エメトセルク先生と透き通った青春   作:無名の古代人

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いよいよ大詰め、しっかりとこの物語にオチをつけないと。

ピクトマンサーのおかげで零式は乗り切れました。
本当に便利で楽しいジョブでした。


1-10 3歩進んで2歩下がる

00Ⅰ

 

「遅いな……」

 

あそこまでお膳立てをしてやったにも関わらず、随分とモモイたちの戻りが遅い。

わざわざ、堂々と監視カメラに映る場所を歩いて帰ってきたと言うのに。

また別の問題が浮上したと言うのか? 

 

あの障壁をユウカやアカネたちが突破できるとは思えないが……

まさか、ネルという生徒が戻って来たのか。

そうなればかなり不味いな。

どの程度の実力かなどは知りもしないが、ホシノやヒナクラスと考えた場合あの障壁でも少し心配な部分がある。

 

飛ぶか? 

 

── もしかして……エメトセルク先生ですか? 

 

それは即ち、私が再び現地に行くということでより再びユウカから怪しまれる事を指す。

事前にアビドスでの情報を入手していたとしても、私エメトセルクが『アシエン』であると繋げていくのは難しいはずだ。

 

なんせあの場にはファダニエルもいたのだ。

あの立ち居振る舞いは映像としていまだに残っている。

私の性格を知るユウカならば、私があいつと同じ組織のメンバーだと想像はしないと思った。

しかし、そうではなかったのだ。

 

これ以上、ミレニアムで目立った行動は避けるべきか……いや、ゲーム開発部に協力する時点で私が目立つのは必然と言える。

 

どちらにせよ、ユウカにはいずれ私の正体……と言うよりも『アシエン』の正体と目的を明かす時が来るだろう。

だから今、私がすべきことはいつかの心配ではなく今の心配だ。

 

「仕方あるまい」

 

うす暗い部屋にピッタリな闇を纏って再び塔へと昇るとしようか、と考えていた時に背後のドアが開いた。

 

「ただいま~、って先生!?」

「本当に部室に居たんですね……」

「随分と遅かったな」

「メチャクチャになってたんだもん!!」

「そ、それに……ネル先輩もいた……し」

 

メチャクチャと言うのは恐らく保管庫の事だろう。

あれだけ大っぴらに暴れてしまえば当然か。それに、ネルも来ていたと言う事は中々に面倒くさいことになりそうだ。

なんせこっちはC&Cの名に泥を塗った張本人たち。

正直なところ、『鍵』を手に入れた=我々は無事で済むというわけではない。

 

「それで、目的の物は手に入れたか?」

「はい! アリスは『鍵』を手に入れました!」

 

そう言って誇らしげな顔を私に向ける。

褒めろ、ということだろうか。

確かにアリスはあの危機的な状況を打開した。そう思えば褒めてやるのも道理なのだろう。

とは言え褒めるのは苦手なんだがな。

 

「……」

 

誇らしげな顔のままじーっと私を見続けるアリスを見て確信する。

褒めろということなのだろうな。

 

「勇者よ、よくぞ汝の仲間の窮地を救い『鍵』を手に入れたな。『先生』として汝の強さを認めよう」

 

こういう感じだろうか。

恐らくそのまま褒めても普通過ぎる。あれほど立派に立ち回ったんだからこいつが好きそうな言い方で褒めてやるのが筋ってものだろう。

 

「わぁ~! 先生に褒められました!!」

「ちょっと、先生! 私たちも頑張ったんだけど!?」

 

嬉しそうなアリスと違い褒められなかったモモイ、ミドリそしていつの間にか合流していたユズから不満の目を向けられる。

モモイとミドリはよく頑張ったと思うし、何があったのかは知らないがユズも活躍したのだろう。

だから別に褒めるのはいいが……それよりも、何があったのかの方が気になる。

 

「後で纏めて褒めてやるから、先に何があったのか話せ!」

 

まったく……。

これだから子供の世話は嫌いなんだ。

 

00Ⅱ

 

「──って言うのが先生と別れた後に起きた事」

 

保管所に入ったまでは良かったが、戦闘の余波のせいで中身がぐちゃぐちゃになっており探すのに手間取ったゲーム開発部たち。

何とか『鍵』を発見したまでは良かったが、その後にC&Cの部長であるネルが現れてしまい万事休すの状態に。

しかしこれまた想定外な事にその場にいたユズの機転によってネルは別の場所に移動し事なきを得たと。

そして何とか無事(?)に『鍵』を手に入れた一向はヴェリタスに『鍵』とG.Bibleを預けてきたと言う事だ。

 

