と言う口上から始まりそうですが、この時期に軌道エレベーターの試験運転が開始されました
日本帝国軍の軍縮によって職に溢れたボトムズが軌道エレベーターで宇宙へ上がり、ATによる衛星軌道のゴミを回収、軌道エレベーターで地上に送り届ける……試験運転と言う名の衛星軌道掃除が主目的でした
しかし、これによりあらゆるノウハウが蓄積され、人類は宇宙への二歩目を歩き出したと言っても過言ではありませんでした
そうです。人類はアステロイドベルトから新たな資源を求める事が可能となると言う裏付けを、取れるようにしたのです
─── AT博物館 軌道エレベーターより抜粋 ───
2003年 2月中旬
『あまり地球に見惚れるなよ。吸い込まれるぞ』
『そうそう。何人もそれで死にかけてるんだ』
「見惚れてませんよ。ほら、次が来ますよ」
今や宇宙で飛び交うのは日本語である───誰が言ったか、今や宇宙での無線通信を行えば2回に1回は日本語が飛んでくると言われている
国連軍や米軍とは違い、彼等は民間人である。元軍人と言う肩書きが着くものの、彼等は軌道エレベーターでやってきた初めての民間人だ
彼等の作業は簡単である。衛星軌道上にあるデブリ……つまりゴミを纏めて、軌道エレベーターに乗せて地上へと送るのだ
これは貨物輸送試験運転も含まれており、人間だけでなく重心の不安定な貨物を輸送した際にどのような動きをするか等の試験も含まれている
今後人類は鉱物資源を宇宙に頼らざるを得なくなるのだから、どれ程入念にチェックしても悪い事は無い
『よし、捕まえた。持っていくぞ』
『加速度計問題無し……運搬開始』
そして、ATと言う最適解はこんな所でも役に立つ。否、元よりこの為に作られていたと言わんばかりに、ATは水を得た魚のように縦横無尽に動き回っている
軌道エレベーターの発案者であり最大のスポンサーである鈴木重工は、まるで待っていましたと言わんばかりにスコープドッグ宇宙用装備を大量に生産、それまで国連宇宙軍や米国宇宙軍のみで使われていた物を、正規商品としてカタログに載せた
「コイツは……ロケットの燃料タンクか?」
『ライジングサンの時に、地表から衛星軌道に出る為に使われたやつだな。見ろ、技術者共の寄せ書きが残ってる』
思いが詰まっているソレをAT越しに撫でながら、コレは持ち帰れたら博物館行きだなあ、なんて呑気な事を考える。現在の地球ではそんな余裕があるとは言えないが、きっとそれが叶うと願うばかりであった
『ほれ、次だ次。まだまだあるぞ』
その言葉で感慨深い思いから抜け出し、彼は小型ゴミを集める為のネットの回収へと向かった───
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2003年 2月20日
衛星軌道上のデブリ除去完了予定が提示される。2004年上旬と言う何とも不確定なものであったが、人類が再び宇宙に進出出来る事を考えれば、圧倒的に早い物であった
2月28日
新たな資源確保の為に、アステロイドベルトへの資源確保艦隊が編成される
米、英、日、豪の研究者や科学者、多数の作業員を搭乗させた元オルタネイティヴ5の植民船が使用され、数多の人に見送られて出発した
数年後、核パルスエンジンを使用して届けられた小惑星が地球の衛星軌道に届けられ、新たな鉱物が採掘されはじめる
3月1日
CIAにソ連軍将校からのコンタクトがあり、アラスカ迎賓館に重信氏が軟禁されている事が伝わる
ソ連では現在KGBが実権を握っており、代表は癌の手術後に表に顔を出して居ない事からKGBの独断専行である事を断定
事態解決を内密に進める為に日本の情報省と共に重信氏救出作戦が開始される
3月3日
アラスカ迎賓館にて重信氏を確保。同時期にソ連軍がソ連政府主導の元で蜂起を起こし、KGBの排除を開始する
当日中にKGB代表、ニコライ・ドラゴヴィッチを拘束。この時、KGB本部では凄惨な戦闘が繰り広げられる
また、KGB本部地下にて拘束されているソ連代表が発見される。救助の際の話で判明したが、ニコライ・ドラゴヴィッチは元恭順派であり、人類を背中から撃ち、BETAの侵攻を助けようとしたと証言
代表の血中からは多量の鉛が検出され、常飲していたワインに鉛を入れ、機能不全になるよう細工していたと思われる
代表が想定以上に鉛への耐性が高かった事が災いし、人類を後ろから撃つ事が遅れたと考えられる
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3月2日 03:00
太平洋 アラスカ沖
重信及び護衛部隊救助艦内部
「
「落ち着け。内部協力者も居るんだ、そいつらは除外せねばならん」
CIAから
日本はこれから宇宙に目を向けるべきだ、なんてやり取りをしていた最中である。最早地球上での人類の勝利は確実であり、次は月や火星を取り戻す段階にある
そんな時にされる最悪の報告。軌道エレベーターの発案者であり、スポンサーであり、最も人類の事を考える男が、ソ連に軟禁されている
議会も武家も、否、上層部全てが憤り、国際法を無視してでも救助すると言う議決が取られ、それはほんの数分もかからずに素通しされた
斯衛及び帝国軍即応部隊によって艦隊による撃滅作戦が立案されるも、KGBのみを排除したいソ連軍並びに米国からの要望により、精鋭歩兵1個大隊及びAT1個中隊による電撃救助作戦となる
既にアラスカ内ではソ連軍とCIAが協力し、KGBの排除に当たっている
「協力者って誰なんです?情報省も隠してましたけど」
「……作戦前だから言わねばならんな。内部協力者はESP能力者だ。鈴木重工にリースされていた能力者達が全面協力してくれた。現在は重信氏の身柄が他所に移されないよう全力を尽くしている。忘れるな、我々の敵はソ連では無い、KGBだ」
隊長の言葉に全員が頷き、作戦開始のブザーが、船内に響き渡った
人脈は力であり 脅威である
これまで培い 築いてきた物が 今ここで大きな力となる
嗚呼 自分がしてきた事は間違いでは無いのだ
1人ごちるその言葉は 喧騒の中へと消えていく
次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜
KGB壊滅
もう少しだけ 人類に夢を見ていいものか