Sストレンジジャーニー   作:dwwyakata@2024

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ライトニングを沈黙させたことで、クルーの皆に大きな心理的負担が入る事になりました。

しかも攻略中の大母の空間は過酷な迷宮。

戦いの過酷さは増すばかりです。


逆撃
序、墜ちたもの


ジャック部隊の悶着をとりあえず解決し、一旦フォルナクスに戻って来た。途中、上位空間を移動する際に攻撃をされる事もなく。移動の際に揺れることも無かった。

 

唯野仁成は、寡黙になってしまったヒメネスを心配になって見やる。

 

弱者に対して際限なく冷たく接する行為が、どういう結果を招くのか。自分がして来た事の招きうる未来をヒメネスは見せつけられたのだ。

 

人間を材料にして悪魔と合体させ、兵器を作る。

 

しかもその材料は、途上国で確保してきた立場が弱い人間。

 

結果論から言えば、ライトニングは即座に撃墜するべきだった。だが、気になる事もたくさんある。

 

なんで、このタイミングで。

 

負けると分かっていただろうに、あんな事を始めたのか。

 

なんでジャックだけが工場にいて、しかも自爆したのか。

 

挙げ句、財団側の主要人物は、どうしてみんな殺されていたのか。何もかもが、分からない事ばかりだ。

 

この世界では、金さえあれば何をやっても良い。

 

そんな価値観を拡げた阿呆どもは、当然とも言える末路を迎えたとも言えるが。

 

かといって、世界がだからといって良くなるわけでもない。

 

唯野仁成も、少し口数が減ったかも知れない。今、フォルナクスに二派に別れて潜って探索中だが。

 

ひっきりなしに襲ってくる悪魔と、絶妙に狭い通路。

 

多数の悪魔を展開する訳にもいかず、少数のクルーと限られた精鋭で撃退するしかない。

 

幸いなのは、電波中継器を撒くことでどんどんマッピングが進む事で。複雑極まりない迷宮をアーサーがサポートしてくれることだが。

 

しかしながら、歩いていて思うのだ。

 

此処を彷徨いている悪魔は、一体何を目的としているのかと。

 

大母を守るつもりなのか。

 

それとも、アントリアからデルファイナスの空間の主達のように、人間の世界を攻め滅ぼすつもりなのか。

 

それが分からない。

 

無言で黙々と進む。

 

サクナヒメが、足を止めた。じっと目を細めて前を見ている。一緒に来ている数名の機動班クルーが、即座に銃を向けた。

 

唯野仁成は、アリスを呼び出す。

 

自分より勘がずっと鋭いサクナヒメだ。足を止めたのには理由がある。

 

しばしして、奥から何か歩いて来るのが見えた。

 

大きさは人間と同じくらい。

 

いや、あれは。見かけだけなら人間だ。

 

「其所で止まれ。 何者だ」

 

「おっと失礼。 大母の空間の、こんな奥深くまで人間が潜ってくるとは思いませんでしてね」

 

そいつは。燕尾服を着た、中年の男性に見えた。

 

かなり太っていて、ナマズ髭がいかにもである。というか、そもそもこんな場所に燕尾服で来られる人間はいない。

 

確定で悪魔だ。

 

唯野仁成が剣に手を掛けると、アリスが声を掛けた。

 

「あ、ベリアルおじさん!」

 

「久しぶりだねアリス。 此方では用事が終わったから、ちょっと様子を見に来たよ」

 

アリスの知り合いか。

 

ベリアルというと確か一神教における重鎮に当たる悪魔だ。確かソロモン72柱の中で最強と言われているとか。

 

ただ、その容姿は天使が戦車(チャリオット)にのっているというものであったはず。

 

しかしながら、アリスがそういうのならアレがベリアルなのだろう。

 

「どうだい、其方の居心地はいいかい?」

 

「うん! ヒトナリおじさん優しいし」

 

「そうかそうか。 お前がそんなに懐く人間はいつ以来だろうな」

 

ベリアルと呼ばれている中年の男性は、いつの間にか唯野仁成の側にいた。

 

