強盗達が慌てた様子で得物を構えるより速く、オルカは低く身を屈め前進する。
ローラースケートによる滑走とはとても思えない初速での突進。ようやく構えた強盗達と、黒い影が交錯する。
鈍い音とともに、強盗の一人が縦に回転した。顔面が陥没したオートマトンに握られたままの突撃銃が、無茶苦茶に弾丸を吐き出す。
オルカは速度を殺すことなくターンし、もう一度集団へ突入する。
「は、速っ」
騎兵突撃の如く構えられた8ゲージの銃口に突き刺され、また一人陣形から脱落する。そのまま轟音が響き、腹から二分された機体と、二つの薬莢が取り残されていく。
「クソっ!弾幕だ!マシンガンで弾幕を張れ!」
リーダーの指示のその間にも、一人が高く打ち上げられる。降ってきたその機体の下敷きになった二人の頭部が、二塊の散弾に打ち砕かれた。
ようやく三台の装甲車の銃座から弾幕が形成されるが、重い風切り音とともにハンマーが
「畜生!なんで当たらないんだ!」
一撃離脱を繰り返すオルカを、曳光弾の軌跡が追いかける。地面を削り跳ねた光が、虚しく夜空へ消えていく。
急ターン、S字カーブ、急制動からの急加速。光の点線が、彼女を捉える様子はない。
ターレットの旋回を超えて動き回るその姿を、機銃手は見失う。あたりを見回そうと回しかけた首が背後からの散弾にもぎ取られ、首無しのオートマトンは銃座の中に崩れ落ちた。
「うわああぁぁぁ?!?!!」
最後の一台の機関銃が、味方の装甲車の上に立つオルカへ鉛玉をばら撒いた。12.7mmの強化弾は装甲車を瞬く間に蜂の巣にし、エンジンを破壊された装甲車からは黒い煙と火焔が上がり始める。
オルカは初めて足を止めて、銃座の強盗に向き直った。
「なんで、なんで効かないんだよおおぉぉぉ!!!」
通常であれば、ヘイローに守られた人間でも、12.7mm弾を数発受ければ痛みに悶絶し動けなくなる程度のダメージは受けるというのに。
ビスビスと鳴る特徴的な音は、目の前の怪物に銃弾が当たっていることを示している。だというのに、それは一切怯みもせずに、黒煙の切れ間からこちらを見ているのだ。
「ぁぁああああ?!」
強盗が叫びながら乱射を続けたために、機関銃の銃身は赤熱化し、揮発したオイルが煙のように視界を奪った。自ら目を潰した彼は、今度は脳天から頭を潰されて沈黙した。