何をするにせよ人員が足りない。かつては何億と言う人間が住んで維持していた中国は、欧州の何倍も広いが故に取捨選択を迫られたのです
ゆっくりと復興していけば良い、性急な欧州と我々は違うのだ。そう言わんばかりの余裕は無くても体面を保とうとする大東亜連合は、ウランバートルハイヴへと歩を進めます
早く攻略しなければソ連がやってくる。モンゴル領をソ連から奪還する為に、彼等は動かざるを得なかったのでしょう
─── AT博物館 代替戦争より抜粋 ───
2003年 1月28日
大東亜連合がウランバートルハイヴ攻略を日本と米国に提案。先日のブラゴエスチェンスクハイヴ攻略被害がとてつもなく軽微であり、試作量産型凄乃皇が重慶にある事、ソ連軍がまだ身動きが取れない事を理由にあげた
米国は更なる試験データが欲しい為に了承、日本も増員した大陸派遣軍を向かわせる事を了承し、2月15日に作戦決行が予定された
2月10日
ウランバートルハイヴ方面に全軍が到着。試作量産型凄乃皇は光線級のレーザーを警戒して射程圏外にて待機する
また、内陸と言う事もあり海からの支援が不可能である為、軌道爆撃の準備も開始される
2月15日 08:00
作戦開始。軌道爆撃による視線誘導の後、機甲科とATによって飽和攻撃が開始される
試作量産型凄乃皇が接近を終え、重金属雲形成直前にウランバートルハイヴを射程内に収める事に成功した
射線上に味方が居ない事を確認後、荷電粒子砲を発射。軌道上からでも見える程の爆炎が、戦闘開始の狼煙として上がった
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「これが……戦争……」
初陣である一人の少年がぶるりと身震いする。衛士強化装備の中でじわりと冷や汗をかき、手汗がぴっちりとしたボディスーツの中を濡らす
安室と呼ばれるその少年は、自らが行ってきた正規訓練など役に立つかも分からない戦場のあり方に、面食らう他無かった
現在、日本では16歳以上の男子徴兵を辞める段階に入っている。彼はその枠から運悪く外れた、いわゆるハズレ世代だ
かつてのゴッドイーター部隊からなぞらえてラストロット、なんて揶揄される少年少女の衛士達は、大人達の都合によって初陣すら遅らされた
……否、言い方を変えよう。先人達が彼等を戦わせないように駆けずり回っていたのだ
たかだか1年の違いだけで、少年少女達がほんの数分でその命を散らすような事を、誰も見たくは無かったのだ
『安室、あと120秒で突入よ。しっかり私に着いてきなさい』
「はい、春日井隊長」
そうした努力も虚しく、ラストロットは訓練課程を終え、衛士やボトムズになった
大陸に派遣され、ほんの数分で命を散らしかねない戦争にやって来てしまっている
例えどれだけ人類が優勢と言えど、死ぬ人間が居ない訳では無いのだ
『突入!!!!』
跳躍装置のブーストを吹かし、吹き上がった噴煙の中へと身を投じる。ほんの数メートル先も見えない不安と、シートに身体を押し付けるGが体内を掻き混ぜ、今にも嘔吐しそうになるのを必死に我慢する
ATのローラーダッシュの音がドップラー効果で遠ざかっていくのを聴きながら隊長機の後ろに必死に食らいつき、光線級のレーザーが飛んでこない事を願う
『居たわ、生き残りの光線級よ。攻撃開始!!!』
噴煙の中、春日井隊長は的確に光線級の位置を把握していた。恐らくは軌道爆撃の最中で何処にいるかの目星はつけていたのだろう
隊長に続いて引き金を引き、何の抵抗も出来ない光線級を薙ぎ払う
目の前に広がる血飛沫を見ながら、ここ数分まともに呼吸をしていない事に気付き、大きく息を吸う
肺の中に空気を満たし、ブルブルと震える手を押さえながら、大きく息を吐く
『光線級を排除、信号弾を上げて知らせて』
「は、はい!」
信号弾を上げると同時に、他の箇所からも信号弾が上がった。モニュメントからほど近く、戦線からは遠いと言うのに、ATのローラーダッシュの音が聞こえてきたのは、幻聴では無いと思いたい
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08:15
戦術機によるレーザーヤークト完遂の信号弾と共に、ATや機甲科が一斉に侵攻を開始
横坑より現れるBETAを鎧袖一触し、総数2万近くに及ぶ機甲科とATの混成師団が横坑へと突入した
09:34
横坑内からBETAの死骸が運び出されていく。地表部分の掃討を終えた戦術機が補給を終えて突入。早ければ午後に差し掛かる頃には終わると思われる
11:40
ソ連軍が突如参戦する。モンゴル亡命政府からの依頼であると声明を出し、ハイヴ内へと突入
亡命政府直々の依頼故に邪魔は許さないとし、大東亜、日本、国連の連合軍をハイヴ内から排除しようと動き始める
12:10
帝国軍大陸派遣軍がソ連と事を構えるのは本意では無いとして撤退を開始
ソ連側にも通達を行い、大陸派遣軍はウランバートルハイヴからの撤退を開始する
大東亜連合は遺憾を示すもハイヴ攻略を続行
12:40
大陸派遣軍がウランバートルハイヴ地表にて待機を開始。
13:50
ハイヴ内にて大東亜連合軍とソ連軍が接触。一時休戦と共にウランバートルハイヴ攻略を開始する
14:30
ウランバートルハイヴ大広間に到達。頭脳級を破壊後、KGBのボトムズが発砲。大東亜連合はこれに対処する為に発砲し返し、大広間内にて人類同士の戦闘が発生する
15:50
両軍が横坑内にて潜伏、接敵を繰り返し、ウランバートルハイヴが攻略されても尚BETAの運び出しが出来ない状態が続く
16:59
米国と日本の仲裁により、ソ連がウランバートルを管理する事となる
大東亜はハイヴ攻略の手柄を手にしたものの、ソ連へとモンゴルを渡す事となる
何故引き金を引くのか 何故人は戦うのか
そんな物は知らない 戦う理由があるから戦うのだ
戦いの果てにあるのは 欲か名誉か
それとも 更なる戦いか
次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜
宇宙へ
戦う為に 殺し合う