マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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夢の中で 幸せなまま 死ね

オリジナルハイヴ攻略 3


マブラヴ!

「───ってば。───るちゃん!!武ちゃん!!」

 

「うおわぁ!?」

 

「あいたぁ!?!?」

 

机に突っ伏して眠っていたらしい。口元にはヨダレが垂れており、教室は帰りの準備で騒がしい

飛び起きたせいで純夏のおでこに俺の後頭部が当たり、両者共に悶絶する

今回は俺が悪かった。謝りつつ頭を上げれば、素直に謝るなんて珍しい、なんて言う表情をした幼馴染

 

「いや、さすがに今回は俺が悪いだろ……いてて」

 

「……なんか今日の武ちゃん、変だね?」

 

朝からずーっと。と付け加えられれば確かに変かも。と頭の中で考える

と言うか何で寝てたんだ?記憶も曖昧だ、今日1日だけじゃなく、ここ最近の記憶が

何か 忘れてはいけないことを 忘れている気がする

 

「ようやく起きたのね。ゲーセン寄ってやってくんでしょ?」

 

「綾ちゃん!!今日も武ちゃんと対戦するつもりなの?」

 

「当たり前でしょ?今日こそコテンパンにしてやるわ」

 

東雲 綾。俺の家の、純夏とは反対方向の家に住んでる幼馴染だ。純夏とは違い起こしに来たりはしないものの、そのスタイルは最早暴力的なまでに素晴らしい

以前3人で海に遊びに行った時には数多の男からのアプローチを断っていた

なんで これは覚えてるんだ?

 

「へへ、負けねえからな?」

 

「2人とも負けず嫌いだもんねぇ」

 

うんうんと頷く純夏と、負けず嫌いでふんすと鼻を鳴らす綾。そうだ、これが俺の日常だ

───違うだろう? お前の日常は

財布を漁る為にカバンの中に手を入れる。1枚のチラシが丁寧に折り畳まれて入っており、2人と一緒に歩きながら広げる

───戻るんだ あの地獄に

 

〜ヴェンジェンス 正式リリース開始!!〜

最新の体感型バーチャルリアリティ(VR)を駆使したEIKOの最新作!!

宇宙からやってきた宇宙人を倒し、地球の平和を守るのだ!!!!!

ボトムズよ、君の搭乗を待っているぞ!!

 

「───なあ東雲、今日はこっちやってみようぜ!」

 

「はあ?……良いわね、コレ。PvEだから純夏も出来るし…店内マッチングも有りなら凄いじゃない」

 

「うぇ!?わ、私も!?うう、2人とも上手いから緊張しちゃうよお……」

 

「何言ってるんだ、これなら俺達3人とも初心者。楽しくやれるだろ?」

 

電車に乗って寄り道する過程すら楽しい。雑談しながら吊り広告に目をやれば、鈴木重工の文字が目に入る

マッスルシリンダーと言う新しい駆動方法を開発した先進企業であり、現在のガソリンや重油と言った石油から解放されると謳ってはいるものの、既存の利権を崩すのは難しいらしく、かなり難航していると聞く

───お前達はここに居ちゃいけないんだ

 

「鈴木重工か……」

 

「父さんから聞いたけど、なんでも車も出すつもりだとか」

 

「え、お父さん鈴木重工に勤めてるの!?」

 

「あれ、言ってなかった?」

 

「言われてない!!」

 

きゃんきゃんと五月蝿い純夏の声に思わず笑いながら、ゲームセンターに入る。店内はそれなりに賑わっており、ヴェンジェンスには長い列が出来ている

こりゃ時間かかるな?と思っていれば、前に居た人達が一斉にお腹を押さえてトイレへと向かった。恐らくだが長時間プレイする為に昼を食べすぎた結果だろう

ラッキー。なんて言いながら丁度空いた3つのシートに座り、100円を入れてゴーグルを着ける(勿論備え付けのアルコールティッシュで拭いてから)

ダイブするような感覚と共に、チュートリアルが始まった

───本当は分かっているだろう?

 

非常に簡単なチュートリアルであった。何せこの2本のスティックとフットペダルだけ。武装を使うのもスティックの4つのボタンだけ

これは大衆受けするパターンだな、と考えていれば、チュートリアルの終わった2人と合流する。ボイスチャットを繋ぎ、どんな敵が出てくるのかワクワクが止まらない

───こんな物は無いんだ お前達には

 

生理的嫌悪を催す敵だった。しかも出撃時に味方のATが貪り喰われ、断末魔が流れてから爆発した

地獄だ。機体から脱出した味方兵士を援護しろ。と言うメッセージと共に、機体の操作が可能になる

全員が武器を構え、引き金を引く。棒立ちで撃っても照準がぶれ、両手で構えてもぶれる

機体全体を使って反動を制御するんだ、恐らくは全員がそう気付いたのか、全身を使っての反動制御に切り替え、移動する

ローラーダッシュの音が聞こえる。甲高く、何処か頼りの無いその音に、俺は聞き覚えがある

吐き気がする。違う。知ってるんじゃない。俺は───

───戻るんだ 地獄へ

 

─────────────────────

 

『まだ動かないのか!?』

『システム側が介入を拒否している!!手動操作も受け付けない!!』

『凄乃皇 弐型の第2射まであと2分!!』

『地上に光線級出現!!凄乃皇 弐型装甲溶解中!!!』

『4回目の軌道攻撃、光線級によって全て迎撃されています!!!』

『第2射発射不可能!!!ML機関停止!!!!横坑内BETAが一斉に群がっていきます!!!』

 

目を覚ます。頭が痛い。鼻血が出ている。それ以上に2人が心配だ

俺の首に手をかけていた東雲の腕をなんとか引き剥がし、大きく息をする。純夏を揺すり起こしても反応は無く、東雲の反応は無いに等しく、ブツブツとうわ言を呟いている

 

「俺が……俺が、何とかしないと」

 

きっとアレは東雲が望んだ青春だ。いや、俺も純夏も望んだ青春だ

きっとBETAの重頭脳級と呼ばれる奴は、ソレに付け込んだ。小さな小さな夢を仕込んだ。きっとこの後、何かしらの人為的な理由で彼女の両親や知人が人類の身勝手な理由によって殺される

そして、それには自分達も含まれている。処理速度の高い東雲の脳髄は何度もソレを反芻(はんすう)し、現実と混同した

俺が弾き出されたのは恐らく、俺がヴェンジェンスによって現実とリンクしたからだ

純夏が戻って来れないのは東雲とリンクを続けており、綿密に作り上げられた世界にのめり込んでいるのだ

 

「純夏……純夏!!戻ってこい!!!戻って来てくれ!!!」

 

呼びかけ、抱きしめ、キスをしても。彼女の反応は戻ってこない。きっと必要なのは、元を断つ事だ

俺は 東雲の顔をそっと持ち上げて───




愛と勇気が世界を救う 例えそれが 誰かを傷付ける結果であっても
少年少女に託された最後の希望は今 花咲く時を迎えた
願わずにはいられない せめてその花が 美しくありますように

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

オリジナルハイヴ 決着

PR液の味は 甘く 苦い
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