第弐開発局肝入りであった為に、お情けで300機だけの落ちこぼれ大隊が編成され……後は皆様ご存知の通り。その戦果に舌を巻いたのは帝国軍だけでは無く、国連軍も同様だったのです
量産と貸与が決まり、BETAの筋肉と血液を大量に確保出来たATの価格は、戦術機の5分の1にまで低下。脱出装置や安全機構を取り付けない廉価品であれば、7分の1にまで低下させられる事が可能となったのです
─── AT博物館 ATの価格より抜粋 ───
「ところで何で新潟県なんスか」
「大陸へ行ける港と土地が欲しかったからだねえ」
「銀行以外の出資者の人達が新潟県出身ばっかだったのは何でなんスか」
「新規事業に出資してくれるような人は土着の人が多いだろう?」
「やっぱり農業用だからッスか」
「そ、そんな事ないよ〜?出資者の方々がアレって農業用じゃないの!?とか言ってた訳じゃ無いよ〜?」
「ところでこのおにぎり美味しいッスね」
「だろう!?やっぱり米はコシヒカリに限る!!」
「買収されてんじゃねーぞハゲ!!!」
「まだ生えてますー!!!!!!!」
ガキの喧嘩である。高校を卒業し、両親を北海道に押し込み、鈴木工場は鈴木重工への歩を進めはじめた
以前から進んでいた島根県のリゾート用地を買収した後プラントの建設を開始、1986年に完成、現在は農業及び漁業に使う為のマッスルシリンダー及びPR液の製造を行っている
周囲の田んぼでは、試作機として作って配ったマッスルシリンダー入り耕運機が動き回っている。汎用性が高いのは嬉しいが、新技術が1番最初に使われるのが平和利用なのは少しだけ腑に落ちない
石油は最早ダイヤモンド以上の価値である。それでも人は食わねば生きていけぬ。機械化された農業や漁業にとって、最も頭を悩ませるのは燃料代とすら言われるこの時代に、鈴木重工の作るマッスルシリンダーは正に天からの恵みであったのだろう
これは農林水産省直々に持ち込んできた話だ。マッスルシリンダーの話を聞きつけて血相を変えて駆け込んできた官僚の姿は鮮明に記憶に残っている
BETAの血肉さえあれば出来るんだな!?と鬼の形相で詰められた時は殺されるかと思った
そこからは早かった。出資者紹介してやるから作れ。出資者に話通してやるからもっと作れ。プラントの土地?確保してやるからもっと寄越せ。BETA確保の金?ウチが出すからもっと作れ……etc
無論、鈴木重工に農業用機器の製作なんて出来ない。なので双子が広告の会社やらと提携して作って売り出した所、大ヒットを記録。石油を使わないと言う農林水産省お墨付きの看板と共に、既存のエンジン式を駆逐する勢いで伸びていった
さすがに手数が足りないので財閥の手まで借りる事となり、大ヒットを記念したトルーパーくん1号は、日本国内へと急速に広まる事となる
このお陰で鈴木重工は農業機器の代替エンジンメーカーとして名を馳せ、今や国内シェアの8割を……あれぇ?
「ヘラーも何か言ってくれない!?」
「私はおかかが好きです」
「そう言う意味じゃ無いんだが!?」
マッスルシリンダー及びPR液の製造ラインはあっという間にパンクした。全国で必要な物を1箇所で賄えるはずも無く、早急な拡大をせざるを得なくなった
1990年には全国47都道府県に農業用マッスルシリンダー及びPR液製造ラインが完成し、その内福岡県、島根県、広島県、新潟県、埼玉県、北海道、京都にはATの製造ラインも存在している
現在は日本国内のみでの製造販売であるが、日本政府はオーストラリア等の後方地域への売り込みも考えており、国際社会においての地位向上を狙っている
「おかしい……俺はATが作りたかっただけなのに……」
「マッスルシリンダーが応用が効くのが悪かったねえ……いやあっちの熱意に押されたのもあるんだけど。いざとなれば全部AT用に転換出来るのもこっちとしては万々歳だ」
「国防の観点からも、農業の観点からも、マッスルシリンダーは素晴らしい発明です。ATの価格をもっと安く出来るとすれば、ATが活躍出来るのだと言う事を証明しなければなりませんね」
簡単に言ってくれる。そんな事が出来ればこんな事にはなっていない。隣に座っておにぎりを頬張っていた開発局出向中の男の動きが止まるのを見るまでは
……なんだその顔は。今まで忘れていたと言わんばかりの顔じゃないか。おい、待て、何か知ってる顔だな。おにぎり口に詰め込んで一気に食べるな喉に詰まるぞ
「い、いやぁ、そのぉ、伝え忘れと言うかあ……来年、帝国は大陸派兵するって内々に決まってて……」
「…………」
すっかり頭から抜け落ちていた。ここ最近の忙しさに目が回っていたんだ。知ってる未来だったけど今の今まで忘れてたんだ
だから責められない。だってコイツが悪い訳じゃないから
「……今からATの製造に回して、どれくらい作れそう?」
「価格から計算して……300機が限界かと。大陸側でも整備や交換が必要でしょうから、現状だとこれが精一杯です」
「あっそっかあ……」
国内シェア8割の産業を持っていても軍需産業と言う物は金がかかるらしい。と言うかコレ今からねじ込む事出来るのだろうか
農林水産省に手伝って貰えば大丈夫かな。けどコレ言ったら今度は漁業用の代替エンジン作れって言われそうなんだよな
「ま、まあ!!掛け合ってみるよ!!戦力は多い方が良いだろうからね!!!」
開発局の人間が珍しく戸惑っている。それなりに責任を感じているのだろうか?兎にも角にも頼んでみる他無い俺にとって、お願いしますとしか言えないのだが
後日、正式に部隊が編成された事を知った。コチラの都合で300機のATを用意するのに半年以上かかってしまったが、なんとか彼等に100時間以上の訓練も受けさせる事が出来たし、せめて活躍してくれる事を願うばかりである
そう言えばお気に入り数とか全然見て無かったな、見とくか
↓
アイエエエエエエ!!!!??お、お気に入り800件越え!?!?あ、ありがとうございます!!!これからも精進していきます!!!!!!!皆様が楽しめるように書いていきます!!!
Q.マッスルシリンダーって農業転換出来んの?
A.可能であると思います。ATサイズでの馬力等を考えれば不可能では無いと思いますし……少しばかり貧弱でも、とにかく燃料代が安い事があげられます
既に人類側が追い詰められており、石油はアメリカ等の新大陸やアフリカ大陸でしか採掘出来ませんから、一般に出回る価格はかなりの高額になると仮定出来ます
この後のBETAの大量輸入によってPL液の値下がりが待っている事から、数年は凄い事になるでしょうね
Q.車とかもいけんじゃね?
A.事故ったら直ぐに爆発炎上するような車に乗りたい物好きはさすがに居ないかと…バスくらいならまだ良いかもしれませんね
Q.船は無理かな???
A.サイズ的に行けるかどうか微妙なんで今回は取り上げておりません
ATに白兵戦武器は必要?不要?
-
いる
-
いらない