マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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苦節40年。人類がBETAとの戦いに費やした時間である
奮戦虚しく、多くの命と貴重な歴史が失われ、我々人類は、疲弊仕切っている

だが、見渡して見るがいい。この死せる大地にあっても尚、逞しく花咲かせし正門の桜の如く。蘇りつつある我等が大地を
傍らに立つ戦友を見るがいい。立つことすらままならぬ程疲弊していようと、その(まなこ)に、激しく燃え立つ気焔を
我等を突き動かす物は何か!!疲弊し尽くした我等が、何故(なにゆえ)再び立つのか!!
それは、全身全霊を捧げ、絶望に立ち向かう事こそが、生あるものに課せられた責務であり
人類の勝利に殉じた(ともがら)への礼儀であると、心得ているからに他ならない

大地に眠る者達の声を聞け 海に果てた者達の声を聞け 空に散った者達の声を聞け

彼等の悲願に報いる時が来た

そして今!!精鋭達が旅立つ。鬼籍に行った(ともがら)と、人類全ての悲願を背負い、孤立無援の敵地に赴こうとしているのだ
歴史が彼等に脚光を浴びせる事が無くとも……我等は、刻みつけよう
名を明かす事すら許されぬ彼等の高潔を、我等が魂に刻み付けるのだ!!!

……旅立つ精鋭達よ
諸君に戦う術しか教えられ無かった我等を許すな
諸君を死地へと送り出す我等の無能を許すな

願わくば諸君らの挺身が、我が子を戦地へ送り出す事無き世の、礎とならんことを

─── 10月20日 ライジングサン作戦 国連軍横浜基地司令 パウル・ラダビノットの演説全文 ───


オリジナルハイヴ

「「「乾杯!!!」」」

 

今日は最後の訓練です。翌日の為にしっかりと身体を休める事も含めて、私達の訓練は早めに切り上げて、今はささやかな御馳走を味わっています

明日オリジナルハイヴに行く、私を含めた衛士の人たち。鈴木重工のジョン・ドゥ部隊まで含めた前祝いは、鈴木重工の格納庫で行われています

お酒は1合まで!帰って来たら浴びる程飲ませてやる!なんて言いながら日本酒を振舞ってる隊長さんが居るけど……確かアレってかなりするやつじゃ…

私達未成年組は大人しくジュースなんですけど……あの、このジュースもしかして天然物……

 

「諦めろ純夏。こう言う細々とした所に本気を出すのが代表だ」

 

「武ちゃん、ステーキは1人2切れまでだよ」

 

「別にお前のを貰おうなんて思ってないからな!?」

 

全般的に凄く豪勢なんですが、訓練終わりの私達には物足りない量。……価格の事は考えないでおくとして※この前祝いだけで1千万円近く飛んでます

悔いを残してやるから帰ってこい。そしたら腹いっぱい食わせてやる。こんな小さな約束でも、帰る理由にしないといけないんだなって、つい考えて……

 

「お飲み物の追加をお持ちしました!」

 

「ありがとうござ……神宮寺教官!?」

 

その言葉にジョン・ドゥ部隊の人以外が振り向きました。持っているのはジュースだけど、器用にも片腕で抱えてから敬礼をするその姿に、思わず皆敬礼を返します

 

「僭越ながら、この重要任務を為せるのは私だけと判断され、この任務に着く事となりました!!」

 

「教官、ここはプライベートです。今は階級を忘れましょう」

 

「了解致しました!!……こんな事くらいでしか、お前達と関われないからな。志願したらあっさり通って驚いたくらいだ」

 

教官まで見送ってくれる。あんなにも厳しかった教官の目は酷く優しくて、諦めと希望の両方が宿っている

複雑な気持ちなのは皆同じだ。何人があの敵中から生きて帰れるのだろう

武ちゃんや私は生きて帰れるだろうか?ジョン・ドゥ部隊に居る皆は?国連軍の人達は?

