『異世界で勇者召喚されたけどなんか勇者多くね?』   作:じぇのざうらー

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続きです


報奨金授与

 

 

決闘騒動の後、俺と樹は兵士に案内された勇者用の部屋で話し合っていた

仲間たちは別の部屋で待機中だ

 

 

「尚文さんから出ていたあの黒い靄、それに拓海さんの言っていたカースシリーズとは一体何なんです?」

 

樹が先程のカースシリーズに疑問を抱いてるので解説する

 

「ああ、カースシリーズってのは武器の所持者が強い負の感情を抱くか自殺を考えるほどの絶望に襲われることによって解放される武器シリーズのことだ」

 

「強い負の感情……」

 

「ああ、主に七つの大罪で構成されていて傲慢・憤怒・嫉妬・怠惰・色欲・強欲・暴食が存在する。おそらく尚文が解放したのは憤怒の方だろう」

 

「そりゃあ……あんなひどい仕打ちを受け続けていたらそりゃあ憤怒も解放されるでしょう…」

 

「それとカースって名前の通り呪いの武器でもあるから使用者には代償として呪いがかかる」

 

「呪い…そんな恐ろしいことが…今後僕の弓もそうなるかもしれない可能性があると…」

 

 

樹は恐れ慄いた目で自身の弓を見る

 

 

俺も剣を再度見る

 

見間違いでなければ俺にもカースシリーズが解放されてしまったはずだ…しかしいったい何の?

 

 

 

カースシリーズ

 

触れる事さえ、はばかられる。

 

 

 

見れるのはその一文だけ。だがおそらくもっと詳しく調べればわかるのだろうがとてもじゃないがそんな気は起きない

 

 

「なら今の尚文さんは危険なのでは?」

 

 

樹の指摘ももっともだが

 

 

「多分…大丈夫…だろう。いまは尚文の仲間の彼女が寄り添っているからおそらく暴走はしない…はずだ…」

 

とはいえ今後尚文にはカースシリーズを使わせない方向で行かないと周りや尚文自身がもっと酷いことになりかねない

 

ブレスシリーズに至る可能性もあるとはいえそのために尚文に更なる重荷を背負わせるわけにはいかない

 

 

「樹も充分気をつけろよ?カースシリーズは強力だが失う代償も計り知れないからな」

 

「わかっています。僕もそんなものに頼らず強くなりますよ」

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

翌日、俺たちは波の報奨金授与のため謁見の間に集まっていた

 

 

 

「では今回の波までに対する報奨金と援助金を渡すとしよう」

 

 

王がそう言い側近が金袋を持ってくる

 

報酬金か…たしかこのあとこのお金を使ってラフタリアの奴隷紋の再登録とフィーロを購入するんだったよな……

 

奴隷紋で思い出したけどそろそろ俺が購入したラフタリア以外の残りの2人を迎い入れないとな…いつまでも奴隷商で預からせるのは色々と不味いよな… 

 

しかしそうなるとパーティーメンバーが増えて大所帯になるし、それに三勇教が未だいる状態で剣の勇者の俺が奴隷を所持するのは風聞的にもなぁ……

 

 

「次にタクミ殿、やはり波に対する活躍と我が国の依頼を達成してくれた報酬をプラスして銀貨3800枚」

 

 

……なんて考えてたら俺に報奨金が渡されてきたので受け取る

 

 

「そしてイツキ殿……貴殿の活躍は国に響いている。よくあの困難な仕事を達成してくれた。銀貨3800枚だ」

 

 

そういやこの時は元康だけ地味に多めに貰っていた気がするな。樹も元康に対して納得のいかない視線を向けてるし

 

 

「ふん、盾にはもう少し頑張ってもらわねばならんな。奴隷紋の解呪代として援助金は無しとさせてもらう」

 

 

そして最早隠すことすらしない尚文への差別。尚文も忌々しい目で王を見ている

 

 

「……あの、王様」

 

「なんだ? 亜人」

 

「……その、依頼とはなんですか?」

 

「我が国で起こった問題を勇者殿に解決してもらっているのだ」

 

 

ギルドの依頼の中には国からの依頼も含まれている。俺が以前受けた魔物討伐もそんな感じだ

 

 

「……何故、ナオフミ様は依頼を受けていないのですか? 初耳なのですが」

 

「フッ! 盾に何ができる」

 

 

謁見の間が失笑に包まれる。コイツ等……

 

 

「ま、全然活躍しなかったもんな」

 

 

元康が見下すように言う

 

 

「民間人を見殺しにしてボスだけと戦っていれば、そりゃあ大活躍だろうさ。槍の勇者様」

 

「ハッ! そんなのは騎士団に任せておけば良いんだよ」

 

「その騎士団がノロマだから問題なんだろ。拓海と樹が避難誘導に加わらなかったら何人の死人が出たことやら……ボスにしか目が行っていない奴にはそれが分からなかったんだな」

 

 

俺、樹、元康が騎士団の団長の方を向く

 

団長の奴、忌々しそうに頷いていた

 

 

「だが、勇者に波の根源を対処してもらわねば被害が増大するのも事実、うぬぼれるな!」

 

 

尚文を碌に支援もせずに何がうぬぼれぬな!だふざけやがって…

 

 

「はいはい。じゃあ俺達はいろいろと忙しいんでね。金さえ貰ったらここには用がないんで行かせて貰いますヨー」

 

「まて、盾」

 

「あ? なんだよ。俺はおまえらと違って暇じゃないんだ」

 

「貴様は期待はずれもいい所だ。今後の援助金はないものと思え」

 

 