一瞬で移動してきたことになる。

 

サクナヒメは剣に手を掛けたまま、鋭い視線を送ってきているが。他の隊員は対応出来ていない。

 

「アリスに良くしてくれて礼を言うよ。 とても扱いが難しい子だから、これからもよろしくね」

 

「アリスは貴方に作られたと言っていたが」

 

「昔々の話だ。 酷い死に方をした可哀想な女の子がいた。 何も悪いことはしていなかったのに、悪魔呼ばわりされてむごい死に方をした。 丁度我等の主が酷い死に方をしそうな人間を救って回っていてね。 我々もそれを真似した。 だけれど、主ほど上手には出来なかった」

 

最初は力を誇示するためだったと、正直にベリアルは言う。

 

しかしながら、今は違うとも。

 

「アリスはきっと何かの世界の危機を救うために役立ってくれる筈だ。 私には主の考えは分からないが、少なくとも君には強い力と可能性を感じる。 他にも信じられない強い力と可能性を感じるが……アリスが選んだのは君だ。 頼むぞ」

 

ふつりと、いつの間にかベリアルはいなくなっていた。

 

サクナヒメが大きく嘆息する。

 

「今までで遭遇した中で最大の力を感じたな。 デメテルやマンセマットをも超える力だっただろう」

 

「……」

 

「ベリアルおじさん、いつも唐突にいっちゃうなー。 ああ、でも行った後、大体問題が起きるんだよね」

 

「そうであろうな」

 

サクナヒメが振り返り、顎をしゃくる。

 

呆然としていた機動班クルーが振り返ると、其所には見覚えがある巨体が、殺気を充満させながら立ち尽くしていた。いつの間にか、ではない。ベリアルの気配が強烈すぎて、多分足音をどたどたさせながら近づいて来ていたのに、誰も気付けなかったのだ。サクナヒメ以外は。

 

オーカスだ。

 

前戦った時に比べるとかなり小さいが、それでも相当な圧迫感がある。

 

力そのものは、明らかに増しているらしい。

 

「見つけたぞ、ブオーノ! 強い力に導かれたと思って来てみれば、やはり貴様らだったか、ブオーノ!」

 

「オーカスか。 また丸焼きにされにきたか」

 

「笑止! もはやワシはオーカスでは無い! ワシの真の姿、今こそ見せてやろう!」

 

やはり此奴も強化されているのか。産みなおしとやらの結果なのだろう。

 

膨れあがるオーカス。肉が内側からはじけ飛ぶ。

 

そして、其所に存在していたのは。

 

巨大な門のような姿をした、得体が知れない悪魔だった。門の中は口になっており、門そのものが顔になっている。

 

「ワシこそは! ローマ神話にて偉大なる死神として讃えられるオルクス! オーカスとは我が貶められた存在に過ぎぬ! ワシはローマ神話にてハーデスと同一視されしプルートーと同一なる者! そして悪人を冥府にて罰する存在でもある!」

 

ああなるほど。それならば、一神教への怒りもよく分かる。

 

オルクスはどちらかというと、本来は仏教における閻魔大王のような存在であったのだろう。

 

死神というのは調べて見たのだが、別に人を殺しに来る神ではない。

 

寿命を終えた人間を迎えに来る神だ。

 

その上悪人を地獄で苦しめる神となれば、それは怖れられなければ意味がない。

 

その畏れがやがておかしな方向にねじ曲げられ。

 

更には一神教によって悪魔呼ばわりされれば、人間に対して恨みも抱きはするか。

 

「ワシは本来喰らうものではなく招く者! 貴様ら人間は既に全てが邪悪なる罪人と呼んでも問題なかろう存在だ! 故に全てくらい、冥府で罰してくれようぞ!」

 

「くだらん」

 

サクナヒメが一蹴。

 

唯野仁成も、困惑している皆に率先して前に出ていた。

 

