ブルアカもFF14も名作なので皆触れてください!
絶望に抗い、踏み越える術を、
見出していかなければなりません。
私も皆も……できるだけ多くの人が。
ーヴェーネス
00Ⅰ
『カタカタヘルメット団のアジトがあるとされるエリアに入りました。半径15km圏内に、敵のシグナルを多数検知』
「ざっと23人か。4人と見れば6倍ほど、5人とするなら4倍弱だ。警戒しろよ、けが人を抱えて帰るのはしんどいからな」
『! どうやって数を……? いえ、おそらく敵もこちらが来たことに気付いています、ここからは実力行使です!』
「お前たちは普段しているのは防衛戦、今回は攻める側だ。地の利が相手にある事を忘れずに死角に注意しろ」
「「「「了解」」」」
いい返事が出来るじゃないか。
こうも良い返事だとこちらもアドバイスのし甲斐があるな。
どれ、もう少しサービスしてやるか。
「ホシノを前衛、セリカとシロコが真ん中でホシノを狙っている敵の撃破、ノノミは後ろで広範囲に撃って相手を削れ。アヤネはホシノの支援を最優先にしろ。他の3人と全体の把握は私がやる。兎に角速度重視で行くぞ」
「へぇ~、先生さっきはあんまり指揮しなかったけどそういう戦術面のアドバイスも慣れてるんだ。おじさんびっくりだよ」
「前職で縁があっただけだ。それに4人の固め方は知り合いの十八番だから知っているだけだ」
「じゃあ、知っている戦術をおじさんたちで試すってこと?」
「安心しろ、他の何よりも効果的だと私自身が良く知ってる。これ以上の質問は後だ」
実際、あいつがそれでいくつもの難所を超えてきたことを知っている。
たまに8人だったり、24人だったりするがそれもまぁ大規模な戦いの指揮に活かせるし、何より役割分担してそれだけに集中させるというのは最も効率がいい。
盾役が必要以上に攻撃に集中する必要もなく、攻撃役が無駄に敵視に晒されずに、そして支援役は支援の対象を絞れるため他の状況把握にも意識を回せる。
別に個人の技量だけで暴れまわらせても上手く連携できるメンツだろうが、そうすればアヤネへの負担は当然に大きくなる。一人で支援や戦況の把握などを行うの毎回やらせていては疲れも溜まる。
逆に爆弾に対してある程度被害を減らせる程度の距離感を持って固まれば、仲間の把握は簡単だ。
それにこれなら、自分だけ倒した敵が少ないとか役に立てなかったと思う事もない。それぞれが隙を補っている分、誰かのおかげで敵を倒せたと思わせられるはずだ。
既に何人かのヘルメット団を倒して進んでいる中で私は倒れた連中の装備を再度確認する。
やはり新品だな、これは。
後で値段も見てみるか、多めに30人と見込んで値段と照らし合わせれば私の見込みが正しいと証明できるだろうし。
それにしても『黒幕』はこんな集団に物資を渡してどうにか出来るとでも思っていたのか、それとも何かから意識を逸らすための駒程度にしか思っていないのか。
そんなことに意識を逸らしていても問題ない程度にはすんなりと事が進んでいき、既に掃討戦の段階に入る。
それによってアゼム式陣形から普段のアビドスらしい陣形へと変わっていくがヘルメット団はそれに対応することが出来ない。
その結果、シロコに目を付けられ攻撃されるボスらしき赤色のヘルメットに赤い服……随分と派手な奴が大きな声で怒鳴ってきた。
「なんなんだお前ら! いつもは学校に引きこもっている癖に! よりにもよってこのタイミングで攻めてくるなんて卑怯だぞ!」
「普段の報い」
「くそったれ!! 普段と全く動きが違う……」
動きが違うというより戦術が違うんだ。
お前たちみたいに無策に動いている奴らにはそう簡単に攻略できるものじゃない。
「だったら……そこの大人をやれば!」
司令塔である私を狙うか、不良にしてはなかなか賢い選択じゃないか。
だが……
「させない!」
「ガッ!」
アロナの防御と私自身の魔法による防御を貫通できるはずも無いから撃たせてやるかと思ったが、そんな事情を知らないシロコが私に意識を割いて反応が遅れたボスを力の限り蹴り飛ばす。
ああ、あれは痛そうだ。シロコの俊敏性やその応用力なら銃を持たずともあいつの……モンクだったか、になってもある程度やれそうなものだ。
実際、自転車で鍛えられた脚で蹴るのは賢い判断だと思う。戦闘面では銃が幅を利かせているからこその盲点──暴力とはもっと単純なものであるという事。
だが、スカートを履きながら誰かを蹴るのは年頃の乙女にはあまり褒められたものでは無いぞ、シロコよ……
だが、シロコは誇らしげな顔で振り返って言った。
「先生、ちゃんと守ったよ」
「……よくやった」
「ん、褒められてる伸びるタイプだからもっと褒めるべき」
