マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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シベリアでは現在も大量のスコープドッグ雪上戦仕様が使われています
植林や海洋の環境整備によって大雪は降らなくなりましたが、それでも極寒の地である事には変わりありません
地球上での人類勝利後、軍縮の影響によってソ連軍から大量の雪上戦仕様が放出されました
本来ならこう言った放出品は主に国外へと流れるのですが、なんと雪上戦仕様はほぼ全てが国内で売り切れる異常事態が発生します
と言うのも、シベリア鉄道再開通の為に線路沿いの住民や鉄道会社が大量に買い上げ、PR液1つで済む暖房器具や線路作業のお供として、同時に大量に放出された元ボトムズの再就職先として、図らずとも内需の支えとなったのです

─── AT博物館 シベリアにあるATより抜粋 ───


東シベリア 奪還作戦 2

2001年 11月7日

 

東シベリア エヴァンスクハイヴから約10km地点 前哨基地

外気温 -58度

積雪 23m

エヴァンスクハイヴはモニュメントの半分程が埋まっている

 

これまで雪中からの奇襲や雪上戦仕様の強みを活かした戦い方を繰り返し、ハイヴへと接近し続けてきた

この大雪はBETA側も予測していなかったらしく、大半のBETAは外での採掘作業中に身動きがとれなくなり、凍死したと思われる(事実として横坑突入の為に雪を掘り進めていると大量の凍死BETAが発見された)

第2陣が到着し、総勢1000機以上による超大規模雪掻きが開始される

 

─────────────────────

 

雪。雪。雪。時々BETAの死骸

運悪くショベルアームでBETAの死骸を引っ掻いた時は凍結した肉がごっそりと抉れる為、注意して作業しなければならない

このBETAの死骸は完品に近い為、鈴木重工が高値で買い取ると言うのだから

 

「俺達、BETAと殺しあってるんだよな?」

 

「奴等に除雪級が居なかったのが運の尽きだ、諦めろ」

 

BETA側も地上での採掘を諦めたのか、はたまた横坑から出られなくなったのかは不明だが、凍死しているBETAの数は非常に少ない

それでも数百、否、千に近い数が現在時点で掘り出されているのだから、奴等の勤勉さには舌を巻く

が、それもオリジナルハイヴあっての賜物だったのだろう。今までのBETAと比べ、コイツらの動きは格段に悪いと言っていい

……もしかしたら純粋に寒くて動きが鈍いだけなのかもしれないが

 

「しっかしよぉ〜……あの砕氷船から本気で補給通すのか??何km雪掻きしないといけないんだ…」

 

「同志、あまりそう言う事を言うものじゃない……KGBに聞かれるぞ」

 

「ハッ!!雪のせいで電波まで届きにくくなってるのにか?」

 

正確に言えば雪のせいでは無い。大気中に撒き散らされた塵や粉塵に混じった金属が雪となって降りてきているせいで、電波が反射され、天然のチャフのように作用しているのだ

更に言えば、あの超重光線級が地面をガラス化させ、それが撒き散らされたのも原因の1つではある

詰まるところ、我々が行っているこの雪掻きは、BETA側の尻拭いと言う事になる

 

「同志、良いのか?快適なATに乗れなくなるんだぞ?」

 

「おっと、ソイツは困る。ATに乗りながらロシア紅茶を飲むのが好きなんだ」

 

「……まさか積んでいるのか?俺にも分けてくれないか」

 

「同志、配給を使い切った訳じゃ無いだろ?」

 

「クソ、帰ったら俺も必ずやってやる」

 

因みにではあるが、ATの中での飲食はこぼさない事を前提として許可されている。アルコールは禁止であり、特例は無い

コレは整備、修理班からの要望が非常に多かった為である。以前ウォッカをAT内に持ち込み、あろうことかヒーターで温めて飲んで酔いが回りすぎてAT内で嘔吐する事故(事件?)が多数発生した為である

また、糧食班は出来るだけ艦内若しくは前哨基地で食べて欲しい事(食器の回収が面倒)、大量に作れる事、温かい事、と言った観点からスープとパンと言ったメニューを多く作るのだが……誰かが大量に保温水筒を持ち込み、艦内で販売。温かいATの中で食べられるようにしてしまった為、整備班に文句を言われる結果となった

 

「しかし1000機以上も居るのに本当に終わる気配が無い……」

 

「稼働しているのは交互休憩で500機と少し、24時間体制でやっても翌日には更に雪が降る。しかも晴れたとしても気温が上がらないから積もったまま……どう少なく見積もっても後数日はこの雪掻きで……」

 

ガツン、と音がする。また要撃級の前腕か、なんて思いながら当たったアームの先を見れば、そこにあるのは横坑の入口であった

飛び跳ねて喜びそうになるのを何とか押さえ込み、寧ろ静かにしながらゆっくりと後方へ下がり、前哨基地へと報告を入れる

何の反応すら無かったものの、モニュメント近くで発見したこの横坑は、ようやく雪掻きと言う単調作業から解放される事を暗示していた

 

─────────────────────

11月8日

 

モニュメント近くで発掘された(誤字に非ず)横坑入口を起点とし、突入作戦を開始。ATのみでなく機甲科や戦術機の投入が急がれるも、戦術機があまりの寒さによって動かなくなる事態が発生する

この事態を危機的状況と感じたソ連軍は急遽鈴木重工にジェーン・ドゥを発注、最低でも攻勢は翌月かと考えていると、なんと翌日には200機が東シベリアへと搬入された

これは北海道にジョン・ドゥ及びジェーン・ドゥの製造工場及び保管倉庫があった事、ゴッドイーター部隊作成時、ジョン・ドゥの余剰機体をジェーン・ドゥに改修していた事が上手く噛み合った為である

ソ連軍は早々に衛士をジェーン・ドゥに搭乗させ、AT部隊と共に習熟訓練(ヴェンジェンス)を行い、11月11日を目処にして大攻勢に出る事を計画した

 

※余談ではあるが、この時の価格は通常納入額の3倍だったと言われている

 

11月11日

ソ連軍 AT、ジェーン・ドゥ(戦術機)、機甲科による大攻勢を開始する




我等の使命は何ぞや 敵を討ち滅ぼす事である
極寒の地を取り戻し 奴等の身体に風穴を開けてやれ
我等の勝利は目前だ 奴等の負けは目前だ
今ここで お前達の灯を消してやる

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

エヴァンスクに旗を

悲願叶えるは 生者の役目ぞ
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