普段ならば司法による介入等が発生し、暴動が起こるほどの事態であったにも関わらず、珍しくアメリカは沈黙を保った
それは、ニューヨークがBETAに襲撃され、その惨状を知っている者達による啓蒙と、願いがあったからだ
この7日間の犯罪発生率の低さは、アメリカの歴史において最初で最後の低さだったと言う
2003年 6月1日 12:00
作戦開始
AT、自走砲、戦車、あらゆる砲撃を行える部隊が一斉攻撃を開始。開戦の狼煙となる
光線級による迎撃を物ともしない飽和攻撃を行いつつ、量産型凄乃皇の荷電粒子砲による攻撃の後、各地の光線級が沈黙
全戦線にてAT、戦術機、凄乃皇によるハイヴ侵攻が開始される
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中国戦線 ドゥンファンハイヴ
米国が提供した凄乃皇の攻撃は、凄まじい物だった。もし山と言った起伏があればこの凶悪な攻撃は何度か防げたかもしれないが、奴等は自らの手で平らにした地形に苦しんでいるのだ
試作量産型凄乃皇と共にBETAを排除し、ATや戦術機の為の道を作り、BETAを排除し続けている
その行いに、彼等は恐怖していた。これだけの物を作り上げる人類と言う種族に。人類をここまで追い詰めたのがBETAと言う事実に
『何してる?ぼーっとしてないでさっさと突入しろ』
突如として耳を叩くのは、凄乃皇からの通信である。全員がハッとして、腑抜けた事をしていてはいけないと改めて気を入れ直した
隊長である如月からの号令と共に、全員がローラーダッシュで駆け出し、甲高い音を横坑に響かせていく
最早慣れた行軍であった。戦術機の為にロケット弾による弾幕を展開して蹴散らし、30mmで迫り来るBETAを穴だらけにして、要塞級の足の間を潜り抜けて斬り落とす
味方が死のうと気にしない。ここで死ぬのは運が悪かったからだ。お前の死は無駄では無いと心に刻み、せめて身体の一部位は残っている事を願うばかりだ
休憩も無しに走り抜け、弾薬を運んでいたATが追いつかないくらいに走り抜け、弾倉も何もかもをスッカラカンにして───
フェイズ4のドゥンファンハイヴが攻略されたのは、戦闘開始から4時間後の事であった
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16:00
中国戦線 ドゥンファンハイヴ攻略。凄乃皇2機による地表殲滅が功を奏した形となる
ATや戦術機の被害も少なく、想定被害の20分の1で収まり、ソ連戦線への増援軍として派遣される事が決定する
ソ連の弱体化を画策している大東亜連合は、旧カザフスタン、ウラリスクハイヴに増援を派遣した
欧州連合がブタペストハイヴ内部へと侵入。ソ連主導のソ連崩壊プランが水面下で進められていた為に士気は非常に高く、亡命政権であった各国軍が獅子奮迅の活躍を見せる
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英国 ウェストミンスター宮殿 議会
「では、賛成の方はご起立をお願いします」
欧州連合の重鎮、亡命政権の代表、水面下で協力し続けていた米国及び日本の関係者、主導していたソ連の代表、そして立役者である鈴木重信。この全員が起立して満場一致の元、水面下で進められていたソ連崩壊プランは可決された
KGBの暴走すら抑止出来なかったソ連代表は、KGBを廃した大臣達と話し合い、これ以降ソ連と言う東側陣営が続けられないと言う結論に至った
問題は崩壊の時期であった。BETA大戦終了直後であり、尚且つアラスカから完全撤退した後が最適であるとしたものの、新たな戦争の火種にならないように気を配らねばならず、その為には欧州連合との会談が必要であった
ソ連が外部最高顧問である鈴木重信を召喚したのは、この時が初めてであった。欧州連合だけでなく米国にすら顔が効く重信は、この為の切り札であった
プランを聞いた重信は欧州連合と米国へ連絡を取り、ソ連崩壊プランと共に、欧州での混乱防止の為に奮闘する事となる
この時、世界で3番目のマッスルシリンダー工場を欧州内のどこかに作ると言うご褒美で釣り、ソ連と対面する事すら嫌っていた亡命政権の連中を議場へと引っ張り出す事に成功した
また、この時から日本政府が動き始める事となる。重信の身柄を他国に取られない為にも、日本はソ連や独立する国々への復興支援を推進すると約束した。ソ連崩壊プランへの賛成があれば、と前振りが付くものの、現在欧州で進められている復興具合を見ていた亡命政権は、少しだけ悩む振りをして首を縦に降った
そうした根回しにより、英国で開かれたソ連崩壊プランは満場一致の可決となり、同時に、ソ連弱体化を狙っていた大東亜連合の目論見は大きく外れる事となる。
大東亜に知らせなかったのは日本と米国による策略である。将来的に第2のソ連になる事を恐れた両国によって、カザフスタンと言う火種を抱え込ませ、中国の弱体化を図ったのである
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22:00
ブタペストハイヴ攻略。時間がかかったのは、亡命政権上層部同士の話し合いが纏まらなかった為である
結果的に殴り合いの乱闘となり、勝利したのはポーランド亡命政権の首相であった。5ラウンドK.O. 見事な左フックでハンガリー首相を殴り倒した
ポーランド亡命政権の戦術機が反応炉へと旗を立てたものの、以後国際規定として、議場内での殴り合いは禁止とされた
水面下で進む事に 気づく者は少ない
だからこそ誰もが
水面に映る 自らの顔に気づく事も無く
嗚呼 だからこそ 人は愛しいと思えるのか
次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜
地球上ハイヴ掃討作戦 3
分厚い面の皮に 誰が信用を置けようか