犬かお前は……
外見も犬というか狼を彷彿とさせるし、こうなっては主人とそれを守る忠犬の様に思える。
犬を飼ってた記憶は無い……グラニは馬、シャドウグイベルはドラゴンをベースにした使い魔だったからな。
なら、初めての忠犬の危機は救ってやるか。
「右斜め後ろ、飛び出てくるから撃て」
私の言葉を全て聞き終わる前に、シロコは振り向き飛び出してきた不良の一人を的確に撃ち抜き撃退する。
気が付いていたんだろうか、ホシノの次に『何か』を感じるとすればシロコだったが何とも鮮やかな手並みだ。
付近の危機が去った事を確認すると忠犬はまたこちらを振り返って、何かを待っている。
「……」
「褒めんぞ」
「……」
「だ・か・ら、褒めるのは苦手なんだ!」
そんな不満そうな顔でちらちら見るな。
私は甘やかしたりなんてしないぞ……
「……」
どこぞの旧友がこいつに入れ知恵したんじゃないだろうな。
『いいかい? エメトセルクに断られても怯んではいけないよ。しつこく『お願い』すれば……勝てる!』
何が『勝てる!』だ。全く、それをされる私の身にもなってみろ。
「先生、褒めてあげなよぉ~」
「そうですよ。シロコちゃん待ってますよ~」
「いや、だから私に言われてもだな……!」
「……」
既に片付けたであろうホシノとノノミまで加勢しシロコと揃って私をじーっと眺めてくるではないか。
今回はアヤネに頼もうにもセリカ共に残りがないかの最終確認をしている段階だから、手を貸してもらえない。
「はぁ……いいか、甘やかすのはこれが最後だからな!! 本当にイイ反応だったぞ、シロコ。それから、守ってくれて助かった」
自分で守れたなんて言う必要はないだろう。
こいつは自分の言ったことをきちんと出来たんだ、それだけで偉いじゃないか。
「ん、先生は褒めるのが上手い」
「私たちは褒めてくれないんですか先生?」
「あのなぁ……」
『敵の退却を確認! 並びに、カタカタヘルメット団の補給所、アジト、弾薬庫の破壊を確認……って皆さん! 先生が困ってますからそれくらいに……』
助かった……
本当に、ほんとーに、どうして私がこんな目に合うんだ。
しかも見ろ!
こんな茶番に付き合ってたら、肝心のヘルメット団が逃げてるではないか……
ああ、これで奴らの口から直接聞き出す機会は失われてしまったか。
いや、もし雇い主がいるなら何としてもこの失敗を挽回しようと打って出る可能性は捨てきれないな。
どういう形で攻めて来るにせよ、4人が近くにいる状態なら問題は無いが……狙うならアヤネか。
戻ったら念のため警告しておくとしよう。
00Ⅱ
「お帰りなさい。皆さん、お疲れさまでした」
「ただいま~」
「アヤネちゃんも、オペレーターお疲れ」
「火急の事案だったカタカタヘルメット団の件が片付きましたね。これで一息つけそうです」
「そうだね。これでやっと、重要な問題に集中できる」
「うん! 先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ! ありがとう、先生! この恩は一生忘れないから!」
教室に戻ってくるなり、次の事をすぐに考える危機感がある事に関心しつつも明らかに重要でなおかつ私に隠していた事をポロっとこぼしたあたりはまだまだ甘い部分があるな。
それにしても……
「借金返済だと?」
「……あ、わわっ!」
「そ、それは……」
「ま、待って!! アヤネちゃん、それ以上は!」
もうバレた事を覆い隠すのは流石に厳しいと思うぞ。そんな重要な事を隠していた所で私に気が付かれたら最後。どうせ、聞かれるんだから。
「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし」
「か、かといって、わざわざ話すようなことでもないでしょ!」
「そういう張本人が漏らしたんだろう……」
「そ、そうだけど!」
「別に罪を犯したとかじゃないでしょー? それに先生は私たちを助けてくれた大人でしょー?」
「ホシノ先輩の言う通りだよ。セリカ、先生は信頼していいと思う」
ホシノは私に用意した裁定が『借金返済について』の可能性があるからいいとして。
シロコ、お前はもう少し人を疑え。
まさか本当に、嗅ぎ分けてるわけじゃあるまいし。
「そ、そりゃそうだけど、先生だって結局は部外者だし!」
『部外者』か。
……間違いじゃない。私はこいつらにとってこの『物語』でほんの少し交わるだけの存在なのかもしれない。それにここまで自分たちで抱えてきた意地もあるんだろうな。
なあ、
部外者でも飛び込むか? それとも、ご自慢の『過去視』で全員の心に効果的な言葉で語りかけるか?
