マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

61 / 138
現在、シベリア鉄道はマッスルシリンダー駆動列車によって運行されています
植林や環境改善によって気候変動も落ち着き、今や世界的に有名なシベリア鉄道での旅、楽しまれた方も少なくは無いでしょう
人類は復興を遂げています。今尚傷痕が残るこの地球は、もう直ぐ我々の環境に適していたあの頃へと戻るでしょう

─── AT博物館 シベリア鉄道より抜粋 ───


東シベリア 奪還作戦 4

2001年 11月13日

 

エヴァンスクハイヴを陥落させた後、ソ連軍はその勢いのままヴェルホヤンスクハイヴへと歩を進めた

 

この頃からソ連は本格的に日本との関係改善を進め始めた。民意が西側から離れている現在、どんな手を使ってでも東側へと編入させようと考えていた為である

今や世界二位の経済国であり、世界を手中に収めている鈴木重工を手に入れた陣営が、戦後の勝者として成り上がれると踏んだ為である

 

11月14日

アラスカからのAT部隊第5陣がオホーツク海より上陸、エヴァンスクハイヴ攻略後の部隊と合流後、目と鼻の先であるヴェルホヤンスクハイヴへと向かう

 

11月16日

エヴァンスクとは違い、戦車級が降り積もる雪を食べて除雪しているのが発見されるも、この日は40mの積雪が観測される程の異常気象であった為、戦車級が埋もれていくのが観測される

この日から大規模な寒波が到来する事が予見された為、ヴェルホヤンスクハイヴ攻略の為の除雪作業兼掃討作戦が開始される

 

11月20日

積雪内に未だ動けるBETAが散見する為に排除しながらの除雪となり、結果的に横坑入口を見つけるのに時間がかかった

この頃、ソ連は日本との関係改善の為に何度か協議を行い、オホーツクの沿岸のみでの国際交流と言う名の商売を許可した

 

無論、日本側にとってはそんな物を出されても、民間人や民間企業を向かわせる訳にも行かない。かと言って護衛で駆逐艦など出せば撃沈されても文句は言えない

悩みに悩んでいた所、浪漫の為と言って鈴木重工が財閥まで巻き込んで作らせて一方的に納入してきた、死蔵されているとある船の事を、1人の海軍将校が思い出した

 

─────────────────────

 

「押さないで押さないで!!数はありますから!!!」

 

『煙草をくれ!!それとコーヒーもだ!!そのケーキも!!!』

 

『ジャムだ!!ジャムをくれ!!チョコレートもだ!!』

 

オホーツク沿岸部。日本から2隻の船が流氷を叩き割ってやって来たと言う話は、即座に広まった

接岸当初こそ物好きやKGBがちらほらと覗く程度であったが、コーヒーと煙草の匂いに、大量の兵士が釣られた

コーヒーと煙草と軽食のセット(休憩の三竦み)を頼めば船内へと案内され、暖房の効いた食堂で一服出来る。そんな話まで広まれば、最早KGBの人間ですら止める事は出来なかった

 

現在のソ連では嗜好品どころか食料まで配給制である。合成タンパクで作られた食事は決して美味しい物とは言えず、辟易としながら流し込む毎日であった

そこにやってきたのは、天然物の珈琲豆を使った本物のコーヒーと、本物のタバコの葉を使った紙煙草を携え、

更には全て天然物で作られたケーキや軽食。砕氷船の中で今迄消費できなかった軍票が次々と吐き出されていく

 

やって来た2隻は間宮と伊良湖。軍艦でありながら戦闘能力の無い、所謂給糧艦であり、搭乗員は全員が帝国軍の兵士である

鈴木重信氏がいつか絶対必要になるからと言い、全額自社負担で財閥まで巻き込んで作らせて納入してきた死蔵品(これのせいで色んなご乱心企画やご乱心物品が通るようになった)

地震や台風と言った災害の時や、海軍パレード時の炊き出し等でしか使わない代物

死蔵されているだけだった代物が、こんな所で役に立っている。臨時艦長として抜擢された後藤は、その先見の明に感嘆の息を漏らす他無かった

 

3日間の国際交流を終えて給糧艦が離れる頃には、ソ連軍はヴェルホヤンスクハイヴを陥落させ、東シベリアを奪還せしめる功績を挙げていた

 

─────────────────────

 

11月21日

給糧艦によって士気が上がった事を確認した上層部は、この士気が下がる前にハイヴ攻略を行う事を決定する

更に、速攻をかける為にBETAを排除した種類と数によっては戦功褒賞(ボーナス)を出すとお触れ出し、士気の底上げを図る

機甲科とATのロケット弾による掃討の後、補給及び整備を終えた戦術機を投入。その後、掃討及び援護の為に補給を済ませた機甲科及びATを再度投入する

広場(ホール)にまで突入した戦術機が撤退を開始、進軍中の機甲科及びATに撤退を呼びかけるも、広場より現れたと思われる全高40m、全長60mはあろうと言う超大型突撃級が出現する

恐らくは除雪目的で製造されたと思われる突撃級であり、横坑へと突入した機甲科の砲撃を正面から受けても前面装甲を貫通する事は適わず、撤退を余儀無くされる

大型故動きは遅いと予測されていたがその予測は裏切られ、初速こそ遅いものの最大速度は時速240kmを記録し、一部ATと戦術機を除き、機甲科は壊滅した

大型故に旋回が遅い事に気が付いたATと戦術機が一斉に背後から攻撃、自らの退路を断ち切る結果となるものの撃破に成功

退路が断ち切られた為、ハイヴ攻略作戦が続行され、戦術機と極少数のATによる絶望的な戦闘が開始される

 

同日 16:18

ヴェルホヤンスクハイヴの活動停止が確認されるも、帰還機無し

横坑に突入した部隊全員には最高栄誉勲章が与えられ、家族には褒賞金及び年金の支払いが約束された

彼等は今も、ヴェルホヤンスクの地下深くで眠っている




希望の為に明日を見て 明日を掴む為に手を伸ばす
英雄よ その手に掴むは明日か希望か
否である 人間ならば2つを手にするのが常である
強欲な人間よ 明日と希望を掴むのだ

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

鉄原ハイヴ 侵攻

人間よ 強欲たれ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。