マブラヴ〜鉄のララバイ〜   作:rezeaizen

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ATや戦術機と言った機動兵器が最も苦手とする分野は何か?そう聞かれた時、衛士も、作戦指揮官も、作戦参謀すらもこう述べるでしょう
防衛戦。機動兵器であるこの2種の機動力と言う強みを潰し、縦横無尽に動くことを許されず、後ろに控える機甲科や歩兵をカバーしながら、誤射を受けないように動き回る
大連防衛戦は正にその縮図でしたが……ここで、新たなATの活躍が見られるとは誰も想像していなかったでしょう

─── AT博物館 機動兵器の弱点とは?から抜粋 ───


絶対防衛圏

「ウッド1、作戦開始前に我々に教えられる事はありますか?」

 

突然の通信。網膜上に映される先程の衛士と、中隊の面々。待機中暇だとでも言いたいのか、と本来なら飛んでくるであろう怒号は、修羅場を経験してきた自分の言葉を待つように飛んでこない

あの修羅場を潜り抜けたのだから何かあるはず、そう言いたげな目である事に少しばかり辟易するも、俺から言えるのは1つだけである

 

「死の8分間を越したからと言って油断するな。機動兵器らしく光線級の射程範囲外での空中機動を心がけろ。奴等に飛び道具は無いが圧殺される可能性を少しでも減らすんだ。……そして、要撃級や突撃級に機体を倒されて生きているなら俺達を呼べ。確約は出来んが、救ってやる」

 

「了解しました。聞いたなお前達!!機体を転倒させてATの手を煩わせるなよ!!」

 

「イエスマム!!」

 

ゲラゲラゲラ、と笑いが漏れる。コイツらのどれだけが生き残れるだろう。顔には出さずに通信を切って、網膜上の映像を切り替え、スコタコと同調する

作戦開始まであと……

 

「ん?ぐあ!?!?」

 

「な、コイツら何処から……!!!」

 

悪い予感と言う物は当たる物だ。真っ先に狙われたのは戦術機らしいが、BETAの連中は既にこちら側へと回り込んでいたらしい

此方が捕捉されたと言う事は、既に我々の作戦は失敗している。ここから立て直すのは不可能だろう

 

AT部隊に指示を出し、即座に要撃級に対して70mmロケットを撃ち込んで牽制し、引き倒された戦術機から衛士を救出しようとして、諦めた。既に事切れている

戦術機中隊は既に混乱状態である。AT部隊が何とか統制を保てているのも、それなりの修羅場を潜ってきた連中が乗っているからだろうか

 

「少尉!!撤退を進言します!!」

 

中隊の1人からそんな言葉が飛んでいる。オープン回線で言う事では無いが、それだけ混乱しているのだろう

70mmの弾が切れたのを確認し、即座にパージする。要撃級によって倒された戦術機に集っている戦車級を排除しつつ、まだ息のある衛士を救助しては脱出を促し、30mmで戦車級を排除し続ける

 

「け、けど作戦が……!!!」

 

「迷うな!!早く決めないと全滅する!!BETA群がここまで来ていると言う事を加味しろ!!!」

 

スコタコの一機が戦車級に捕まり、頭から貪られる。装甲のひしゃげる音と共に、"おさらば"の一言が添えられれば、自ら足を撃ち抜いて機体を爆発させる

作戦は失敗だ。大連は落ちる。まだ余裕のある者は、誰もがそんな事を考えていた

 

─────────────────────

 

『邪魔だスコタコ野郎!!!殺されてえのか!!!』

 

『良いからさっさと光線野郎殺してこい!!!』

 

レーザーヤークト。砲撃を無効化する光線級に対して機動力の高い戦術機が接近して排除する戦法の1つであり、対BETA戦闘に際して最も重要度の高い任務である

津波のようにやってくるBETAの上を飛び、下に居る味方を無視して飛ぶ様は死神とすら呼ばれるが、これをせねば砲撃が通らないのは、誰もが知っている事実だ

この任務の帰還率は非常に低い事で知られている。当たり前ではあるが、光線級を排除するまでにレーザーによって溶かされたり、推進剤が切れて落下する事も、要撃級の一撃で叩き落とされる事も、要塞級の触手でなますぎりにされる事もある

