人理保証機関カルデア 英霊召喚第二成功例ー時計頭   作:無頼Doボデド

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やあ諸君、久しぶりだね
TKTでアイデアが出てちょっとストーリーのプロットを変更した私だよ
因みに遅れた原因には関係ないよ
全ての原因は全て餃子と骸骨のせいだ!



嘗て其処に有った死/何時か有り得る出会い

〈うおぉお、おぉぉ! ようやく着いた!〉

なんとかこのサーヴァントをバスまで運んで来れた。

非力な私にとっては、正直女性一人を持ち運ぶのだって大変だ。

何度バランスを崩して火の中に飛び込みそうになったことか。

 

〈それで、この人をどうすれば良いの?〉

「それではメフィストフェレスの口部分へ運んで下さい。」

〈口部分?〉

「はい、バスの側面のー」

 

 

「ちょっと、何してるのよ!?」

 

いつの間にか元気を取り戻した所長がこっちを見るなり悲鳴をあげた。

〈まぁ、そりゃあそうなるよね・・・〉

さっきまでの敵を目の前まで連れて来られたら誰だってこうなる。

むしろ落ち着いていられる方が異常だろうね。

 

「何よ、もしかして魂喰いでもするの!?

 せめてやるんならバスの中でー」

 

と言いながらバスの扉を開けた所長だったが───

 

「この、匂いは…」

 

何かに気づいて表情を曇らせてしまった。

 

「やっぱり、やっぱりそうだったのね・・・」

 

何かの匂いがするんだろうか?こんな頭では匂いが分からないから判断できないけど。

 

〈所長はどうしたんだ? 何を嗅いだんだ?〉

 

「マシュの血の匂いでしょうね。

 人間の死による精神的損傷の一環で気分が沈んでいるのでしょう。

 そんなことよりもダンテ、メフィストフェレスの口を開きますので

 サーヴァントをバスのすぐ側に置いてください。」

 

人の心の無い合理的な解説に文句を言いたくなるけども、

マシュの死を忘れていた私が言えることでも無い。

逆らっても意味がないし、サーヴァントをバスのすぐ横へどさりと下ろす。

 

・・・それにしても何をするんだろう?

 

さっき所長が言ってた[魂喰い?]なのか、それともこの人を味方にでもするんだろうか。

「見ていれば分かりますのでしばらくお待ち下さい。」

 

やがて、側面が鳥肌の立つ音を立てながら横に開く。

その中からは鋼鉄の異形が現れた。

さながら両合わせのショベルカーの歯の様な外見をしたその口は、

目の前の肉を中へと中へと引き摺り込む。

 

「は!? なになになに何が起きてるの!? バスが、サーヴァントを食べるの!?」

気をすぐ取り直した所長の驚く姿を横目に挿入は続く。

やがて完全に口内へと取り込んだ後、ガツガツと咀嚼を始める。

ガコン、ガコンという衝撃と、咀嚼の轟音が響く。

「ーーーー!ーーーー!ーーーーーーーー!」

悲鳴の様な音が聞こえた気もしたが、所長の物かサーヴァントの物かはこの音で分からない。

やがて中から少しの光が溢れた。

食事が終わったのか、轟音も止まってバスのカタチも直ってゆく。

 

「やっぱりこのバスがこいつの宝具?いやそれにしても・・・」

 

〈・・・終わったの?〉

「はい、これでメフィストフェレスの食事は終了しました。」

 

これで目前のやることは終了した。終了してしまった。

 

 

だから、もう犠牲に目を向けなければならない。

激動の短期間を振り返るためにも、この先を考えるためにも。

ひとまず所長に声をかける。

 

〈・・・辛いけど、マシュの状態を確認しよう。〉

 

「・・・何を伝えようとしているの? もしかしてなにかあったの?」

 

言葉が伝わらない面倒さに辟易しながらも、ジェスチャーでバスの中に入ろうと促す。

 

「ええ、そうね… しっかり、中を見ないと…」

 

再び、所長の顔が沈んだ。

 

 

 