怖い。アルコールを入れたくなると言うのが分かる程に、恐怖に震えそうになる

 

「神宮寺教官……」

 

「大丈夫だ。私の指導を潜り抜けたお前達なら必ず帰って来られる。帰って来なかったら訓練生からやり直しだぞ?覚悟しておけ」

 

「「「───はいっ!!」」」

 

発破をかけるまりもちゃ……神宮寺教官を見ながら、私は武ちゃんの手を握る事しか出来ませんでした

 

─── 10月20日(来るべき日)

 

『各機、作戦の最終確認を行う。我々の目標はあ号標的……BETAの重頭脳級と呼ばれる個体の排除となる。先んじて衛星軌道上へと上がっている先行部隊へと合流後、宇宙軍が軌道爆撃を開始。3回の軌道攻撃の後、先行部隊が光線級排除の為降下。続いて我々も降下し、我々は横坑へと突入する』

 

「……昨日も聞きましたが、先行部隊は…その……」

 

『……光線級の排除がされていようといまいと関係無く、我々は先行部隊降下5分後に降下。先行部隊は我々の降下中、陽動を行い続ける。我々の降下後、先行部隊は横坑へと突入、我々と合流する』

 

軽々と言ってはいるが、先行部隊が生き残る事を想定していない。そしてその事を理解しても尚、自分たちの重要度が上であり、人類の命運がかかっているこの状況では、それが最適解だと弾き出された

しかし、ここで疑問が浮かぶ。一体何処からこれだけの数を調達してきたのか、と言う物だ。当たり前だが、衛士と言うのは育成にも時間がかかり、下手をすれば初陣で何も出来ずに死ぬ、と言う事すら多い

だと言うのに、先行部隊は全員がジョン・ドゥやATに搭乗している猛者と言われている。こんな人員を一体何処で?

そんな疑問を香月博士に投げ掛けると、彼女はただ黙って、ニコリと笑って流したのだ

 

0500

作戦開始

作戦開始の合図と共に、各戦線にて鈴木重工より運ばれてきた大量のコンテナからAT(ブラッドサッカー)及び戦術機(ジョン・ドゥ)が出現

戦線の援軍となり、陽動の助力及び、ハイヴ攻略の戦力としての一翼を担う事となる

 

0600

国連軍宇宙ステーションに艦隊集結。ATにより軌道爆撃の装填が容易になった為、3回に分けての爆撃が敢行される

 

0700

爆撃終了と同時に先行艦隊が突入。光線級の狙撃により先行艦隊の40%が撃破されるも、先行部隊の投下を完了する

 

0705

先行部隊が激戦を繰り広げる中、本隊の降下開始

光線級による狙撃を受けるも損害は軽微であり、95%を降下させた

 

0730

先行部隊の生き残りが横坑へと突入。本隊と合流する

残存数は59機。AT46機、戦術機13機であった

先行部隊の降下数は、ATを含め1000機を超えていたと言う

 

『ルート上にて戦闘音探知!!先行部隊の生き残りです!!』

 

「生きていた……!!先行部隊の生き残りだ!!全機、援護して補給を受けさせろ!!」

 

「「「了解!!」」」

 

BETAを挟撃すると言う珍事であった。これによって先行部隊と合流した本隊は補給の為の休憩の後、進軍を再開

連隊規模にまでなった安堵感と、凄乃皇四型と言う決戦兵器の存在が連隊の緊張を緩めてしまう

気を引き締めろと言った瞬間、地震にも似た振動が機体を揺さぶり───

地獄の門が開かれる。突如として横坑を食い破るようにして現れた2体の未確認大型種(母艦級)が、その口を大きく開けて、大量のBETAを吐き出した




地獄があるのなら 天国もある
例え遠くにあるとて この地獄よりは安らげる
そうだと理解しても尚 俺達は地獄に逝くしか無い
先人の為 戦友(とも)の為 未来の為
美辞麗句を並べようと 俺達の死に場所はここしか無い

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

オリジナルハイヴ 2

死ぬ時くらい 安らかでいさせてくれ
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