界王拳を極めし者   作:紅乃 晴@小説アカ

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修行修行でまた修行

 

 

どうも、いきなり界王様にスカウトされた男です。

 

目が覚めたら別世界でした、をリアルに食らって5年……こっちに来てからはマジで修行修行修行の日々だった……。

 

まずは界王星の重力に慣れる……の前に基礎体力作り。本当に最初は腕立て伏せ、腹筋、スクワットを毎日10000回とか言われて「いや普通に死ぬんだが?」と真顔で返したら、とりあえず毎日1000回ずつになった。

 

と言っても毎日1000回とか普通に拷問なんだが……当時は「やっぱりここは地獄では?もしくは24時間営業のジムか」と思ってたよね。

 

んで、半年くらいかけて徐々に基礎体力を底上げして動けるようになったら重力を界王星に近づけていく訓練が始まった。

 

とりあえず3割と界王様の触覚が動いたと思ったら身体がすんごい重くなった。歩くのがやっとの中、「じゃあこれまでと同じメニューをこなすように」と言われたときの俺の心情はいかほどだったか……。できるかよ!って内心思ってたら界王様からめちゃくちゃ煽られて「で、できらぁ!」って言ったのが運の尽き。最初の頃なんてスクワットして下ろした体を上げる時に身体の中から「ブチブチ」って変な音鳴ったからな!クソわよ!

 

そんで慣れてきたら5割、7割と増やしていって……界王星の重力下で人並みに動けるのに3年くらいかかったわクソが。

 

界王様もようやくここまできたかぁって言ってたし、そりゃドラゴンボールの主要キャラに比べたら俺なんてミジンコ以下、戦闘力もクソだし、ゴミめって言われる前にぶっ飛ばされるモブだけどさ……そんなミジンコ野郎に修行を課すとか、やはりこの世界は新手の地獄なのでは?

 

そんな俺の思いなんてつゆ知らず、界王様は次の修行へ移行する。

 

ようやっとバブルスくんを捕まえるという修行だ。これがまた辛いの何の。マジでバブルスくん動き速いんよ。追い詰められた時の爆発力が半端じゃない。シャカシャカ走り……というか、あの走りになった途端に追いつける気がしないんだが。

 

毎日毎日、バブルスくんとの追いかけっこ。しかも重力になれたとは言え重いものは重い。スタミナは想像以上に減ってくし、トップスピードもバブルスくんの本気走りには遠く及ばない。ではどうするか?猿とは違い人間は頭を使うのだよ。

 

悟空がやっていたように界王星の小ささを逆手に取った先回りを敢行。直線的には圧倒的な速さを誇るバブルスくんだが、蛇行や曲がりになると一気に速度が落ちるのでそこを狙ってやっと捕まえることができた。

 

界王星に来てから、ここまでで3年半年。

 

成長具合を悟空と比べられたら鼻で笑われるほどの遅さである。

 

さて、次はお待ちかねビュンビュン飛び回るグレゴリーくんとの追いかけっこ……と思いきや、界王様直々の武術の指導が始まった。え、グレゴリーくんとの追いかけっこは?と聞いたが、それよりも先に武術の基礎、応用を身につけるのが優先と言われました。

 

ちなみに界王様のお世話係でもあるグレゴリーくんとは仲良しである。なぜか?界王様の作るご飯がいまいち過ぎたので自分で作ったり、お風呂掃除とか身の回りのこととかを手伝ってたら気がついたら仲良くなってました。

 

グレゴリーくんからすればずっと一人で界王様の身の回りのことをしてきたわけだから、同じく家事や炊事をやる俺を気に入ってくれたのかもしれない。

 

ちなみにグレゴリーくんと一緒に割とだらしない界王様に小言を言うと「やっぱりお主ら、ワシを敬ってないな?」と言われます。

 

お師匠様で界王様でもあるので敬ってはいるんだけど、それとこれとは話が別ですわぁ。とりあえず脱いだパンツくらいは洗濯カゴに入れてください!

