正解は月です。月には何百万と言うBETAが存在しており、現在も鈴木重工や国連軍による掃討作戦が行われております
月の重力は地球の7分の1、もっと言うならば月のハイヴには光線級が存在していないのが確認されている為、掃討作戦もかなり楽に行われ、永続的なBETAプラント計画が立てられているほどです
まあさすがにそれは認められないでしょうが、それでも昔よりも少し割高になっただけのPR液は、軌道エレベーターを使って運ばれてくるBETAの死骸によって作られているのです
─── AT博物館 現在のAT事情より抜粋 ───
1997年 アラスカ州 タルキートナ
「冷えるな、さすが北極に近いだけある」
白い息を吐き、すっかり様変わりしたアラスカの様子に少しばかり辟易する。小さい頃に見たアラスカの写真とは全く違う、雄大な自然も無ければ人が少ない事も無いその場所に、ほんの少しばかりのため息が出てしまう
しかし、ここに来たのはそんな事の為では無い。欲しい物があってここにやって来たのだから
「いやはや、遠路はるばるまた来て頂けるとは。お待ちしておりました」
ソ連の高官らしき人物と握手を交わし、彼の後ろに佇む銀髪の少女に目を向ける。オルタネイティヴ3の遺産でありソ連の虎の子、ESP能力者である
恐らくでもなんでもなく、確実にこちらの考えを覗いている。それを承知で、この高官はこの子を連れてきたのだろう
隠し事は出来ないぞ、とでも言いたげに
「そちらは?」
「今回の商品のサンプル、と言えばよろしいですかな?彼女は第4世代でしてな」
ぺこりと頭を下げる彼女に優しく微笑みかけ、握手を求める。ESP能力者に対して握手をすると言う事がどういう事か、よーく分かっているつもりではある
だからこそ、特に何も考えず。ポケットに入っているチョコの事ばかり気にかける
「まさか鈴木重工がESP能力者を求めるとは思いもよりませんでした。どう使うかを聞いても?」
「残念ですがそれは言えませんね。まだ私の頭の中にしかありませんので」
わざとらしくトントン、と頭を指で叩く。少女の視線がこちらの頭部に集中するのを見ながら、立ち話もなんですし、何処か暖かい所で話しませんか、と提案する
少女の視線がこちらの頭を見ているのを高官が窘め、会議室まで案内されつつ、廊下で少女に話かける
「なあ、俺の頭はそんなにハゲそうか?」
「……?」
どうやら言葉は分からないらしい
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「ESP能力者のレンタルか買取り、ですか」
「はい、何世代だろうと構いません。ですが必ず能力が使える事が条件です」
正直、返答に困っている。私には確かにある程度の権限があるものの、目の前に居るのは歩兵の救世主であり、党内ですら扱いについて対立が出来る程の人物だ
軍部曰く「ATを引き出せるなら能力者の1人2人早々に渡すべき」
政治曰く「これから長い付き合いになるのだから懐に取り込むべき」
そんな対立が巻き起こる党内に置いて、どちらの代理人であろうと彼の前に出すわけにはいかない。そんなこんなで回ってきた貧乏くじ……否、白羽の矢が立ったのが自分だった
それなりの高官であるものの上がったばかりでどちらの対立にも巻き込まれていない。だがどちらかを立てるような事をすれば、もうそちらには入れない
……本当に貧乏くじだ
「レンタルと言いましたが、幾らで考えて居られるのでしょう?」
「能力の強弱によって変わります。それこそギリギリ使える程度なら日にAT1〜2機をそちらに提供します。逆にそれなり以上に使えるのであれば、日に5機はお約束します」
軍部の連中が居たら直ぐにOKサインを出しそうだ。1ヶ月のレンタルと考えても150機。半年もレンタルさせればATとの混合機甲科師団が完成する
が、これは政治の連中が嫌がる。コレを通してしまえば繋がりが薄くなるからだろう
「……買い取りではどうなるので?」
「こちらも能力の強弱によって変わります。ギリギリなら100機、それなり以上なら500機……それと、AT修理設備とPR液精製プラントをこちらの金でそちらに作ります」
後々の事を考えるのであれば、こちらの方が良い。政治の連中が居たら迷わずこちらを選択するだろう
もっと言うなら即物的な物で無いが故に後々の繋がりが強くなる。困った、どちらも魅力的だ
