マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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さて、軟禁されていた重信氏ですが、余りの暇を持て余した為に、迎賓館前で色々な事をしました
マッスルシリンダー車の修理、青空教室、地元住民との交流……KGBの監視下だと言うのに、1人好き放題動く重信氏を見ながら、地元住民はこんな日記を残していました

「……迎賓館前には長い列が出来ていた。無料でマッスルシリンダー車を修理すると言う日本人の男が来ているかららしい
彼は我が国で作られたマッスルシリンダー車に文句をつけながら、次々と悪い点を修理していく。修理の手際を見ていた車屋が教わりはじめ、次に学生が教えを乞い、我々は次第に、その男を信用しはじめていた」

─── アラスカ記念館 発展の父のより抜粋 ───


軟禁生活

2003年 2月中旬

 

「…………暇だ」

 

広い部屋の中、ぼそりと呟く。最初こそここ最近働き詰めだったから丁度いい休暇だ、なんて考えていたのが、今ではこの暇が最早苦痛でしか無い

館内は既に探索し尽くし、軟禁当初のようなトラブルも無い

どんなトラブルかって?護衛部隊の1人がおいは恥ずかしかっ!!!!生きてはおられんご!!!!とか言いながら切腹しようとしたり……護衛部隊が館内のKGB兵士全員排除しようとしたり……護衛部隊が……

あれおかしいな、トラブル起こしてるの護衛部隊ばっかだ

 

「……外でも行くか」

 

最早最近の楽しみは外に出て(迎賓館の敷地内限定)ベンチに座って道行く人々を観察する事だ。寒空の下何やってんだと思われるかもしれないが、それくらいしかする事が無いのだ

ベッドから起き上がり、身支度を整え、扉の前で待機するKGB兵士と共に外へと出る

因みにだが、俺は現在KGB兵士の付き添いがあれば自由が効く。護衛部隊さえ居なければ俺はただの民間人なのだ

 

鈴木重工で雇っていた、KGB直属らしき銀髪ロングの女性兵士(日本語通訳出来る位に頭が良い)の付き添いで外に出ると、迎賓館前でマッスルシリンダー車がエンストを起こしていた

エンストなんて有り得ない?そう思ったアナタは正しい。本来ならマッスルシリンダー車はエンスト…つまりポンプの詰まりが起こらないように設計されている

が、それは日本に限った話である。海外でどうなってるかなんて預かり知らぬのが現状だ

 

「あーあーやっちゃって……そうだ!!!!!」

 

ロクでもない事を思いつき、ESP能力で頭の中を覗いていた兵士は溜め息をつきながら、護衛部隊の車両からマッスルシリンダー車用の工具セットを持ってきてくれた

 

─────────────────────

 

『おいおい何だこりゃ。こんなの伝達効率最悪じゃないか……ああ、エンジン載せ替えタイプか。道理でこんな……シリンダー内がちょっと焼けてるな……無理させた訳じゃなくて元々……』

 

兵士に見守られながら、1人ブツブツと呟きながら作業をする日本人の男

迎賓館内に車両を入れろと兵士に指示され、車が動かずに困っていた男が指示に従って迎賓館敷地内に入れた所、日本人の男は高そうな服が汚れる事すら気にせずに車のボンネットを開けた

銀髪の兵士が更に何人かやってきて車体をジャッキアップさせ、男が作業しやすいようにしてから、彼はブツブツ言いながら修理を行いはじめた

 

レッカー車を持ってきた車屋がその手際に驚きつつ、車屋としてのプライドが我慢出来なくなったのか、修理の手際を見ながら問い掛ける

兵士が日本語からロシア語への通訳を行い、車屋は質問を続けながら修理を手伝い、その知識量に舌を巻いていた

顔をしっかり汚したまま出てきた2人は最後に車体下に入り、ホースや中和剤になんの異常も無い事を確認すると、男に車を動かすよう告げた

 

先程まで動かなかったのだから…なんて考えていると、ポンプが始動し、明らかに以前よりも動作が軽快になった足回りに驚愕する

この男は一体何者なのか?そんな考えと共に礼を述べ、兵士に促されてしまったが為に、男は早々に迎賓館から出されてしまい、名前を聞く事すら出来なかった

 

後日、修理してくれた日本人へお礼に訪れた所、迎賓館前には長蛇の列が出来上がっていた

なんでも自分が去った後、大学の工学部の学生(里帰り中)がマッスルシリンダーの事について質問した所、余りの知識の深さに舌を巻き、連絡のつく教授を呼び出して彼と対面させ、マッスルシリンダーに関する工学授業を行う手筈を整えたのだ

 

彼は暇つぶしに丁度いいと言って、午前中は講義、午後はマッスルシリンダー修理業に勤しんでいた

いつしか、ソ連と呼ぶには相応しく無い和気藹々とした場所が出来上がっていた

 

─────────────────────

2月下旬

 

「つまり、このとるーぱーくんは……」

 

今日は学生の一人が近くの農家から借りてきたとるーぱーくんの解体修理、並びに工学的な授業である

このとるーぱーくんは家庭菜園用に作られた非常に安価で手軽な物である。マッスルシリンダーを使用した手押し式の耕運機であり、刃を回転させる為だけにマッスルシリンダーは使われている

日本でも数万円出せば買えるほどの代物であり、日本では色々な企業が生産している

 

実はこれには少しばかり問題がある。それは小型故に駆動時間が短く、頻繁なメンテナンスが必要な事だ

マッスルシリンダーはPR液の化学反応によって運動力を生み出す。つまり刃の動きが速くなればなるほど、劣化が早くなる

小型であると言う事は、それだけ手がかかる物なのだ

 

……なんで俺はわざわざアラスカで軟禁されながら授業してるんだ?

 

『素人質問で恐縮ですが……』

 

そして教授と呼ばれていた男は最前列でこの授業を受けている。この素人質問も怖いから嫌になる

この人ぶっこんだ質問してくるから怖いんだよなぁ。BETAの鮮度による化学反応効率の違いとか答えたらダメに決まってんだろ

 

「っと、講義は終わりだ。ヨシフ君、コレをしっかり返しておくように」

 

兵士が部屋に入ってくると同時に、修理を終えた小型とるーぱーくんのカバーを閉じる

ガヤガヤと騒がしく退室していく学生と教授を見送り、改めて考える

 

何やってんだろ、俺……




Q.満喫し過ぎでは???

A.護衛部隊も巻き込んで講義してるし、修理業務にも巻き込んだりしてます
暇だと色々考えるからね、仕方無いね

Q.前回誤字酷かったですね

A.フリック入力誤字を許すな(n敗)

Q.これって地元の人の支持集められるんじゃ……

A.ソ連代表鈴木重信……?(彼は狂っていた)
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