マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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あらゆる事には兆しが存在する


兆し

「───以上をもちまして、九條秀一、鈴木重信、両名による新年の挨拶とさせて頂きます」

 

「新年の挨拶御苦労。昨年から引き続き手厚い支援に感謝する。今後とも末永くよろしく頼むぞ」

 

「は……」

 

「煌武院悠陽の名の元に宴席を用意してある。皆と同じ場所で申し訳無いが、存分に堪能していってくれ」

 

「是非、お言葉に甘えさせて頂きます」

 

正座を崩して立ち上がる。足が悲鳴をあげるように痺れているのをなんとか悟られぬようにしながら、秀一の後に再度一礼して謁見の間を出る

廊下に出て少ししてから、ぶはぁ、と息を吐く。通称息抜き廊下と呼ばれるこの長い廊下でのみ、客人は息を抜く事が許される

 

「あまり比べるものじゃないが、やはり義弟の年始を見た後だと見劣りするな」

 

「格式で言えば此方が上ですよ、義兄上。と言うかウチにあんなにも来るのがおかしいのですが」

 

年始に鈴木の邸宅へ招かれれば大成する。いつからかそんな噂が流れはじめてはや数年。年々増えていく訪問者の数に辟易する一方で、煌武院家への挨拶は鈴木のオマケ、と考える者が出始めていた

 

仮にも最高権力者である煌武院を二の次とするその考えに、当初こそ五摂家だけでなく国会ですら問題となったが、武家衆及び斯衛のレンタル料として鈴木重工からかなりの額が煌武院家へと納付され、戦術機適性の無い武家衆がATによって活躍の場を得た事、BETAによる本土襲撃の際に徹底した京都防衛を行った事、最早世界はマッスルシリンダー無しではどうにもならない事、何よりも鈴木重工からの金が煌武院家の喉元を抑える形となった事がトドメとなり、表立って批判する者は最早存在しない

 

「次期政威大将軍は私が最も近いそうだ。私としては義弟の方が良いと思うのだが……どうだ?」

 

「御冗談を。今の身分ですら過分ですよ」

 

決して冗談には聞こえない義兄からの言葉をするりと躱し、誰かとすれ違う

別段ここですれ違うのは珍しい事では無い。だが何と言うか、今すれ違った人はかなり焦っていたように感じる

こちらに挨拶する事も無く歩き去っていく背中を見ながら、何処かで会ったかな?と考える

 

「御剣家の当主だな。義弟ならあそこの養子……冥夜の事は良く知っているだろう?」

 

「ええ。実直で真っ直ぐな良い子ですよ。……そんな子にあの死地を踏ませたんです。挨拶なんて無くて当然ですよ」

 

「武家の習い……と言いたいが、確かにあんな死地へと赴かせた男に挨拶はしたくないか。親心だな」

 

恐らくは見当はずれの話をしながら改めてネクタイを締め直し、大きく深呼吸してから宴会場へと入る

挨拶合戦に揉みくちゃにされながら、2人は最も上座に近い席へと案内された

 

─────────────────────

 

「重信様、先程は申し訳ありません。どうぞ一献」

 

「いえいえ、そちらの大事な娘を死地に追いやったのは私で御座います……ああこれはどうも」

 

甘酒を小さめの湯呑みへと注いで貰い、乾杯する。これはワガママで作って貰った物だが中々に美味しい。レシピ聞いておけば良かったかもしれない

しかし何か切羽詰まったような感じがヒシヒシと伝わる。何か煌武院家から言われたのだろうか

 

「……その、このような事を、この場で申し上げるのは非常に心苦しいのですが……」

 

あ、ヤバイ。こう言う人が言うこのような事って大抵ろくでもないやつだ。すげー切羽詰まってるの分かるのやめて貰えませんかね

と言うか今までもそうだけどこういう人の独特な雰囲気ってどうにかなりませんかね

 

「我が家の娘、御剣冥夜と婚姻を結んで頂けませんか」

 

「……理由をお聞かせください、何があったのでしょう?」

 

まあ正直、予想はしていた。と言うかこんな場所で話す事を許可されていると言う事は、煌武院家がそれを許可した、若しくは煌武院家が何かを考えていると言う事だろう

……こう言う政争に巻き込まれたく無かったんだけどなぁ

 

「何度か冥夜とお会いになったとも聞きました。悠陽様との謁見もなされた聡明な重信様ならご理解頂けると思いますが、冥夜と悠陽様は双子でございます。煌武院家は悠陽様を当主にする事を決定した為、冥夜を我が家に養子として出しました。……端的に言ってしまえば、煌武院家は重信様との繋がりを欲しています」

 

もし俺が原作であるオルタネイティヴを知らなければ、上手く騙されていただろう。実際には冥夜は死んだ事になっているし、その事を知ったのも悠陽が将軍になってからだ

そして、今回御剣家と死亡させた筈の冥夜を使ってでも、強引に九條家から力を削ぐ為の道具として活用しようとしている

……俺はこんな事のために、日本を、世界を救った訳じゃない

 

「私の隣でそのような事を話したと言う事は、元よりその話、通すつもりはありませんね?」

 

黙って隣で話を聞いていた秀一が、酒を飲み干して語る。その口元には笑みが張り付いており、内面では怒りが煮え滾っている事を物語っている

父純孝と違うのは、秀一はこうして内面に隠しておく事が多々ある事だろうか

 

「はい。冥夜は私の、私達の可愛い愛娘です。このような政争に巻き込む訳にはいきません。重信様、秀一様、お二人のお力をお貸しください」

 

……かなり面倒くさい事に巻き込まれた予感がする

 




Q.現在のプラモ事業は一体どこが?

A.EIKOが工場ごと買い取る形で事業拡大しました。なので鈴木重工製のプラモは高騰しています

Q.次の夏プラモは何が出るんですか?

A.欧州連合からの依頼でタイフーン(8000円)が出ます。そして工兵用ATとして無限軌道付き(3000円)、四足付き(3000円)、重装甲(3000円)のATと共に、両肩武装パック(1000円)が同時発売します
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