レンタルと買取りのどちらも出来れば問題無いのだが。政治と軍部から渡せると言われた書類に誤差が無ければ何も問題は無かったのだが、尽く政治と軍部は相性が悪いらしい。政治は古いヤツらをリストアップし、軍部は使えない新しめの奴らをリストアップしている。もう少しだけでも話し合って決めてくれませんか
「……少々お待ちください」
彼は煙草を吸わないらしい。その事前情報を知っていたが故にタバコを吸ってきますと言えた。書類を抱え、廊下に備え付けられたソファに腰掛け、タバコに火をつける
肺の中に煙が満たされ、ニコチンが脳内に入っていく。改めて頭を抱える
そんな折、両隣に座る重鎮の方々。方や勲章が眩しく、方やバッジが眩しい。タバコに火をつけるのを見ながら、確実に来る小言を感じ取る
「いやぁ随分と悩んでいるね。仕方無いか。あんな内容だ、悩むのも仕方無い」
「そうですなあ、私としてみれば戦っている同志の声を聞いて欲しいですが」
「ハッハッハ、目先の利益だけで判断するとはおかしな話だ。この後の事も考えねばならないからな」
「ハッハッハ、そう言って負け続けた我々にとって耳が痛い話ですな」
人挟んでバチバチしてんじゃねえよ。そんな感想が喉から出そうなのを、2本目のタバコで打ち消していた
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「「…………」」
会議室内は静かだ。こういう時タバコのひとつでも吸えれば暇を潰せるのだろうが、如何せん煙草は吸わない為暇である
チョコでも食べてやろうか、なんて考えを見透かされたのか、少女は此方の外套のポケットを漁る許可を視線で聞いてくる
頷いて漁る許可を出せば、何の躊躇いも無く外套の左ポケットからチョコを取り出す。どうやら彼女は使える部類であるらしい
「どうぞ」
昔から得意だった板チョコの半分割り。上手く半分に割れた為少女にも手渡せば、彼女は食べていいのかまで視線で聞いてくる
うんうんと頷き、自分も板チョコに齧り付く。ぱきりと良い音をさせて割れるチョコの硬さと、口内で溶かせばゆっくりと広がる甘味に思わずニッコリと笑う
「
どうやら気に入ってくれたようだ。ロシアではこう言ったチョコは気に入られないかと思ったがそうでも無いらしい
早々に食べ進める少女を見ながら、戻ってくるまでに食べ終えてしまおうと早々に食べ進める他無かったのが残念だが
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「お、お待たせしました……」
チョコを食べ終え、ティッシュで口を拭き終えた頃、彼は戻ってきた。出ていく時よりも疲労しているその姿は、どこか哀愁を漂わせている
レンタルと買取りの両方を行う事で決着が着いたらしく、買取り可能人員とレンタル可能人員の名簿が渡される。買取りは3人、レンタルは5人である
取り敢えず買取りは全員、そしてレンタルも3人程用意して貰い、ついでと言わんばかりに、チョコを堪能した少女を見ては問いかけて見る
「彼女は無理なのですか?」
「えっ」
───こうして鈴木重工は無人機実験用のESP能力者を9人(買取り4人、レンタル5人)も手に入れ、無人機運用計画のテストパイロットを手に入れた
彼女達の活躍によりAT無人機化計画が一気に進んだのだが、それを知る者は極小数である
Q.前イーニア借りてる時AT5機分って言ってなかった?
A.
マク「ウチも能力者使ってジョン・ドゥの無人機版作りたい!!だから貸して!!」
鈴木「(ウチで作ってる無人機計画は社外秘なので)ダメです。代わりにソ連から虎の子借りられる話つけてきたから」
マク「やったぜ」
鈴木「共同だから少しは出すけどレンタル費用の9割お前持ちな」
マク「えっ」
Q.XM3ってどれくらい広まってるの?
A.ヴェンジェンスのアップデートって事で広めたので戦術機の7割は既にXM3に換装されてます。因みに皆ゲームで同じ挙動が出来るな位で気付いてません。ゲーム万歳
Q.ESP能力者の皆は全員鈴木重工所属なんですか?
A.鈴木重工で金出して囲ってんだからやる訳ねーだろハゲ!!!散れ!!!
Q.米軍第二艦隊に損害出したジョン・ドゥってもしかして……
A.イーニァ(1番機)、無人機(2番機)、ダリル(3番機)、イオ(4番機)
この4機での対人戦実地試験も兼ねていました。撤退したのがイーニアと無人機であり、ダリルとイオは見事な戦死でした
サンダーボルト試験部隊って言われてたらしいです(米軍で正式採用されたらそう名付ける予定だった。もう叶わない)