのまま、電波中継器を撒きながら、入り口付近を調査する。

 

看守は姿を見せないが、興味を持ったらしい悪魔が寄ってくる。いきなり襲いかかってくる奴はあまりいない。

 

こんな危険な場所に住んでいる悪魔だ。

 

相手の実力くらいは、見ただけである程度分かるのだろう。迂闊に仕掛ければ死ぬと知っているのだ。

 

一方で、仲魔になりたがって向こうから声を掛けて来る悪魔はいる。

 

他のクルーが応じて、悪魔召喚プログラムを利用して、契約して配下にしていく。ただ、四層の悪魔だから桁外れに強いと言う上手い話もなく。或いは四層では厳しいと判断して、これ幸いと強い者につこうとしているのかも知れない。

 

此処もまた、厳しい場所なのだ。悪魔の世界も、色々苦しいだろう事は、見ていて理解出来た。

 

軽く回って、戦闘も少しこなして、戻る事にする。

 

そろそろ、物資の補給も完了する頃だ。演習をしていたライドウ班も撤退を開始しているらしい。

 

長居すると、六層からまた危険な悪魔が上がってくる可能性がある。遭遇戦で、誰かを死なせるような事だけは、あってはならなかった。

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