マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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2003年。皆様この年の事は良く覚えているでしょう。地球上からBETAが排除された年であり、人類が勝利した年でもあります
元旦に鈴木邸にて表明されたハイヴ根絶は、即ちマッスルシリンダーの終焉を示しているのでは無いか。気の早い投資家はそんな事を考えてしまい、株式市場は年明けから大荒れする事になります
ですが、我らが鈴木重信氏は、そんな事はとうに見透かしていたのです
軌道エレベーターの一機目が年内完成予定である事が重信氏の耳に入っていた為、彼は何も気にしなかったと言われています

─── AT博物館 地球が救われた年より抜粋 ───



表明

2003年 1月1日

鈴木邸にて新年祝賀会が開催される。あらゆる国家や連合から勲章を授与された為か、軍からの訪問者も多くなる

昨年切腹未遂事件を起こした彩峰氏も娘と共にやって来ており、招待状を手にしていた事から、重信氏の懐の広さが伺える

邸宅内に入れる者は限られており、招待状が無ければ入れない。招待状は全て詩織氏が手ずから書かれた物であり、一通ずつ内容が違う事が特徴である

 

中庭には所謂VIPと呼ばれる者達が集っており、普段ならツテが出来ない場所にツテを作れる1種の社交場となり始めており、鈴木邸に入れると大成すると言うのは、こう言ったツテによる意外な側面からのアプローチが可能となる点である

……余談だが、この中庭ではビュッフェ形式での食事が振る舞われており、それを目当てに来る者も少なくないと言われている

 

そしてこの日、世界は希望を見る事となる

 

─────────────────────

 

「凄い人だな……」

 

昨年の鈴木邸での張り込みが評価され、今回は上司と共に中庭へと入る事が出来た

フィルムが続く限りあらゆる人物を撮影し続けろと言われた手前撮影しまくっていたものの、持ってきたフィルムを1時間で使い切る程にVIPが集まりまくっていた

あそこに見えるのは財閥と大東亜連合のお偉いさんである。先程まで話していなかったものの、和気藹々と話しているのを見る限り、もっとフィルムを持ってきておけば良かったと後悔する

 

そして、タッパーを持ってきておけば良かったとも。ビュッフェ形式で並んでいる代物は、それこそ高級品と呼ばれる物ばかりであるのだ。持って帰って家族に食べさせてやれば喜ぶような物ばかりであるし、上司も他社の幹部クラスに挨拶回りしている為、料理に舌鼓を打つしかないのだ

 

「おや、ご同業」

 

「え、ああこれはどうも」

 

同じく料理に舌鼓を打っていた同業の記者と名刺を交換する。帝都新聞と書かれているソレを見て、自分のような木っ端とは違うんだなあ、なんて呑気な事を考えていれば、彼は懐からごそごそと何かを探り、渡してきた

未使用のフィルムである。2つ程融通してくれるらしく、感謝の意を示すと同時に、こちらも記者らしく聞いてみる事にする

 

「いえ、私も以前同じことをやらかしましてね。もう6本も使ったので、さすがにもういらないかと」

 

「これは有り難い。しかし何故そこまでしてくれるので?」

 

フィルムを受け取りつつそんな事を聞けば、もう少し話すつもりが出てきたのか、帝都新聞の記者は意外そうな顔をする

髪色や瞳の色から見て難民であった事は想像に難くない。そんな彼を見て嫌悪する人間とて国内にはチラホラ居るのだから

しかし私は記者である。そんな物は犬にでも食わせておけば良いのだ

 

善意だ、とか。そちらのスクープを聞かせろとか。色々と言える中で、言葉を選んでいるらしく、彼は少しばかり考え、苦笑しながら答えた

 

「…………善意であり、懐かしさでもあり、面白さを追求する為でもある、が理由ですね」

 

「面白さを追求……」

 

帝都新聞の記者は一時的に雇われているお手伝いからコップに入った酒を受け取り、私に差し出す。差し出されたコップを受け取って半分程飲み干しては、改めてその言葉を聞き出す

 

「私は貴方が言う、上の方しか見れません。そこから下を見ると上司から怒られるのも有り、また、帝都新聞のブランドの維持が出来ない、と言われる為です

でも違う。鈴木重工の始まりが小さな町工場からだったように。小さな下の繋がりが、上を揺るがす事も多々あるんです」

 

熱の入った弁舌と共に、タイミングを見計らったかのように横断幕が掲げられる

それは彼の言う、小さな下の繋がりから始まった企業が掲げる、人類全体を揺るがず宣言であった

 

─── 地球上ハイヴ 完全攻略 ───

 

言うは易し行うは難し。しかし今まで積み重ねてきた実績が、その行いを後押ししている

私は慣れた手つきでフィルムをカメラに押し込み、隣で熱弁していた記者と共に、特等席で撮影していた

 

「こうやって、たかだか1グループ企業の横断幕に踊らされる人類なんて、そのものじゃないか」

 

1人ごちるように告げる彼の声は、歓声と万歳三唱によって掻き消された

その特徴的とも言える赤い髪色を携えた男が言う言葉を、私は頭の中で反芻し続けていた

 

最早世界目標と言っても過言では無くなった例年行事を見ながら、私はただ、コップに入っていた酒を飲み干し、見上げている人達をフレームに収める作業に従事していた

 

─────────────────────

同日

EIKOからの分離派生会社、ポケコン(ポケットコンピューター)が、可愛らしいモンスターを捕まえるポイモン(ポケットインモンスター)、丸っこいキャラクターが敵を吸い込んで能力をコピーするティンクル・ポポが発売される

カセット1本と携帯ゲーム機本体を合わせて5000円と言う狂気とも言える価格でEIKOに対して正月商戦を挑み、リアル調に飽きていた子供達の心を鷲掴みにして圧勝を飾る

 




Q.年内って本当に出来るんですか?

A.出来る出来ないじゃなくてやるんだよ!!と言うのでは無く、半年程の戦線整理によって本格的に作戦が行えるようになった為です
尚この戦線整理で1番儲けたのはアメリカです。消耗品万歳

Q.あの、この帝都新聞の記者……

A.( ◜ᴗ◝)

Q.年内に軌道エレベーター出来るんですか!?

A.地球側の基部を作成したので出来ます。何せ宇宙側の箱物は作らなくていいので
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