マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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アメリカで問題になっている違法バトリングの事は知っているでしょうか?
アメリカにはATを輸出しない。戦術機至上主義であった事や、産業を崩壊させる恐れのあったATは、アメリカとの取り決めによって、早々にアメリカ市場から締め出されました
ですが、アメリカ内戦の折に大統領を救出したダイビングビートルによって米国世論はATを取り扱えない事に対して一気に反発します
内戦終戦後、米国は日本との関係維持、並びに、鈴木グループとの関係維持の為、西海岸と東海岸にATの大規模生産拠点を作る事を許可、米国国内でのATの普及も許可する事としました
民間人でも簡単に手が届く二足歩行の汎用人型兵器。ATは一気に米国内へと普及していきます
そして、凶悪犯罪もATによって起こされる事となります

─── AT博物館 米国でのATより抜粋 ───


違法バトリング

今や米国内で各州に最低1つはあると言われる、違法ATバトリング会場

人々の狂気とも言える熱気、飛び散るPR液、シリンダーから漏れたオイルが地面に染み付き、会場内はえもいえぬ臭いが充満している

 

「今日はミズーリ州から来た前チャンピオンとウチ(アイオワ州)の現チャンピオンがやり合うんだ」

 

店先に堂々と違法バトリングの広告を掲示する、PR液スタンドの店主はケラケラと笑う

スタンドの裏にはAT用の整備工場まで完備されており、その中に佇む1機のATの胸部装甲には、3つの星が着けられている

 

「俺も選手の1人だったさ。ウォードッグって名前でやってたんだが、あんまりにもATの事が好きになってな。今じゃ整備どころか改造までウチでやるようになっちまった。お陰でアイオワ州の改造用工場って言えばウチが有名になるくらいさ」

 

店主は、飾ってあった1冊の雑誌を見せてくれた。米国内で出版されている、AT雑誌である

バトリングの為の改造や整備ならこの店、と言う一覧に大きく載っている店主は、何処か自慢げであった

そんな店主の元に舞い込んで来るのは、8割が通常整備やメンテナンスである。バトリング用の改造は、1割にも満たないと言う

 

「残りの1割はギャング連中用の改造だな。何をするかなんて知ったこっちゃねえが、俺の整備したAT使ってドンパチやってるのは聞いた事がある」

 

以前、この店主は銀行強盗の協力者として逮捕されかけた事がある。ギャングに依頼され、リミッター解除プログラムを施したATを売ったと言う事から、協力者とされたのだ

が、後に店主は釈放された。米国内におけるATが車と同義であるとされている為に、彼はあくまで改造を依頼されただけの業者であり、その使用責任はあくまで銀行強盗にある、とされたのだ

 

「リミッター解除プログラム自体は違法じゃねえ。元々鈴木重工だって仕込んでるんだからな。私有地ですりゃあバトリングだって違法じゃねえ。ま、それで賭けをする事が問題だからな」

 

ケラケラと笑う店主は、オイルに塗れた手で、依頼されたATの整備へと戻って行った

 

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「バトリングが何でこんなにも人気があるのか、だって?」

 

バトリング選手の1人にインタビューすると、彼は複雑な表情をしながら答えてくれた

彼はミズーリ州の元チャンピオン。ミズーリ州では敵無しと言われ、その圧倒的な強さから、わざわざ隣の州にまで遠征してきたのだ

 

「先ずは娯楽の無さだろうな。鈴木グループが色々ゲームだのなんだの出してるし、我が国でもそれに乗じて出しまくってるが、ヒリつくような娯楽が無いんだよ」

 

彼の本業は農家であり、昼間はトルーパーくんシリーズを使用して、大規模な畑を耕している

ATに乗り始めたのは害獣対策であり、バトリングの為では無いと言う

友人からバトリングに誘われ、それ以後、どっぷりと肩まで浸かっていったのだと言う

 

「大抵はそんなもんじゃないか?まあ、都会だとかギャング連中は違うんだろうが」

 

実は違法バトリングにも2種類存在する。ギャングが仕切るアングラな物と、自警団や州軍の一部が取り仕切る大々的な物だ

都会に行くほどギャングが仕切るアングラな物が多く、田舎に行くほど、その規模は大きくなる

警察の目が届かなかったり、黙認していたり、果ては州軍が練度向上と宣って開催したりする為だ

都会の小さな規模とは違い、最早1種の興行にまでなっているバトリングは大規模な会場の整備がされており、地元のテレビ局が中継をするような所まで存在する

 

「バトリングの為に都会からやって来る奴まで居るんだから、かなり入れ込んでると思うぜ」

 

都会でATの雑誌を見て、飛行機に乗って大規模な会場を見て、その中で行われるバトリングに魅了される者達は決して少なくない

では何故、正規のバトリングに参戦しないのか?

 

「正規のバトリングはラスベガスでしか認められてねえ。あっちはペイント銃も使わない、本当にただのATによる殴り合いだ」

 

そんなのはつまらないと吐き捨てる彼の目は、既に自分の愛機に向かっていた。そこにあったのは、ペイント弾の塗料が装甲の隙間に入り込んだ、装甲の薄くされたスコープドッグである

 

「今回の相手はチャビー。相手するには厳しいだろう。けどコイツならやれる」

 

短期決戦用に調整されているこのスコープドッグは、最高時速100kmは出るように改造されている。この速度と圧倒的な技量によって、彼はチャンピオンになった

同行しているメカニックが機体と武装の最終チェックを終え、バトリング用の30発マガジンを装填し、先程とは違う、少しばかり緊張した面持ちをしながら、会場へと入っていった

 

─────────────────────

 

「バトリングはとにかく歴史も浅く、ルールも様々です。正規のバトリングはAT同士の殴り合いで、あくまで賭け事の1種です。それ以上でも以下でもありません

正式大会でもそのルールなのですから、お遊びとしか言えないでしょう」

 

そう話すのは、今回の主催者である州軍将校の1人だ。彼は州軍はATを軸とした戦術を取るべきだと考え、この違法バトリングを開催し、州軍の強化を図っていると言う

 

「我々はATによる実戦が足りない。そう遠くない頃に、ATを相手取らなければならない時が来る。我々はその時の訓練を、このバトリングでしているのです」

 

眼下では、大量の観客達がバトリングを楽しんでいる。入場料や出店、整備費等の売上を考えれば、州軍の懐はかなり潤うだろう

この売上は全額が州軍の経費として計上され、設備の更新や消耗品、軍備物資の補充の為に使われると言う

 

「それに、何よりも見ていて楽しいでしょう?州の皆が楽しめる場所を提供するのも、州軍の役割だと思うのです」

 

チャビーが頭部装甲をペイント弾で撃ち抜かれ、決着のブザーが鳴り響く

その様子を満足そうに見つめる将校の目に、野心とも言える何かがあるように見えたのは、気の所為だと思いたい




Q.やっぱりバトリングあるんじゃないですかー!!

A.そりゃあります。州チャンピオンは最強の証です

Q.実弾とか使わないんですか?

A.ギャングの方だと使ったりします。ですがその場合は警察が押し入ってくる可能性が高いのと、観客も被害に合う可能性が高いのであまり人気はありません

Q.1番バトリングの強い州は何処ですか?

A.カリフォルニアです。富裕層がバトリング選手を支援したりしています

Q.バトリングって近接武装は有りなんですか?

A.有りです。ニューメキシコ州では近接武装を使ったATが強いです
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