マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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佐渡ヶ島ハイヴを攻略しよう。この意見は再編成及び補給計画、増産体制の整った米国からの提案でした
当初こそ帝国も国連も取り合いませんでしたが、なんと米国は全面協力を提示して興味を引いたのです
武器、弾薬、機体、果ては兵力まで。ほぼ無償とも言える額での融通を良しとさせたのは、当時の大統領が信頼や信用が底値であるからこそ出来る事だ、との意見を通した為です

勿論ですが上院下院共に大荒れ。奴らと共倒れする気か、なんて言った議員は即座に議場を退室させられ、その後不慮の事故で亡くなったりする事態に陥りましたが、国際的信用及び地位の復活にはこれくらいするしか無い、と言う大統領の意見に誰も反論する事が出来ず、この提案と共に、計画書が日本へと提出されました

日本も国連も目の上のたんこぶである佐渡ヶ島ハイヴは落としたい。米国から物資が引っ張れるなら。帝国と国連の協議の末、佐渡ヶ島ハイヴ攻略が決定。新たな歴史の転換点を迎える事となります
そして、あまり日の目を見てこなかった海軍のAT部隊が、ここに来てようやく日の目を浴びる事となります

─── AT博物館 佐渡ヶ島ハイヴ攻略より抜粋 ───


佐渡ヶ島ハイヴ攻略 前哨戦

2000年 10月18日 0600

 

『各機、最終チェックだ』

 

隊長からの声が聴こえる。瞑想を辞め、ATの視界ゴーグルを着用し、目の前の味方機の武装や装甲に穴が無いかを最終チェックする

ガンガンと言う音と共に異常無しの判断を下し、開いていくハッチを見ながら大きく息を吸う

 

『我々は米国戦術機部隊と共に橋頭堡を確保する。横浜ハイヴの時のような醜態を晒すな、それでなくとも影が薄いと言われているんだからな』

 

『そうは言っても今回は違うでしょう。何せ準備砲撃だってたっぷり。光線級を相手にしないだけで大違いだ』

 

『それが醜態だと言っている。後続の混成部隊の為に時間内に遂行出来なかったんだ、今回は必ずやり遂げるぞ』

 

『了解』

 

ダイビングビートル。鈴木重工が手がけるATの中で唯一、水中作戦行動が可能なAT

アメリカ内戦の折、第7艦隊所属の海兵隊員が大統領を救出する際にも使われた名機である。30mmの重火力、70mmロケットの制圧力、2時間潜水可能な潜水能力、走破性の高い足回り、何よりも4mクラスと言う小ささによる隠密能力の高さ。鈴木重工に対して上層部がゴネまくり、確保に走ったのも頷ける

米国がいち早くこのダイビングビートル生産工場を誘致し、世界で2番目のマッスルシリンダー製造施設となったのも記憶に新しい

 

『作戦開始時刻まで5…4…3…2…1』

 

赤色灯が消え、緑色灯が灯ると同時に、先頭が日本海へと飛び込んだ。次々と海中へと飛び込んでいく姿を見送り、俺の番がやってくる。日の光で少し目が眩むが、そんな事関係無く機体は自動制御で海へと飛び込む

子供の頃、こんな遊びをしていた気がする。そうだ、よく川に飛び込んで遊んでいた。水中から見える空の色によく見惚れていたものだ

ゆらゆらと揺れる空の青色が、子供心に不思議でならなかった

 

『見ろ、米国の海神部隊(A-6イントルーダー)だ』

 

『壮観ですねこりゃあ……』

 

スコープ越しに見えるその景色に思わず呆けてしまう。海中を埋め尽く程の戦術機とATが、佐渡ヶ島へと向かっている。海中にすら響く戦艦の砲撃音に少しばかり耳を痛めて、自分達で橋頭堡を確保すると言う任務を思い出す

 

『先遣隊が交戦を開始した。我々も続くぞ』

 

『戦況はどうなんです?光線級は?』

 

『照射があったら交戦の連絡すら来ない、そう言う事だ』

 

『了解。じゃあ戦術機の足元ちょろちょろ動きますかね』

 

