マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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中世のような防衛戦と呼ばれるこの戦闘は、戦術機とATがBETAと近接戦を繰り広げ続け、戦術機とATの損耗率は脅威の70%を記録する程でした
その中でもジャックは駆動時間の長さを生かして戦闘を続けましたが、パイロットの疲労が問題となり、これの改善の為に更なるAIの研究が進むこととなります
そして朝陽が地平線から差し込み、皆の疲労がピークに差し掛かった時。希望がやってきたのです

─── AT博物館 リヨンハイヴ攻略より抜粋 ───


朝陽

2002年 2月2日 23:59

国連軍 米軍 戦術機及びATの損耗率 31%

 

欧州連合が空爆を実行しようとするも光線級による対空警戒によって頓挫

軌道爆撃の再開及び凄乃皇四型による掃射によって一時的に凌ぎ、衛星軌道より補給が開始されるも、戦車砲、自走砲、野砲の弾薬を優先した為、戦術機及びATの弾薬不足は解消せず

無補給のまま戦闘再開

 

2月3日 01:20

国連軍 米軍 戦術機及びATの損耗率 40%

 

この時間から牽引砲を率いていたATまでもが駆り出される。長時間の戦闘によって催眠及び薬物によるブーストが切れ始め、数秒の気絶をする衛士とボトムズが続出、そのカバーの為に更にブーストをかける事態となる

凄乃皇四型の搭載弾薬が弾切れを始めた為、脱出出来た衛士を格納しはじめる

 

02:33

国連軍 米軍 戦術機及びATの損耗率 48%

 

凄乃皇四型の弾薬枯渇。ラザフォート場に全神経を集中し、戦術機のカバーへと回る

軌道爆撃の再度実行を行うも光線級による迎撃により威力が4分の1にまで減少。これをカバーする為に戦術機とATが奮戦。モロッコからの補給物資が到着するも、ATが居ない為に開封に時間がかかり、被害が拡大する

 

03:41

国連軍 米軍 戦術機及びATの損耗率───

 

『おい!!応答しろ!!!踏ん張れ!!!』

『何でこんなにも来るんだ!!!砲撃が少ないぞ!!!』

『レーザーヤークトに行った連中が戻ってこない!!!撃ち落とされたんだ!!!』

『畜生!!!死んでたまるか、死んでたま───』

『一機やられた!!おいスコタコ!!!早く助けろよ!!!!』

『こっちの手を離したら後ろの砲撃すら無くなるんだぞ!?!?』

 

地獄だ。地獄が広がっている。化生(けしょう)の連中に対して善戦してると言えど、我等は人。抗う術など無いに等しいのだ

だと言うのに、この無機物な高性能AIはそれを許さない

 

《パイロット、158体目の要撃級を撃破です。おめでとうございます》

 

「ああクソ、やめてくれBT……!!気が変になりそうだ!!!!」

 

《パイロット、既に通常の精神状態からは逸脱しています》

 

『枢木、安心しろ……俺ももう限界が近い……』

 

「白銀さん!!帰らないと純夏さんが悲しみますよ!!!」

 

『ああそうだ……純夏、必ず帰るからな……!!!』

 

ジャックの試験報告。他戦術機と違い、圧倒的な機動性及び長時間の稼働が可能であるものの、それ故に衛士への負担が大きい

既に戦闘時間は12時間を経過しており、一部戦術機では燃料電池の交換を行なわねばならなくなっている

それに対し、ジャック(ジョン・ドゥ)はマッスルシリンダー特有の100時間以上の駆動時間を確保している事により、戦場において素晴らしい継戦能力を誇っている

上記の事から、BTのような超高性能AI単独による使用を推奨するものである。指示を行うのは現場指揮官か司令部に頼れば良いと思われ───

 

《パイロット!!!》

 

「ッ!?気絶してた!?時間は!?!?」

 

《2秒です。申し訳ありません、もう少し寝かせておきたかったのですが》

 

「いや、今は良い。ありがとう、BT」

 

《そうですか。では報告します。現在、国連軍、米軍の戦術機及びATの損耗率が55%を超えました》

 

最悪の報告を最悪のタイミングでされた気分だ。興奮剤を噛み砕き、アドレナリンを強制的に出しながら、俺は刀を握り直した

 

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05:18

国連軍 米軍 戦術機及びATの損耗率 67%

BETAの攻勢が弱まり、補給がなんとか行き届くも疲労困憊の末にBETAによって戦術機やATが貪られる事態が多発する

また、砲撃部隊の砲身が過酷な使用に耐え切れず、摩耗のしすぎて使用不可能となり始める

 

同時刻、マルセイユより上陸したアフリカ連合、中東連合の部隊による援護が開始され、被害を出しながらもレーザーヤークトを完遂

この報告を受け、待機中だった欧州連合による空爆が開始される

 

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「恩を売る、ですか?」

 

「ええ、国連と米国に。今や我々はBETAと恭順派を除いて人類の敵と言っても過言では無い。ですが今ならそれを覆せる」

 

世界から見放されたと言っても過言では無いこの2つの連合は、眼前で起こっている大苦戦に援軍を出し、なんとか現状を変えようと考えていた

もしこのままBETAとの戦争が終われば、次に討伐されるのは自分達である。少なくとも両陣営のトップ層はそう考えていた

だからこそ利害が一致した。即座に両陣営はコンタクトを取り、この絶好の機会を逃さぬ為に早々に援軍を送りつつ、絶対に同士討ちなどさせないように確約を交わしていた

 

「ですが、我々の参戦要請は拒否されましたよ?そんな手前送るのですか?」

 

「我々は人道的見地から援軍を出したのである。其方の戦果は関係無い……これで通せば民意は取れるでしょう。少なくとも」

 

「……綺麗事は万国共通、ですか。良いでしょう、そもそも乗るしか無い話なのですから」

 

この時、両陣営にとって良かった事は、お互いが以前の遺恨をどうにかして飲み込めるような代表であった事だろう

それ程までに世界からの批判が怖かったと言う点もあるだろうが、それ以上に自らがこの地位にしがみつく為になんでもやると言う権力欲が、人類にとって良い働きをした結果となった

 

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06:00

四陣営によるBETA侵攻防衛が完了、リヨンハイヴは完全攻略され、人類の前線は大きく押し上げられる形となり、人類は地球奪還の為の大きな1歩を踏み出した




人が人である為に どれだけの犠牲を払えば良いのか
何十 何百 何千 何万
それすら越えて何億と言う犠牲を出して 人は人足り得るのか
明日の為に出した犠牲に 人はどれだけ向き合えるのだろう

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

計画

人足り得る為に 己は明日を見るのだ
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