シートルーパーくんシリーズでもお馴染みですが、冷却水として使う際にこのフィルターを通すとあら不思議、大量の重金属が採取出来ます
これは本社ビル襲撃の際に亡くなった方の発明でもあり、鈴木重工はこのフィルターにその方の名前を付けました
草薙フィルター、と
─── AT博物館 環境問題への取り組みより抜粋 ───
※お気に入り2200件越えありがとうございます……!!これからも精進します…!!
───鈴木重工横浜プラント 極秘地下研究室
エレベーターを降りれば、重厚な扉と6名の重武装セキュリティ、遠隔操作の無人タレットが出てきた人物を捉え、12.7mmの銃口が8つ向けられる
決して気持ちのいい事では無いが、この先にある物はそれだけ重要な物なのだから仕方無い
「香月博士でしたか。IDの提示をお願いします」
「はいはい、分かってるわよ」
IDを提示し、金属探知機をかけられる。この際にファスナー等による物は見逃されるが、ペン等の物は一時的に没収され、X線検査にかけられる
重厚な扉が開かれれば、5mほどの真っ白な廊下と2つ目の扉が現れる
壁に取り付けられている網膜静脈認証装着に目と手を置き、認証音と共に、厚さ30cmを超える鉄の扉がゆっくりと開かれる
この認証を越えられない、若しくはこの廊下に5分以上滞在すると、壁内に仕込まれたC4爆弾が発動しこの廊下をコンクリートごと押し潰す
そして、彼女の前に現れるのは大きな───四方100mをゆうに越える、正方形の実験場である
これは重信代表が極秘で作らせた場所である。この場所を知っているのは世界でも数人しか居らず、専属の研究チームと、香月博士のみがこの実験場へと入る事が可能である
この場所では表に出せないような実験を行い続けている。ジョン・ドゥの試験も何度かここで行われている
「こっちだ」
彼───重信氏から声を掛けられ、実験場監視室へと階段で上がる。実験場の隅で何かに怯えるように座っているジョン・ドゥを見ないようにしながら、彼の待つ場所へと
正直な話をしよう。香月博士は、ここのIDカードを手渡された時、嬉しくて堪らなかった。この人とだけの秘密の共有、
「それで?急に呼び出すなんて珍しいじゃない。あのジョン・ドゥと関係あるのかしら」
「大いにある。そして惨い話をしなければならない」
研究チームの1人が以前私が提供したある物の写真を取り出し、机に並べる
推定、BETAの人類研究用装置。人の脊髄と脳髄だけを取り出してシリンダーに保管されているソレは、最早生命反応らしい物は示さなかった、所謂人であった物だ
「ジョン・ドゥは機体特性上、拡張人体ともいえる物です。
「ジョン・ドゥは急に暴れ出し、手がつけられなくなった……一頻り暴れてあの隅に落ち着いたのね?」
御明察、と言われても嬉しくは無かった。彼らはシリンダーから脳のみを抜き出して機体に利用したのだ。恐らくだが、彼らの狙いは最後の一瞬まで衛士や歩兵を使いつぶす為の実験ついでだったはずだ
生きている人間を使う事は出来ない。されど死人を使うには手間がかかる。国と連携しては秘匿性が薄れる。導き出されたこの結果は、酷い話だが合理的だ
「死んだ脳に電気刺激を与えて制御しようとしたのね。原理は神経の動きと全く同じ……そのコントローラーで制御しようと思ったら出来なかった。暴れたのは多分……搭載されていた脳が、電気刺激で生き返った」
本来なら有り得ない話ではある。だが優秀なこのチームの事だ、今後の事を考えて培養液で満たしたり脳に直接電極をぶっ刺したりしたんだろう。運動機能を司るのは小脳ではあるが、一々取り出す事すら面倒臭がった事が理由でしかない
そして、この失敗はある意味での最悪な事例であるだろう
「……脳波まで停止した脳が、強制的な電気刺激によって身体があると認識。酸素も栄養も十二分にある事から活動を再開した?そして記憶や人格が戻り、ジョン・ドゥの機体制御を奪った。そう考えれば……アレに声帯を取り付けられるかしら?」
「声帯は無理だが人工音声なら。もしアレの中身が人間なら視覚聴覚は頭部のセンサーで補っているはずだ、話して頷いたりしてくれるなら、取り付ける事も出来るだろう」
きっとしてはいけない事なのだろう。だがこの場所では倫理観よりも好奇心や科学の発展が重視されている。チームの1人が拡声器を使って話しかければ、ジョン・ドゥ───仮称
A1はようやく声を手に入れ、何回かのチューニングを繰り返し……言葉を発しはじめた
『あ、あー……ホントに生きて……るのね、私は』
鋼鉄の身体。動く心臓はただのポンプであり、体内に巡っているのは揮発性の高いPR液。身体を動かす事に違和感は無いらしく、A1はようやく手に入れた声に安堵しながらも、感覚を確かめるように身体を動かす
18mの身体に収められていると言うのに、彼女は酷く冷静である。もしかしたらあの壁につけられた暴れた跡のせいかもしれないが
「教えてくれるかしら?アナタは誰?
『私……私は…』
記憶が混濁している。ゆっくりと指先から肉を剥がされていきながら蹂躙された思い出が蘇ってくる。だと言うのに嘔吐する事は出来ず、口元に手を当てれば視界が揺れるだけ
もう私は、人間ではないのか
『……私は
「そ。身元確認して確かめましょう」
「彼女の為の入れ物を作らないとな、忙しくなるぞ」
全員がいそいそと動き始めるのを、
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「人をなんだと思ってる、なんて、私の口から聞きたい?」
「聞きたくないな。俺は人類の未来の為にしか動いていないのだから、ね」
「それは分かるわよ。今だってそうでしょ?」
研究途中であったらしい試作型の全身義体。これは先日のテロで亡くなった社員達によるプロジェクトの1つであった
マッスルシリンダーと新型衛士強化装備から着想を得たコレは、遠隔操作を行えるロボットの1つである
操縦者は首に装置を取り付け、神経伝達を遠隔で行って機体を動かす。機体の何ヶ所かにカメラが取り付けられており、モニターを介して周囲の把握も可能である。無線故のラグが問題点ではあったが、放射能汚染地域での除染作業などの人では行えない作業に抜擢される予定であった
それを今、2人の天才が改造している。頭に搭載されていた処理装置は取り外され、機体各所のカメラも両目部分を残して撤廃。培養液と脳が搭載出来るように改造し、胴体には既存のPR液ポンプとPR液タンクを着けてある
1歩でも間違えれば、兵士だろうと誰だろうと、最後の最期まで使い潰す発明になりかねない。だが、今の彼等にそんな考えは存在しない
「ふぅ……やっぱりアンタの所の社員は優秀なのね。こんなに簡単に改造出来るんだもの」
「普通の人間が聞いたら卒倒するぞ?メンテナンスの重要性含め、皆で考えてるからだろうさ」
「あら、貴方自称普通の人間じゃなかった?」
「最近はそれを改めようと思ってな」
雑談をしつつも最後のパーツを組み付け、稼働確認をする。緊急時用の遠隔操作も問題が無い事を確認し、彼等は再び地下へと戻り───外道へと堕ちる道を歩む
六道輪廻があるならば 修羅の道こそ我が道よ
人から外れし者達が 人を救う為に奔走する
外道であり正道を行く その姿正に修羅也
人よ せめて我らの轍を踏むなかれ
次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜
あ号標的
人が倫理を捨てた時 誰が倫理を決めるのだろう