それにしても何というか……。

殆ど最後の方はノリと勢いで勝っただけなのではないかとツッコミを入れたくなる。

敵も敵で騙されると言うのもよく分からないし、こっちもこっちで無事に帰って来れましたと言うのも本当によく分からない。

いや、上手く行ったからそれでいいんだがな。

 

「……」

 

そう頭の中で考えていても、いざ言葉として何か言えるかと言うと言えなかった。

口を開けばまず間違いなく、『そんな都合のいい話があるか!』と漏れてしまいそうだからだ。

 

「先生……?」

「いや……まあ、お前たちが無事に目的を果たせたならばいい……」

 

心配そうに声をかけるミドリを見て漸く我に返った私は何とか頭を押さえながら感想を述べた。

本当に……頭を抱えたくなる解決の仕方だった。

馬鹿な無茶は慣れているが、これは無茶とかそういう次元ではなかった。

だいたいこういう脚本の劇があったらご都合主義すぎるだとかそんな評価を下されるだろう。

 

しかしそれでも、こいつらが成し得た事が消えるわけではない。

 

「改めて。モモイ、ミドリ、ユズ。お前たちもよくやった。この作戦を考えて実行し、成功させたのはお前たちが成し得たことだ」

「でも、先生だって助けてくれたじゃん」

「追い詰められて不平不満じゃなくて、私へ謝ったお前を見捨てるとでも思うのか?」

 

あの場では気にしなかったのだろうが、いざそう言われ思い返せば恥ずかしいものなのだろうか。

それも当の本人は不在の中で漏れた本音をあろうことか聞かれていたのだから。

 

「先生、聞いてたの!?」

「私を誰だと思っている? 別にあの場に居なくても中の状況なんてものはすぐに分かる」

「じゃあやっぱり、先生は『アシエン』なんですか?」

「アリスも見ました! 黒いローブに赤い仮面の怪しい恰好の魔法使いです!」

 

やはりその話になるか。

さてどうするか。

あそこまでわかりやすくした以上はこいつらにはきちんと話すべきか。

しかし、全てを明かすのは早いのではないかという気もする。

だからそう。

 

今できるのは私を倒したあいつがしたように……。

右手の人差し指を自らの口元にあてて、

 

「真相はエメトセルク先生の次回作にご期待ください、とだけ」

「それ絶対、打ち切りになる漫画じゃないですか……」

 

00Ⅲ

 

「ふふっ、ふへへへへ、全部終わった! おしまいだぁ!!!」

 

一夜明け、G.Bibleと『鍵』の進捗があるのか気になりゲーム開発部の部室を訪れてみたところ、歓迎や進捗の言葉よりも先に響き渡っていたのはモモイの悲鳴というか、絶叫だった。

その様子を見てアリスがそれこそララフェル族の様にアタフタとしながらミドリに大丈夫か尋ねても帰ってくるのは今は何も話したくないだとかそんな言葉。

ユズに尋ねてみても、

 

「怒り、破滅、腐食、絶望、虚脱……世界は今、破滅に向かって……」

 

と、まるで終焉を謳うものかのような言葉を述べるにとどまった。

 

いや一体何がどうしたって言うんだ。

 

「えっと、G.Bibleは、嘘を言ってないと思いますが……」

そういう問題じゃないっ!!

 

鼓膜が破れるのではないかと思うレベルの叫びである。

 

「いっそのこと嘘って言ってくれた方がまだマシ! うああああん、終わった! 私たちはもう廃部なんだ! ふえぇぇぇぇん!」

「いやだから一体何があったと言うんだ……」

 

廃部の危機を回避するために手に入れたG.Bibleと『鍵』が上手く行かなかったわけではなさそうだ。

じゃあ、なんだ。

『お前たちではゲームなんて作れません』とでも言われたのか? 

それでも問題が分からない以上は埒が明かない。

何も言えないじゃないか。

 

「アリス、お前が理解している中で何があったか話してみろ」

「わかりました。それは今から2時間前の事──」

 

アリスの懸命な説明を聞いたが……。

なぜここまで混乱状態なのか全く分からない。

 

曰く、マキが起動可能な状態にしたG.Bibleを持ち込み意気揚々と実行し、最高のゲームの作り方を聞いたまではよかった。

その問いに対して偉大なるG.Bible様が出した答えは『ゲームを愛しなさい』のみだった。

おかしいと思いボタンを押しても出される結論はそれだけ。

エラーでも、破損でもないと。

 

その結果、自分たちの努力は水泡に帰したと思った一同は混乱と悲しみに暮れているというわけだ。

モモイに至っては、デイリークエストの消化すらしない状態と。

 

……そんなに落ち込むことか? 

