重金属に汚染された土壌を次々と再生し、荒れ果てた土地を再び開墾し、欧州はソ連と大東亜と言う、戦後自分たちの邪魔になるであろう者達を他所目に復興を続けたのです
ですが、問題が起こらない訳はありません。問題はいつだって着いて回るのですから
そう、欧州はソ連や大東亜に目を向けられない程に、国境問題や復興でやりあっていたのです
ドイツはソ連が手一杯な事をいい事にドイツ統一を狙っており、フランスはこれまでの国境問題を全て解決しようと動き、欧州情勢は亡国間の欲望によって話し合いと言う名の殴り合いが起こっていたのです
そしてそれに巻き込まれたのは、アメリカやイギリスだけではありませんでした
─── AT博物館 2003年の欧州情勢より抜粋 ───
2003年 1月25日
ソ連と大東亜による争奪戦を他所目に、欧州では欧州地図の書き換えが行われていた
当初こそ民族の別無く協力を続けていた。スペインでの土壌再生プロジェクトは3年を見込まれていたものの、郷土愛と言う物は強いらしく、半年での完了を報告
農地等への転用を行いつつ、スペインとポルトガルはこの欧州情勢から1抜けしたと言っていい。元よりあまり国境問題を抱えて来なかった為、自分達の国を復興するだけで良かったからだ
問題は、スペイン以降の欧州である。そのままフランス、オランダ、スイス、ドイツ……と続くと思えば、本土の残るイギリスが支援したのはドイツだったのだ
これには政治的な理由があった。ソ連と大東亜がやり合っているこの機に乗じ、欧州から共産主義者を叩き出す為に統一ドイツを作り上げて復興させようとしたのだ
無論、この事はフランス側にも事前通達はあった。問題は通達だけであり、協議をしなかったのだ
当たり前だが、フランスから見ればドイツなど東西に分離されて弱ったままの方が良いに決まっている。先の大戦で苦汁を舐めさせられたのだから当たり前の反応だと言えるだろう
そこでフランス側は、溜飲を下げる名目でアルザス・ロレーヌをフランスへと割譲するようドイツに対して要求した
が、この要求をドイツは呑まなかった。統一ドイツとして復興するのであれば、領土の全面回復を願ったのだ
第二次世界大戦直前の領土を欲したドイツに対しフランスは激怒、敗戦国であるドイツにはそんな領土をくれてやる必要は無いと公言する程であったと言えば、その激怒具合が分かるだろう
イギリスとしても共産主義者を排除してドイツを復興させるにせよ、ドイツにはBETA大戦後も弱いままで居て欲しいのが事実である。その為オーストリア等の旧領復帰もせねばならないとしてドイツ政府に対して譲歩を求めたのだ
ドイツ政府は真っ先に自国の復興が成される事を条件としてその譲歩を受け入れ、フランス側の要求も飲み込んだ。尚、このフランスの発言には日本政府は良い顔はせず、フランスへの支援を少しだけ減らした
そして、ここまで来て欧州内で最も復興が進んでいるのがオランダである。何故オランダが?と言う最もな疑問は、日本との関係性にあった。古くは1600年代からの付き合いであるオランダに対し、日本政府は国民向けの外国との良い話を作る為に大々的な支援を行ったのである
プレハブの仮設住宅、数多の嗜好品、とるーぱーくんシリーズの供与、復興作業に従事する為の人員。オランダの復興に大々的に手を貸し、オランダと日本の関係性を歴史から振り返り、国民向けのプロパガンダとして利用したのだ(ポルトガルも同様の理由で支援はしていた)
この事実に対して腹を立てたのはドイツである。先の大戦で同盟国であった我が国を蔑ろにするとはなんと言う無礼か、と激怒したのだ
この激怒に日本は遺憾の意を表明する。“先の大戦の同盟国はもう存在しないでは無いか”と言う反論に対して、ドイツ世論は自分達がして来た事であるが故に納得を示す他無く、政府の振り上げた拳は行き場を失った
結局ドイツにも日本からの支援が届きはするものの、オランダと比べれば雀の涙程であり、それでも米英日からの支援が届いたドイツは、復興の速度を加速させる他無かった
さて、ここまで手厚く支援されたドイツとオランダを見れば、それを羨む他国家が出てくるのも当たり前である
復興は無料で行われる訳では無い。金がかかるのだ。現在こそ
復興したとて経済を回せるかが更に問題になってくる。災害や戦争によるスクラップアンドビルドは、その後まできちんと見通せる事が大切なのだ
何でも出来ると言えば聞こえはいいが、何でも出来るからこそ方向性を決めねば瓦解するのだから
結局、国連とアメリカのかつての衛星写真と厳密な測量によって以前の国境線が再度引かれたものの、1度争ってしまえば以前のように仲が良くなると言う事は無くなり、結果的に自分達の首を絞める結果となったのは、足の引っ張り合いと言う愚かさの象徴とも言えるだろう
結局、欧州の内ゲバは武力を伴わないだけで、その内情は暗殺の飛び交うソ連と何ら変わらないと言う評判を他国に広げる結果となった
欧州の事を取り扱う日本の新聞の見出しには欧州情勢複雑怪奇の一文がデカデカと載り、オランダとの長い付き合いを振り返りつつ、これから日本がどのようにして欧州と付き合っていくか、と言うのを考えるコラムになってしまった
Q.前線の良いヤツらから死んでいってませんか?
A.良いヤツら程先に死ぬもんです
Q.これ以降大東亜とソ連はどうなるんですか?
A.大東亜は日本や後方国の力を借りて自国の復興もままならない内にソ連からウクライナ等を独立させようと躍起になります
Q.欧州情勢はこれからどうなるんですか?
A.分かりません。多分軌道エレベーターが開通してもやり合ってます