マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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新大陸への上陸。カナダを除いてBETAの侵攻を受けなかったアメリカに、突如としてやってきたBETA
東海岸の何処に上陸するのか、今までのBETAの習性や思考、更には海底レーダーからの情報で弾き出されたのは……ニューヨークでした
米国政府及び米軍はニューヨーク州に避難命令を発令、迅速な避難を促しましたが、既にBETAはニューヨーク州から100km地点にまで到達していました

─── AT博物館 BETA 米国上陸より抜粋 ───

※新年あけましておめでとうございます。これからもお楽しみ下さいませ


急襲

2002年 1月17日

米海軍第二艦隊にて大規模なインフルエンザパンデミックが発生

医療従事者を含む艦隊の8割が感染し、艦隊は機能不全となった

米国政府は第二艦隊の上陸禁止と隔離措置を決定し、医療物資等の支援を行って事態の沈静化を図った

この頃からリヨンハイヴの活動が活発化するも、欧州連合及び米国政府はライジングサンでの戦力回復と断定し、放置した

 

2002年 1月21日

アンバールハイヴ攻略の際に起こった中東、アフリカ、同連合による功績争いに対しての国際裁判を行う為の準備中、リヨンハイヴから師団規模のBETAがアメリカ大陸へと向かっている事が衛星からの映像によって発覚

第二艦隊が依然として機能不全である事から対応が出来ず、師団規模がそのままニューヨーク州へと向かって侵攻を開始した

米国政府はニューヨーク州へと避難命令を出し、州軍にも協力を仰いだ

 

2002年 1月22日

米国内に残っていた最後の恭順派がリンカーン・トンネル及びホーランド・トンネル内にて自爆テロを敢行

両トンネルは使用不能となり、残る最後の橋へと民間人が殺到した

第2艦隊が機能不全である為にBETAの間引きが叶わず、市民の避難もパニックとによって思うように進まず、ニューヨーク州在住者の約8割が未だ脱出出来て居ない状況が発生。更には民兵と州軍が意見と指揮系統の違いによって衝突し、米軍が和解を提案する事態に発展した

 

2002年 1月23日 04:25

BETA師団がニューヨーク州へと上陸を開始する。民兵、州軍、米陸軍による殲滅戦が開始される

ATを大量に使用する民兵と歩兵を主体とした州軍、機甲科による砲撃を主とした米軍によって当初こそ戦況を優位に進めたものの、死体が重なった事によって砲撃が防がれ、州軍が被害を受け後退

民兵が何とか戦線を支えるも砲撃範囲と重なり、民兵も後退

精密爆撃による爆撃支援やAC130による航空支援を行うも制圧力が足りず、大量の民間人が残っている市街地へとBETAが雪崩込んだ

 

06:00

米軍戦術機部隊が到着。この時点で脱出できなかった市民の3割が死亡している

ワシントンD.C.から最新鋭のF22Aが投入され、初の対BETA戦闘に突入する

大統領決定により、ワシントンD.C.防衛の為に集められた戦力のほぼ全てをニューヨーク防衛に投入、本格的な防衛戦へと移行した

 

09:12

市街地へと入ったBETAの第一波掃討を完了する。かつてのニューヨークの面影は最早見る影も無く、この時点で脱出できなかった市民の5割が死亡している

日本のような耐震設計等をしていないビル群は120mm(戦車砲)の爆風やBETAや戦術機の重さに耐えられず崩落。地下へと避難した人達ごと押し潰し、シェルターを生き埋め現場へと変えた

 

11:26

第ニ波を警戒し、コネチカット州軍やメリーランド州軍のAT、戦術機部隊が展開されはじめる

予想されていた事態よりも早く投入される結果となるものの、残った橋には未だ大量の市民が残っていたため、州軍投入の際にも民間人が避難しようとパニックになり、結果として両州軍の展開が遅延する

 

─────────────────────

 

『押さないで下さい!!押さないで!!!女性と子供が先です!!!歩ける人は歩道を歩いて!!!バスは次々来ます!!!』

 

「ふざけんな!!!!俺が先だろうが!!!」

 

「子供が居るのよ!!お願い先に通して!!!」

 

酷いものだ。メインの市街地が破壊され、それまで略奪を繰り返していた連中が蹂躙され、ニューヨークを拠点としていたギャング共は頭から貪られ、必死に市街地を守ろうとしていた民兵は砲兵によって蹴散らされた

それどころかロクな耐震設計もしていないビルは戦闘によって早々に崩壊。シェルターを使っていた者達を生き埋めにし、甚大な被害を生み出した

対岸では報道陣が対岸の火事として報道を続けている。船を出さないのは、船を出すと避難民が殺到するからだろう

 

「避難しなくて良いんですか?」

 

隣に立った若者は、そう言って私にカップに入ったコーヒーを差し出してくれた。まだ湯気の立つソレを受け取り1口飲み、私は白い息を吐く

 

「そう言う君はどうなのかね。こんな初老よりも君のような人間が生き延びるべきだろう」

 

「あそこに居た方が死ぬ確率は高いでしょうね。圧死か、射殺か、強盗による殺人か。それならまだ軍が固めてるここら辺でたむろしてた方がマシだ」

 

随分と冷静に見ている青年であった。このビルを挟んで砲撃音や崩落音が鳴り響いて居なければ、素晴らしい判断とも言えただろう

もう直ぐここにも奴等は到達する。それは変えられない運命だし、人の手で変える事も出来ないだろう

恭順派の連中に習うようで癪だが、仮にトンネルが使えたとしてもこの運命は変えられない

 

「人はいつか死ぬ。それが今日なだけだよ」

 

「……そうですね。死は避けられない。俺も死ぬし、貴方も死ぬ。みんないつか死ぬ」

 

諦めの言葉であった。だがその目に、私は希望の灯を見た

後にこの初老の男性はこう述懐した。そして、後に続く言葉に、胸を打たれたと言う

 

「───だが今日じゃない」

 

轟音。海から聞こえたソレは、ニューヨーク市街地全域に響いた。誰もが耳を押さえ、身をかがめる中、その若者だけは凛と立ったまま、無線機を手に取っていた

 

「遅いぞ、ニュージャージーはご機嫌ナナメだったか?」

 

『勘弁して下さい、これでも徹夜で整備しまくったんですよ!!』

 

それは、アメリカが未だ世界一であると言う証明であり、かつての英雄達の最後の華であった

 

─────────────────────

12:00

アイオワ級戦艦2番艦 ニュージャージーがニューヨーク沖へと到着する

元軍人を中心として独自の判断で運用された為、防衛戦後、ニュージャージー搭乗員は全員が逮捕された

が、後に大統領からの命令書が大統領自身の手で発表され全員が無罪放免、全員に国防功労勲章が授与された

ニュージャージーを使う事を計画したのは1人の海軍兵だったと言われているが、その者について口を開く者は1人も居なかったと言う




這い上がり 這い上がり その先に何があると言うのか
過去の栄光か 自らの体面か 国際的評価か
否 そんな物は存在しない そこにあるのはただ1つ
アメリカと言う魂だけだ

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

リヨンハイヴ 侵攻

世界よとくと見よ これこそがアメリカの魂だ
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