「確かに先生がパパっと解決してくれるような問題じゃないかもしれないけどさ。でも、この問題に耳を傾けてくれる大人は、先生くらいしかいないじゃーん? 悩みを打ち明けてみたら、何か解決法が見つかるかもよー? それとも何か他にいい方法があるのかなー、セリカちゃん?」
冷静かつ極めて正論でホシノはセリカを詰めていく。やめろ、そんな言い方をしたらどうせ反抗するんだから。
ほら見ろ、段々と私へ向ける反抗の目が強くなってきた。
互いに間違えていない問題だからこそ余計に面倒なんだ。
「でっ、でも、さっき来たばっかりの大人でしょ! 今まで大人たちが、この学校がどうなるかなんて気に留めたなんてあった? この学校の問題は、ずっと私たちだけでどうにかしてきたじゃん! なのに今更、大人が首を突っ込んでくるなんて……」
これでは堂々巡り、結論など出ずに時間を浪費するだけだ。
意地と言うのは一度持つとなかなか捨てられないんだ、『仮面』と一緒でな。セリカは『大人』への不信感で言っているのもあるだろうが、結局これまで誰も手を差し伸べなかったか気にも留めなかったから意地はより強固なものになっている。
だが、そんなもの砕けるうちに砕くに限る。
だから、私は
ああそうだ。
過程は絶対に違うがな。
「なら、私はもう帰っていいのか?」
「……え?」
「えって、お前がそういったんだろう。今更、大人が、首を突っ込むなっと」
「……」
部室内の空気が冷たくなる。
それは今の今まで付き合っていた私が突然帰ることを言い始めたからか、それとも私がホシノの『裁定』を放り出したように見える事からくるホシノの目つきの変化か。
だが、これは避けて通れない道だ。
私が選択させることはできない、お前たち自身が選ばないといけないんだ。
だから、複雑そうなホシノと違って素直に反応を示すお前には、私は直球で当たるぞ。
「なら、私も今までの大人たちがそうしてきたように。ここを離れ記憶を忘却の彼方へと追いやって悠々と暮らすとするか。なんて、気分がいいんだ。面倒な問題に煩わされる事もないんだから……」
ワザと大げさに身振りを付けて言ってやるさ。そうすればよりムカつくだろう?
そうだ、確かに他の大人たちはお前たちを見捨てたかもしれない。それに腹を立ててもいるんだろう。
だから自分たちの手で問題を解決したいと。
だが、それで解決できなくなったら意味がないじゃないか。
だから私は切実に思う。
「……そうやって意地を張ってもただお前を苦しめるだけだぞ、セリカ」
「先生に、何が分かるっていうの!!」
「よく、わかるさ……私がそうだったからな……」
最後の方は私だけが聞こえるよう呟いた。
苦しいさ、悲しいさ、それでいて誰も救ってはくれない。自分が救うしかもう道は残されていない。
心を護るための眠りから目覚めると己の記憶から作り出した幻想の街、その建物の上でどれだけ黄昏れたか。
そうして何度だって己の苦しみを、憎悪を、悲しみを、願いを思い返してきた。
ここに居る誰もがなっていいものじゃない。
私の顔が恐らく普段と違っていたのだろう。
先程まで冷たかった部室内の空気は少しだけ違った雰囲気へと変わっていた。
「それでも……私は認めない……!」
だから先ほどまでの反抗精神では言い負かせないと思ったのだろうか。セリカは己の感情を恐らくは整理するために一区切りをつけたい思いもあって、そう言って走り去っていた。
ああ、そうやって何度でもぶつかって磨かれていけ。
「セリカちゃん!?」
「私、様子を見てきます」
そういってノノミが後を追った。
ノノミなら上手く纏められるだろう。ここまで視てきたあいつは人の輪を『調和』させる事が出来る。
厭な役割を押し付けてしまう事にはなるが……
「真っ直ぐで、責任感のあるいい奴だな……」
本当にそう思ったのだ。
セリカについて、私は何も負の感情などない。
むしろその逆だ。
その真っ直ぐさが本当に、眩しいんだ。羨ましいくらいに。
「そうでしょ、セリカちゃんはいい子なんだよ、本当に」
私の言葉に同意したホシノの目に先ほど見せた鋭さはもうない。私の意図を理解したんだろうか、それとも純粋な悪意でいったわけではない事だけは分かってくれたのか……はてさて。
だが、どちらにせよ今私やホシノが出来るのはノノミの対応を待つ事だけか。
「……さてと。えーと、簡単に説明すると……この学校、借金があるんだー。まあ、ありふれた話だけどさ」
「いくらだ?」
まぁ多少なら出せるだろう。
別に私自身、金に困っていないし食事もそこまで拘ってもいない。
せいぜい、映画のサブスクリプションくらいだ。
「問題はその金額で……9億円ぐらいあるんだよねー」
「……9億6235万円、です。アビドス……いえ、私たち「対策委員会」が返済しなくてはならない金額です」
「……10億だと……!?」
アーテリスの様な金貨であれば創造魔法でどうにかなるが、こちらの世界は偽造対策までしているから創造魔法で無理やり返済するのはできない。
金塊でも作り出すか?