開かれた扉を通ってゆっくりと中に入り、通路を見れば赤色が広がっていた。

誰かが見ることを見越しての囮にされたのだろうか。

素直に首を切られたベリルとは違って必要の無い傷が多く見える。

抉られ、刺され、無駄に悪趣味に傷つけられた体が。

隣に無造作に置かれている盾は時間稼ぎに使われたのだろうか。

床には必死に堪えた傷跡が残っている。

 

もしかしたら、彼女が時間を稼いでくれなければ私達は全滅していたのかもしれない。

そう思わなければやっていられないほど/彼女の死に意味があったと定義しなければいけない程

残酷な死に様だった。

 

「ううっ!ーーーーーーーーーー」

所長が口を押さえて崩れ落ちた。

必死に吐き気を堪えているのか、汗が滝の様に床へと滴り落ちている。

やがて吐き気を押さえこんだのか、

しかし吐き出さねばならない強迫に駆られて、心中を死者へと吐き出した。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい!私が悪かったの、私が!全部私のせいだったの!!」

 

抱えていた言葉を彼女は吐き出す。

これがあのいつも高飛車だった所長だろうか。

あるいは、高飛車な方の性格が本物ではなかったのかもしれない。

こんな感じの激情と後悔を抑えるために生まれた蓋だったのかも。

本心ではいつも、罪悪感に苛まれていたのかもしれないね。

 

 

「あんなに残酷なことをして、それでも実験が失敗して、

 なのにここまで連れて来て、全部私のせいよ!

 きっとあなたは最後まで私を恨んで、いや違うわ、貴方はきっと・・・

 ごめんなさい、ごめんなさい! どうか私のことを呪って、あぁあああ!」

 

 

とても苦しんでいる。己を許すことの出来ない罪悪感の苦しみ。

死人が生き返ることができない以上、彼女の罪を受け止めてくれる人はいないだろう。

きっといつまでもこの苦しみを抱えて生きるしかないんだ。

辛いかもしれないけど、でもそれが人生じゃないだろうか。

どれほど苦しくても抱えて歩いて───────

 

「ではダンテ、時計を回してください。」

〈時計を、回す? この私の頭の時計を?〉

 

唐突にこの人は何を言い出すんだろう。

 

「はい。彼女達を生き返らせないと業務に支障が出ると思いますので。」

 

 

 

 

今なんて?

 

〈あの、ごめん、今なんて言ったかもう一回教えてもらっても良い?〉

「はあ。そろそろ時計を巻き戻して彼女達を生き返らせましょう。と。」

 

生き返らせる。死んだ人を。

 

 

 

死んだ人を?

 

〈ちょっと待って! 私にそんなことが出来るの!?〉

「契約した囚人であれば可能です。

 ああ、契約した囚人とは、Aチームのメンバーのことです。」

〈どうやって!〉

「いつかやっていた通りにです、ダンテ。レイシフトをする前にやった様に。

 まあ、あの時は本能でやり遂げたのでしょうけども。」

 

「さあ、もう一度やっていきましょう。まずは目を閉じて下さい。」

 

目なんてものは私の体に無いけれども、視界の塞ぎ方は本能的に分かった。

逆らう理由もないし、大人しく指示に従う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「実のところ扉はどこにもあるんです。」

 

「でも、あなたにしか見えません。

 なぜかというと、あなたの空では星が沈まないから。」

 

突然、視界に光が差し込んで来た。

さっきとは逆の要領で目を開く。

 

 

 

すると、空間があった。

 

そこには私ひとりだけがいて、視界の前には巨大な扉があった。

あまり良い感じはしなかった。

 

扉の中からは酷い熱気と喚き声が混ざって聞こえてくる。

果てしない悲嘆と哭声を少し聞くだけでも、気が遠くなる。

でも私は当然やるべきことをやる様に、その扉の取っ手を握りしめた。

荘厳な見た目よりも幾分か呆気なく、その扉は開かれた。

私は数千数万の泣き声のする扉の中をまさぐった。

そして、その内からいくつかの手を掴む。

 

それぞれ異なる烙印を持つはずだった未熟な罪悪の種が

私の手から腕の上へと伝いながら登って来るのを感じられる。

 

 

 

 

「苦痛を分かつ準備はできましたか?」

 

 

 

 

それが質問なのか、それとも覚悟の強要だったのかは分からない。

ただ私は、私の手を掴んだ罪人達を力一杯に引っ張り上げた。

 

