マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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スエズ運河。人類の汚点とも言われ、人類の美点とも言われ、人類発展の歴史を物語るのに欠かせないソレは、大量のATと大量の弾薬をもって防衛されていました
ここでは戦術機はあまり使われません。ATのオプション装備である30mm肩ガトリングを使って運河の中から間引きや駆除を行っている為です
光線級からも狙われない運河内での防衛は、いつしか鉄壁大連と並ぶ程の知名度を得ていました

─── AT博物館 スエズ運河で使われたATより抜粋 ───


スエズ運河奪還 1

2002年 1月20日

アフリカ縦断鉄道の建設が始まった頃、アメリカからの支援がモロッコ経由で到着する

この頃にはモロッコからエジプトまでの鉄道網が完全に整備されており、これを見たアフリカ連合は縦断鉄道建設へと踏み切った

エジプトを含む中東連合及び欧州連合は縦断鉄道支援の代わりにスエズ運河奪還への協力を要請。アフリカ連合はこれを快諾。アフリカ連合、中東連合、国連軍によるスエズ運河奪還、及びアンバールハイヴ攻略が開始される

 

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「で、コレなんすか」

 

「鈴木重工の開発した新型?装備だ。ロシアのカチューシャをモデルにしてる」

 

次々と運び込まれるロケット弾と、それを発射する為の粗雑とも言える鉄レール

光線級も迎撃出来ないような飽和攻撃を目的とした兵器であり、ATの機動性と組み合わせて縦横無尽に駆け回り、至る所からロケット弾の雨を降らせる為の物……らしい

 

発射機構とすら言い難い鉄レールの塊には、ATで取り外しをする為の持ち手まで付属している。戦地でもコレを使って取り外し補充が可能、と言う事らしい

 

「いやどう見てもソ連の使い古……」

 

「うおっほん!!!あまりそういう事は言うものじゃないぞ。一部にはそう言うのもあるらしい、と言う話だ」

 

確かに面制圧と言う観点において、これ程素晴らしい物は存在しないだろう。安い、強い、確実の三拍子は揃っている

だがいくらATに取り付けられるように改造したと言えど、余りにも不格好だし、これは頭上に有るロケット弾を発射したら耳鳴りがするのではなかろうか

実地試験は行っているとの事だが、コレは余りにもボトムズを軽視しているのではなかろうか

 

「じゃあ俺、肩ガト積んだので行きますんで……」

 

「二足歩行で使えんだろうに。それともアレを使うつもりか?」

 

上官が指差したのは下半身を無限軌道(キャタピラ)や4脚に改造されたスコープドッグである。地上でも30mm肩ガトリング使いたい、と言った要望に応えて作られた物であり、その安定感は確かな物であるものの、ケンタウロスやら人型戦車やら3発喰らったら爆発しそうやら好き放題言われているために不人気な機体である

 

現在はもっぱら重機として使われており、工兵の神様として崇められている

 

「でも今更カチューシャって、どんどん時代が逆行してません?機動兵器に付けるモンじゃないでしょう」

 

「バカを言え。機動兵器だからこそ付けるんだ。ほれ、出撃だぞ。掃討部隊が戻ってきた」

 

スエズ運河対岸の掃討を終えたスコープドッグが、大量の海水を垂れ流しながら戻ってくる。装甲が錆びないように真水で洗い流す作業が待っているものの、間引き及び殲滅の為の彼等が戻ってきた事は、ようやく溜め込んできた戦術機の出番である事を示していた

 

アンバールハイヴは間違い無く 攻略される

 

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同日 08:00

07:00より行っていた掃討が終了。対岸のBETA群の排除が完了した事を確認し、戦術機部隊による橋頭堡確保の後、地上部隊による侵攻が開始される

 

太平洋側1箇所(国連軍)、スエズ運河2箇所(アフリカ連合、中東連合、欧州連合)の3箇所からの同時侵攻を行い、BETA側の戦力の分散を狙いつつ、溜め込んできた戦術機及び衛士を一斉に投入して撃滅を図っている

 

この作戦は今後予定されている欧州奪還作戦において重要な意味を持つ為に士気も非常に高く、ATのロケット弾幕による飽和攻撃によって光線級からのレーザー照射を受けずに横坑まで到達。尚、この時点でロケット弾は2万発以上が使用されている

横坑内突入に際してATはカチューシャを取り外し、肩部70mmロケットランチャーへと換装。各軍は自らの有用性を示す為に躍起になりながら突入を開始した

 

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飽和攻撃。言うは易く行うは難し。要するに敵が対応し切れない程の弾幕を以て制圧する、ソ連お得意の戦術である

BETA相手にそれが通用しなかったのは、光線級が台頭し始めてからだ。正確には続々と迎撃されまくるから通用しないと言うシンプルな理由

 

『動け動け!!!!砂丘を盾にして動きまくれ!!!!動きながら撃ちまくれ!!!』

 

従来のカチューシャと光線級では確かに相性が悪かった。何せ密集ロケット弾幕を以て制圧をするのだから、1発でも迎撃されれば続々と誘爆する

だが今は違う。ATは動きながらロケット弾を斉射出来る。1機あたり16発のロケット弾が搭載されているコレは、未だ砂丘の残るアンバールで大活躍だ

 

『リロードだ!!!早くしろ!!!』

 

『了解。30秒待て』

 

今回投入されたATの数はおよそ3000機。その内の600機にカチューシャが装備されている

単純計算でも斉射による9600発の飽和弾幕は、光線級だけでなく、要撃級も要塞級も容赦無く打ち砕く

世界初の、BETAに対する機動兵器による飽和攻撃であった

 

『戦術機何やってる!!!さっさと身体出して予備照射受けてこい!!!』

 

『もうやってる。予備照射すら無いぞ。平地が穴だらけだ、BETAが均してた跡なんて残ってもいねえ』

 

この飽和攻撃は極めて効果的である事が確認された。転倒や引火炎上を除き、ほぼ無傷のまま各軍が横坑へと突入可能であった事実は、未だカチューシャと言うシンプルな兵器と、動きながら常に射撃を続ける間接射撃の強さを再確認させたのだ

 

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10:20

突如として地震が発生。報告にあった母艦級と断定し、各軍が防衛体制を取った所、突入した横坑全てに母艦級が出現。母艦級と多数のBETAによる奇襲を受けた為、足の速い戦術機が先行して大広間へと向かう事となった

2000機のATと数百両の機甲科による、大広間への撤退戦闘が開始される




故郷を求める者達の 祈りを込めた鎮魂歌(レクイエム)
轟音打ち鳴らすその祈りは 奴等(BETA)の身体を打ち砕く
砂丘を染める赤色は 奴等(BETA)の明日を示すのだろうか
人類はようやく 自らの戦い方へと戻りはじめている

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

スエズ運河奪還 2

全ては 強欲な己の為に
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