いや、金塊でも正直厳しい部類だ。
そもそも借金問題があり、苦しんでるであろう学生が突然大金を持ってきたらそれこそ事件だ。
「はい……これが返済できないと、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きを取らざるを得なくなります。ですが、実際に返済できる可能性は0%に近く……ほとんどの生徒は諦めて、この学校と街を捨てて去ってしまいました……」
「そして私たちだけが残った」
「学校が廃校の危機に追いやられたのも、生徒がいなくなったのも、街がゴーストタウンになりつつあるのも、全てこの借金のせいです」
「例の砂嵐が原因なんだろうな」
「はい。この地域では以前から頻繁に砂嵐が起きていたのですが、その時の砂嵐は想像を絶する規模のものでした」
「学区のいたる所が砂に埋もれ、砂嵐が去ってからも砂が溜まり続けてしまい。その自然災害を克服するために、我が校は多額の資金を投入せざるを得ませんでした……しかしこのような片田舎の学校に、巨額の融資をしてくれる銀行はなかなか見つからず……」
「結局、悪徳金融業者に頼るしかなかった」
そういって、シロコはカイザーローンとか書かれたホワイトボードを叩く。
キヴォトス最大手の企業、カイザーコーポレーションだったか。
どうせ碌なモノじゃないと思っていたが、案の定という訳か。
なぜ碌なモノじゃないと思ったかって?
ラハブレアの爺さんがキヴォトスで憑依するなら誰かを考えた時に、一番最初に思い浮かぶ相手だったからだ。
時の権力者への『憑依』、それこそがアシエン・ラハブレアの十八番だったがこうして目を付けられるという事は何らかの『弱み』がある。それに私がこのキヴォトスで暗躍するならどうするかと言われても企業家にするだろう。
それだけじゃない、どれだけ考えても13人のアシエン全員がキヴォトスを狙うなら連邦生徒会ですら縛り辛い大企業の社長へ目を付けるはずだ。
ならば、まともじゃないだろう。
「なるほど、大手の金融部門か」
「最初のうちは、すぐに返済できる算段だったと思います。しかし砂嵐はその後も、毎年更に巨大な規模で発生し……学校の努力も虚しく、学区の状況は手が付けられないほどの悪化の一途を辿りました……そしてついに、アビドスの半分以上が砂に呑まれて砂漠と化し、借金はみるみる膨れ上がっていったのです……」
奴らの狙いはまず間違いなく、『金の回収』ではない。
差し押さえすれば学校がカイザーローンの手に渡ると言っていたな。
なら、狙いは『学校』か『学校が所有している権利』……
こんな廃校寸前の建物になど興味はないはずだから『権利』だな。
随分と回りくどいが賢いやり方ではあるな。子供に10億の借金があるといい、それを返さないと学校が潰れるぞと脅せば裏など調べる暇もなく返そうとするはず。
だって、学校が潰れますと脅すのだ。それが嫌な奴は消え、足掻く者たちが減れば減るだけ都合がいい。首が回らないようになるからな。
旧首脳陣にスパイでも送り込んだか、それとも買収したか。何なら砂嵐まで疑うべきだろう。
自然とエーテルが乱れて起こる現象じゃない、人為的なモノの可能性も高くそれが頻発するなどまともじゃない。
ただまあ、私がいる間は砂嵐は起こらない。
ほんの少しの乱れでも察知したら止めてやる。服が汚れるのはごめんだしな。
「私たちの力だけでは、毎月の利息を返済するので精一杯で……弾薬も補給品も、底をついてしまっています」
「セリカがあそこまで神経質になってるのは、これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは、先生、あなたが初めて」
「……まあ、そういうつまらない話だよ」
「つまらないだと?」
思わず怒気が混ざってしまった。
つまらないものか。
砂嵐、借金、渦巻く陰謀。
これらに晒されながらも懸命に足掻き続けた5人の物語、そこに至る理由がつまらない話だと?