 

 

〈がああああぁあぁぁぁぁ!!!〉

 

 

 

首に走る鋭い痛み、ありとあらゆる体の箇所を傷つけ精神を壊そうとするかの様な痛み、

全身を掴んでぐちゃぐちゃに擦り潰そうとするかの様な痛み。

いっそ死んでしまった方がマシと思えるほどの痛みが。

 

「今度は何をしてるの!? ま、まさかまた攻撃でも受けてるの!?」

 

耐え難く絶え間ない苦痛が私を襲う。

ありとあらゆる筋肉が肋骨と交じり合うような苦しみが。

全身の肉が裂け骨と接合するような感覚が。

当然、耐えることなどできない私の体は膝を着き、苦しみに悶える。

 

だが、私は見た。

 

「・・・え? なにが、おきてるの? 」

 

痛みの強くなる度にマシュの血溜まりの中で湧き上がる血飛沫と泡を。

 

だんだんと人の死体というより肉塊に近かった物質が、人の形を取り戻していく。

 

そして永遠とも思えた痛覚がパチリと止まった瞬間。

 

「! え? ここは?」

 

マシュの死体は無くなり、生きているようにしか見えないマシュが立っていた。

 

 

〈う、うぅ、そういえばあの時もこんな感じの痛みを味わったな・・・〉

 

 

痛みで頭がぐらんぐらんするのに耐えながらも起き上がると、

 

その一瞬で所長が泡を吹いて倒れていてマシュがあたふたしながら介抱していた。

 

「所、所長!? 大丈夫ですか! その、お怪我は・・・」

マシュが必死に揺さぶっているけど起きる気配は無い。

どうやらただの気絶体のようだ。

 

〈あの、マシュ、だよね? しっかり生きてる?〉

「! はい、マシュ・キリエライト、生存しています。

 確かに先ほど死んでしまったと思っていたんですが・・・」

 

どうやら私は、本当に人を生き返させられるらしい。

そんな自分自身に驚いていると─────

 

────────────────────────────

 

 

目が光るのが見えた。

紫が僕を照らし、刹那で全身が石に変わる。

逃げようとする時間すら無く四肢の感覚が消えていく。

やがて侵食は顔まで昇り上がり、やがて意識は完全なる暗闇の中へ─────

 

 

 

 

消えたはずだった。

それなのに一瞬、時計の音が頭に響く。

カチコチカチコチとうるさく鳴った直後に、死の暗転から眩い現世へと引き戻された。

 

「ゴホッ、かッ、はぁ、どうなってる!?」

見渡せばそこは少し様変わりした先程までの戦場。

あのサーヴァントはおらず、石化された筈の体が動いている。

体を覆っていたあの氷は消え、足元は巨大なクレーターになっている。

 

(わざわざ僕の石化を解く理由があのサーヴァントにはないだろう。

 それなら脅して言うことを聞かせたか、或いは殺したことで解除されたか。

 どちらにしろ、つまり・・・)

 

「アイツらサーヴァントを倒せたのか!」

 

どうやったのかまでは分からない。そもそも石化とは任意で解除できるものなのだろうか。

だが状況的に見て、他の可能性はないだろう。

先程まで[勝てるかも]と思ってはいたが、本当に出来るとなると話は変わってくる。

一先ずダンテ達を見つけようとクレーターの上へ登った。

すぐ近くにバスが見える。あの中に多分アイツらは──

 

「おい、カドック!」

 

 

 

信じられない声を聞く。

 

知っている声だ。面倒臭いが頼りになる同僚の声だ。

 

 

そして、さっき首を文字通りに切られていた奴の声だ。

 

「ベリル、か?」

「ああ、俺だよ! ベリル・ガットだ!」

 

間違いなくあの時アイツは殺されていた。

いかに優れた魔術回路の持ち主だろうと、

首を刎ねられて放置されて尚生きていられるなんて話は聞いたことがない。

 

(まさか、アサシンのスキルか幻想種による偽物か?)