確かにあれほど頑張ったのにこんなありふれた答えしか出されなかったと言う事に不満があるのはわかる。

だが、これこそ真理じゃないのかとも思うのだ。

ゲームを作る。

その過程でゲームが好きなら幾らでもやりようがあるだろう。嫌いな奴や私の様に無知な奴が作ってもそれは『楽しいゲーム』にはなり得ないはず。

私はそう思っているのだが、どうもそうではないらしい。

 

しかしだからと言ってここで止まるわけにもいかんだろう。

確かに優れた技術などは手に入らなかった。G.Bibleに読んだだけでレベルがカンスト近くなる機能は無かったのだ。

では、どうすればいいのか。

そんなもの決まっているだろう。

 

前へ進むしかない。

退路はもうないのだ。

例え今は暗闇の中であろうとも、明日は、明後日は? 

きっとまた違う光景がそこにあるはずだろう。

 

手に入れたもの、期待したものが使えないものだった時の落胆の気持ちは痛いほどわかる。

私だってそうさ。

あの時の私は不滅なる者故に無限の時間があった。だからまたどれだけの時が掛かろうとも再び0からスタートさせることなんて何ともなかった。

モモイたちにはそんな時間はない事くらい知っているさ。

だったら、こんな所で止まっているわけにはいかないだろうに。

 

「今のみんなの姿は……まるで、正気がログアウトしたみたいです」

「うぅっ……。仕方ないじゃん、最後の手段だったのに! それが、あんな誰でも知ってる文章が一つ入ってるだけなんて! 釣りにもほどがある! 知ってた! 世界にそんな、それ一つで全部が変わって上手く行くような、便利な方法なんか無いって! でも期待ぐらいしたっていいじゃん! うああぁぁぁんっ!」

「ごめんね、アリスちゃん……私たちは……G.Bible無しじゃ、良いゲームは作れない……」

 

確かにそれ一つで全てが変わる、そんなものはない。

私は……アシエンはそれをよく知っている。

仮初の全能、それですら終焉をなかったことにはできなかった。分かたれた世界を統合すれば元に戻るかもしれない、そう考えてもその手段は長い準備が必要なものばかり。

挙句に第13世界があの状態だ。果たして統合して完全に元通りになったかと言われて今考えれば戻るとは言えないかもしれない。

それにあいつだって私たちからすれば『全てを変えた』存在であったとしても、それは長い旅の中で得た経験があったからこそ終焉を謳うものに届いたのだ。

 

ではゲーム開発部はどうだ。

作成したゲームは一つだけ、そしてそれが酷評されたに過ぎない。

 

それでG.Bible無しに良いゲームは作れない、だと? 

そんなもの誰が決めると言うのだ。

一度挫折して力がないと諦め、今度は優れた機械からありふれた回答を渡されたくらいで、

ユウカへの啖呵、私への言葉……なぜ部活を残したいのかと言うあの想いを捨て去れると? 

 

巫山戯るなよ。

二度目の挫折程度で捨て去れる想いではないはずだ。

お前たちを信じて手を貸してくれた者たちは、そんな生半可な想いの為に動いたわけじゃない。

口では何と言おうとも本当に部活を守りたいという想いがあったからこそ、それが伝わって手を貸したのだ。

 

あの時の様に、失望した目でもすれば再びモモイは動いてくれるだろうか。

モモイは『失望されたくない』と言っていた。

そう思っている奴にそんな目をしたいわけではないが、それでもここで誰かが前へと進む力を与えてやれるなら。それが例え『悪役』であろうとも、やる必要がある。

そう思い私が言葉を紡ごうとしたときに、先に言葉を発したのはアリスだった。

 

「……いいえ。否定します。アリスは『テイルズ・サガ・クロニクル』をやるたびに思います。あのゲームは面白いです」

「え?」

「感じられるのです。モモイが、ミドリが、ユズが……このゲームを、どれだけ愛しているのかを。そんな、たくさんの想いが込められたあの世界で旅をすると……胸が、高鳴ります。仲間と一緒に新しい世界を旅する、あの感覚は……夢を見ると言うのが、どういうことなのか……その感覚を、アリスに教えてくれました。だから、待望のエンディングに近づくほどに、あんなに苦しんだのに、思ってしまうのです……この夢が、覚めなければいいのに……と。アリスは、そう思うのです」

 

そうだ。

あのゲームを愛していたのは、お前たちのはずだ。

どれほどの悪評に晒されたとしても自ら生み出したものへの愛着はきっとある。

だからユウカにも酷評された時にあれほど怒りを示したのだろう。

確かに拙い部分もあったのかも知れない。今作ればもっと良くできるのかも知れない。

しかしそれがあの時点での『実力』だ、しかしそれを自分たちで卑下する必要は全くないのだ。

 