「冥府の支配者なら公正な裁きを行うべきだ。 もしも自分の主観で善悪を勝手に決め、挙げ句の果てに私怨で相手を罰するというなら、それはもはや貴方を貶めた一神教の神と代わらない」

 

「何だとっ!」

 

「貴方はもはや心まで貶められているようだな。 姿だけは取り戻しても心を取り戻さなければ意味がないのではあるまいか」

 

「お、おのれ、おのれええええっ!」

 

良くいったと、サクナヒメが一瞬だけ視線を送ってくる。

 

モラクスから転じたモロクもそうだったから、此奴もそうなのだろうと思ってはいたのだが、案の定だった。

 

はっきり分かった事がある。

 

産み直しを行えるという此処の大母。何者だか知らないが、いずれにしてもはっきりしているのはその心まで貶められる前に戻す事は出来ない、と言う事だ。

 

勘違いされている事もあるが、閻魔大王は仏教におけるあの世の最高裁判官に過ぎない。

 

恐ろしい形相で描かれるのは、それは悪人に舐められては意味がないからで。実際には十王と呼ばれる地獄の裁判官達が自分では裁けないと判断した案件を、最後に裁く存在なのである。

 

それに相当する存在なのであれば。

 

恐ろしくも公正である事が何より必要なはずだ。

 

今の人類がどうこう以前に、公正である事。それがオルクスとしての誇りだっただろうに。

 

怒りが優先して、それを見失ってしまっているようでは。

 

此処の大母の力の限界も見えたと言える。

 

意味の分からない絶叫をしながら、オルクスが凄まじい黒い何かを、面制圧するようにぶっ放してくる。

 

それをアリスが放った黒い力が迎撃。一瞬拮抗する。

 

唯野仁成は均衡の間に一緒にいるクルーに声を掛ける。

 

慌てた様子でそのクルー。アンソニーは召喚。

 

いやいやながら連れていたエース悪魔である魔神トートを召喚する。以前、エリダヌスで遭遇した猿の姿をしたエジプトの賢神だ。

 

女の子の悪魔だけがいいとだだをこねていたアンソニーだが、実戦で戦略的に使える悪魔を手持ちに入れるようにとゴア隊長に怒られて、手持ちに加えたのである。

 

アリスとオルクスが弾きあう。

 

流石に産み直しを受けた悪魔。オルクスの方が、呪文の再展開が速い。

 

あれはアリスの攻撃と弾きあった事からも分かるように、恐らく高密度の呪いだ。まともにくらったらひとたまりもない。

 

だが。オルクスが、勝ち誇ってもう一発、強烈な死の塊をぶっ放してきた瞬間。

 

トート神が展開した光の壁が、その呪いを弾き返していた。

 

呆然と、己が展開した呪いの逆噴射を受けるオルクス。

 

同時に、皆が反撃を開始。

 

他のクルーがアサルトでオルクスの全身を滅多打ちにする。この迷宮の内部と言う事もあり、どうしても大きさには限界があるし。何よりオルクスは通路一杯に拡がっているから、アサルトの弾は外しようがない。口の中には得体のしれない空間が拡がっているが、それはそれ。

 

顔中に銃弾の乱打を浴びて、豚だったときのようにブオーノとか呻きながら下がるオルクスに、アリスが火の術式を叩き込む。トリスアギオンでは火力がありすぎて此処では使えないが。しかし格が下がる術でもこの閉所なら充分。絶叫するオルクスは、それでも口から凄まじい風を放って炎を吹っ飛ばすが。

 

その時には、唯野仁成が召喚したアナーヒターが、他クルーの召喚した悪魔達と一緒に、一斉に冷気の魔術を放っていた。

 

オルクスが凍り付き、全身がひび割れる。

 

其所に、唯野仁成とサクナヒメが息を合わせて突貫。

 

唯野仁成は、オルクスの額に剣を突き刺し。

 

サクナヒメは、恐らく百五十に達する斬撃を叩き込むと。鋭い音を立てて、剣を鞘にしまった。

 

サクナヒメがオルクスに背中を向ける。

 

唯野仁成も飛び退く。

 