疑いすぎかもしれない。だが、間違いなく警戒すべき状況だ。

何かしらの事情でベリルが蘇ったと言う可能性よりも、

誰かが化けている可能性の方が圧倒的に高いからだ。

(というより、人が蘇るなんてまほ─)

脱線しそうになった考えを持ち直す。こういう時は本人かどうかの確認だ。

 

「一応聞くけど、お前は本物のベリルだよな?」

「おいおい兄貴分に対して冷たいなカドック! そこはしっかり信じてくれよ!

 まああんなの見た後なら信じられないのも無理はないか。」

「…所属と個人情報を」

「人理保証機関カルデア所属、ベリル・ガット。

 スカウトされる前はフリーの魔術使い。

 身長、体重は〜〜」

「そのくらいで十分だ。」

 

そこから先は僕も知らないから確かめる方法はない。

少なくともここまでペラペラ喋れる時点でガワだけの偽物じゃないことは分かった。

後は───

「現在、カルデアの指揮は誰が取っている?」

「そりゃ所ちょ───いや違うな、さっき所長は見えた。

 ってことはミスって所長も飛ばされたってことだ。適正は無かった筈だけどな。

 つまり現在のカルデアを指揮してるのは・・・レフだな。」

「残念だがハズレだ。今の向こうのトップはドクターだ。」

「げ。ドクターがトップかよ。もしかして教授も纏めて送られたか?」

「多分そうだろう、っていうのが僕たちの予想だ。見つかってはいないけども。」

 

ゆっくりと、ベリルに近づいていく。

「それで、間違えた俺は偽物かい?」

 

さあ、結論を出す時だ。このベリルは──

 

 

「いいや、アンタは本物だ。なんで生きているのかは分からないけど。」

 

判断する上での根拠は最後の回答だ。

ここで万が一ドクターと答えていたならそれは[僕の記憶を読み取った]偽物と分かる。

普通に考えてその回答を導き出すのは(デイビッドならまだしも)無理だからだ。

だからこそ、真っ当な理由で間違えたこのベリルは恐らく本物だろう。

 

「俺だってなんで生きてるかは分からないさ。確かに視界が一回転したぜ。

 ただ、一回転の後の真っ暗な世界で時計の音がしたと思ったらこのザマだ。

 ・・・正直、俺も信じられないけどな。」

 

僕が目を覚ましたのと同じ状況だ。ということはまさか・・・

 

「そういえばお前さん達はアイツどうしたんだ?」

「アイツ?」

「あのサーヴァントだよ!俺の首を跳ね飛ばした奴!」

「・・・多分勝ったんだと思う、僕も最後まで確認は出来てないんだ。」

「嘘だろおい!どうやったんだ、大金星じゃねぇか!」

 

「取り敢えず拠点まで行こう、あそこのバスが見えるか?」

「なんだアレ。ずいぶん趣味の良いバスだな?」

「アレがダンテ・・・つまりあの時計頭のサーヴァントが出した奴だ。」

「ちょっと待てちょっと待て!?情報が多すぎないか!?

 あのサーヴァントの名前がなんで分かるようになったんだ?」

「そこのとこを含めて落ち着いた場所で話そう。着いてきてくれ。」

「へいへい。楽しみに待っとくぜ。」

 

───────────────────────────────────

 

 

バスの前までたどり着いたは良いが、血の匂いがする。

「おいおい、誰か死んだのか〜?」

「あっ。」

「どうしたカドック?まさか本当に誰か死んだの忘れてたのか?」

(マズイ、マシュがバスの中で死んでいるのを忘れてた!

 最悪パニックを起こしたらーー)

「待てベリル、開けるな!」

だが遅かった。既にベリルは中を覗いてしまっていた。

 

「さーてどんな惨状、が・・・」

 

瞬間、ベリルがフリーズした。急いで抑えようとバスに乗り込む。

 

其処は─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」ブクブクブクブク

「所長、大丈夫ですか所長!!

 大変です、所長が吐きながら倒れました!」アタフタアタフタ

〈このバスエチケット袋とか無いの!? 教えて女の人!〉カチコチゴーンゴーン

 

───────────地獄だった。




次はガチャ回と言ったな、アレは嘘だ。
正直蘇生に描写割きすぎました。次こそガチャ回します。
ユーロジヴィも永続もモレーも引けなかった恨みを使って
せめて作品内のガチャ運だけは良くします。
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