 

回避を行う為に各機同士の間合いを確保する為に少数でいかねばならず、防衛戦等であれば大部隊を割ける訳も無い。ジリ貧。誰もがそんな事を理解していたが、これ以上を見出せない

しかし、そんな中で一筋の光明が差す。津波のように押し寄せるBETAの中で、川の中洲を作るようにATが大量投入されたのだ

 

廃棄寸前のATに大量の爆薬を括り付け、自動操縦で前進、津波の真横へと突っ込ませる。爆発すればポリマーリンゲル液に着火し、機体ごと爆散。クレイモアのように周辺のBETAをズタズタに引き裂き、肉を焼く

大連撤退の際に大量に出た廃棄寸前ATを活用したこの作戦は見事成功し、出来上がった中洲に補給物資を担いだAT部隊を大量投入、補給物資を中心に据えた防衛戦を展開し、レーザーヤークトを行う戦術機の為の補給基地を完成させた

 

以後、ATを使用して中洲を作り、レーザーヤークト部隊の損耗率を大幅に低下させる戦法は、山や高地の存在する国で使用される事となる。大連に因んで、大連中洲戦術として確立されるのは後の話である

 

今回の問題点があるとすればATのパイロットである。既存のパイロットでは最早数が足りないと判断した各国軍は、輸送船で起きた事件から歩兵を急遽パイロットとして補充、残存しているスコタコ3万5千機を全て割り振り、AT部隊として当てた

彼等に施されたのは10分の講習のみである。前進、後退、ローラーダッシュの仕方、武器の撃ち方、補給の仕方

捨て駒に近い歩兵の使い捨て。それまで歩兵の神様と呼ばれていた物は、鉄の棺桶と名を変えた

 

しかし、今回は中華統一戦線にも勝算があった。帝国軍がBETAの横っ面をしっかりと殴ってくれれば、AT部隊は丸ごととは言わずとも、それなりに生き残れると。レーザーヤークトもきちんと終えられ、戦術機部隊の損耗も抑えられると

そんな希望は、たった1つの通信によって掻き消された

 

1993年 9月6日

帝国軍がBETAによる奇襲を受け撤退。これを受けて帝国軍が来ることを前提として中洲を作っていたAT部隊が壊滅

補給によってレーザーヤークトは完遂するものの、圧倒的なまでの物量により戦線は崩壊。戦術核を使用して大連侵攻をなんとか阻止したが、帝国軍を除いてほぼ全てのATがBETAの津波に飲まれた結果となる




神も悪魔も表裏一体。昨日の神は今日の悪魔へと成り下がる
歩兵の神は棺桶へ。せめて笑って死ねとせせら笑う
鉄の背中はどこへ向かう。地獄への一本道に逃げ場無し

次回 マブラヴ〜鉄のララバイ〜

インド亜大陸 防衛戦

月が俺たちを嘲笑う

─────────────────────

Q.ATってBETAから見るとどれくらいの脅威度なの?

A.戦車以上、戦術機以下でしょうか。また燃焼駆動では無い為BETAに捕捉されにくいと言う性質もあります(オルタネイティヴ本編でも戦術機のエンジン切って待機してましたからね)

Q.つまり……自走式自爆ドローン?

A.そうなりますね。しかも爆散して機体が散らばるんで戦術機等の邪魔にもなりにくいです

Q.中洲つくるってどゆこと?

A. 〇←光線級
●●●●●●

●●●●●●←BETA

〇←戦術機(無理ゲー)




●●●●●●
〇 ←AT爆弾及び大量のATで作り上げた中継補給

〇←囮も兼ねる中継補給AT部隊
●●●●●●

〇←戦術機(比較的余裕……か???)

レーザーヤークトが終了した場合戦術機の護衛の元背後からBETAを押し潰しながら抜ける、そんな感じですかね

ATに白兵戦武器は必要?不要?

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