マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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2001年 10月21日
この日は大人の皆さんならよーく覚えているでしょう。そう、オリジナルハイヴが陥落した日です
当時の鈴木重信代表は10月22日までに必ず陥落させる、と明言していました。この日に何があるのか、何があったのか?それは誰にも分かりません
ですがきっと、鈴木重信氏のリミットはここだと言う何かが、存在していたのでしょう

─── AT博物館 来るべき日より抜粋 ───


来るべき日

2001年 1月10日

オルタネイティヴ4責任者、香月博士よりオリジナルハイヴ破壊作戦が提示される

00ユニットによる諜報、人類の疲弊度を鑑みて、人類による最後の大規模反攻作戦を行えるのが今年で最後と言う事が提示される

これには各国軍部及び政財界も同意し、人類最後となる反攻作戦の準備が進められる

 

2001年 2月14日

BETA侵攻が活発化。反攻作戦準備中の為防衛に徹するよう命令が下る

後年、『血のバレンタイン』と呼ばれるこの防衛戦闘は、米国や南米等の囚人及び麻薬カルテル部隊の投入によって戦線が支えられた。旧型の戦術機と廃棄寸前のAT、そして歩兵部隊によって戦線は維持され、運良く生き残った者達には恩赦が下った

この頃、米国にてジョン・ドゥ及びジェーン・ドゥの生産が本格化するも、前線で全く見かけない為、何処かへ消えていると噂になる

 

2001年 4月1日

米国から横浜基地へ2つのとある物が運びこまれる

来るべき日の為に必要な物とされており、通常の整備班とは異なる整備班が組まれ、保守整備に当たる

佐渡ヶ島が正式に日本に返還されるものの、当面の間はモニュメント撤去の為一般人は入る事が出来ないとされた

撤去の見通しは年度内を見ていると言う

 

2001年 5月20日

佐渡ヶ島に大量の空コンテナが輸送され、中に何かを詰め込んで各戦線へと発送が開始される

コンテナの数は万を越え、一時的に日本の港からコンテナが無くなると言う異常事態が発生。警察が捜査に乗り出す事態になるものの、全てが軍及び鈴木重工名義で買い取られている事が判明する

補填として鈴木重工から米国製の新品コンテナが大量に納入され、事態は収拾した

この頃から、佐渡ヶ島で極秘で何かしているのでは無いか?と言う噂が流れはじめる

 

─────────────────────

 

佐渡ヶ島 ハイヴ解体現場 横坑付近

 

「俺達無敵のゾンビ師団!!」

 

「「「俺達無敵のゾンビ師団!!!」」」

 

「神様なんてクソ喰らえ!!!」

 

「「「神様なんてクソ喰らえ!!!」」」

 

「BETA!!」

 

「「「BETA!!」」」

 

「殲滅!!」

 

「「「殲滅!!」」」

 

陽気な歌声に合わせて、元ハイヴの横坑を戦術機がジョギングしていく。ここは佐渡ヶ島、ゴッドイーター師団の訓練場である

当初こそアイツを殺させろだの、もう戦いたくないだの、家族に会いたいだのと無い身体で泣き喚いていた連中も、今や一端の兵士となった

それに貢献したのが1部の気狂い連中だったのは意外だったが、それも今や過去の話だ

戦術機に適応したのは2万人中8000人ほど。残りは全員AT(ブラッドサッカー)行きとなった

今も復活させられた連中は続々と佐渡ヶ島に運ばれてきており、この数も過去の数字となるだろう

 

「全員傾注!!俺達は明日、コンテナに詰められてアフリカ戦線へと赴く事が決定した!!訓練詰めだったお前達への褒美として4ヶ月近くの休みもあるぞ」

 

「それって俺ら寝てるから一瞬じゃ無いんですか?」

 

その言葉に全員が笑う。隊長機も釣られて笑いそうになるのを堪え、おほん!なんてわざとらしくジェスチャーすれば、笑い声はピタリと止んだ

傍から見れば異様な光景である。戦術機が人間のように動き、話し、統率されている様など

しかし、ここ(佐渡ヶ島)では最早当たり前の光景である。この島においては人間の方が数が少ないのだ

 

「安心しろ、ただ寝るだけもつまらんと言う事でゲームのインストールが許可された。EIKOのゲームを一通りプレイ出来るぞ」

 

「それだと4ヶ月じゃ足りませんよ!!」

 

ゲラゲラと続いて笑い声が響く。緊張感の無さか、それとも不安を打ち消す為か、はたまたその両方か

笑いが収まったのを見越して、隊長機は改めて全員を見据えた

 

「この反攻作戦にて戦果が認められた場合、我々ゴッドイーター部隊には再度人権が与えられる事が確約されている。つまり、これは我々の権利を取り戻す為の戦いだ。備品で使い潰されてたまるものか!!あの男に土下座させて給料ぶんどるぞ!!」

 

隊長機のその一言に、全員が呼応した。勝手に復活させ、勝手に備品にしたあの男を見返してやる。気狂い共がそう言って訓練を始めなければ、誰も動く事は無かっただろう

契約書も無く、宛のない希望である事は分かっている。されどそれに縋るしか無い。権利を取り戻したとて、人に戻れる訳では無い

だからなんだ。隣に立つ戦友(とも)を守る為に、武器を取らない理由とはなり得ない

彼等の雄叫びは、横坑の中に響き渡っていた

 

─────────────────────

 

「あの話、本気なの?」

 

横浜基地 地下区画

米国でモスボールされていたとある物を一緒に整備しながら、すっかり雰囲気の変わった素敵な彼(鈴木重信)に話しかける

自分に近くなりながらも何処か甘い考えを捨てきれない彼に、改めて惹かれる自分がおかしく感じるのは当たり前の感覚だろうか

 

「どの話だ?色々あり過ぎて分からんな」

 

メンテナンス用の分厚い冊子と睨めっこしながら整備を続け、オイルにまみれている事も忘れるほどに集中する彼は、こちらを見ること無く整備を進める

 

「ゴッドイーター部隊。オリジナルハイヴ攻略したら人権戻すって話。東雲みたいな身体作るつもりなの?」

 

ピタリと彼の動きが止まる。一息つきながら手袋を外し、額の汗を拭いながらこちらを見る

前のような凡人らしい雰囲気も好きであったが、今のような責務にきちんと向き合う覚悟を決めた雰囲気も好きだ、と頭の隅で考える

 

「あの話か……正直悩んでるよ、どうするかをね」

 

「なら破るの?意外ね。貴方なら義体くらい用意すると思ったのだけど」

 

「違う違う。戦闘用義体とか作業用義体とかって話さ。聞き取り調査位はしとかないといけないだろ?」

 

本当に、この素敵な男は甘々だ。まるで夢を語るように彼等の事を考えている

既婚者じゃなく、ここに他の整備作業員が居なかったら襲っていた所だ

私は改めて、自らの男を見る目の能力の高さを実感していた




人類の為 家族の為 友の為
神の所業に踏み入って ただ他者の為と突き進む
もしも神が居るのなら 罰してみせろと笑ってみせよう
人を救えぬ神ならば 人が人を救うのが人の所業
人類は死を克服した者達の力を使い 人類は最後の反抗を試みる

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

オリジナルハイヴ

先人よ もう少しだけ共に居てくれ
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