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瀬黒オルカは、たった今鉄屑にしたオートマトンを踏みつけると、あたりを見まわした。
銃撃戦をしている、40人弱の戦闘用オートマトン。押され気味なマーケットガード達の陣地の、30メートルほど後方から、戦場を見渡す。
オルカの姿に気付き、固まっているものが10。気付かず背を向けたまま、戦闘を続けるものが8。そして、気付きながら戦闘を続けるのが、強盗の一団22。
やはり流れ者は物知らずか。
ローラースケートで地面を蹴る。体を左右に揺らしながら、ガードたちへ接近すれば、オルカの姿に気付いていた者らの一部はその場から逃げ出していった。
戦線を抜けた者は気にせずに、オルカは未だ振り向かないガードの背後に立った。
銃身と銃床を切り詰めた、水平二連式ショットガンを腰から引き抜く。
「……え、は?」
状況を理解できないガードは間抜けな声を出す。
グリップに備えられた、二つの引き金。本来はスムーズな連射を行うためのそれらを、オルカは同時に引いた。
砲声と紛うほどの強烈な発砲音とともに吐き出された二発分の散弾が、ガードの頭部に直撃した。絶大なエネルギーを伴った小片は、ガードの身体を打ち砕くのみならず、その背後にあった装甲車のドアを強かに打ち、数トンの車体を真横に転がした。
金属がひしゃげる耳障りな音とともに装甲車が転がるのを目撃し、ようやく強盗達の銃撃が止む。場の全員が、煙の中に佇む少女を注視していた。
数時間ぶりの静寂の中で、オルカは何事もなかったかのようにレバーを押し、8ゲージのショットシェルを排莢した。直径21.2mmの真鍮薬莢が二つ、場違いに涼しげな音で道路を跳ねる。
「なんだァテメエは」
強盗のリーダーが声を発する。しかしオルカはそれを無視して、パーカーのポケットから弾薬を取り出し、左右の銃身に装填した。自らを気にも留めないような素振りに、リーダーは語気を強める。
「ここはテメエみてぇなガキが来る所じゃねえんだ。それともなんだ?このノイジーフロッグ団の初仕事の邪魔しようってか?」
折り曲げた銃身を戻しアウターハンマーを引く。キヴォトスでも使うものの少ない、非常に古い作りの銃であると見て、リーダーは盗み出した武器を自分のもののようにひけらかし、続ける。
「オルカだかなんだか知らねえが、そんな古い武器で、オレ達に立ち向かえるとでも思って……」
前触れもなく、銃声が2回轟いた。
異常な重さのスラグがリーダーのすぐそばの空間を掠め、背後に立っていた二人の仲間に衝突する。油断し、下卑た笑みすら浮かべていた彼らの胸部装甲に命中した金属塊は、それを粉砕しながら変形し運動エネルギーの全てを衝撃に変換する。
5メートル以上吹き飛ばされた仲間を見て、リーダーは激昂し叫んだ。
「このクソガキっ?!テメエら、やっちまえ!!」