オルクスは、呆然としていたが。その全身は、見る間に崩壊していった。

 

「う、嘘だ、わしは、わしは昔の力を取り戻した、取り戻したはずなのだ……ブオーノ……!」

 

「ギリシャ神話のハーデースやローマ神話のプルートは、公正な冥府の神だ。 特にハーデースは、狂ったオリンポス神族の兄弟姉妹の仲では唯一といっていいほどの真面目な神だろう。 貴方はもはやそれらの系譜から外れた、ただの愚かな復讐鬼だ。 論ずるに値しない」

 

「ば、馬鹿な、ばか……な」

 

全身が砕け散るオルクス。

 

嘆息する唯野仁成。

 

オーカスと戦った時よりも遙かに条件が良かったとは言え。相手が力に奢っていなければ。

 

更にはこんな閉所で無ければ。

 

此処まで簡単に勝つことはできなかっただろう。

 

それにオルクスは怒りが先行して、殆ど実力を発揮できていなかったようにも見えた。この辺りは、運が良かったと思うしかない。

 

アンソニーがオルクスの情報集積体を回収する。

 

オーカスの時よりも一回り大きい。だが、ここに来る前に指摘されていたのだが。モロクの情報集積体もそうだが、どうにも欠損しているらしい。

 

大母のものは別として、四つの情報集積体を集めないといけないのかも知れない。

 

また、面倒な話だった。

 

サクナヒメがおにぎり休憩を始めたので、方舟に連絡を入れる。

 

オルクスと遭遇。撃破したことを連絡すると。どうやら方舟でも観測していたらしかった。

 

なお通信に出たのはムッチーノである。

 

「もう少しその辺りを探したら、戻って来てくれるかな。 これで恐らく三つある内の一つの道は踏破できたと思うよ。 ただあとちょっとだけ周囲に未踏破地域があるから、其所を埋めてほしいんだ」

 

「そうか、分かった」

 

「もう一つのストーム1、ヒメネス班も今佳境に入ってる。 これから君達が行った辺りに、ケンシロウ氏の護衛する調査班を回して、データを取って貰う予定だ。 思ったより攻略が早く進んでいて助かるよ」

 

頷くと、通信を切る。

 

サクナヒメはもうおにぎりを食べ終えていた。

 

流石に他の皆は、此処ではおにぎりは食べられない。また、普通だったらすぐに痛んでしまうので。神の力で特殊な加工をしているらしい。魔術に相当する術を使っているという事なのだろう。

 

「あと少し、此処を調べて戻ればよいのじゃな」

 

「はい。 ナビはアーサーがしてくれます」

 

「四回目の突入で攻略か。 まあ充分な成果であろう」

 

「そうですね」

 

この三叉に別れた迷宮の一角は、今回で四回目の突入になる。それで最深部にまで到達できたのだから上出来だろう。

 

皆を促して、周囲を調べる。案の定、もう他に行ける所は無く。残敵を掃討し、降伏する相手は悪魔召喚プログラムで麾下に入れ。後は指示通り戻る事にする。

 

途中様々なものがあるが、下手に触らないように周知されている。調査班が調査して、必要なら回収する。

 

戻っている途中に、通信が入る。

 

ストーム1班が、アスラが強化された悪魔と遭遇し、交戦を開始したという事である。まあ、現状のストーム1とヒメネスならば大丈夫だろう。それでも、念のために確認をする。

 

「支援が必要なら、ナビゲートをしてほしい」

 

「恐らく必要はないと思いますが、念のため向かってください。 此方で通路はナビゲートします」

 

「了解」

 

少し疲れは溜まっているが、あのアスラの圧倒的な力を思い出すと、流石に無視もできないだろう。

 

大した強さの悪魔もいない。というか途中で苦労しながら掃討したので、帰路は楽だった。

 

エリダヌスの庭園ほど酷い悪魔の群れに襲われたわけでは無いが、それでもひっきりなしに迷宮で悪魔との交戦を続けて、やっとここまで来たのである。一度の迷宮へのアタックで、それぞれ六時間ほど行動し。その後一日休んでまた突入をと言うのを繰り返したのだ。

