持ち込んだのは当時15歳の少年でした。現在は鈴木重工のAT開発責任者でもあります
歩兵の死傷率をどうにかしたい、彼のそんな思いは、重慶作戦で直ぐに実を結ぶ結果となりました
─── AT博物館 開発経緯説明より抜粋 ───
「まーた図面引いとるんか」
町工場の一角、春休みも終わる頃、製図用の台に齧り付く少年が1人
昼休憩に入った父親にぶっきらぼうに返事をしながら、ぐぅ〜、と音を立てて腹を鳴らせば、父親から頭をはたかれる
「アホ。腹減っとるなら飯にせい。母ちゃんが作ってくれとるんやぞ」
「いつつ、分かったよ……」
「戦局良くなさそうねえ……」
「帝国軍も準備はしとるらしいが……この調子じゃあいつ日本に来てもおかしくはない…」
「来るよ。このまま行けば90年代後半には日本に来る」
先程まで雑誌を食い入るように見つめていた少年が、まるで未来を知っているかのように両親に告げた。またか、なんて肩を竦めた両親は少年の手元から雑誌を取り上げ、昼食をさっさと食べるよう告げた
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俺は転生者と呼ばれる人間だ。マブラヴ(オルタネイティヴの方ね、普通のはギャルゲーだから)が創作物の世界で生まれたし、その顛末も知っている。愛が世界を救うなんてのはベタだが最高にカッコイイとも思っている
だからこそ、俺は神様がこの世界に転生させた事を許せなかった。何でわざわざトラックに轢かれて地獄を見たと言うのに、更に地獄を見に行かにゃならんのだ、なんて物心着いた時に愚痴った物だが、神様はそれ以上にこの世界にボトムズをぶち込んだコラボが見たかったらしい
俺が小学校を卒業する頃になれば、神様は俺の頭にアーマードトルーパーと武装の設計図全てを一気に流し込んだ。そのせいで俺は知恵熱を患い、春休み中を寝込んで、入学式と言う友人達との貴重な青春の1ページ目を刻み損なう所だった
青春真っ盛りの中学生、遊びも学業も両立して行いながら、家に帰ってから父親に製図を教えて貰いはじめた。そうしないといけないと言う使命感と、そうしなければ俺を此処に送り込んだ野郎が何をしてくるか分からなかった為だ
毎日書き上がっていく設計図を父親に見てもらい、おかしな所が無いかのチェックをされ、あれば修正、無ければ棚にぶち込んで眠りにつく。今思っても楽しい毎日だった
そして中学3年生になったと同時に、ATの設計図及び必要部品、更には武装の数々の設計図まで全てを書き込んだ物を、帝国軍広報部に送り付けた。少なからずコレで当面の課題は無くなった為、俺は遊びと勉学へと興じ始め、送った事すら頭から抜け落ちていた
工業高校への進学も決まり、これからは戦術機に関われると考えながら家では図面を引いたりしていたのだ
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「そうそうあなた、また求職難民が来ましたよ」
「またか!ったく、国のせいでウチみたいな町工場にまで来やがる」
食後、テレビを見ながら晩酌している父親に、母親が履歴書らしき物を手渡し、父親はざっと目を通してからふん、と鼻で笑って机に置いた
父親が置いた履歴書を手に取り、目を見開く。全てひらがなで書かれているものの、人工筋肉の研究者であったと書かれており、父親にその事を抗議するも、そんなのザラにあると鼻で笑われてしまった
父親が置いた履歴書だけでなく、母親が貰ったと言う履歴書を次々と見ていく。装甲材研究者、導電液研究者、科学者……etc
何故このような優秀な者達がこんな辺鄙な所に送られたのか?きっと帝国政府の間違いか何かだと考えながらも、自分と言う男の活躍が見たいからなのでは無いかと言う直感に襲われる
直感、正にその一言が正しいだろう。神様はどうやってでも俺の活躍が見たいらしい。母親から貰った履歴書を手にしたまま父親に懇願しようとした時、家の前に軍用車両が止まり、玄関チャイムが鳴り響いた
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1980年現在、日本には多数の難民が存在している。推定数はおよそ200万人とも言われているが、実数は帝都すら把握しきれていない
なぜかと言うのも、大陸からの密入国が絶えない為である。正式な手続きを終えた難民ですら80万人以上、大陸からの密入国は更に多いと言われており、その数は増える一方である
しかも、その大半は子供や女性である。労働力となる男性はほぼ全てが対BETAの為に駆り出されており、何とか難民としてやってきた男達も回復治療が間に合わなかった者達ばかりであり、労働力としての価値は高くない。労働力として価値の高い普通の男は、大抵が脱走兵である為直ぐに送り返されるのだ
その為、政府は日本全国に難民を散らす事を決定した。自分の住んでいる県にも万人規模が割り振られており、仕事の斡旋等の手が回っていない難民は、こうやって自分達で何とか仕事を見つけようと足掻いている
こう言った自分達でなんとかしようとしている人々はまだ良い方である。難民流入時の最初期は、女性達が次々と独身日本人男性を籠絡し、コブ付きである事を隠して結婚したり、妊娠したりして日本国籍を手に入れる、国際結婚時代が存在したのだ
その為、俺の同学年にも少なからず金髪混じりだったり赤毛だったりが存在している。流暢に日本語を話す様は正直驚くが、彼女達も生きるのに必死なのだから仕方無いと飲み込めるのは、極一部である
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