奮戦虚しく、多くの命と貴重な歴史が失われ、我々人類は、疲弊仕切っている
だが、見渡して見るがいい。この死せる大地にあっても尚、逞しく花咲かせし正門の桜の如く。蘇りつつある我等が大地を
傍らに立つ戦友を見るがいい。立つことすらままならぬ程疲弊していようと、その
我等を突き動かす物は何か!!疲弊し尽くした我等が、
それは、全身全霊を捧げ、絶望に立ち向かう事こそが、生あるものに課せられた責務であり
人類の勝利に殉じた
大地に眠る者達の声を聞け 海に果てた者達の声を聞け 空に散った者達の声を聞け
彼等の悲願に報いる時が来た
そして今!!精鋭達が旅立つ。鬼籍に行った
歴史が彼等に脚光を浴びせる事が無くとも……我等は、刻みつけよう
名を明かす事すら許されぬ彼等の高潔を、我等が魂に刻み付けるのだ!!!
……旅立つ精鋭達よ
諸君に戦う術しか教えられ無かった我等を許すな
諸君を死地へと送り出す我等の無能を許すな
願わくば諸君らの挺身が、我が子を戦地へ送り出す事無き世の、礎とならんことを
─── 10月20日 ライジングサン作戦 国連軍横浜基地司令 パウル・ラダビノットの演説全文 ───
「「「乾杯!!!」」」
今日は最後の訓練です。翌日の為にしっかりと身体を休める事も含めて、私達の訓練は早めに切り上げて、今はささやかな御馳走を味わっています
明日オリジナルハイヴに行く、私を含めた衛士の人たち。鈴木重工のジョン・ドゥ部隊まで含めた前祝いは、鈴木重工の格納庫で行われています
お酒は1合まで!帰って来たら浴びる程飲ませてやる!なんて言いながら日本酒を振舞ってる隊長さんが居るけど……確かアレってかなりするやつじゃ…
私達未成年組は大人しくジュースなんですけど……あの、このジュースもしかして天然物……
「諦めろ純夏。こう言う細々とした所に本気を出すのが代表だ」
「武ちゃん、ステーキは1人2切れまでだよ」
「別にお前のを貰おうなんて思ってないからな!?」
全般的に凄く豪勢なんですが、訓練終わりの私達には物足りない量。……価格の事は考えないでおくとして※この前祝いだけで1千万円近く飛んでます
悔いを残してやるから帰ってこい。そしたら腹いっぱい食わせてやる。こんな小さな約束でも、帰る理由にしないといけないんだなって、つい考えて……
「お飲み物の追加をお持ちしました!」
「ありがとうござ……神宮寺教官!?」
その言葉にジョン・ドゥ部隊の人以外が振り向きました。持っているのはジュースだけど、器用にも片腕で抱えてから敬礼をするその姿に、思わず皆敬礼を返します
「僭越ながら、この重要任務を為せるのは私だけと判断され、この任務に着く事となりました!!」
「教官、ここはプライベートです。今は階級を忘れましょう」
「了解致しました!!……こんな事くらいでしか、お前達と関われないからな。志願したらあっさり通って驚いたくらいだ」
教官まで見送ってくれる。あんなにも厳しかった教官の目は酷く優しくて、諦めと希望の両方が宿っている
複雑な気持ちなのは皆同じだ。何人があの敵中から生きて帰れるのだろう
武ちゃんや私は生きて帰れるだろうか?ジョン・ドゥ部隊に居る皆は?国連軍の人達は?
怖い。アルコールを入れたくなると言うのが分かる程に、恐怖に震えそうになる
「神宮寺教官……」
「大丈夫だ。私の指導を潜り抜けたお前達なら必ず帰って来られる。帰って来なかったら訓練生からやり直しだぞ?覚悟しておけ」
「「「───はいっ!!」」」
発破をかけるまりもちゃ……神宮寺教官を見ながら、私は武ちゃんの手を握る事しか出来ませんでした
───
『各機、作戦の最終確認を行う。我々の目標はあ号標的……BETAの重頭脳級と呼ばれる個体の排除となる。先んじて衛星軌道上へと上がっている先行部隊へと合流後、宇宙軍が軌道爆撃を開始。3回の軌道攻撃の後、先行部隊が光線級排除の為降下。続いて我々も降下し、我々は横坑へと突入する』
「……昨日も聞きましたが、先行部隊は…その……」
『……光線級の排除がされていようといまいと関係無く、我々は先行部隊降下5分後に降下。先行部隊は我々の降下中、陽動を行い続ける。我々の降下後、先行部隊は横坑へと突入、我々と合流する』
軽々と言ってはいるが、先行部隊が生き残る事を想定していない。そしてその事を理解しても尚、自分たちの重要度が上であり、人類の命運がかかっているこの状況では、それが最適解だと弾き出された
しかし、ここで疑問が浮かぶ。一体何処からこれだけの数を調達してきたのか、と言う物だ。当たり前だが、衛士と言うのは育成にも時間がかかり、下手をすれば初陣で何も出来ずに死ぬ、と言う事すら多い
だと言うのに、先行部隊は全員がジョン・ドゥやATに搭乗している猛者と言われている。こんな人員を一体何処で?
そんな疑問を香月博士に投げ掛けると、彼女はただ黙って、ニコリと笑って流したのだ
0500
作戦開始
作戦開始の合図と共に、各戦線にて鈴木重工より運ばれてきた大量のコンテナから
戦線の援軍となり、陽動の助力及び、ハイヴ攻略の戦力としての一翼を担う事となる
0600
国連軍宇宙ステーションに艦隊集結。ATにより軌道爆撃の装填が容易になった為、3回に分けての爆撃が敢行される
0700
爆撃終了と同時に先行艦隊が突入。光線級の狙撃により先行艦隊の40%が撃破されるも、先行部隊の投下を完了する
0705
先行部隊が激戦を繰り広げる中、本隊の降下開始
光線級による狙撃を受けるも損害は軽微であり、95%を降下させた
0730
先行部隊の生き残りが横坑へと突入。本隊と合流する
残存数は59機。AT46機、戦術機13機であった
先行部隊の降下数は、ATを含め1000機を超えていたと言う
『ルート上にて戦闘音探知!!先行部隊の生き残りです!!』
「生きていた……!!先行部隊の生き残りだ!!全機、援護して補給を受けさせろ!!」
「「「了解!!」」」
BETAを挟撃すると言う珍事であった。これによって先行部隊と合流した本隊は補給の為の休憩の後、進軍を再開
連隊規模にまでなった安堵感と、凄乃皇四型と言う決戦兵器の存在が連隊の緊張を緩めてしまう
気を引き締めろと言った瞬間、地震にも似た振動が機体を揺さぶり───
地獄の門が開かれる。突如として横坑を食い破るようにして現れた2体の
地獄があるのなら 天国もある
例え遠くにあるとて この地獄よりは安らげる
そうだと理解しても尚 俺達は地獄に逝くしか無い
先人の為
美辞麗句を並べようと 俺達の死に場所はここしか無い
次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜
オリジナルハイヴ 2
死ぬ時くらい 安らかでいさせてくれ