 

どうやらこのフォルナクスの地下迷宮は、相互作用していないことや。地下という閉鎖空間である事。

 

魔術などで逆に利用されるのを防ぐためか。それぞれの空間を魔術的につなげていないこと、などもあってか。

 

配置されている悪魔は、最初からそこにいた連中だけ。

 

故に戦いに行くたびに顔を見せる悪魔の数は減り。

 

オルクスと戦いになった頃には、もう殆ど悪魔の姿はなくなっていた。

 

いずれにしても、帰路はただ走るだけで良いし。

 

デモニカが最大限支援してくれる。

 

一階に到着。そのまま、三叉路の一つを駆け下りる。

 

此方も敵の掃討は殆ど終わっている様子で、クリアリングをしながら進むものの、ほぼ敵の気配はなかった。

 

奥へと進んでいくと、戦闘音が聞こえてくる。

 

苦戦している雰囲気はないが、それでもまだ戦っていると言う事だろう。

 

不意に目の前に悪魔が現れる。

 

巨大な亀の悪魔だ。鈍重だが、それでもとんでもなくタフである。カブラカンという、マヤ神話に登場する悪しき巨人だ。亀の姿をしている理由はよく分からない。

 

とにかく此奴は硬くて、オルクスに辿りつく途中で交戦するときも苦労した。銃撃しても埒があかないし、魔術も効きにくい。効いたところで中々倒れてくれない。

 

だがそれでも、一体だ。

 

仲魔が魔術の乱打を浴びせて動きを止めたところを、サクナヒメが首を刎ね飛ばす。

 

多少時間は食われたが、これで障害はなくなった。

 

突貫して、戦場に急ぐ。

 

ストーム1班は、連れていた機動班クルーが何人か壁にへばっていたが。ヒメネスとストーム1は当然無事。

 

交戦していたらしいのは、縞々模様の女悪魔だ。

 

何だアレは。

 

アスラの始祖が、あのような悪魔なのか。

 

アスラというのは中東から伝わった悪魔の一族で、単一の悪魔を指す言葉ではないと聞いている。

 

女性のアスラにああいうのがいるのだろうか。

 

いや、どうも雰囲気がおかしい。

 

なお、勝負はもうついている。

 

壁に貼り付けにされた縞々の女悪魔は、全身に切り傷や、大きな銃撃跡を残していて、回復出来ずにいる。その体を壁に縫い付けているのは、ストーム1の手持ちであるクーフーリンの槍だ。

 

顔を上げた女悪魔。髪が長い事もあって、表情は鬼気迫るものがあった。

 

「おのれ、このアシェラトの姿になってもなおも及ばないか……!」

 

「正直念入りに罠を張って待っていた前回の方が手強かったな」

 

「其所まで愚弄するか……っ!」

 

「というか、そもそもあんた、なんだか力があっていないような印象を受けたぜ。 本当にアスラの原型なのか?」

 

ヒメネスが、酒をほしそうな顔をして、舌打ちした後に言った。

 

ヒメネスの魔王は大きすぎて出す事が出来ず、それが苦戦につながったらしい。まあその分、ヒメネス自身が戦ったようだが。

 

いずれにしても、少し遅れたか。

 

「済まなかったな。 もう少し早く着いていれば」

 

「馬鹿力で伸された奴が何人かいる。 回復してやってくれ」

 

「はい」

 

メイビーが頷くと、すぐにハトホルを呼び出して回復を始める。それで勝ち目が完全に失せた事を察したらしく。アシェラトを名乗る悪魔は歯ぎしりをしていた。

 

「此処までの屈辱、はらさでおくべきか……っ!」

 

「そうやって感情的になっている時点で戦いには勝てない。 ……何度でも相手になってやる」

 

ストーム1が、至近距離からライサンダーの弾を叩き込み、とどめを刺す。

 

唯野仁成は、疲れきっているストーム1班に代わって。また、勝利の連絡を入れていた。

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