『異世界で勇者召喚されたけどなんか勇者多くね?』 作:じぇのざうらー
「………………………は?」
死体の処理?一体何の話をしてるんだ尚文は?え?さっき尚文は「ドラゴンといえば…」って言ってたか?まさかっ…!!
俺は嫌の予感がし顔を青ざめながら恐る恐る尚文に聞く
「…尚文…それって…」
「だからお前が倒したドラゴンの死骸が原因で東の地域で疫病が蔓延したんだぞ?」
「なん…だっ…て?」
なんで疫病が…?いやそれよりも……。ガエリオンが…死んだ……?はっ!じ、じゃあウィンディアは!?
直ぐに向かわないと!ミルソ村にポータルは……クソ!登録してなかった!この間抜け!こうなったらラプトに頼んで全速力で村に行かないとっ!……
「おい待て!拓海!波はどうするんだ!」
うっ…そうだ波!なんでこんな肝心な時に…クソ、どうすれば……!
「俺がドラゴンの死骸を除去した。疫病に掛かった奴等も現地の治療師と力を合わせて解決させた。だから向かうにしても波が終わった後からにしろ」
…そうか、一応疫病と死体の処理は原作通り尚文がしてくれたのか……だが…、いまだにウィンディアがどうなっている状況なんだ?
「ドラゴンの死骸がドラゴンゾンビになった時は驚いたぞ。その時の戦いでラフタリアが呪いを受けてしまってな」
そう言われ俺はラフタリアの方に目を向けると所々包帯で巻かれている箇所に黒い痣が見えた……ということはつまり尚文は憤怒の盾を使ったのか……
「尚文、色々と聞きたいことや話したいことがあるが……まず初めにお前は憤怒の盾を使ったのか?」
「!…なんでそれを知ってるんだ?」
「ということは使ったんだな……あれは出来れば使うんじゃない。その盾は下手すれば自分の身を破滅させる代物だ」
「剣の勇者様、やはりあの盾は……そういうことなんですね」
ラフタリアが心配そうに話しかける
「それは…そうなんだろうな。だが、あれを使う羽目になったのはお前がドラゴンを……」
「俺はドラゴンを殺してない」
「なに?」
尚文が疑問を浮かべる
「詳細は省くが、例のドラゴンは人語を理解するドラゴンでな。何とか話し合いで解決して村には退治したということにしていたんだ」
「だったらなんでドラゴンが死んでその死体が残っているんだ?」
「それは……俺にも分からない。なんでこんなことに…」
いったい何でなんだ?…頭がこんがらがってきた…
「んー?ごしゅじんさまーこの剣の人うそは言ってない気がするよー?」
「拓海のこの反応を見るに本当の様だな…つまりあの疫病の問題にそもそもおまえは関わってないことになるな」
「ああ、ドラゴンを殺して死骸を放置すれば疫病が起こるのは知っていた。もし仮に討伐したとしてもちゃんと死体の処理はしたはずだ」
尚文は腕を組みながら考える
「仮定の話だが、たまたま別の冒険者がドラゴンを討伐して死骸を放置。村の連中は拓海がやったと勘違いして、そのまま死骸を村の財源にしようと放置していたが疫病になるまで気が付かなかったということか」
あの村近辺でガエリオンを討伐できる実力者がいたかは微妙だが現状それしか考えられないな
「あの村の連中、自分たちに非がある部分を隠して剣の勇者の所為だとか抜かしてやがったが完全な自業自得じゃないか」
そういえば城下町で時々すれ違う人間が俺に対して微妙な視線を向けていたがこういうことだったのか…
「すまなかったな俺もお前が原因だと勝手に決め付けた言い方をして。拓海が死体を放置したのをおかしいとは思っていたんだが」
尚文が俺に対し素直に謝る
「いや尚文が謝る必要はない、こんなことになるんだったら俺ももっと真剣に考えるべきだった」
あの時もっとガエリオンに忠告をしていたらこんなことにはならなかったかもしれないのに…
