マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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ここまで破竹の勢いで進撃を続けた人類は、1度足を止めざるを得なくなりました
と言うのも、一気に前線を押し上げたが為に、補給計画や防衛計画の大幅な見直し、奪還地域のBETAの掃討、奪還地域への帰国処理、自然環境再生計画……やる事は山積みになり、各国はその足を止め、ようやく後ろに目を向ける事が出来るようになったのです
これに反発したのはインドを含む亜大陸でしたが、国連及び大東亜連合からの説得により、渋々彼等は頷きました

─── AT博物館 後方整備計画より抜粋 ───


計画

『欧州の復興が先でしょう。スペイン、ポルトガルは現在大量の人員がアフリカから戻ってきて居るのですよ?』

『ですからソレをするにしても、先ずは土地の除染が先だと言っているんです。重金属を含んだ土壌を再生せねば……』

『それよりも作業員達の住居でしょう。いつまでも国連に頼っているようでは……』

 

会議は踊る、されど進まず。一体何処で聞いたのやら、この言葉は正に現状に相応しかった。アメリカ大統領は頭を抱えそうになるのを必死に我慢し、彼等の言い分を聞く

 

人類はスペイン、ポルトガル、朝鮮半島、サウジアラビア等々……ライジングサン以降、ハイペースで奪還を繰り返してきた

そして今、そのツケが回ってきている。欧州の現場では中東アフリカ連合の兵士と欧州アメリカ国連の兵士達が揉め続け、作業すらろくに進まず、朝鮮半島を取り戻した大東亜は、日本からの支援が防衛支援のみである為復興出来なくなっていた

 

それだけならまだしも、奪還した土地をどうするかで揉めに揉めている。当たり前だが、国家として復活させるにせよ、開拓地にするにせよ、それまでにかかった金を何処の誰が負担するか、と言う話も出てくるのだ

奪い返した場所に国庫など無く、あるのはBETAによって均された荒地のみ。それどころかまだ無事な国家から無限に資材を持っていく開拓場所に成り下がり、その支援は最低でも20年以上費やさなければならない、と言う試算が出る程だ

 

「鈴木グループの代表が撃たれました!!!やったのは帝国軍です!!!代表は護衛に守られて無事ですが、現在国連軍が保護しています!!!」

 

弱り目に祟り目。泣きっ面に蜂。議場に持ち込まれたその報告は更に会議を踊る為の追加楽曲となった

代表を抱き込めればこう言った予算問題も解決するのでは、いやいや日本をそもそも陣営に取り込めば……

会議は更なる踊りを見せ、前に進む事は無かった

 

─────────────────────

 

「おいおい、アフリカのくっせえ臭いがして飯が食えねえよ」

 

「ホントホント、ただでさえ不味い飯がもっと不味くなる」

 

「オイルマネーが捻出出来なくなって擦り寄ってきた連中が何か言ってるぞ?」

 

「砂で焼けた臭いが鼻につく。そっちこそ離れてくれ」

 

「おーおー、味方殺し共は随分と仲がいいな」

 

「ほんとほんと、約束も守れない連中は後ろから撃ち合うのが得意なんだろ」

 

食事の時間ですらコレだ。各国の糧食班は地獄のような忙しさを緩和する為に協力しあっていると言うのに、現場ではそれは通じないらしい

前線では一触即発状態が常に続いている。人間達の間で。何故か?と聞かれれば答えは明白、裏切者である2つの連合に助けられた事が上げられるだろう

 

打算に打算を重ね、恩を仇で返す連中は信用出来ない……現場での評価は底値と言っても過言では無く、もっと早く助けに来れたのに、味方殺しは信用出来ない、様々な文句が出ては上官達が諌める結果となっている

その上官達の諌め方も問題であるのだが。欧州連合や米国は強く注意する事は無く、寧ろ煽るように注意するのだ

アフリカや中東連合も自分達が来なければ滅んでいた癖に、なんて言い方をするので仲は悪くなるばかり

 

何処にも余裕が無いのが、一触即発状態の一番の理由だろう。欧州連合は下手人である恭順派のパイロットの頭だけでも確保しようとしたが、手榴弾を使って頭ごと自決していた為出来ず、リヨンハイヴを制圧した米国は当面の危機が去った事から戦費を出し惜しみ、やって来たアフリカと中東の両連合は人道的だのとのたまって帰る気すら無い

 

上層部の混乱が現場にまで届いているのだからどうしようもない。深く溜め息をつく暇も無く、乱闘騒ぎが始まった野次馬の声に反応して現場へと向かう

 

「テメエこの野郎!!!さっきから聞いてれば好き放題言いやがって!!!俺達が来なかったらてめえら全滅してただろうが!!!」

 

「お前らがもっと早く来たらアレックスは死ななかったんだよ!!!それとも何か?味方殺しのお前らには味方が死ぬのは当たり前か?」

 

ぶっ殺してやる!!!なんて掛け声と共に殴り合いが始まる。米国と中東連合の兵士らしく、周りのヤジも酷いものだ

少しばかり眺めているのも良いか、なんて考えはすぐに打ち消された。なんとお互いナイフを取り出し、相手に向けたのだ

 

「何をしとるか貴様ら!!!格闘訓練がそんなにしたいか!!!したいなら───」

 

間に割って入り、諌める為に声を荒らげた瞬間、腹部に冷たい物が突き刺さった

 

─────────────────────

 

2002年 2月 28日

各国が欧州やアジアの防衛、並びに亜大陸の奪還を話し合う中、欧州戦線にて、アフリカ連合の兵士が欧州連合の士官をナイフで刺す、殺害未遂事件が発生する

当該兵士は即座に取り押さえられたものの、アフリカ連合は現場での事件として片付け、欧州連合はアフリカ連合からの謝罪が無い事を痛烈に批判。イギリスでは再度アフリカを制圧するべしと言う声まで出始める程であった

米国及び国連による仲裁があったものの、両連合の仲は更に険悪化、人々は欧州と言う大地を前にして、人間同士の戦争を始めようとしていた




余裕が余暇を産み 余暇が他者を見る目を産む
明日すら分からぬ今日ならば 争う事すら不毛であった
だが 他者を見る目が産まれた時 人は争う事を選択する
例えそれが どれだけ愚かであろうとも

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

戦争

人は どれ程愚かであるべきか
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