 

そんなこんなで界王様からの武術指導を受け始め、さらに半年。今日から別のことをすると言われていよいよ界王拳!?っと内心テンションが上がったところで、渡されたのはおもりである。手首と足首に巻くタイプのやつだが、重さは四つ合わせてなんと200キロ。ふ、ふざけてやがる。俺のワクワクを返せ。

 

恨めしげに見る俺を不思議そうにしている界王様。ひとまずおもりを四肢につけてみるけど、うん、普通に重いわ。ひとつあたり50キロのおもりとか頭イカれてんのか。

 

そんで、やることはこれまでの基礎と応用の練習である。界王拳はどうした!界王拳は!そう思わず言うと、「今のお主が使っても反動で自滅するだけ」と正論パンチを喰らいました。うん、なんとなくそんな気はしてたよ!!

 

そうしておもりを付けた状態で再び鍛錬。まともに動けるようになるまで一年かかったよ……。

 

「よし、よく動けるようになったな。じゃあ次はおもりを倍にしてみよう」

 

「おいこら触覚頭っざけんじゃねぇぞ」

 

「あっそーれ!がんばれがんばれ」

 

「んがぁああああ!」

 

前触れなくおもりが倍になったので先鋭的な現代アートみたいな手足を地面に引き摺るポーズとっちまったじゃねえか!

 

クソわよ!!!!!

 

 

 

 

正直に言えば、この5年近くでここまでのレベルに来れるとは思ってなかった。

 

初めての弟子だったこともあり、まずはじっくりと育てていこうと計画していたのだが……〝10年〟かけて育てるペースをまさか5年でクリアするとは。本人は悟空と比べて成長がどん亀と感じているようだが、それは比べる相手が悪すぎると言いたい。

 

孫悟空は長年生きてきたワシから見ても規格外の強さと成長速度を持ったサイヤ人だ。重力の克服、追いかけっこ、そして元気玉に界王拳……あの期間で会得できたのは、まさに悟空の潜在能力が常識では考えられないほど秘められていたからに他ならない。

 

そして、それは目の前の男にも言えることだ。倍のおもりに四苦八苦しながら何とか歩き回ってるところを見る限り、身体能力、適応能力は飛び抜けているし、根性も充分にある。

 

本音を言えば、通常の界王拳を教えても充分なのだが……欲が出てしまった。過酷な鍛錬を続け、肉体を整えさえすれば、3倍……いや、4倍界王拳からスタートしても反動でくるダメージは少なく済むだろう。

 

負荷をかけながらも、界王拳を極める。

 

100倍……1000倍界王拳。いや、こやつならば、界王拳を超える、新たなる界王拳を会得することもできるやもしれぬ。

 

ふふふ、ますます面白くなってきたわい。

 

……あ、そういえば肝心なことを教えるのを忘れておったわ。

 

 

 

 

再びおもりが増量されて半年。やっとまともに動けるようになったわ。前につけられた時よりちょっとペースが上がった気がする。よく頑張ったよ俺ぁ!自分を褒めてやりテェ!よ〜しよしよしよしよし!……なんか、将来燃えるゴミの日に収集車にシューーっ!超エキサイティン⭐︎されそうだから、この褒め方は辞めよう。

 

とりあえず基礎と応用の界王拳の型を難なくできるようになったあたりで、界王様からまた新たな修練が。今度こそ界王拳ですか!?って思ったら、なんと気の修行でした。

 

「ごめーんね。気についての修行がすっぽり忘れとったわ」

 

「物理だけガン上げされたわけなんですがそれは……」

 

「だからごめんて」

 

ドラゴンボールで言えば気の修行ってかなり序盤じゃね?どこか虚しい気持ちになりながらも、とりあえず界王様が「この岩に向かって打ってみ」とかるーく言ってくる。え、まさか俺もう打てちゃう感じですか?こんだけフィジカル強化したから、気も同時に成長してるやつですか?悟空みたく見ただけで打てるやつですか!?

