マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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倍は持ってこいと(のたま)い、宣言通りに相手を叩きのめした日米チーム。決勝で相見えるのが決定したその瞬間から、背中を預ける仲間からライバルへと変貌します
この激戦を繰り広げてきた彼等の疲労は計り知れませんが、それでもこの3日目で全ては決まります
余計な前口上など最早不要!!!!それで皆様ご一緒に……

バドリング、レディ……GO〜〜〜〜〜〜!!!!


外伝13

2日目 試合終了後

 

「や、日本代表くん。お疲れ様」

 

休憩室でクールダウン中、やってきたアメリカ代表の1人に声をかけられる

流暢な日本語で話しかけられた事に驚きつつも、頭を冷やす為にかけていたタオルを取り、ペコリと一礼する。海兵隊員であろう男はニコニコと笑ったままこちらの返事を待っており、仕方無しに口を開く

 

「ドーモ。あの激戦の後でも余裕そうですね」

 

「鍛え方が違う……と言いたいが、さすがの私も疲れたよ。クールダウンを終えたらマッサージを受けるつもりだ。ほら、見てくれよコレ」

 

「うお、すげ……」

 

ボトムズのパイロットスーツを捲る男の腕に見えたのは、あの激戦の証である内出血だ

元々ターンピックを使用した跳弾技術は、身体に酷い負荷をかける。そこにAI制御による一時的な12Gが加われば、いつ失神や骨折をしてもおかしくない

それでも内出血だけで済んでいるのは、一重にこの男が普段から訓練を欠かしていないと言う事実だ

 

「俺はそんな風にはなってませんけど……こっちですかね」

 

言いながら、首筋の後ろを見せる。そこにあるのは、この激戦で頚椎コネクターを外させない為の固定装置の跡である

幾らゲル状物質によって衝撃が吸収されようと、コネクターが外れる危険はある。故にコネクター部分は首と肩をがっちりと固めており、負荷がかかればかかる程、痣となっていく

 

「ハハハ!!!!お互いかなり疲れてる訳だ。だが……不思議な気持ちだ。つい先程まで背中を預けていたのに、明日にはライバルで、君の事を打ち倒さなくてならないなんて……」

 

「ええ、俺も不思議な気持ちです。でも、凄く……」

 

「「ワクワクしている」」

 

お互いの目を見ながら、不思議な笑いが込み上げる。明日にはお互いがあの場所に居て、お互いが矜恃をかけて戦い合う

だと言うのに、この高揚感はなんだろう。お互いを知っているからこそ、この高揚感が現れるのだろうか

 

「勝つのは私達だ。日本の衛士」

 

「絶対勝ちます。アメリカのボトムズ」

 

拳を合わせ、互いに立ち上がる。休憩室を同時に出て、左右に別れ、2人は背筋からゾクゾクと這い上がる闘気を抑え込み、歩いた

 

─────────────────────

10月3日 決勝戦

 

『YOお前ら!!!!いよいよこの大会も大詰め、賭けて無いやつは居ないよな?

オッズはすこーしアメリカ有利か?正面戦闘なら今のアメリカに敵う奴等は居ないもんな!!!

終わった後の閉会式も派手にやるから、見れる奴は見ていけよな!!!月面でしか出来ない事派手にやりまくるからよ!!!それでは両チーム入場〜!!!』

 

疲れを感じさせないMCの一言に、観客席の人間は爆音とも言える歓声で出迎える

無論、その声が入場中の選手に聞こえる訳も無い。だが、その熱気は否が応にも伝わってくるだろう

何せ観客全員が立ち上がり、両チームを出迎えているからだ

 

『両チームともさっさとスタート位置に行ってくれよ〜?じゃねぇと始められねえからな!!!

……着いたな?なら皆様ご一緒に〜……バトリング、レディ……GO〜〜〜〜!!!!』

 

─────────────────────

 

『真正面からぶつかれ!!!真正面からなら負けは無い!!!』

 

『レーダーは使えない、背後に回れ!!!奴等に見つかるな!!!』

 

正に相対的な動きだった。片や隠れ、片や障害物を破壊する

粉塵によって機体が炙り出されるのも時間の問題である。10階建てビル一棟が戦術機の手足によって破壊されるのは、最早別の競技と言っても過言では無かった

 

『接敵!!!接敵!!A(アルファ )1接敵!!!』

 

『接敵!!!甲1(ジョン・ドゥ改)乙1(ラビドリー改)接敵!!!』

 

真正面からぶつかる為に扇状に直進しているのに対し、背後に回り込もうと回り込んでいれば、当たり前だが接敵する

そして、接敵してしまえば流れが出来る。全員の足は止まらなくとも、思考が巡る

援護か、見捨てるか、奇襲か、真正面か

 

『各機A1を援護!!他のが来る前に片付けろ!!!』

 

先に動いたのは米国側である。未だ接敵しておらず、余裕があるのならば背後を取られる前に潰す

奇襲、闇討ち戦術を取る日本に対し、真正面から戦う事が出来るなら圧倒的に有利なはず。そして、この判断は間違っていなかった

 

『チッ!!!なんつー動きだよ!!戦術機の動きじゃねえだろ!!!』

 

『何という柔軟性だ、ブレードの横薙ぎを四肢を広げて地面すれすれで回避するとは。日本め、本気で勝ちに来ているじゃないか』

 

膠着。日本にとっては最悪の展開であり、アメリカにとっては最高の展開となったのだ

アメリカ側の増援が到着するまで20秒。絞首台に登るまでの時間としか、誰も思っていなかった

日本代表を除いて

 

『A4左足に被弾!!なんだ!?奴等は居なかったぞ!!』

 

B(ブラボー)3被弾!!撃墜判定!?なんだ、何が起こってる!!!』

 

『……トラップ!!トラップだ!!!ワイヤートラップ!!!各機足元を警戒!!!』

 

ここに来てようやく、日本代表のしてきた悪巧みが芽を咲かせた




何の為に戦い 何の為に生きるのか
勝利の栄光か 敗者の栄達か 傍観者の漁夫の利か
喜怒哀楽を刻み 栄光を勝ち取り 雄叫びを挙げるか
泣く事もせず ただ粛々と己が無力さを痛感するか
それとも その全てを見て ただせせら笑うのか
どれが勝者かは 歴史が雄弁に語るだろう

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

外伝14

勝者だけが 歴史を作る
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