「そこのラフタリアさんもすまなかった。俺がもっとしっかりしていればそんな怪我を負わずに済んだのに」
俺はラフタリアに対し謝罪する
「い、いえ私は気にしてません。ですので剣の勇者様も気にしないでください」
ラフタリアの隣で尚文が微妙な顔をする。呪いの原因は尚文の憤怒の盾の効果だからだろうな
「……とにかくもうすぐ波の時間が来る。この問題は波が終わってからでいいんじゃないか?」
「…そうだな、いまは波の準備をしないとな…」
波がある手前、いまウィンディアの様子を見に行くのは難しい、行くとしても波が終わってからじゃないと…。悔しいが今は波だ
「じゃあ尚文、次は波でまた会おう」
「ああ」
俺は歯痒い思いを抱えたまま尚文と別れ波の準備を始めるが…心が落ち着かない
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尚文と別れた後も波への準備を進めていたが未だに心がモヤモヤとする
「タクミ様?いかがなさいましたか?」
「ああいや、何でもない」
「そうですか?」
仲間たちに心配をかけてしまったな……
尚文に言われた通り今は波に集中してそれが終わったのちに様子を見にまた行こう
「あ、拓海さん」
「ん?」
声のする方に目を向けると樹たちとその後ろに兵士たちの姿が見えた
「ああ樹か、ゼルトブル以来だな」
「ええもう直ぐ波の時期ですからね」
「剣の勇者様、お久しぶりです」
「お久しぶりですエルメロさん、樹のパーティはどうですか?」
「ええ今のところ問題はありません。むしろ戦いやすいですね」
樹の弓の力と元々備わってる命中の異能力があれば近接戦闘の人間はありがたいだろうな
「それはそうと樹、後ろの兵士は…」
「ああ、以前の波で僕らの戦いを見て一緒に戦わせてほしいと言われまして。拓海さんに教えて貰った編隊機能を使ってこの方たちも波に参加してもらおうと」
「剣の勇者様。どうか我々も波での戦いに同行させてください」
鼻筋に傷痕のある責任感のありそうな兵士が代表して話す。……どこかで見た顔か?
「話を聞く限り尚文さんに対して悪い印象を抱いている感じもなかったので僕の直感頼りですけど動向を許可しました」
いまの樹が大丈夫そうだと判断したのならおそらく大丈夫だろう
それに今の尚文は前回の波よりも強くなっているしラフタリアやフィーロもいる。よっぽどのことがない限り怪我を負うことはないだろうな
「樹が同行を許可したのなら俺からは何も言うことはありません。いっしょに波で戦いましょう」
「はっ!」
兵士さんの敬礼を後に後ろにいる兵士たちも同じく敬礼する
それから俺たちは樹パーティと志願兵たちと若干の打ち合わせをし、波を待つ
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00:10
あと10分か……
原作通りなら波のボスはソウルイーター。こいつから出る武器は今後必要になる可能性が大いにあるから倒した後は忘れずに武器に吸わせないとな
00:05
だが問題は、ソウルイーターを倒した後に出てくるある人物が現れたら厄介だな…なるべく殺さないようにしなきゃいけないが…果たしてできるだろうか…向こうは完全にこっちを殺そうとしてくるだろうからな…
00:01
そうこう考えていたら残り1分か…一先ずソウルイーターさえ倒せばおそらく波の制限時間で自然に収まる筈だから第一に優先すべきはソウルイーターだな
00:00
時間だ。再び世界中に響くガラスを割る様な大きな音が木霊し、一瞬で目の前の景色が変わる
「これが波……」
「ああ、忌々しい赤き空だ…」
シオンとテオドールがぼやく
「ふえええ!」
「リーシアさん気をしっかりしてください」
震えるリーシアをエルメロさんが落ち着かせる
「ここは……」
尚文があたりを見回し確認する