「先生?」
「お前は自分が、自分たちが懸命に足掻き苦しんだ原因をつまらない話で済ませるのか!」
私の叫びが教室に静寂を齎してしまう。
だからなんだ。
本来ならしなくていいかもしれない苦しみを味合わされて、裏を調べる間もなくこうして苦労を重ねる日々。
そういう状態にして何も知らぬ者たちに押し付けた『責任者』に9割、どうせ碌な大義なんて持ち合わせていないカイザーコーポレーションに1割、腹が立つ。
「……すまない。お前たちに怒ったわけじゃない……」
「びっくりしたよ~。でも、そう。初めてなんだよ、そうやって私たちの話を聞いてくれて怒ってくれた大人はさ。でも、先生のおかげでヘルメット団っていう厄介な問題が解決したから、これからは借金返済に全力投球できるようになったってわけー」
そんな言葉が少しだけ優しい目でホシノの口から紡がれた。
だがお前はこれ以上の物を、背負っているんだろう?
お前の問題を解決するのは中々遠そうだ。
だが、決して諦めはしないさ。
「もしこの委員会の顧問になってくれるとしても、借金のことは気にしなくていいからねー。話を聞いてくれるだけでもありがたいし」
「そうだね。先生は十分力になってくれた。これ以上迷惑をかけられない」
お前たちは……どこまでも愚かでそして眩しい。
そんな光を見せるな……そうやって自分たちで背負い込もうとするな。
『私も対策委員会の一員として、頑張るよ。大丈夫!!きっと、解決するさ』
そんな声が聞こえた気がした。
ああ、だろうな。
だって、
ならば、私も同じ道を選ぼうじゃないか。
かつて、お前に巻き込まれて数多くの問題を解決しその大半が私が解決した事にされた意趣返しに。
もしかしたら星海で視ているかもしれないもう一人の為に。
そして、私自身が彼女たちを判じるために。
「私が力を貸してやる」
「そ、それって……」
「ただし! 私がお前たちに提示してやれるのは『助言』と『戦闘の策』だけだ。『選択』はお前たち自身でしろ。それでもいいか?」
あえて、他の大人に対する守りの部分は伏せておいた。
可能性だ、ないならそれでいい。9割方あると思うがな。
「あ、はいっ! よろしくお願いします、先生!」
「へえ、先生も変わり者だねー。こんな面倒なことに自分から首を突っ込もうなんて」
「生憎、面倒事には慣れていてな」
「良かった……『シャーレ』が力になってくれるなんて。これで私たちも、希望を持っていいんですよね?」
「希望か……ああ、それからもう一つ追加注文だ」
「なんですか?」
「お前たち全員、決して絶望などしてくれるなよ。この道にどれだけの苦難があろうとも希望を持ち続ければ必ず道は開ける。だが、絶望すれば……風に乗れず、地面へと叩きつけられるだけだ」
大きな約束かもしれない。
まだ、彼女たちはホシノを除いてそこまでは苦しんでいないのかもしれない。
それでも。
『絶望はいつだって、希望よりもひとつ多く用意されているものだ』
そういった終焉を謳うもの自身があいつによって倒されたように。
希望を持ち続ければ、想い続ければ必ず絶望の闇を覆い隠すほどの光へと変わる。
「わかった。希望を失わず持ち続ける」
「はい、先生!」
シロコとアヤネは同意を示した。
後は……
「先生は……エメトセルク先生は、いい人だね」
ホシノは同意とも否定とも取れない玉虫色の回答で返した。
ああ、お前はまだそれでいい。
ほんの少しでも響いたならそれでいいんだ。
「ふん。誠に、不本意ながら、身をもって経験しただけだ!!」
素直になれと生徒に思っている私自身が全く素直でないのはこの際置いておけ。
セリカはいい子なんですよ、そんな性格もエメトセルクは理解しています。
なんせ、自分と似てる部分がありますからね!
少しずつエメトセルクの感情が出始めてます。
今後の展開について(絆エピソードや番外編は書きます。アビドス編後の流れについて聞きたいです)花のパヴァーヌ(花)、エデン条約(エ)、カルバノグの兎(兎)
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原作通り(パ1→エ→パ2→兎→パ2)
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変則(エ→パ1,2→兎)
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その他(コメントでお願いします)