マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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鈴木重信氏が政界には入らないと宣言する為の記者会見を行っている最中、それは起こりました
襲撃者は帝国軍の兵士、会場の警備を請け負っていた帝国陸軍兵士が突然銃を抜き、重信氏に発砲したのです
幸いにも重信氏の隣に控えていた直属の護衛が銃を抜いた瞬間に重信氏を庇い、重信氏は怪我を負う事もありませんでした
襲撃者の言い分は、鈴木重信は将軍家を蔑ろにしていると言う身勝手なものでした

─── AT博物館 鈴木重信暗殺未遂事件より抜粋 ───


鈴木重信 暗殺未遂事件

2002年 2月3日

 

「昨今巷を騒がせ、殺人事件やBETAの戦局報道よりも時間の割かれている私の政界進出の話ですが……」

 

記者団からくすくすと笑いが漏れる。それすらも折込済みなのか、重信氏の会見はこうして和やかに進むことが多い

かく言うのも、彼は聞けば答えるし、本当に言ったらまずいことは、口止めされてるから……で濁すのだ

香月博士の妊娠について聞いた時は、あまりの狼狽えぶりに記者団全員が苦笑いをしたものだ

そんな事は横に置き、今は壇上に立つ彼の言葉を1字1句聞き逃さないのが重要だ

 

「私は政界に出るつもりは一切御座いません。まるで政界に出るつもりがある、と言うような物言いをして混乱を生み出した事を、ここに平にお詫び申し上げます」

 

『何故政界に出ないのでしょうか?国民の多くは出馬を期待していたようですが』

 

「私が政界に行って引っ掻き回すよりもこのポジションで好き勝手……げふんげふん、専門の方々に任せた方が良いからですよ」

 

鈴木重信と言う男はユーモアを欠かさない。本心からそんな事をしているのかは分からないが、人懐っこいその性格を利用されて騙されたりしなかったのか、と言う感想が真っ先に出てくるのは、政治畑の人間の感想なのだろうか

質問は続き、彼はユーモアを交えながら答える。支持する議員は誰だとか、鈴木グループとして誰かのスポンサーにならないのか、尋ねてきた人で誰が1番好印象だったかなどなど。そのどれにもきちんと答える辺り、律儀な人間である

 

そんな折、視界の端で兵士が動いた。会場の警備を行っている帝国陸軍の兵士が銃を抜いたのだ

青天の霹靂だった。既に安全装置の外されているソレが重信氏を捉えた瞬間、直属の護衛が重信氏を庇い、銃弾は護衛の防弾プレートに吸い込まれるように撃ち込まれたのだ

乾いた火薬の音が7回響き、最初の一発と最後の一発だけが護衛に当たり、残りは全てが壁に当たった

 

『確保!!!!』

 

会場は騒然となった。政界進出だとかそんな話がどうにでもなる程の出来事に、重信氏の護衛は即座に重信氏をバックヤードへと連れ出し、数名が襲撃者を取り押さえた

襲撃者は将軍を蔑ろにする国賊だの、金で成り上がっただのと喚き立てているのを他所目に、自分は別の事を考えていた

どうやら、もっと凄い事をスクープ出来るらしい

 

─────────────────────

 

重信氏 発砲される

15時からのワイドショーは全てがそれ1色であった。元々あったニュース番組は全て特番に差し替えられ、コメンテーター達は大急ぎでやって来たのか、カッターシャツがよれよれであったり、1部では大物投資家が番組に登場していた

内容は様々で、株価の変動から始まり帝国軍への批判が混ざったり、この様な事が起こるのであればやはり政界入りを果たし、帝国を再編すべきだったりと口々に言い合っている

 

『今回の暗殺未遂は帝国軍と言う存在に不信感を与える結果となっています。恐らくですが襲撃者の所属していた部隊は早々に解散、上官は腹を切らねばならないでしょう……』

『彩峰中将の事件以後、鈴木重工に頭の上がらなかった帝国陸軍が業を煮やした、とも捉えられますね。こんな事を起こしたのなら、もしかすると人事再編も有り得ます……』

『鈴木重工の新製品展示会も無期限の延期が決定しました。まさか身内から撃たれるとは思ってもいなかったのでしょう……』

『現場には海外メディアも多数入っていた為、国外でも放送され……』

『今警視庁と軍がどちらの管轄でやるかを揉めに揉めており……』

 

酷い物だ。怪我や生死に関わらねばこのような言論ばかり出てくるのだから

重信は護衛と共に横浜基地へと入っていた。撃たれた護衛の治療も兼ねてではあるが、現状、国内で2番目に安全な場所な為である

国連軍横浜基地は重信の身柄を一時国連軍にて保護すると表明し、帝国軍及び日本への牽制とした

 

この報告を受けた各国は、世界的功労者である重信を暗殺しようとすると言う事を強く批判すると共に、日本の歪な政治体制を批判、今回の事件を起こした原因を、西にも東にも付かない政治のせいとし、どうにかして自らの陣営に引き摺りこもうと言う魂胆が明け透けに見える程の批判を繰り返し、同時に重信の身柄を引き取る打診までし始める始末である

 

本来であれば日本の政治側も帝国軍を批判しなければならないのだが、この各国の横暴とも言える批判に対して対応せざるを得なくなり、結果として帝国軍への批判は出来なかったものの、帝国軍や斯衛の再編、更には将軍と言う権力体制について考えざるを得ない事態にまで発展しはじめており、年始から激動続きの日本にとって、内乱の兆しまで出始めた事に、多くの者が頭を抱えた

 

─────────────────────

 

「なんか……大変な事になってるな……」

 

「この短期間で2回目を聞くのはどうかと思うわよ」

 

国連軍横浜基地。帝国軍から撃たれたと言う事で重信を保護した横浜基地では、現在厳戒態勢が敷かれている

敷地内では24時間体制でATと戦術機が警戒を続け、守衛には警告を受けて止まらない者は射殺して良い許可まで出ている程だ

 

重信自身は家族の事もある為自宅へと戻ろうとしたものの、五摂家が命をかけて守ると言う事を伝えてきた為、護衛部隊と共に最も近く、信頼のおける場所に避難せざるを得なくなったのだ

弾丸を受けた護衛は現在治療を受けてはいるものの、全て防弾プレートで防いだお陰で打撲程度の軽傷で済んでいるらしい

 

「二度あることは三度……」

 

「止めて。今度は私まで巻き込まれそうだわ……それで?解決策は考えてるの?」

 

「流石に今回は無い。いや本当に」

 

なんだかんだ上手くやってきたつもりだった。だからこそこんな事態になるとは思ってもみなかった

差し出されたコーヒーを飲みながら、重信は大きくため息を着く事しか出来なかった

 




Q.コレやばくなぁい???

A.欧州奪還と同時期だからやばいわよ!!

Q.帝国軍はこれからどう動くのだ……!?

A.陸海空(頭を抱える)

Q.事件発生直後に何人か詰め腹切ってませんよね??

A.(まだ切って)ないです。でも何だか富士の方が騒がしそうかも……?
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