なんせ次を作るときはあのときいなかったメンバーがいる。

アリスと言うゲームを愛する少女がいて、私と言う口うるさい奴もいるんだ。

今度はまた違った形の『面白いゲーム』が出来るはずだ。

 

「アリス……」

「私からも一言だけ。私に言ったあの想いを忘れるなよ」

「エメトセルク先生……」

 

いつの間にかロッカーに入り再び出てきたユズ、モモイ、ミドリが私を見る。

まったく……私からしたら出血大サービスだぞ。

なんせG.Bibleの出した『結論』に対する答えを示したのだから。

 

元々お前たちにはあるはずだ、『ゲームを愛する心』が。

確かに随分と回り道をしたが……それでも今再びその心へと向き合えるのならば。

きっと作れるはずだ。

 

「……作ろう」

「え?」

「わたしの夢は……わたしが作ったゲームを、みんなに面白いって言ってもらうこと。でも、わたしが初めて作った『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプは……四桁以上の低評価コメントと、冷やかしだけで終わっちゃって……それが辛くて、ゲーム開発部に引きこもってた時、二人が訪ねてくれた」

 

──何言ってるんですか、こんなに面白いのに! プロトタイプだけ作ってやめちゃうなんて! 

──続き、すごい気になってるんですよ!? ここまでワクワクさせておいて、そんなの無しでしょ! 

──私も、ミドリも! UZ様みたいに、面白いゲームが作りたいです! 

 

「……それで、二人が来てくれた。一緒に『テイルズ・サガ・クロニクル』を完成させて……今年のクソゲーランキング1位になっちゃったけど……」

 

ユズの想いを二人が繋いだのだな。

だからこそ、今がある。

あの日ユズは再び立ち上がれ、今度はアリスが繋いだ。

 

いいメンバーじゃないか。

そんな仲間なんてそうそう作れるものじゃない。

確かにこれはゲームの力、なのだろう。

 

「その後、アリスちゃんが訪ねてきてくれて……面白いって、言ってくれた。それで、わたしの夢は叶ったの。心の通じ合う大事な仲間たちと、一緒にゲームを作って、それを面白いって言ってもらう……ずっと一人で思い描いてるだけだった、その夢が」

「……」

「これ以上は、欲張りかもだけど。叶うなら、わたしはこの夢が……この先も終わらないでほしい」

「ユズちゃん……」

 

欲張りなものか。

むしろ、どんどんと叶えていくものだろう。

夢は誰でも見ることができる故に、それを叶えられる者は少ない。

なら、叶えた者はそれが消えてなくならないように護らなければ。

 

アリス、ユズ。

お前たちの想い、よくわかった。

私はゲームをよく知らないから面白いと言った感想を述べてやることはできなかった。

だが、決してお前たちの想い、夢を嗤ったりなどするものか。

 

そして、その想いを受けて路を決めた者は私だけじゃない。

 

「……うん、よし!」

 

あの日見た決意の色を瞳に宿したモモイが立ち上がる。

やはりお前はこう言う展開になると、必ず立ち上がってくるな。

いい意味で、主人公気質だと私は思うぞ。

 

「ねえ、今からミレニアムプライスまで、時間どれくらい残ってる?」

「お姉ちゃん!」

「6日と4時間38分です」

「……それだけあれば十分」

 

そう言ってモモイは全員に告げる。

 

「さあ、ゲーム開発部一同! 『テイルズ・サガ・クロニクル2』の開発、始めよう!!」

「うん!」

 

別に私が言わなくても、仲間で立ち直り前へと進めたじゃないか。

一人一人は確かにダメな部分もあるのかも知れない。だがそれをそれぞれが補って進めると言うのならば、とやかく言うものか。

それに何も怒るだけが私の仕事でもないしな。

 

「それで、私は何をすればいいんだ、モモイ?」

「先生も手伝ってくれるの!?」

「最初に言っただろう、『この私がお前たちに力を貸し、判じよう』と。勿論システムだとかそう言ったものは無理だが、物語の展開や演出面には知恵を貸せるはずだ」

 

モモイたちを見ていると俄然、ゲーム作りに興味が湧いていた。

それに下心ではあるが、スタッフロールに私の名が載っているのを見てみたいというのもある。

 

「なら先生は監督でどうでしょうか?」

「なるほど。工程管理などの統括すればいいんだな? それくらいならむしろ本来の得意な分野だ」

 

あれこれ計画を立てて進めていく、その進捗を都度確認する……。

なんて私向けな仕事なんだろうか。

 

アシエンとして、皇帝としてそれらの業務には慣れているつもりだ。

制作そのものは素人でもそういった役割を与えてもらえるというのは嬉しい限りだよ。

 

「よし! じゃあ、本物の魔道士を監督に迎えたところで……改めてやろうか!」

 

こうして私たちの長いようで短い激戦は始まったのだった。

 

00Ⅳ Side:??? 