海中から砂浜へと。俺達が上陸したのは、先遣隊が交戦を開始してから5分後であった───

 

─────────────────────

 

「戦況は?」

 

A(アルファ)が佐渡ヶ島南より上陸、交戦を開始。帝国海軍の海坊主部隊(ダイビングビートル)と共に橋頭堡を確保しています。人狼部隊(スコープドッグ)1個大隊が橋頭堡の完全確保の為に掃討を行っています。20分もあれば掃討出来るとの事です」

 

「宜しい、工兵隊を出撃させろ。橋頭堡を確保したらすぐに司令部を設置する」

 

新潟の海岸線を埋め尽くす緑色の機体。鈴木重工が残った工場をフル稼働させて作り続け、納入し、歩兵全員を乗せると言わんばかりに製造されたAT(スコープドッグ)

強襲揚陸艇に次々と乗り込んでいく姿を見ながら、司令部用に作られた帝国の決断〜戦略図用〜の画面を見る

簡略的ではあるが、それでも紙の地図を見るよりも見易い。目が疲れるのが難点ではあるが、一瞬でどの部隊がどこにいるかを判断出来、何よりも既存の紙よりも場所を取らない

大型のホワイトボードにプロジェクターを使って映しながら、マジックを使ってどう動かすと作戦遂行が出来るを考えるのは、昔やっていた机上の演習訓練のようだ

 

「米軍第2空母打撃群より入電。我 南西からの橋頭堡確保せり」

 

「随分やる気だ。BETAの分散は?」

 

「米軍側にはあまり向かっていません。此方が先に攻撃したからでしょうか」

 

「……まあ良い。作戦は順調に遂行されている。横坑(ドリフト)の制圧を最優先とする。後詰めの到着を待たせろ」

 

「了解」

 

少しだけ違和感が存在したものの、それでも作戦は順調に進んでいる。橋頭堡の確保は成されたのだ、何も心配する必要は無い

 

─────────────────────

0700

橋頭堡確保完了 工兵隊及び後詰め到着

 

『行け行け行け!!!!米軍に遅れを取るな!!!!人狼師団の力を見せる時だ!!!』

 

『我々が支援するとは言ったが花を持たせるとは言っていない!!!!温存ばかりして来たのでは無いと見せつけろ!!!!』

 

『アイツらの火力じゃ突撃級も抜けんと教えてやれ!!!!機甲科こそが華と知らしめろ!!!!』

 

次々とやってくるスコタコ、戦術機、戦車。鉄の三竦みを形成する為の彼等の士気は高く、先行部隊が発見した横坑へと突入する為の道を形成している

降り注ぐ砲弾とミサイルの雨、36mm(突撃砲)30mm(ヘビィマシンガン)の弾幕によって中型種も小型種も次々と倒れ、横坑への1本道の形成と同時に、BETAの死骸(マッスルシリンダー)が回収されていく

皮肉な話ではあるが、BETAによって均された大地は、あらゆる機甲科やATにとって都合が良く、回収に時間がかからないのだ

 

『横坑入口を確保!!!!繰り返す、横坑入口を確保だ!!!!』

 

『南西の米軍に先に横坑を取られたぞ!!!!あっちにスコタコは居たか!?』

 

『橋頭堡確保の連絡から狂犬の飼い主部隊(ハンドラー)が合流してます、曹長!!!!』

 

『なら問題は無いな!!!!我々は作戦通り南側横坑入口周辺を固める!!!!戦術機の足下を動き回るぞ!!!!』

 

作戦開始から1時間、ここまでは全て順調である。しかし横浜ハイヴのような短期間では済まない。楽観的に見る者は何処にも居らず、同時に、あらゆる思惑が交差する

人類の命運がここで決まると言っても過言では無い。誰もが頭の隅で、そう考えていた




駆ける 翔ける 賭ける
鉄の騎兵は地を駆けて 鉄の巨人は空翔ける
そして人は 命を賭ける
己が明日はそこにある 二束三文に全てを賭ける
ああせめて 六文銭は残しておいてくれ

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

佐渡ヶ島ハイヴ攻略 停滞

黄泉路に逝くは 奴等が先だ
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