マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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この頃、世界は戦後に向けての準備を開始していました
見えない明日が見え、明後日と言う希望の名のもとに準備を始められたソレは、当然、人や国家の欲望も内包しています
その欲望は止まる事は知りません。何せ今やソ連は、アメリカを超える程の陸軍戦力……ATを保有しているのです
鈴木重工との契約によってAT保有数は世界一を誇り、シベリア開拓にまで使われるATは、ATを扱う民間人ですらそこらのボトムズよりも練度は上になっていたのです

そして、戦後の不凍港と太平洋への出口を欲したソ連は、朝鮮半島へと目を向けます

─── AT博物館 ソ連軍の侵攻より抜粋 ───


ソ連軍 侵攻

2003年 1月10日

ブラゴエスチェンスクハイヴ包囲援護の為、ソ連軍が朝鮮半島へと援軍を送る

大東亜連合は良い顔をしなかったものの、朝鮮半島暫定政府が許可を出した為文句すら付けられずに展開を許す

 

1月13日

ソ連軍、朝鮮半島北部にて港の使用許可を要求。陸路輸送ではBETAからの奇襲の可能性があるとし、暫定政府は大東亜連合からの許可を待たずに許可を下す

この際、暫定政府にはかなりの額の賄賂が渡されたと言う

 

1月15日

ウラジオストクからの船団輸送により、大量のATや物資が搬入される。物資の一部は朝鮮半島暫定政府へと渡され、暫定政府の負担軽減の為に、港の警備までソ連軍が請け負う事とした

これに対して大東亜連合が一方的な押し付けであり、侵略行為であると批難するも、暫定政府側がお願いする形を取った為、無駄に終わる

 

1月20日

突如として朝鮮半島北部との通信途絶。暫定政府が大東亜連合に偵察を求めようとした所、ソ連より連絡が入る

曰く、BETAからの奇襲発生、暫定政府軍が壊滅。現地要請によりソ連軍が戦線を構築し、事態の対処に当たる、と言うものだった

しかし、あまりの不自然さから大東亜連合は国連に対して衛星画像の提供を求める

同日午後、国連から提供された衛星画像には、BETAの死骸は1つも観測されなかった

 

─────────────────────

1月20日 10:17

 

「もしもし、もしもーし?おかしいな、急に切れたぞ」

 

「また中継機の故障だろ。ったく、粗悪品ばっかり送りやがる」

 

定時連絡を入れようとした所、ぶつりと音がして電話が途切れた。復興途中でありながら前線に近いこの場所では、急造粗悪品が多数存在する

故にそう言った事態は多発していたものの、大抵は他の回線を使って報告が可能なのだが、今回は少しばかり様子がおかしい

 

「ん?んん?おい、他も通じねえぞ。と言うか音すらしねえ」

 

「じゃあ通信機が壊れ───」

 

轟音。聞き慣れたロケット弾の爆発音を受けると同時に、連絡所が爆発する

中に居た2人の通信兵は痛みを感じる暇すら無くその四肢を散らし、その攻撃を察知出来たのは、偶然にもトイレに入っていた兵士だけであった

 

「こ、攻撃!!攻撃だ!!!」

 

事故か、事件か、それとも宣戦布告か。そんなのはどうでも良かった。今必要なのは、その攻撃を受けている自分達に逃げ場が無い事である

空を見上げれば放物線を描いて飛んでくるロケット弾の雨。昨今対BETAに対して非常に有効な攻撃である事が判明したコレは、明らかに人類を狙ったものである

そう、奴等(ソ連)の得意戦術以外の何物でもない

 

「指令部!!攻撃を受けている!!!!我々は何処から攻撃を受けて……クソッ!!!コイツもか!!!!」

 

流れるは雑音ばかり。ロケット弾の中に通信妨害用のチャフが仕込まれているのは最早明確である

同時に、コレは計画されていた事である事も理解する。奴等(ソ連)は太平洋へのアクセスを確保する為だけにこの攻撃を仕掛けているのだ

 

「応戦開始!!!応戦開始!!!!」

 

「敵は数km先なんですよ!?どうやって戦えって言うんです!!!」

 

「ATはどうした!?ボトムズは!?」

 

「初撃で全機やられました!!!集中砲火で火災も起きてます!!!PR液に引火しました!!!!」

 

「動ける奴等は全員撤退しろ!!!後退!!!!後方陣地まで後退!!!!」

 

「車もやられてる!!!ロケット弾じゃねえ、爆弾だ!!!奴等俺達を逃がすつもりすら無いんだ!!!」

 

地獄が広がっている。この陣地に居た中隊は早々に壊滅させられ、恐らくはこの攻撃は、他陣地にも行われている

余りにも良い手際。我々人類が久しく忘れていた、悪意ある戦場の在り方

陣地が壊滅するまで1時間もかからず、生き残りは全員がソ連軍によって射殺され、死体は一体残らず全て燃やされた

 

ここに至り、人類はようやく思い出した。人類の敵はBETAだけでは無く、人類同士でもあったことを

 

─────────────────────

1月20日 13:25

米国からの衛星写真、並びに通信途絶から朝鮮半島暫定政府はソ連からの侵攻であると断定

暫定政府は大東亜連合を通してソ連政府を批判。大東亜連合はこの事態を重く見て【鉄壁】大連から大東亜連合軍1個旅団を出撃させた

国連もこの事実を追認し、日本から国連軍を出撃させ、事態の収拾に当たる

 

1月20日 15:10

大連から出撃した部隊がBETAと接敵、交戦を開始。これによって到着が大幅に遅れる事となる

日本から出撃した国連軍部隊もソ連の輸送艦によって妨害を受け、到着が遅れ、国連は佐渡ヶ島に駐屯している米軍に対して援軍を求める

米国政府は未だ事実かどうかを協議している最中である為、出撃は出来ないと回答した

 

1月20日 17:15

大東亜連合、並びに国連の軍が朝鮮半島北部に到着

衛星写真では観測出来なかった大量の兵士級の死骸と共に、ソ連軍が全てを終わらせていた

恐らくは大連が接敵したBETAが朝鮮半島北部にも向かっていたものと思われる

全てBETAに喰われていた、我々はそれに対処した。暫定政府軍は1人残らず殺され、あらゆる陣地には大量のBETAの破片が散らばり、死体とBETAの区別も付かない状況であった

 

以後、大東亜連合はソ連に対して 袂を分かつ事となる




地獄があると言うのなら きっとここがそうだろう
影から放たれたその一撃は 人々に再度地獄を見せる事となる
疑心暗鬼に駆られ 人々は光の前で 互いを信じられなくなるのか
忍び寄る者の魔の手に 誰も抗うことなど出来ないのか

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

ブラゴエスチェンスク 争奪

誰もが 明日を向ける訳では無い
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