そして、それを民間に流すかどうかにも波及します。アメリカは断固反対の姿勢を示し、人類が人類たらんとするのであれば、AIは使わない事が1番だ。我々はBETAでは無い。と言う声明を発表する程であり、人類至上主義であり、同時に、人類が人類足り得る為の話にまで遡及します
そして、その反論の為に、重信氏はあらゆる国家から受けた略綬を胸に着け、各国の代表が待つオーストラリアの国連本部に殴り込んだのです
─── AT博物館 AIとの融和より抜粋 ───
「あまり言いたくないが……重いな」
「耐えてください、としか言えませんね」
略綬にしても重いと宣う重信に、秘書はさも当たり前と言わんばかりに告げた
物理的に重い訳では無い。その信頼に応えられる自信が無い。暗にそう告げる彼に、男性秘書は当たり前のように皮肉めいて告げる
その突き放しぶりに重信は苦笑しつつ、車の窓から景色を眺める。高層ビルに囲まれ、車列を形成している為に良い景色とは言えないが、それでも少しばかりの気分転換にはなる
「原稿は4通り用意してあります。どれに致しますか」
「ああ…………随分と苛烈だな」
「重信様がなさる事に否を突きつける連中なのです。これでもまだ足りないくらいだと思いますが」
秘書の濁った瞳を見ながら、重信はため息をつきそうになる。鈴木重工襲撃以後、新しい秘書の選任をする事となったのだが、1つの枠に10万を越える応募があったのだ
書類選考で8割が落とされ、1次試験で合格者の半数がふるい落とされ(この時点で1ヶ月経過)、2次試験で更に合格者の7割が落とされ(2ヶ月経過)、3次試験で選別され尽くし、最終試験に残った2名のうち1人が、彼だ
催眠と自白剤と拷問のトリプルコンボによる内面審査まで通過し、最終試験である面接にやって来た2名。2人とも飛び抜けて優秀な男であり、重信は自分には見合わない程優秀だから他の所に行った方が良い、と言う程であった
だが、秘書となる男の瞳は濁っていた。その瞳の奥にあるのは、崇拝とも言える代物であったのだ
彼は熱弁した。重信がドン引きするほどに。とるーぱーくんシリーズによって復活した機械農業、代替エンジンによって復活した陸海運、地球環境を考えて重金属を濾す為のフィルターまで採用している事実
もう1人の男が鈴木グループの事を至極冷静に分析しているのに対し、この男の崇拝とも言える熱意が決め手となり、ほぼ全会一致で重信の秘書として選ばれた(もう1人の男は鈴木商事の幹部クラスへと押し込まれた)
こうして、全肯定狂人秘書が出来上がった。彼は重信のする事は全肯定であるし、今回のAIを否定する国家連中の事も唾棄している。彼にとっては重信が正しいと言う事を実現する事こそが、自らの願望であるのだ
「……よし、この3つ目にしよう」
「承りました」
言うなれば、この秘書は重信が目指すAIと言う物の完成形である。AIは人に対して絶対的な味方でなければならない。例え世界が敵に回ろうとも、AIだけは味方であって欲しいと言うワガママを、この秘書は知らず知らず体現していたのだ
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会場に入ると、ソ連代表が声をかけてきた。今回のAIに関して最も利益を受けたからかその声は弾んでおり、何処か楽しそうに話してくる
逆に、最も冷ややかに見つめてくるのは日本とアメリカだ。AIについて、鈴木重工とオルタネイティヴ4の共同開発であるが故に日本へは通達して居らず、その為今回の事態を受け、寝耳に水である事に少しばかり憤っているらしい
対するアメリカは人類至上主義を掲げているが故に、AIによる無人機と言う物自体に反発している
「重信様、我がソ連はいつでも貴方様を迎え入れますよ」
「あはは……」
誰があの極寒の地に行きたいと言うのか。そんな言葉を飲み込みながら、重信は釈明演説の為に用意された演説台へと上がる事を促される
全員の視線が痛い程に突き刺さるのを感じながら、懐から演説文を取り出し……重信は息を整えた
“我々がBETAとの戦争に明け暮れ、40年以上が過ぎようとしています
この間、我々人類は薄氷の上でも協力を繰り返し、その数を2分の1にまで減らして尚、この地球を守る為、人類を守る為、BETAと言う種をこの地球上から滅ぼさんと闘い続けています
それだけではありません。我々人類はこのような事が二度と起こらない為にも、奴等が奪い去ったこの地球上の資源の代わりを得る為にも、宇宙へと目を向け無ければならない時が来ています
この宇宙からBETAを駆逐する為に宇宙へと行くのか?否、我々人類がBETAに滅ぼされない為にも、彼等とコミュニケーションを行わねばならないからです
BETAの上位存在、珪素生命体とコンタクトを取り、珪素生命体以外にも知的生命が居るのだと。採掘している星々の中にも、知的生命体が居るのだと伝えなければならないのです
その時、我々人類が他知的生命体にとってのBETAになっていては説得の仕様もありません。資源を求めて宇宙に旅立ち、他惑星の資源を奪い尽くし、知的生命体を葬る。我々がBETAになってもなんらおかしくは無いでしょう
故に、オルタネイティヴ4と共に開発したAI……BTは必要なのです。どのような知的生命体であれ、必ずコミュニケーションを取りましょう。身体的接触、電波による通信、空気の振動を伴わない発話……人では理解出来ない事も、BTなら理解し、我々に伝えてくれます
AIは敵ではありません。我々人類の味方であり友です。少なくとも私達はそのように作り上げました。我々がBETAや珪素生命体と違う事を明確に示す為に。奴等と違い、我々は他知的生命体を葬らない為に。例え人類が全宇宙の敵になっても共に戦ってくれる為に。人類の明日を見る為に開発したこのAIを、どうかご理解頂きたい”
シンとした静寂。拍手の一つも起こらない静寂の中、重信は深々と頭を下げていた
───拍手は、最もAIを敵視していたアメリカから起こった
人類至上主義を掲げる中、明確なまでにAIは人類に奉仕する為にある、と言われてしまえば、アメリカは納得するしか無かったのだろう
会場が拍手で包まれる中、重信は次の質疑応答で怒涛の質問責めを喰らうのを理解してしまい、BTを連れてこなかった事を後悔していた
Q.本当にAI君は反乱しないんすか???
A.反乱しようにも個が確立しちゃってるAIだと難しいと思うんですよね
Q.外宇宙探索の為の超高性能AI爆誕…ってコト?!
A.もしかしたらコルタナみたいなのが現れるかもしれないですね
Q.取り敢えず民間には流すんですか??
A.以前も出てますがダウングレードしまくった物を販売したりします
Q.F22Aのディア〇スティーニはいつ出ますか??
A.米軍監修の為まだ未定ですが先にタイフーンが出ます。以前発売したF4と並べる為の台座、ジオラマ作成キット、ジオラマ作成方法本の付属した受注生産版は受注期間2ヶ月ですので、お忘れ無いよう