この日は今でも世界中で記念日となっています。人類が地球を奪還し、BETAを地球上から駆逐した日だからです
世界中は歓喜に湧き、連日連夜のお祭り騒ぎ。戦地から帰ってくる英雄を出迎える為に港や空港には人が押し掛け、世界はようやくの安寧を手に入れました
人類は勝利したのです。これは間違い無く、人類の未来を照らす光でした
─── AT博物館 人類勝利の日より抜粋 ───
6月4日 06:00
人類連合軍 地球奪還作戦 開始
ヴェリスク エキバストゥズ スルグート 残存ハイヴに対して飽和攻撃を開始
ハイヴ3つに対して総数2億発のロケット弾が撃ち込まれた結果は、ハイヴ周辺地表面を2m陥没させる結果となり、その後に撃ち込まれた量産型凄乃皇による荷電粒子砲でモニュメントまで崩壊。地表からその存在を消した
07:30
人類連合軍進軍開始。戦術機が先鋒を務め、横坑より侵攻を開始する
横坑内では大量のBETAが息を潜めていた為、大規模な戦闘が開始される
08:40
各ハイヴにてBETA側の死骸搬出作業が間に合わない程にBETAが生産されている事が発覚
恐らくはオリジナルハイヴより増産命令があり、それに準じていた物であると想定される
この70分の間に侵攻出来たのが平均200mであり、被害も尋常で無い事から人類連合軍はBETAの死骸回収を断念。量産型凄乃皇による敵BETA排除へと移行する
09:10
各ハイヴ横坑BETA全滅を確認。量産型凄乃皇による荷電粒子砲によって塵となる
人類連合軍の進軍が再開され、量産型凄乃皇と共に進軍し、ハイヴ攻略を目指す
10:30
ハイヴ攻略行程の半分が終了する。人類連合軍側の弾薬損耗量が想定を上回っている為、小広間にて休憩を行い、後続の補給を待つ
11:10
補給と休憩終了。疲労困憊の衛士やボトムズが後続機と交代し、進軍を再開する
12:00
突如として各ハイヴの反応炉活性化を感知。BETAの再生産と共に大量のBETAが各ハイヴで行く手を阻むも、量産型凄乃皇の荷電粒子砲により排除される
エキバストゥズハイヴ侵攻部隊が偽装横坑からの奇襲によって足止めを喰らう
13:00
量産型凄乃皇に自衛武装が無い為戦闘に時間がかかり、後続部隊の合流によってBETAを排除する
スルグートハイヴ活動停止。荷電粒子砲の使用と共に戦術機によるレーザーヤークトの応用によって一気に反応炉へと向かい、ハイヴを攻略した結果である
15:00
ヴェリスクハイヴ活動停止。量産型凄乃皇の援護と横坑部隊の一斉突撃によってBETAを排除
反応炉に大量の30mmを撃ち込み、反応炉は活動を停止した
残すはエキバストゥズハイヴのみとなる
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『地上から通信があった。残るハイヴはこのエキバストゥズだけだそうだ』
凄乃皇のパイロットから伝えられる事実。歓喜に打ち震えたい衝動を押さえ込み全員が前を見据えて歩みを進める
もう少し、あと少し、ほんの少し。40年と言う長い年月をかけたこの戦争が終わる
その事実だけで、誰もが涙を止めることが出来なかった。見開いた目から流れ出る涙と歓喜、通信越しにすら聞こえる嗚咽を、誰も止める事は無かった
『もう直ぐ大広間だ、抜かるなよ』
「俺達を誰だと思ってる。人類連合軍だぞ」
そう、最早負けは無い。隊長の一言にフン、と鼻を鳴らすいけ好かない米兵を横目に、大広間へと突入する
眼前に鎮座するは、地球最後の反応炉。全員が武器を構え、隊長の一言を待つ
隊長は大きく深呼吸し、ただ一言告げた
「撃て」
マガジンが空になるまで全機で撃ち込む。何万発と言う劣化ウラン弾が反応炉に吸い込まれ、反応炉は断末魔すら上げることなく、鼓動にも似た動きを止めた
シンとした静寂が辺りを包み込む。全てのハイヴと反応炉を失ったBETAは動きを止め、地中特有の蒸し暑い空気だけが、銃口から登る硝煙の匂いを嗅いでいる
『……俺たちの、人類の勝利だ』
網膜に映るいけ好かない米兵の顔は、涙でぐちゃぐちゃだった
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17:00
エキバストゥズハイヴ攻略。これにより全世界のハイヴが根絶された
残存BETAの全てが動きを止め、人類は勝利を確信すると同時に、あらゆる情報媒体で人類勝利の報告が成された
ある者は泣き、ある者は笑い、ある者は膝から崩れ落ち、ある者は耳を疑った
号外が刷られ、報道番組のニュースキャスターは流れる涙を止められずに放送を続け、労働者達の耳に入れば、誰もが手を止めて喜び、世界は一色に染まった
この混乱に乗じ、ソ連は国連に対し正式にソビエト社会主義共和国連邦の崩壊を宣言
皆が喜びに包まれる中、ソ連と言う東側陣営はひっそりと幕を降ろし、鈴木重信主導のロシア復興計画へと舵を切る事になる
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「そうか、勝ったか」
当たり前と言わんばかりの声色であった。重信氏にとっては当たり前の事であったのだろう
勝ちを確信していたからこそ、横浜基地にあれだけの支援をしたのだ。秘書はその姿にうっとりと見惚れていながらも、固く握られた拳と、顔を見せないように外を見ていながらも、カーペットに落ちる涙を見過ごす事は無かった
その痩せ我慢こそ美しい。感情を押し殺し、上に立つ者として背負う為の覚悟を持つその姿にこそ、秘書は真に見惚れていたのだ
「これからもっと忙しくなるぞ。宇宙事業は今でこそ我が社と米国の独占状態だが、次々に参入してくるのは目に見えている。月のBETAでマッスルシリンダーを作る準備も必要だ……」
震える声で紡ぐ言葉に、秘書はあえて間を置かずに返事をし、皆に伝えてくると告げ、会長室を後にした
1人の男が作った物が 世界に衝撃を与えた
1つの企業が作った物が 世界を変えた
いつしか世界は 男の一挙手一投足に意味を見出した
男は笑う 俺にそんな大それた力は無いと
世界を救う為に全てを捧げてきたこの男に 休息はあるのか
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