高度な文明社会を持つ人類は、それが正しいのかも分からない。何せ自分達以外に高度な文明を持つ種族に出会わなかったからだ
ではもし、人類が他に高度な文明を持つ種族に出会ったら、人類は今までの所業を反省出来るだろうか?
─── ???より抜粋 ───
2003年 6月3日 07:00
欧州連合軍及び国連軍が元フィンランド、元ポーランド領からミンスクハイヴへ攻撃を開始
オルタネイティヴ4特務部隊も挟撃に参加し、ミンスクハイヴは3正面からの攻撃を受ける事となる
この時、最も活躍したのがオルタネイティヴ4特務部隊である。AT含め500にも満たない部隊でありながら、1機の大破も無くBETAの地上部隊を突破し、ヴェリスクハイヴからの増援の頭を凄乃皇四型と少数の部隊のみで押さえ込み、軌道爆撃によって増援を壊滅させた
また、大東亜連合が帝国大陸派遣軍と共にクラスノヤルスクハイヴへの侵攻を開始
カザフスタンからの撤退部隊を再度展開して物量戦を仕掛ける
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《パイロット、素晴らしい連携です。ジャックの全身稼働率は70%を維持、凄乃皇四型による援護込みで考えても数戦前の白銀武を超えています》
「わざわざ言わなくても分かってる。それでも凄乃皇四型の援護が無かったら何回か死んでるだろ」
《いいえ、それも問題ありません。私とパイロットの二人なら負ける事はありません》
何処で覚えたお世辞やら。冷たかった身体を包むゲルがすっかり体温で温まる感覚に少しばかりの気持ち悪さを覚えながら、最強のデータで戦い続ける自分の
ATだと言うのに要塞級を切り裂き、ターンピックで突撃級の背中を取って撃ち殺し、要撃級の手足を切り裂いてダルマにし、兵士級をマニピュレーターで引きちぎり、戦車級の頭にバンカーで風穴を開ける
化け物だ。それら全てを成し遂げられる男のデータなのだから当たり前なのだが
『ぼーっとしてるなよ枢木。超電磁砲で対応してても撃ち漏らしはあるんだ』
「分かってます」
神経接続コネクタに異常が無い事を確認し、枢木は再度ジャックのブーストを吹かして要撃級へと向かっていた
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同日 10:00
既存ハイヴと全く同じ構造であった為、最短ルートを侵攻。物量戦で対抗しようとするBETAを大量のロケット弾による飽和攻撃で爆散させて侵攻ルートの確保を続け、ミンスクハイヴ攻略を完了した
尚、この功績は最も苛烈に戦った元ポーランド軍に譲られる形となり、欧州連合はソ連への最後の抵抗としてポーランドを緩衝国とする為に譲ったとされている
同日 11:30
クラスノヤルスクハイヴ攻略。大陸派遣軍の練度と大東亜連合の物量戦が功上手く噛み合い、ATと戦術機のみによるハイヴ攻略を完遂した
この作戦は後年の教本に載る程に素晴らしい連携とされ、ATが戦術機のおじゃま虫から相棒となった瞬間であった
尚、それでもおじゃま虫と言う愛称は消えず、戦地においては未だおじゃま虫の愛称で呼ばれる事となる
同日 14:00
ソ連軍及び国連軍がノギンスクハイヴに到達。広大なシベリアを縦断しての事であった
カチューシャによる飽和攻撃、軌道爆撃による爆撃によって地表部隊を早々に壊滅させた所で、恐らくはノギンスクハイヴで補給していた母艦級が地表へと現れる
ソ連軍は米国より貸与された量産型凄乃皇による攻撃を開始。荷電粒子砲によって母艦級及びその体内に格納されていたBETAを排除。また、母艦級の出現によって反応炉への最短ルートが確保された事から一斉に攻撃を開始
同日 15:00
ノギンスクハイヴ攻略。1時間と言う歴史的な早さで行われたハイヴ攻略は、世界を見ても類が無い程であった
最短記録として記録されてはいるものの、母艦級内部を通って到達したこれは果たして正規の記録として扱っていいのか、と言う問題は長く議論される事となる
同日 17:00
ハイペースでの攻略により補給が追い付かず、また残るハイヴも3つとなった事から、人類連合軍としての攻略が国連から提案される
各国軍はこれを了承し、残るヴェリスク、エキバストゥズ、スルグートへと展開する
また、中東連合やアフリカ連合はこの作戦には参加せず、各国軍の残した残存BETAを回収したり、未だ活動を続けるBETAの排除を行い、せめてもの贖罪として人類連合軍としての責務を果たした
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夜風は未だ冷たく、6月だと言うのに肌寒さを感じるほどであった
偵察班が休みなくBETAの動向をチェックしているのか、遠くからATのローラーダッシュの音が聞こえる
白くなる息を見ながら、空を見上げる。真っ暗な闇の中、無数の星が輝いている
「眠れないんですか」
「……ああ。君もか?」
後ろから日本語で声をかけられ、如月は振り向く。見慣れない男であった
着ている軍服は国連軍の物であり、手には2つの紙コップ。如月に対して差し出されたソレは、温かいココアであった
高価な物であるコレを簡単に差し出すこの男が、特務部隊所属の人間である事は明白であった
「明日、いよいよBETAを地球上から滅ぼせると思うと眠れなくて」
「…俺もそうだ。この長い戦争が終わると考えるだけで、どうしたら良いか考えてしまう」
戦い続け、その最中に死ぬ事が自分の役割だった筈だ。だと言うのに自分は未だ死ねていない
負い目にも似た後悔が、胸の奥を焼いて仕方無い
「だったら、宇宙ですね」
「宇宙?…はは、鈴木重工のアレか。成程、確かにそれが良いかもしれん。…ココアありがとう、死ぬなよ」
「はい。そちらも」
感じのいい青年はココアを飲み干し、紙コップをゴミ箱へと放り投げた
如月は湯気を立たせるココアを少し見つめ、一息に飲み干して紙コップを空にして、その熱さが胃を温める事にホッとする
俺はまだ生きる理由があるらしい。如月は背中を誰かに押されるような感覚と共に紙コップをゴミ箱に投げ入れ、寝床へと向かっていた
全てが終わる その時がやって来る
奴らに対して審判の日がやって来る
さようならBETA お前達は強かった
だが人類はもっと強かった ただそれだけだ
次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜 最終回
地球奪還
人類よ 永遠なれ