死を乗り越えて復活した、現在では非人道的として原則利用が出来ないとある技術を使用して作られた部隊である
オリジナルハイヴ攻略の折に投入され、オリジナルハイヴ突入部隊1000人中999人が死亡すると言う凄まじい被害を出しながらも、あ号標的攻略に貢献した部隊である
当時の各戦線にも何千と言う数が投入され、その後の足取りから戦功まで消された彼等のその後を知る者はほとんど居ない
我々は、オリジナルハイヴ突入部隊唯一の生き残りである生存者に連絡を取り、取材をする事が叶った
北海道
───取材を受けて下さりありがとうございます。まさか農場経営をなさっていたとは
「まあ、ね。まさか見つけられるとは思っても居なかったけど」
───この広い農場をお1人で経営しているので?
「いえ、息子家族と一緒に。こんな身体になる前は妻と息子が居たもんで。この身体になった後に迎えに行ったんですが、妻は病死してまして。息子がこの農場経営してた親戚に引き取られて……その親戚も馬に後ろ足で蹴られて脳挫傷で亡くなりまして。親戚に子供も居なかったもんだからウチに回ってきて、今は息子家族と一緒にやってます」
───成程。色々と大変だったんですね……商業的な意味合い以外で、鈴木グループと繋がりはあるんでしょうか?
「あると言えばある、かな。この義体だって面倒見てもらわないといけないし。毎年一回は必ず重信さんが家族連れて来てくれるよ」
───情報の洪水過ぎます。1つずつ行きましょう。義体なんですか?
「ああ。服の上からだと分かんないでしょ?シリコン肌の下にマッスルシリンダーが【自主規制】」
───色々とヤバイ情報ありがとうございます。重信氏の家族が毎年来ている、とは…?
「毎年遊びに来るんですよ、物々しい護衛も含めて。乗馬とか餌やりとか、色んな事して遊んだり一緒にバーベキューしたりもします。家族ぐるみの付き合いってやつですかね?最近は息子さんが馬に乗るの上手くなってましたよ」
───毎年どれくらいの時期に来られるのでしょう?
「夏頃ですね、避暑地としても来る感じですよ。それに俺の事もしっかり見に来て安否確認してるんじゃないですかね……マメな人ですよ」
───この情報は出しても大丈夫でしょうか?重信氏とコンタクトを取りたい人が殺到するのでは?
「あー、大丈夫ですよ。それこそ夏場に連日張り込みでもしないと無理でしょうし……何よりここまで来て会ったとしても重信さんの好感度ダダ下がりじゃないですか」
───成程確かに。でもテロの標的とかにはなりそうですね…
「そこも問題ありませんよ。重信さんが来る2、3日くらい前から護衛部隊の人が来てくれるんで。それがあるからこっちも歓待の準備しやすいです」
───徹底してますね。話は変わりますが義体で不便した事なんかはありませんか?
「寧ろ便利さの方が目立ちますよ。牛だって持ち上げられるし馬に蹴られても全く問題無いんですから。しかも内臓まできちんと作ってくれたから食事も出来るんです。まあ、強いて言うならシモの方の機能は……ね?」
───世にも珍しい全身義体ですからね……研究機関から声はかからなかったんですか?
「そう言うのは無いですね。情報が隠されてたってのもありますけど、既存技術の寄せ集めで出来てますし。精々内臓くらいですかね?」
───成程。ではそろそろ本題に入りましょう。ゴッドイーター部隊とは、なんだったのですか?
政府と鈴木重工は復活措置によって出来た部隊としか言いません。ゴッドイーター部隊とは、どのような部隊だったのですか?
「……本題はそっちね。いやまあ薄々分かってたけど……そうだな、アンタはBETAが作ったシリンダーの事知ってる?」
───知っています。中に居た人間は全員が死亡していた、とも
「俺らはソレだった。そのシリンダーの中に居たんだ。身体の端からBETAに削ぎ落とされていって、頭の中快楽でぐちゃぐちゃにされながら、俺達はいつの間にか脳ミソと背骨だけになってた」
───そんな状態から復活した、と?
「ああ、そういう事さ。原理は分かんねえし、知りたくも無い。けど俺が目覚めた時、俺の肉の身体は18mの鋼鉄巨人に代わってた。動くことも出来ず、同じような連中が何人も居るのだけははっきり分かった」
───倫理に違反しているどころの騒ぎでは……
「あの頃はそんなモン無かっただろ。んで、重信さんは俺達に言った……BETAを殺せ。そしたら俺らに新しい身体と人生をやる、てな」
───恨んでもおかしくない発言では?
「現に何人かは恨んでた。俺が知ってるだけでも10人以上は居たな。戦いたくなんて無い、戦えない、なんて言ってたのを無理矢理戦わせるんだから当たり前だけど」
───貴方は恨んでいないのですか?
「何で恨む必要があるんだ?寧ろ俺は感謝してた側だよ。何の抵抗も出来ずに嬲り殺されたのを、復讐する機会をくれたんだし」
───成程。トラウマ等はなかったんですか?
「あったよ。何人か実戦訓練の時にそのせいで自爆して死んだもん。そこは克服出来たのが大きいかな…何だかんだ連帯感も出来てたから、死んでたまるか、てのがあったんじゃないかな」
───ではそんな貴方達が先鋒としてオリジナルハイヴに投入された時の事を教えてください
「……選りすぐりだったよ。優秀な奴らに最高の武器を与えて、栄えある先鋒として投入された。生き残るだけで俺みたいな義体が貰える契約もしてた。だからこそ激戦区だと分かってた。それでも諦めなかった。俺達のあの陽動で、本隊はほぼ無傷で降下出来たんだから」
───生き残った時、何を思いましたか
「安堵したね。生き残ってやった、俺の勝ちだ、みたいな。……正直、俺以外全滅してたなんて思っても無かったよ。知ったのは帰ってきてからだった
……少しだけ羨ましかったな。皆ようやく死ねたんだって」
───お話ありがとうございました。最後に何かありますか?
「じゃあ一つだけ。皆アンタの事を信じて死んで行った。そしてアンタは約束を果たしてくれた。それだけで俺達は報われた。……対面じゃ恥ずかしくて言えないからよ」
───ありがとうございました
Q.そう言えば他の戦線に居た脳ミソ達は?
A.スコア稼いで各々が色んな義体と戸籍を貰って戦線から退いたりしてます
Q.重信くん殴りに行った人とか居ないの?
A.本当に義体や戸籍を寄越してくれた人をぶん殴る程落ちぶれた戦士は居ませんでした
Q.あと何話くらいで終わるの?
A.エピローグを含め5話くらいかなと思っております