我々鈴木重工はその夢を応援します。鈴木重工に就職したい?鈴木商事に就職したい?EIKOに就職したい?でしたら近道がありますよ
鈴木グループが作り上げた中高大一貫の私立学園、そこに入学出来ればその夢は大きな1歩を刻めるでしょう
お手元のパンフレットを手に取り、どうか内容を吟味して下さい
─── AT博物館 就職するならどうしたら?より抜粋 ───
「なあ、最近ジョン・ドゥの発注多くないか?」
「そうか?寧ろ今までが少なすぎたくらいだろ。ようやく各国が覚悟決めたんじゃね?」
最終検品場。正社員に採用された2人の作業員が外装の最終チェック及びPR液ポンプやタンクに傷が無いかを確認する
チェックシート及びマニュアル(写真付き)によって熟練者で無くとも検品出来るようになっており、彼等もこの仕事に誇りを持って対応しており、自らの仕事によって会社の評判に関わると言う重圧を、彼らは上手くコミュニケーションを重ねて発散している
以前より増えたジョン・ドゥは全て右肩が赤く塗られている。上からのお達しで、赤く塗られている物はカラーリングだけなので問題無いと直々にお達しが出てはいるものの、気になってしまうのも事実だ
何よりも、右肩が塗られているジョン・ドゥは全て佐渡ヶ島へと出荷されている
「右肩塗られたATも佐渡ヶ島だろ?今何かやってんのか?」
「……言うなよ?アメリカとの交渉で、鉄原ハイヴへの備えの為に国連と帝国が佐渡ヶ島を前哨基地にするらしい」
「はー、成程!!そりゃ検品も力入れねえとな……あ、バリ残ってる」
事実かどうかも分からない。されど噂は噂を呼ぶ。不確定な情報がゆっくりと社内に広がっていくのを、事実を知っている者達は満足気に見る事しかしない
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『嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ食うな食うな食うな食うな食うな食うな食うな食うな食うな食うな食うな!!!』
『──────!!!!!(声にならない悲鳴)』
『俺は確かに死んだだろ!?何で生きてんだよ!!刺されて死んだ筈だろ!!!』
『何で生きてんだよ……!!もう良いだろ、休ませてくれ!!頼む!!』
『は、はは、ハハハハハハハハハハ!!!!!また戦える!!!また奴等をぶっ殺せる!!!』
阿鼻叫喚の地獄絵図。それを見るのは白衣を着た学者達
胸に着けているバッジは国連、米国、日本、と分けられており、その人種も様々である
大量の戦術機が腕を上げる事も、歩く事も出来ない様に密着させられながら、機体に取り付けられた発声器官から声を上げる
この結果に学者達は大いに喜んだ。そして、自分達が倫理を投げ捨てた事も痛感した
「これが失敗は成功の母ってやつよ。当該技術はこのように、死亡してもきちんと保存されており、頚椎、小脳、大脳が無事であれば【復活】が可能である……既に1000回以上もの復活が成し遂げられている事から、この技術は確かな物であると言えるわ」
「素晴らしい技術だ。本当に素晴らしい!!倫理を無視してしまえば、最期まで人間を使いきれてしまう。我々も含めて」
「報告書を読んだ時は余りの荒唐無稽さに絶句しましたが、コレを見れば納得しかありません。上手くすれば無限に使える兵士の誕生……末恐ろしい技術です」
学者連中が議論を交わす中、重信だけがマイクを手に取り、ジョン・ドゥに話しかけた
一斉に声のする方を向く戦術機と言うのは、如何せん気味が悪い
しかし、ここで精一杯の悪役にならねばならない。彼等を生かす為に。彼等に再度生きる理由を与える為に
「お目覚めご苦労。諸君は確かに肉体で死亡した。だが我々の技術により諸君らは復活した。諸君らにはコレからその身体に慣れて貰う。もし出来ないようであれば、その者達はATに乗り換えだ。悪いが諸君らに人権は無い。私達が使い潰させて貰う」
『ふざけんな!!!クソ、動けよ!!このっ!!』
『ちょっと、動かないで!!ヤバい音してるの分かるでしょ!?』
『御託は良い!!コイツらの訓練役は俺なんだろ!?BETAぶち殺す為に鍛え上げてやるよ!!!』
若干1名ヤバいのが居るけどどうにもコイツはかなりイカレた奴らしい。手元の資料を確認すれば、この男は元衛士であり、動機も復讐の為となっている為、上手く使えばもっと適合するかもしれない
……そもそも、こんな事をしなければならない程追い詰められているのが駄目なのだろう。もっと人類と言う種が協力し合えばBETA相手であろうとも勝てると言うのに
「では手筈通りに。国連軍は鈴木重工及びオルタネイティヴ4の研究結果として当該技術を使用し、各戦線に
「戦術機とATで何個師団作れるか……今から楽しみで仕方ありません。人間大の義体の発明も急がねば。忙しさと楽しさで頭がいっぱいだ!!」
「はいはいどうも。それじゃ、例の件だけ宜しくね」
「知能指数が高い当該技術適用者ですね。勿論構いませんが……一体何を?」
香月博士はその問いに対し、ただニコリと笑う。アメリカからようやく届いた例のモノを使うと言う事実は伏せて、人類の未来の為であり、彼が望んだ事、とだけ指を指して告げた
その彼は、眼下で必死にコミュニケーションを取る彼等を、ただ見下ろしていた
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「ねぇ東雲。魂ってなんだと思う?」
『魂、ですか?……電気信号の塊かと』
本当に珍しく、彼女は酔っていた。私室で飲むでも無く、
私はPR液を口から吸いながら、予備タンクに補充する。なんでも人間に近い事をしないと自我が崩壊するのだとか
私的には別に気にしなくて良いと思うのだが、どうにもこれは彼の提案らしく、味もしないゼリーを飲むようであまり良い感覚では無い
「リアリストね。そうよね、復活したんだもの。そんな事考えるまでも無いか」
『……そうですね。復活したく無かったかと言われれば、それも事実です』
「…………ごめんなさい、無粋だったわ」
本当に珍しい。弁明もせずに謝るなんて。酔っているのか、それとも心情の吐露なのか
普段ならもう少し色々と喚くのが、今はこんなにもしおらしい。こう言う所を彼に見せれば良いのでは無いだろうか?
男と言うのはこう言うのに弱いと聞いた事がある。それとも失敗したからこっちに来たのか
……あの人の事だから家に帰ったのかもしれない
『……でも、感謝はしています。例え機械の体でも。例え電気信号の塊でも。生き返った事に代わりは無いんです。私の短い人生の続きが綴れるんですから』
「………………」
ぐいっと。残っていたブランデーを全て飲み干す。それと同時に何か覚悟を決めたように目を細め……備え付けの手洗い用シンクに嘔吐した
オロロロロ、と音をさせて。今や1本10万円は下らない贅沢品なのだが、何の関係もないと言わんばかりに
「ええ、ええ……良いわよ、分かったわよ。やってやろうじゃないの。東雲、ありがとう。覚悟が決まったわ」
『え、ええ……おやすみなさい、博士』
「ええ、おやすみ。東雲」
すっかり酔いの覚めた博士の背中は、何かが宿っているように見えた
六道輪廻のその先へ 外道の更に外道へと
覚悟を決めた者たちの
倫理も何も全てを捨てて ただ人々の為に
その献身を 一体誰が評すのか
次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜
来るべき日
本当の献身は 誰にも分からない