マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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望外の増援、凄乃皇 四型が衛星軌道から降りてくる。その報告を聞いた米軍と国連軍は喜びのあまり踊り出しそうになるのをぐっと堪えたと言います
凄乃皇が片方でも抑えてくれればぐっと楽になる。問題はこの二正面でどちらを抑えさせるか、が問題となりました
米国からみれば国民感情を鑑みてスペインを押さえ、早々に撤退したい。国連からみればブタペストからをどうにかしつつ米国を巻き込みたい。両者の議論は平行線となり、結論は出ず、凄乃皇 四型に任せる、と言う結論に落ち着いてしまいました

─── AT博物館 リヨンハイヴ攻略より抜粋 ───


攻防

2002年 2月2日 19:20

凄乃皇四型が防衛陣地へと着陸。鈴木重工新型戦術機2機は破壊した戦術機から跳躍装置を拝借し、換装を完了する

推定第1波と防衛部隊が接敵。絨毯爆撃や艦載ミサイルによって撃退するも、重光線級による照射によって航空部隊は撤退を余儀なくされ、継続的な火力支援が不可能となる

凄乃皇四型及び直掩機である新型戦術機2機がスペイン方面からやってくるBETAへの対処に当たり、国連軍と米軍は1部部隊を凄乃皇四型の援護に回し、残存戦力は全てブタペストハイヴからの対応に当てる事とした

 

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『うっわ凄い数……アレだけの数を資源採集の為に使ってたなんて信じらんない』

 

戦術機からは見えないが、どうやら凄乃皇からは見えているらしい愚痴が飛んできた。どうやら相当数がスペイン方面からやって来ているらしく、何本かのレーザーが凄乃皇のラザフォート場を貫けずに霧散している

 

『俺達だけでもレーザーヤークト出来るが、やった方が良いか?』

 

『いえ、良いわ。荷電粒子砲じゃないからラザフォード場も乱れないし……それに、実はもう射程内なの』

 

瞬間、閃光が走る。120mmレールガンによる掃射が始まったのだと理解するのに時間はいらず、空気を切り裂くプラズマの音が、コクピットの中だと言うのに聞こえてくる

恐ろしい。その光景を見た枢木から出た言葉は、人類と言う物の恐ろしさを口に出していたのだ

 

《パイロット。呆けている場合ではありません。戦車級が抜けてきます。対処をしましょう》

 

「そうだなBT、ありがとう」

 

枢木に真っ先に声をかけたのは超高性能AIであった。此方側に割かれた味方部隊がその威力に一瞬呆然とするのを横目に、BTと呼ばれたAIは既に突破してきた敵の姿を捉えている

凄乃皇のチェーンガンが火を吹き、大量のミサイルが放たれて行く。それでも処理し切れないBETAを自分達戦術機が処理していく

 

『枢木、無理はしなくて良いぞ。味方部隊と連携しつつ排除すれば良い』

 

「了解」

 

抜けてくるBETAの数は少なすぎると言っても良い。凄乃皇の化け物のような殲滅力が発揮され尽くしている戦場だ。補給を終えた味方艦隊や航空部隊による更なる殲滅が始まれば、最早スペインは奪還したと言っても過言では無いだろう

これが本調子では無いと言うのだから末恐ろしい。オリジナルハイヴ攻略時はどれだけの殲滅力を発揮していたのか想像すら出来ない

 

『これで第1波は終わりね。残敵掃討お願い』

 

さも当たり前と言わんばかりに。残ったのは多数の肉塊と、その中からでも何とか動こうとしている瀕死のBETAだけであった

もしこれが荷電粒子砲だったら?恐らくは1射で終わっていただろう。だが今後を考えればクレーターを作る程のソレを使う事は躊躇われるだろう

蠢く最後の一匹にトドメを刺し、枢木の視線は遠く広がるスペインの地を眺めていた

 

─────────────────────

20:41

スペイン側からの攻勢を凄乃皇四型により完全に防ぎ切れる報告が入った為、国連及び米軍は残存戦力の全てをブタペストハイヴ側へと向ける

ここで、ようやく事態の収拾を完了した欧州連合の援軍と司令官がドーバー海峡を渡り、ブタペストハイヴ方面のBETAの横っ面へと殴り込み、陽動に成功する

これにより負担が相応に減りはしたものの、この時から国連軍と米軍の弾薬が枯渇しはじめる

 

22:00

米軍、国連軍、両軍共に弾薬枯渇。凄乃皇四型が両軍防衛陣地へと到着、戦闘を開始

欧州連合軍が凄乃皇四型の抜けたスペイン側の穴を埋める形となるも、此方も弾薬等は最低限しか持ってきて居らず、分ける程の量が存在しなかった

後に【中世のような防衛戦】と評される戦いが、幕を開けた

 

─────────────────────

 

『弾切れだ!!誰か持って無いのか!?』

『バラ撒くな!!全部きちんと狙って撃て!!小型はATに任せろ!!』

『こっちも弾切れだ!!全機着剣!!!三枚におろしてやれ!!!』

『凄乃皇を守れ!!近寄らせるな!!!!』

『突撃ー!!!!』

 

軍勢と軍勢のぶつかり合い。相手が異形で無ければ壮観な絵面である事に違いは無い

XM3が役に立っているのか、それとも純粋な技量か。要撃級をバラバラに切り裂き、突撃級は速度が上がる前に戦術機に取りつかれ、ハリネズミのように剣を突き立てられる

凄乃皇の第四射による掃討まで時間を稼ぐ為に、皆前のめりに死んでいく

 

《突撃砲残弾無し 命中率73% 素晴らしい腕前ですパイロット。要塞級は98式近接長刀で三枚におろしましょう》

 

「簡単に言うなよBT!!それ出来るのは白銀さん(化け物)位だぞ!!」

 

《パイロット、貴方が2人目になります》

 

「ああそうかい!!」

 

突撃砲(デッドウェイト)を捨て身軽になり、長刀を高速振動させながら突進する。先程の訓練が生かされているのか、それともAIの補助が的確なのか分からないが、まるでスローモーションのように見える敵の動きを避けて接近する

衝角が目の前に迫るのをギリギリで避けると、表面装甲が削れる音がする。ジョン・ドゥのような細身であれば避けられただろう、なんて考えを頭の隅に追いやり、一気に肉薄する

 

《豪快に行きましょう》

 

考えがAI(BT)とシンクロする感覚。要塞級を下から切り上げ、左右真っ二つに割いていく

機体がBETAの血液塗れになるのも気にせず、跳躍装置の出力を上げ、真っ二つに切り裂いて

目の前に現れた美しい星空に少しだけ見惚れて、意識を眼下に戻す

───地獄はまだ始まったばかりだ




命の底値 地獄の戦場 仕組まれた混沌
つい先程殺した男が 地獄を見ながら腹を抱える
漆黒とも言える闇の中 響き渡るのは悲鳴か 雄叫びか

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

朝陽

明けぬ地獄は無く 明けぬ夜は無い
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