『異世界で勇者召喚されたけどなんか勇者多くね?』   作:じぇのざうらー

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続きです


冤罪という名の嫌なもの

 

 

朝方、俺は仲間たちと朝食をとろうと宿の受付まで来たところ城の兵士が慌ただしい様子で宿の中へやってきた

 

 

「剣の勇者様御一行でお間違いありませんか?」

 

 

……とうとう来たか…

 

 

「そうですが…どうしたんですか?何かあったんですか?」

 

「はっ。実は王から至急勇者様方を招集せよとの命を受け参上した次第であります」

 

「…王様が?一体なぜ?」

 

 

俺はなるべく怪しまれないよう話を合わせる

 

 

「その理由をお話しするためにも旅の途中で申し訳ありませんがどうか再度城までお戻りください」

 

 

兵士が頭を下げてくる

正直こいつらの陰謀なんかに付き合いたくもないし、なにより尚文にこいつらと同類なんて思われたくもない。…がここは嫌でも行かないといけないよなぁ…

 

 

 

「…分かりました。皆さん、また少し別行動を取らせてもらっても?」

 

 

仲間たちにはここで待ってもらおう。万が一王宮内で戦闘が起こってもみんなを巻き込むわけにはいかない

 

 

「はぁ…何やらただ事ではなさそうですが…大丈夫でしょうか?」

 

「もし、危険と判断した場合はすぐに合流しますので安心してください。それと俺がいない間は各々自由に行動してかまいませんから」

 

「そうですか。では、タクミ様お気をつけて」 

 

「はい。…ではお願いします」

 

 

俺は待機している兵士にお願いする

 

 

「かしこまりました、剣の勇者様。ではこちらに」

 

 

俺は兵士の案内の元メルロマルク城に向かう

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

メルロマルク城内

 

 

 

兵士に案内され俺は城内に入り謁見の間に向かう途中、樹とも合流する

 

 

「拓海さん…」

 

「樹か」

 

 

俺たちは会話が聞こえないよう小声で話す

 

 

「やっぱり拓海さんの昨日言ったことが最悪な形で起ころうとしているんですね」

 

 

「ああ……樹。これから起こることを目にしても辛いだろうが今は我慢してくれ」

 

 

「……はい。不服ですが、なんとか話を合わせられるよう努力します」

 

 

「すまないな」

 

 

そうこう話をしながら歩いているうちに玉座の間に着いた

 

 

「おっ!樹に拓海か。昨日ぶりだな」

 

 

玉座の間には既に元康と泣いている衣服がボロボロの(大方自作自演だろう)あの女がいた

 

 

「ああ、元康どうしたんだ?こんな朝早くに?」

 

「ええ、そちらの女性は確か尚文さんのところの…」

 

「ああ!二人とも聞いてくれ実は……」

 

 

俺たち2人は元康と女から何があったのかを聞く

 

 

「本当に仲間にそんな事をしたのか?」

 

「酷い話ですね……無理やり仲間に手を出そうとするなんて……しかも逆らえない様にとは……」

 

「ああ!尚文の野郎許せねぇ!嫌がるマインにこんなことをするなんて!」

 

「ええ、怒りが湧いてきますよ…」

 

 

樹が静かに武器を握り締める

 

おそらくあの女と元康の呆れ具合に対してのだろう

 

 

 

「まさか勇者ともあろう者がこのような蛮行をしていたとは……冒険者マインよ。よくぞ勇気を出してくれた。そして辛いだろうが今一度盾の勇者を罰するため審判の場にて証言をしてもらいたい」

 

「はい!王様!どうか…どうかあの盾の勇者に正義の鉄槌を!」

 

「心配するなマイン!俺がついている!」

 

「モトヤス様ぁ!」

 

 

真実を知っているとこうもくだらなく見えるのかこの茶番は…

 

よくもあんな嘘をスラスラと並べられるもんだ、もはや一周回って称賛に値するなあのクソ女め。そしてそれを全く疑わずに信じる元康にも呆れてくる

 

俺と樹は怒りと呆れの混じった眼で連中を見ていた

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

しばらくするとカツカツカツと扉の方から音が聞こえ、ギィィと門が開く

 

 

そこにはインナー姿の尚文が兵士に連行されやって来た

 

 

 

「マイン!」

 

 

尚文がクソ女に向けて声を掛ける。件のクソ女は元康の陰に隠れて尚文を睨んでいる

 

 

「な、なんだよ。その態度」

 

「本当に身に覚えが無いのか?」

 

 

 元康が仁王立ちで尚文に詰問してくる

 

 

「身に覚えってなんだよ……って、あー!お前が枕荒らしだったのか!」

 

「誰が枕荒らしだ! お前、まさかこんな外道だったとは思いもしなかったぞ!」

 

「外道? 何のことだ?」

 

 

尚文は状況が理解できてないのか呆けている

 

 

「して、盾の勇者の罪状は?」

 

「罪状? 何のことだ?」

 

「うぐ……ひぐ……盾の勇者様はお酒に酔った勢いで突然、私の部屋に入ってきたかと思ったら無理やり押し倒してきて」

 

「は?」

 

「盾の勇者様は、「まだ夜は明けてねえぜ」と言って私に迫り、無理やり服を脱がそうとして」

 

 

元康の後ろに居たクソ女が泣きながら尚文を指差して弾劾する

 

 

「私、怖くなって……叫び声を上げながら命からがら部屋を出てモトヤス様に助けを求めたんです」

 

 

「え?何言ってんだ?昨日、飯を食い終わった後は部屋で寝てただけだぞ」

 

「嘘を吐きやがって、じゃあなんでマインはこんなに泣いてるんだよ!」

 

「なんでお前がマインを庇ってるんだ? というかそのくさりかたびらは何処で手に入れた?」

 

「ああ、昨日、一人で飲んでいる時にマインと酒場で出会ってな。しばらく飲み交わしていると、マインが俺にプレゼントってこのくさりかたびらをくれたんだ」

 

「は?」

 

 

ああその場面は俺と樹がしっかりと見てたぜクソ女の犯行後にな!

