『異世界で勇者召喚されたけどなんか勇者多くね?』 作:じぇのざうらー
「いや間違えた、未来から来たわけではない」
「はい?」
しまったループ元康のセリフを思い出しながら言ってたら変なこと言ってしまった
樹が怪訝な顔しちゃってるよ…
「未来から来たわけではないが俺はこの世界でこれから起こる未来の出来事を知識としてある程度知っている」
「…にわかには信じられませんね…」
「ならそうだな…樹は異能力をもっていたよな?能力は確か…『命中』だったか?」
樹がきょとんとした顔になる
「なぜ僕の異能力が分かったんです?いや、そもそもなぜ僕が異能力所持者だとわかったんですか?この世界に召喚されたときに皆さんにはまだ話してはいませんでしたよね?」
「それと他には…樹のやっていた『ディメンションウェーブ』はカテゴリーはハック&スラッシュ、ゲームの発祥は樹の世界で約三十年前、名称未決定の体験版だけで2TBもあるPC専用同人ゲームだよな?」
「え、ええ。製作者不明のこのゲームは最終的に販売権利兼製品版は一人の軟禁状態だった富豪が私財を投げ打って購入したと言うのがニュースとして有名になりました」
「で、その富豪はゲーム購入後に消息不明になって、別の意味で有名になり、その富豪を軟禁していた者は逮捕されたんだったか?」
「はい、それでその名称未決定とされたゲームのシステムを辛うじて解析した結果、作り出されたゲームがディメンションウェーブなんですが……。なぜこんな詳細なことを拓海さんは知っているのですか?もしかして拓海さんも僕と同じ世界から来た日本人なんですか?」
「いや俺の世界には異能力なんてないし、ディメンションゲームなんてゲームも存在しない」
作者が同じラノベは存在するけどな
「ではなぜ?どうしてそんなに詳しいのですか?」
樹が聞いてくる
「おそらく信じられないかもしれないが…。召喚当日に俺はこの世界はラノベの世界じゃないのかといったよな?」
「ええ、言ってましたねそんなこと」
「俺が読んだラノベの内容だと本来、剣の勇者は俺ではないんだ」
「……ということは本来は拓海さんとは別の人物が剣の勇者として活躍したということですか?ではなぜ拓海さんは剣の勇者に?」
「それに関しては俺も本当にわからない。ただ言えるのは俺はこの世界を物語として知っていて、この先で起こる出来事をある程度知っているということだ」
樹が顎に手を当て考え込む
「まるで拓海さんは創作の世界に転生した主人公みたいですね。若しくは二次創作のオリジナルの主人公か」
樹が的を得たような発言をする
「ああ、樹の世界にもそういうのがあるんだな」
「えぇ、少々信じがたいですが…」
「俺も実際なんでこの世界にやってきたのか皆目見当もつかない」
本当になんでなんだろうな?俺を召喚させた剣の聖霊は一体俺に何をしてほしいんだ?
「…まだ腑に落ちない部分はありますが一先ず置いておきましょう。つぎに尚文さんの仲間……姫でしたっけ? あの方はどうしてあんな真似をしたんですか?」
「あの女の目的は勇者同士の不和を招くことだ。この国は、盾の勇者が宗教的の敵の国で尚文を犯罪者に仕立て上げて、最終的に俺達に倒させる目論見があるのさ」
「宗教的に敵!? じゃあ僕達に尚文さんを殺させようとしているんですか?」
「ああ。剣、槍、弓の勇者がこの国にとって宗教的な神で、敵国の悪魔である尚文を犯罪者に仕立て上げて殺す事で自分達の欲求を満たそうとしているのさ。嘘だと思うのなら広場の方から見える教会のシンボルを見るといい。あそこには剣、槍、弓の三つしか無いからな」
おそらく目にはついたが、異世界ファンタジーに胸躍らせて対して気にも留めてなっかたんだろうな
「尚文さんがそんな目に遭いそうな瀬戸際だと言う事ですか…。ちなみに真実を知らない未来での僕はこの後何をするんですか?」
樹が未来で起こる出来事を聞いてくる
「まず最初に何も知らない元康はさっきのあの女。奴に騙されて尚文を強姦魔として糾弾する」
「強姦ですか……そういえば僕の仲間になった女性が露骨に誘惑をしてきましたね。少々浮かれていました」
「そして俺達は各々冒険とLv上げをしながら国の依頼を解決して行く。だが、当然ながら尚文にはそんな援助はまったくない」
「まあ冤罪とはいえ、強姦魔という事になっている訳ですからね。それで僕らはこの後何を?」
樹がやや食い気味に質問する
「まず、俺達が各地で好き勝手した所為で、国に居る魔物の生態系に変化が起こって問題が起こる」
「リポップするんじゃないんですか?」
「召喚された当日に渡した紙に書いたあっただろ。魔物も生き物だから殺せば減るって」
「そ、そういえばそうでしたね。すっかり忘れてました」
やれやれ、せっかく紙に書いて渡したのに意味がなさそうだ。この分だと元康の方も大して目を通してないな?
