ブラックマーケット・ヒーロー   作:げに味わい深きレモン

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ディープという街-4

 

「お、オルカは北通りからそちらへ移動中!接触まで30秒です!!」

 

 

 見張りのガードは無線機に呼びかけるが、指揮官からの応答はない。

 

 30秒?あと30秒で、ヤツがここに来る?

 

 

「指揮官?!応答してください!しきがっ……」

 

 

 強烈な破砕音がして、部下からの通信が途絶えた。その音で指揮官は我に返り、さきほどとは真逆の、恐怖に染まった真っ青な顔で震え出した。

 

 

「指揮官?どうされましたか?」

 

 

 傍のガードの一人が、指揮官の変調に気づいて声をかけた。要領を得ない呻き声をあげ、頭を抱えてうずくまる指揮官の肩を掴む。 

 ばね仕掛けのように勢いよく、指揮官は顔を上げた。

 

 

「指揮官?」

 

「そ、そういっ、たっ、たたたたいたい、たいきゃっ……」

 

「指揮官?!しっかりしてください!どうされたのですか!」

 

 

 パクパクと口を開閉し、意味をなさない言葉を口にする指揮官にガードは驚くものの、正気に戻すためにその両肩を掴んで揺する。無能とは思っていたが、これでも部隊の指揮権を持っているのだ。冷静でいてもらわなくては困る。

 

 その時、激しい銃声の隙間から、誰かの叫び声が聞こえた。

 

 

「オルカだ!オルカが出たぞ!!」

 

 

 

「……ヒ、ヒイィ!!!」

 

 

 指揮官は一際大きな悲鳴をあげると、目の前のガードを突き飛ばして駆け出した。

 

 

「ヒ、ヒイイィぃぃぃ!!!ヒィイィぃぃぃぃ!!?!?!」

 

「し、指揮官?!どちらへ?!」

 

 

 ガードは一目散に逃げ出した指揮官を追おうと立ち上がるが、恐慌した指揮官はあっという間に距離を離して、通りをがむしゃらに走っていく。

 

 醜い悲鳴を上げながら逃げる、マーケットガードの指揮官。その上の、薄煙に照らされた星のない夜空から、白黒の影が降ってきた。

 

 

 

 アスファルト片が砕け散るとともに、卵をまとめて潰したような、鈍く湿った破砕音が、街灯に照らされた通りに響く。

 

 ブラックマーケットのガードとはいえ、腐っても軍用規格のオートマトン。その装甲は並の銃弾は通さぬほど堅牢であるし、フレームもそれに見合った剛性を持っている。

 

 それを、空から降ってきた人間は、一撃で丸ごと叩き潰したのだ。

 ゆっくりと上体を起こしたその人物は、火花を散らし痙攣する残骸から、左手一本でスレッジハンマーを引き抜く。ぐちぐちと湿った音とともに、オイルがヘッドに絡みついて糸を引く。

 

 塗装の剥がれた、赤いヘッドのスレッジハンマー。黒い髪と、白黒のパーカー。そして、その頭頂に浮かぶ、青く深い海から覗く、三角の背ヒレを模したヘイロー。彼女がこのディープの恐怖の象徴であることを示していた。

 

 

「せ、瀬黒……オルカ……」

 

 

 ()()()は、パーカーのフードを払いのけ、ハンマーに付着した液体を振るい落とすと、濃い隈の刻まれた三白眼で、強盗とガードたちを睥睨した。





 さがしています!

 指名手配
 瀬黒 オルカ

 学園 不明
 学年 不明
 年齢 不明
 誕生日 不明

 特徴 黒いボブカット
    濃い隈
    三白眼
    波間から覗く三角の背ヒレの模様の藍色のヘイロー
    白いローラースケート

 武装 8ゲージ 水平二連式ショットガン
    赤いヘッドのスレッジハンマー

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