マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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重慶ハイヴ攻略を誰の手柄にするか?
作戦前日から協議されていたものの、その意見は纏まりません。大東亜も米国も日本も国連も、どこもかしこもが自らの手柄にしたくて堪らないのです
最早残っているハイヴは少ない。ソ連と言う大国が戦後にマウントを取るのは早々に分かっている事から、米国は少しでも牽制をしたい
大東亜としても譲れません。ソ連がハイヴ攻略の手伝いと称して満州を狙っている事も牽制せねばならず、その点に関しては日本と意見が一致しています
日本としては、世界的企業である鈴木グループが手中にあると言えど戦後を考えればハイヴ攻略の実績が欲しい

余りにも纏まらない意見の言い合いに、議長を務めていた国連軍が投票で決める事を決定
この中で最も意見として弱い日本をどう懐柔するか。キングメーカーをどう口説き落とすかが分かれ目となりました

─── AT博物館 重慶ハイヴ攻略より抜粋 ───


重慶ハイヴ 攻略

「我々大東亜連合が日本に提示する条件は、雲南の割譲、並びに大東亜連合所属国家への関税無償化です。これは中国亡命政府からも許可を得ており、もし投票して頂けるのであれば、国際法に則った正式文書も即刻作りましょう」

 

「我が米国が提示する条件は、日本との関税無償化、改正した日米安保条約の締結です

戦後、日本は各国から狙われるでしょう。例え台湾を割譲されたとて、どうせ中国の事です、武力を使って本土ごと奪えば良い、などと考えているに違いありません」

 

「一方的に安保を切った連中の事を信じられるでしょうか?そもそも、戦後大東亜が最も頼る事になるのは、最も近く、そして世界2位の工業力を持つ日本なのです。それを本土ごと奪えば良い?自国に余裕のある考えですね」

 

「安保を切ったのは日本側がこちらの要請に応じなかった為です。致し方ない事でしょう。ですが本土が攻められている時に急遽切った事は、お詫び申し上げます」

 

投票の為の会議は長引き続けている。残すは大広間と言う中で、バチバチにやり合っている2人の代表を見ては、議長はさっさとどっちにするか決めろ、と言わんばかりに日本の代表を見つめ、キングメーカーとなった日本は、改めてその条件を見ながら頭を捻る

両者共に決して悪い条件では無い、が、米国の言う事は信じられない。改正した安保条約は今の日本が求めている物では無い

 

だからと言って大東亜に調子づかせるのも良くない。国連辺りが早々にぶっ壊せば早い話ではあるのだが、米国資本が1番である国連は米国の言う事を聞くしか無い

この投票にしたのとて、ギリギリでも中立を保ちたいから、と言う意思表示の表れである

 

「……我が日本は…」

 

口を開こうとした瞬間、伝令兵が息を切らして戸を開ける。開口一番の言葉は、今の日本代表が欲しがった言葉だ

 

「突如としてハイヴが活性化、3軍による合同対応によって、重慶ハイヴは攻略されました」

 

─────────────────────

2003年 1月5日 17:50

重慶ハイヴ 大広間前

 

「命令はまだかよ?そろそろ飽きてきたぜ」

 

「言うなよ、俺だって暇だ……ほれ、フルハウス」

 

「はぁ!?イカサマしてんじゃねえよ!!」

 

「してねーし出来ねーよ」

 

ボトムズを含め、全員が暇を持て余していた。ある者はAT同士を有線で繋げてポーカー(AT付属ゲーム)に興じ、現場指揮を執る尉官クラスは、イラつきから煙草を1箱消費していた

これは軍上層部も同じであり、真っ先に到着していた大東亜連合軍は手柄の独り占めが不可能となった為に文句を垂れるしか無く、合流した他国軍も今回のMVPである大東亜に譲るべき、と言う言葉が出るほどである

 

「は〜あ、暇だ……ん?おい、レーダーの故障か?」

 

「何がだよ……あん?何だコレ。隊長、大広間奥から大量のBETA反応が発生しました」

 

「此方でも確認した。恐らくは大急ぎで生産したんだろうな。現在他国軍と協議中だが、全軍で壊滅させる事が決定するだろう。準備しろ」

 

待ってましたと言わんばかりに全軍が動きはじめ、戦闘準備を始める。ATのカチューシャは既に弾切れである為に取り外され、対戦車用ロケットへと取り替えられる

全軍が一斉に大広間へと突入し、溢れはじめたBETAに向け、一斉射撃を開始すれば、BETAの断末魔にも似た何かが大広間を埋め尽くす

 

120mmが突撃級の装甲を撃ち抜き、70mmが小型を吹き飛ばし、30mmが中型を蜂の巣にする

無論、こう言う時に流れ弾が出るのは仕方無い。その流れ弾が意図的に頭脳級を狙ったとしたも、なんらおかしくは無い

 

30分もの間、BETA殲滅は続けられた。それまでのフラストレーションをぶつけるように続けられた殲滅は、国連軍のマガジンを3つも使い切る程の苛烈さだったと言う

 

─────────────────────

1月5日 18:40

重慶ハイヴの攻略が完了する。報告では、大広間奥からの大量発生を確認した為に攻撃を開始、流れ弾によって頭脳級が完全破壊された為、慣習上の理由から大東亜連合の手柄となる

 

今回の重慶ハイヴ攻略によって、以前から提唱されていた飽和攻撃が証明される結果となった

重光線級が存在する場合を仮定しても、凄乃皇による荷電粒子砲による対処を行う事が可能であり、今回のハイヴ攻略戦における死者数も数百人程度にまで収まった

 

また、重慶ハイヴを攻略した事から、今まで放置されていた元オリジナルハイヴへの道が開き、鈴木重工が元オリジナルハイヴ近辺のBETAを積極的に回収したい旨を表明し、大東亜はこれまでの恩義を返すと言う名目の元、動かなくなったBETAの回収を行い、そのほぼ全量を日本へと送り届けた

 

大東亜連合からBETAが届けられた1週間後、鈴木重工は原料不足で量産不可能とされていたベルゼルガをラインナップに並べた

そのヒロイックな見た目と、盾まで持つ騎士のような見た目から、各国は儀仗用やパレード用に何機かを購入するに留まったが、その内の何機かはアメリカでの違法バトリングに使用され、チャビー相手に完勝するほどの性能を見せつけた

 




明日が見えた 明後日が見えた 未来が見えた
先にある未来は 光り輝いている
だと言うのに 後ろに指す黒い影は強くなるばかり
人は 互いに争わずに居られないのか

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

ソ連軍 侵攻

未来が見えたからこそ やらねばならぬ事がある
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