 

命が散り、帰るべき場所。

そこは深き星の海であり、次の『舞台』を待つ者たちの安息の地。

ある者はここを『星海』、また別の者は『冥界』と呼ぶ。

 

そこに揺蕩う魂が一人呟いた。

 

「フフ、急にいなくなったと思ったら新しい場所でも忙しく走り回ってるなんて、実にキミらしいよ」

 

何処か懐かしい雰囲気を漂わせるこの存在は、隣にいた『キミ』が突然消えてから今の瞬間まで『キミ』の旅を見守っていたのだ。

 

「それにしても、キミが『先生』なんてついこの間までなら考えられないんじゃないかな?」

 

彼から見た『キミ』は自分たちの悪ふざけに厭だと言いながらも付き合い、背負ったものを最後まで投げ出せなかった真面目な人。

 

それはキヴォトスで奮闘する『キミ』も変わらなかった。

とはいえ、まったく見ず知らずの土地でも背負い救おうとする姿勢や年端もいかない子供たちを導こうと齷齪する様は見ていて心配になりつつも楽しいものだった。

 

「砂漠での奮闘、そして初めて触れたゲーム制作……きっとこれを超えた先にもまだまだ驚くべき光景が広がっているんだろうね」

 

砂漠での『キミ』はまだあの地に来たばかりで、『先生』としての在り方を決めかねていた。

だからこそ、己の経験や力を使って手探りながらもあれだけの結末へと着地させた。

 

彼からしてみればそれこそが『先生』としての在り方だと思う。

『役目』の演じ方なんて考えなくていい。それこそ経験なら『キミ』はとっても濃いはずだからと。

 

そして今はゲーム制作。

随分と楽しそうな集団に混じって真面目な『キミ』が振り回されているのは微笑ましい光景であり、何処か懐かしい光景でもある。

 

「まったく、『あの人』といい『キミ』といい。まだ見ぬ新しい冒険ばかりで見ているワタシも退屈しないよ」

 

大切な友人二人が新しい場所で、それぞれの物語を進めている。

いつの日かあの二人の路が再び交差する時が来るのだろうか。

 

「もしそうなのだとしたら……その時はぜひワタシも喚んでほしいよ」

 

互いに遠く離れた世界。

だが、『しかるべき星』たちは何人もいるわけではない。

二人とも『あの術』を使えるのならば不可能ではないのかも知れない。

 

「だからそれまではワタシの分もしっかりと楽しんでね、ハーデス」

 

誰に言うわけでも聞こえるわけでもない。

しかしその言葉はしっかりと海に刻まれた。




適度なギャグとシリアスがパヴァーヌ第一章の好きなところです。

ユズの機転とネルについて。
多分エメトセルクならこう言う反応だろうなと。本編とは違い彼はあの場にいませんから実際にどれだけ緊迫していたからわからないわけです。とはいえ、やはりエメトセルクからしたら「え、それでいいの?」と思うのではないかと。

諦めについて。
『それ一つで全部が変わるもの』そんなものがあればアシエンは、エメトセルクはああならなかったはずです。
他の誰よりもそれを知っているからこそ思うことは多かったと思います。
それに彼が言っている様に『ゲームを愛する心』なんて最初からあったはずです。
ですが今回はエメトセルクが『悪』にならずとも、誰かが絶望しても一人だけは希望を持っている人がいたのです。
ヴェーネスがあの場にいたら喜ぶのでしょうか。

最後のサイドストーリーについて。
二次創作と言うことでこう言うのも有りなのではないか……というより、私が書きたいからです。
この人が誰なのかはFF14プレイヤーならば直ぐにわかるようにかけているか心配です。

FF14未プレイの読者の方。
彼の名前は何度も登場しています。特にアビドス編が多いです。

これからは毎週零式を消化しつつ、他のジョブでもクリアしたいですね。
本来のメインジョブ暗黒騎士とリーパーで。
黒魔?
二層で憤死しちゃいそうだからもうちょっと研究が進んだらね……。

弊ヒカセン像について(選択肢や行動、人物像)

  • 出しても良き
  • ダメ!死刑!
  • 良いが、幾つかの選択肢を混ぜて欲しい
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