元からそのつもりだったろうに…

 

 

「それは良かったですね、ナオフミ様」

 

 

ラフタリアが満面の笑みで答える

 

 

「……え?」

 

「もう、こんな無駄な場所へ来る必要がなくなりました。無意味な時間の浪費に情熱を注ぐよりも、もっと必要な事に貴重な時間を割きましょう」

 

「あ……ああ」

 

 

ああ、本当にラフタリアが尚文に付いていて良かった…見てるだけでこっちも嬉しくなる

 

 

「では王様、私達はおいとまさせていただきますね」

 

 

と尚文をリードし謁見の間から出て行こうとするが…

 

 

「ちょっと待ってください」

 

 

樹が手をあげて王に異論する

 

 

「昨日……の事なのですが、尚文さんに対して行った問題はどう考えているのですか?」

 

 

一瞬で場の空気が固まった。昨日という言葉の後に間があったが、本当なら樹は今までの尚文に対する仕打ちも詰問したいのだろう

 

 

「どう、とは?」

 

「ですから、ラフタリアさんを賭けた勇者同士の戦いにおいて不正を行なったにも関わらず、勝手に奴隷紋を解いておきながら援助金を支給しないのはどうなのですかと聞いているのです」

 

「俺も見ていましたが、あの時尚文は元康に勝っていました」

 

「俺は負けてねぇ!」

 

 

お前はもう色々と負けているだろうに…

 

 

「返答次第では尚文さんが本当に性犯罪を犯したのか?というところまで遡る事になります」

 

「そうだな」

 

「あ、う……」

 

 

王が視線を泳がせながら口をつむぐ

 

 

「違いますわイツキ様、タクミ様!」

 

 

何が違うんじゃボケ!このクソ女!

 

 

「盾の勇者は一対一の決闘においてマントの下に魔物を隠し持っていたのです。ですから私の父である国王は采配として決着を見送ったのです」

 

 

何言ってんだ勝手に尚文を決闘させておいて采配もクソもあるか

 

 

「……それでもあなたとそのお仲間が魔法を放ったことはどう説明するつもりですか?」

 

「波の時に尚文は村を守るため必死で活躍しました。なので援助金を尚文は受け取るべきだと思います」

 

 

クソ女が舌打ちする。俺が睨むと元康の後ろに隠れやがる

 

 

「……しょうがない。では、最低限の援助金だけは支給してやろう。受け取るがいい」

 

 

王が苦々しい顔で命令すると金袋が尚文に渡される

 

 

「では王様、私達はお暇させていただきますね。弓の勇者様、剣の勇者様、正しい判断に感謝いたします」

 

 

と軽やかな歩調でラフタリアは尚文をリードし、謁見の間を後にする

 

 

「負け犬の遠吠えが」

 

 

お前が言うな。俺と尚文と樹は元康に対しそう思ったことだろう…

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

 

尚文たちが去ったあと俺たち勇者3人はそれぞれ王から依頼を頼まれた

 

 

元康が南西地域の飢餓の解決、樹が北方の小国の調査、で俺が東の村のドラゴン退治。どれも原作だと後から尚文が尻ぬぐいをする依頼だ

 

樹に関しては多分今の状態の樹なら問題はないだろう、元康に関しては問題を起こすが…後々神鳥の聖人こと尚文が解決してくれるはずだ

 

問題は俺が依頼されたドラゴン…というよりガエリオンか。…ガエリオンなぁ、どうしたもんか…殺すのはさすがにまずいし、かといって説得して素直に言うこと聞いてくれるかな?

 

ドラゴンはみんなプライドが高いって聞くから説得するのは難かしそうだけど…

 

 

「タクミ様この後の予定はどうするおつもりで?」

 

考え事をしていたらウェルトが今後の予定を聞いてきた

 

「ああ、国から東の村付近のドラゴン退治の依頼があってな。レベルを上げがてら向かおうと思う」

 

「ドラゴンですか」

 

「ああ、強敵だろうから色々と準備を整えていこうと思う」

 

「わかりました」

 

「それと………」

 

 

俺は前々から聞こうと思っていたことをみんなに聞く

 

 

「みんなは盾の勇者の尚文についてどう思う?」

 

 

そういうとみんなは何とも言えないような顔をする

 

 

「正直俺はこの国が盾の勇者に対して風当たりが強いのは感じていた。おそらくあの時みんなはどの勇者に付くかのタイミングで国から盾のところには行くなとか釘を刺されてたんだろう?」

 

「それは……」

 

 

テルシアが言葉を詰まらせる

 

 

「その件に関しては俺は責めないし…むしろ俺も同罪みたいなもんだからな」

 

原作知識を知っていながらあれやこれと理由をつけて尚文を庇わなかったが結局は俺も見て見ぬふりをしている

 

「タクミ様…」

 

「ただ、そろそろそういう事を続けていたら世界を救うなんてことは俺は出来ないと思う。みんなに国の考えを否定しろとまでは言わないがせめて盾の勇者の尚文に対する考え方を改めてくれるとありがたい」

 

 

「「「………」」」

 

 

「とりあえずこの話は終わりだ。みんな各々準備を始めてから出発しよう」

 

 

「「はい…」」「分かりました」「ええ」

 

 

そう簡単に人は変わらないが、少なくともみんなはカルミラ島の時は尚文に対して罪悪感があって謝罪してたはずだこのタイミングで少しでも考えを改めてくれたら良い

 

 

とりあえず今気持ちを切り替え遠出の準備だ、アイテム類は仲間たちが揃えてくれるだろうから俺は俺でとある場所へ向かう

 

 

 

 

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