 

あの……かめはめ波を!!!

 

「まっかせてくださいよぉ!いきますよぉ!」

 

そう言って両手の手首を向かい合わせに重ね、脇腹付近にグッと構える。男の子なら一度は真似したことある……かの有名なあのポーズだ!

 

「か〜」

 

大きく息を吸い込んで集中する。

 

「め〜」

 

イメージはそう……俺の身体を通して出る力みたいなもの。

 

「は〜」

 

それを手に流していくようなイメージ。そうそう、具体的なイメージはばっちりだ。

 

「めぇ〜……」

 

充分に溜めたと思われるエネルギーが、手のひらを通して大気へと押し出される。循環したパワーが今まさに撃ち放たれるのを待っている!

 

「波ァァアーーーッ!!!」

 

雄叫びをあげて両手をまっすぐに岩目掛けて突き出す。あとは両手に貯められたエネルギーが枷を外され、一気に岩を砕くために直進……しない。

 

しんとあたりが静まり返る。ウッホウッホとバブルスくんが散歩している。楽しそうだなぁ。この空気感もどうにかしてくれねぇかなぁ。

 

もちろんイメージしていたエネルギーすらもない。青白いかめはめ波なるものも出ていない。

 

ないものはない。

 

ないったらない。

 

「笑えよベジータ!!!!!」

 

そう言って俺はその場に四つん這いになってうずくまった。なんでやベジータ関係ないやろ!でも恥ずかしいものは恥ずかしいんだい!ああああいっそ殺せ!?

 

「ぷっ……ブワッハッハッハッ!!あれだけ溜めて何にも出ないのは逆に面白いぞ!!アハハハハハ!!」

 

界王様、そんなに笑うこたぁないでしょう!?バブルスくんとグレゴリーくんが「ウホウホ」「まぁ失敗は人を成長させてくれますから」と元気つけてくれてるけどその優しさがいたい!クソわよ!もう俺のライフはゼロだよ!

 

「ヒィ、ヒィ……ま、気の扱い方を全く知らないのだから、そうなって当然なわけじゃな」

 

「わかってたのに何故に岩を打てと言った!?」

 

「いやぁ、万が一も考えたのじゃが……やっぱりお主、才能がないのぉ」

 

「すいませんねぇ!世界を何度も救った英雄様と比べたらアタイはミジンコ以下だよぉ!!」

 

まぁまぁヤケにならずにとグレゴリーくんがお茶を出してくれる。いや、もうほんとに辛い。この鍛錬をしてて思うんだけど、悟空さんマジでバケモンじゃね?全然追いつけるイメージがわかねぇんだが?今の俺ってヤムチャさんに勝てるかすらも怪しんじゃね?天津飯と餃子の二人も大好きです。天津飯さんは大人しくランチさんと結婚しろぶっ飛ばすぞ。

 

「情緒不安定になってるところ申し訳ないが、今から気についての基礎の基礎訓練をはじめるぞぉ」

 

「容赦ねぇ。やっぱりここは新手の地獄だ」

 

「大丈夫。できるようになればいい思い出になる」

 

黒歴史はどこまでいっても黒歴史なんよ!偉大なる富野先生がそう言ってたんだ!その後、イヤイヤと現実逃避する俺の脳内に気の使い方を直接叩き込んできた界王様は本当にいい性格してると思う。

 

今度のご飯当番の時は界王様だけ大根の皮を煮たやつにしてやる。

 

そんなこんなで気の使い方を習得し始めて、気を発すること、気を放つこと、気を纏うこと、気をコントロールすることの基礎を叩き込まれたあたりだった。

 

「じゃあそろそろ悟空と組み手でもやってもらうとするかのぅ」

 

「何言ってんだオメー」

 

また界王様がわけわからんこと言い出したぞ。

 

 

 

 

 

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