「他にギルドの仕事を中途半端に達成した所為で更なる災厄をばらまいてしまう。俺…というより俺とは別の剣の勇者の場合、知識を元に村付近に居座るドラゴンを倒したは良いが、碌に死体処理せずそのせいで死体が腐って近隣に病を伝染。結果的に前以上の被害をおこすらしい」
「それは…、僕や元康さんもですか?」
「ああ。樹の場合は副将軍…、いわゆる自分の正体を隠して勧善懲悪紛いのことをしようとして失敗する」
「そ、そうですか」
樹の目がちょっと泳いでるな、まぁ『実は俺の正体は~』ってあれは創作とかだと面白いが実際にやるとかなりアレだもんな
「そんな中で勇者の身勝手がやがてこの国の宗教、三勇教は疎ましく思い、同時にその尻拭いを尚文達はやって国民の信頼を勝ち取る」
「僕達が悪人扱いの嫌な未来ですね……」
「やがて三勇教は勇者全員を処分するためにあの女の妹を尚文が誘拐したと流布し、元康は追いかけたが、真相に気付きそうになった樹と本来の剣の勇者は罠に掛けられる」
「まさかそこで僕達は殺されるんですか!?」
「いや。幸いどうにか危機を乗り越え、黒幕である三勇教は敗れる」
「待ってください。あの王と王女はどうなるんですか?」
「あの王は王といっても代理だ。この国は女王制で女王は国外で外交中、しかも代理の王が勝手に勇者召喚を行った罰で実質権力を失う。あの女も同様にな」
「そんなの僕達は実質道化ではないですか…」
「これから起こる未来が正しければな」
「正直まだ信じきれないのですが……いえ、どちらかと言えば信じたくない未来と例えた方が良いんでしょうか……」
色々と話し終えたところで俺は樹に質問をする
「樹は尚文を助けたいとは思うか?」
「ええまぁ、尚文さんは被害者ですからね。一刻も早く真実を教えてあげたいです」
「だがどうやって?」
「なら今から尚文さんを起こして話しましょう」
「そうすると尚文的には俺たちが犯人ということにならないか?」
「なら…騙されたと気付いた尚文さんを僕達が庇えば、尚文さんも信用してくれる可能性が高いですよね」
俺も本当はできるのならそうしたいが
「そんなことをすれば俺と樹も三勇教に目をつけられて最悪、偽勇者として処理されかねない」
「そんな!僕たちは勇者なんですよ!?」
「連中にとって勇者は己の欲を満たすための道具でしかないんだよ都合よく動かなかったら俺たちは偽勇者扱いなんだよ」
「なら…そうだ、拓海さんが先程使ったの剣の力を使えば…」
「俺もそうしたいが、残念ながらいま俺が使っている特別な力は剣が特例かつ時間制限付きで使わせてもらっているだけだ」
「時間制限付き?それっていつまで?」
「武器の項目を見るに…明日になれば俺も召喚当初の力に戻ってしまう」
「そんな…じゃあどうすれば…」
樹がひどく落ち込む。元から正義感が強いから余計に苦しいんだろうな
「樹にこの話をしたのはこの事実を知ってもらうためだ」
「…知ってもらう?」
「ああ、知っているのと知らないのとでは樹が思う物事の考え方が大きく変わる筈だ。考え方が変わればそうだな……尚文に対する先入観が「大きく変わる。何も知らずに明日の冤罪劇を見たらきっと尚文のことを犯罪者という先入観でしか樹は見ないだろうからな」
「そんなことはないと言いたいですが……その可能性は大きくありますね。実際拓海さんが読んでいたラノベでも僕はそうだったんですよね?」
「ああ。実際未来の樹は尚文に対する考え方が改まるまでにかなりの時間がかかった。だが被害者としての尚文を俺たちは知ってはいるから三勇教共を処理するまでの間、目に留まらない範囲で陰ながら支援できるはずだ」
「…表立って尚文さんの擁護が出来ないのは歯がゆいですね」
「ああ俺も出来るのなら今すぐ助けたい。だが、それも女王が来るまでの間だだけだ。その間俺たちは俺たちのできる範囲で行動するしかない。実際この国の周辺で助けを求めている人たちがいるのは事実だ」
「そういえば、いま思ったのですが…なぜ元康さんにはこんな重要なことを話さないんですか?」
樹もそのことに疑問を生じた様だ
「俺も本当は国の陰謀を元康にも言うかかなり迷った。だがもし仮に元康に話した時にイレギュラーことが起これば最悪俺の知識が今後役に立たず対処がしづらくなるかもしれない」
「なるほど未来の知識を持っていたとしても、不用意に変えるべきではないんですね」
「樹の場合はギリギリの範囲内だと判断して打ち明けた感じだな」
さて樹と話をしているうちにかなり時間が経ってしまったようだ
「ひとまず、俺はこの後やるべきことをしてから残した仲間たちと合流する予定だ」
「やるべきこと?」
「ああ、上手くやれば本来死ぬはずの命を救うことができるかもしれない」
俺の言葉に樹が少し思案し
「…僕もついて行っても?」
「少し……いや、かなり危険かもしれないが…大丈夫か?」
「はい、僕も勇者として選ばれたんです。もし救える命があるのならば助けてあげたいです」
今まで見た樹の中でかなりいい表情をしている
「わかった、ならポータルスキルで転移するが良いか?」
「ポータルスキル?それも期間限定の力ですか?」
「ああそうだ。……あ、そういえば忘れる前に…」
俺は樹に龍刻の砂を渡す
「何ですかこれ?少し変わった砂のようですが…」
「そいつは龍刻の砂時計の砂だ。そいつを武器に吸わせれば樹もポータルスキルが使えるようになる」
「そうなんですね、早速吸わせてみます」
そう言い受け取った砂を弓に吸わせる樹
「…やはりまだ解放条件が足りませんが、拓海さんの言う限定的の力というのも本嘘ではなかったんですね。…もちろん疑っていたわけではないですが」
まぁ、こんなの端から見ればチートみたいなもんだからな
「それじゃあ行くぞ転送剣!」
俺と樹は本来死ぬ運命の命を救うために再び転移する