「盾の勇者様!」
尚文に付いてきた若い志願兵たちが駆け寄って来る
「お前たち!」
「えっ、副団長!?」
彼らに気が付いた樹と一緒に来た代表の兵士が声を上げる。あの人、副団長って呼ばれてたけど……たしか
「邪魔だっ、どけ!!」
元康がまた我先に波の亀裂部分に走り出していった
「元康あいつ、兵を連れてきてないのか!」
「ここは城下町から一日かかります!」
「放っておけ、樹が志願兵を連れてきたから彼らと協力して避難誘導を開始するぞ!」
尚文が俺と樹の近くにいる兵士たちを見て少し安堵する
とはいえ、今回は元康一人で大丈夫か?前回のキメラは一人でも一応戦えてはいたが…
「いえ我々が住民の避難誘導を行いますので勇者様たちは早く亀裂のところへ」
副団長さんが促す
「いやしかし…」
「拓海さん前回の波でボスを倒せば亀裂が収まるのは確認できましたし今回は彼らに任せて僕たちは早く波を鎮めましょう」
樹の言葉ももっともだな元康はとにかく今の俺と樹の力なら早めに鎮めることが可能だろう。そうすれば被害も最小で済むはずだ
「……わかった。尚文お前はどうする?」
「俺には攻撃能力がないんだ、避難誘導は俺たちでするからお前らは波の亀裂に行ってボスを倒してこい」
「…わかった。気をつけろよ」
「……………ああ」
俺と樹たちは住民の避難を尚文と兵士たちに任せ波の亀裂に向かう
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「見えたな」
「ええ僕のやってたゲームの知識通り今回のボスはソウルイーターの様ですね」
亀裂付近の空には幽霊船のような船が宙をさまよい続けている
「樹のゲーム知識だとどう攻略するんだ?」
「確か幽霊船を破壊するとボスのソウルイーターが現れる筈なんですけど……」
確かに樹の知るディメンションウェーブだとそれが正攻法なのだろうな
「ただそれも僕の知るゲームの話です。とりあえずあの船に乗り込みましょう」
「ああ、とはいってもどうやって乗り込む?」
船は宙に浮いてるからなぁ
「僕はスキルを使えば乗り込むことが出来ますが……拓海さんはどうします?」
うーむ…何か剣のスキルで可能なのはあったけ?
「なんでしたら私があの船まで投げ飛ばしましょうか?」
エルメロさんが提案する
「出来ますか?」
「ええおそらくあの距離でしたら人一人の重さなら可能かと」
「ならそれで行こう、みんな俺と樹はあの船に乗り込んでボスと戦うからみんなは村に魔物が行かないようにしてくれ」
「わかりましたタクミ様。お気をつけて」
「必ず波を鎮めてください」
「ああ」
「ふぇ、イツキ様!わたしも…」
リーシアが俺たちと一緒に行こうとするが
「いえリーシアさんはここで皆さんとサポートをお願いします」
「ですが…」
「厳しいことを言いますが……今のあなたの力ではボスとの戦いで役に立つのは難しいです。ですので今回は皆さんと協力して周りの魔物を倒してください」
「イツキ様……」
「大丈夫です。僕の事は心配せずに」
「リーシアさん、人には適材適所があります。今回は私たちと一緒に勇者様のサポートに回りましょう」
「エルメロさん……わかりましたイツキ様どうかお気をつけて」
「ええ分かっています」
そうして俺と樹はあの幽霊船に乗り込むために動き出す
「フックショット!」
樹が弓のスキルでフックを出し船に引っ掛ける
「では拓海さん僕は先に行きますね」
そういい樹はフックの糸を縮めて行く
「準備は良いですか剣の勇者様?」
「お、おう……」
エルメロさんが鼻で俺を掴み船に向けて投げる動作に入ろうとする
なんか絶叫マシンが動き出す時のあの感覚を思い出すな
「では……それ!!」
「うわっ――」
これを機にしばらく軽い高所恐怖症になったのは余談だな