 

 

「そうだ!王様!俺、枕荒らしにあって!寝込みに全財産と盾以外の装備品を全部盗まれてしまいました! どうか犯人を捕まえてください!」

 

「黙れ外道!」

 

 

王は尚文の進言を無視して言い放った

 

 

「嫌がる我が国民に性行為を強要するとは許されざる蛮行、勇者でなければ即刻処刑物だ!」

 

「だから誤解だって言ってるじゃないですか!俺はやってない!」

 

 

うっ……。覚悟はしていたが、もう見てられない。やっぱり心苦しい…

 

樹の方を見ると同じ心境か奥歯を噛んでグッとこらえている

 

 

「お前!まさか支度金と装備が目当てで有らぬ罪を擦り付けたんだな!」

 

「はっ!強姦魔が何を言ってやがる!」

 

 

元康がヒーロー気取りでクソ女を庇う。ちらっとクソ女を見たがあの女尚文に舌出して挑発してやがる…

 

 

 

あのクソアマぁ…!

 

 

「ふざけんじゃねえ! どうせ最初から俺の金が目当てだったんだろ!仲間の装備を行き渡らせる為に打ち合わせしたんだ!」

 

 

尚文が最後の頼みの綱におれの方を見てきた

 

 

「なぁ拓海!お前からも言ってくれよ!俺はやってないんだ!」

 

 

うっ…分かっている!お前は何もやってない!これは尚文を嵌めるために仕組んだクソ女と国の酷い陰謀なんだ!

 

そう言ってやりたい…言ってやりたい!……が俺はただ内心謝罪と怒り、無力感とともに尚文から目を逸らす

 

 

周りには俺の行動は見たくないものを見たから目を逸らしたと思われてるだろうが、まったくの逆だ

 

 

「…………………」

 

「拓海さんここはこらえて」

 

 

樹の一言で俺が怒りをこらえていると尚文も思ったのだろう

 

本当は尚文に対してではなく、この腐った国に対してなのに…

 

 

 

「!!!っくそ!……いいぜ、もうどうでもいい…もうどうでもいい!!さっさと俺を元の世界に返せば良いだろ!?で、新しい盾の勇者でも召喚しろ!」

 

 

尚文が自暴自棄にそう言う

 

 

「帰れ帰れ! こんなことする奴を勇者仲間にしてられねえ!」

 

「さあ! さっさと元の世界に戻せ!」

 

「こんな事をする勇者など即刻送還したい所だが、方法が無い。再召喚するには全ての勇者が死亡した時のみだと研究者は語っておる」

 

「……な、んだって」

 

「そんな……」

 

 

樹が俺の方を見る。残念ながら俺の知る知識でも特例がない限りおそらくそうなのだろう

 

俺は目をつむる。樹も察したのかそれ以上はこちらに視線を向けなかった

 

 

「で?王様、俺に対する罰は何だよ?」

 

「……今のところ、波に対する対抗手段として存在しておるから罪は無い。だが……既にお前の罪は国民に知れ渡っている。それが罰だ。我が国で雇用職に就けると思うなよ」

 

「あーあー、ありがたいお言葉デスネー!」

 

 

尚文はもう諦めたのかかなり投げやりな言い方だ

 

 

「1ヵ月後の波には召集する。例え罪人でも貴様は盾の勇者なのだ。役目から逃れられん」

 

「ああ分かってるよっ! 俺は弱いんでね。時間が惜しいんだよ!」

 

 

謁見の間から出ようとした尚文は盾に隠した全財産である金袋に気付きそれを…

 

 

「ホラよ! これが欲しかったんだろ!」

 

 

元康の顔面に投げつけ、ぶつける…

 

 

「!?」

 

「うおっっと!…拓海!すまねぇ!」

 

 

 

…前に俺がキャッチし、尚文に無言で投げ返す

 

 

「……………ちっ!」

 

 

金袋を投げ返された尚文は舌打ちをしその場を去った………

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

尚文が去った後も元康は見当はずれの怒りを抱き怒りの言葉を口にする

 

 

 

「尚文!あの野郎!終始罪を認めようとしなかったな!」

 

「いいんですわモトヤス様。モトヤス様が私のために怒ってくれた…それだけでも私は充分嬉しいです」

 

「マイン……」

 

 

嫌なもんを見た後はまた嫌なもんを見せつけやがって……

 

 

「盾の勇者に罪を認めさせなかったのはワシ等の力不足だすまない勇者たちよ」

 

 

そう王は言うが本心では思ってないのか口だけ言って頭を下げようとしてないな

 

 

「王様の所為じゃないぜ、全部尚文が悪いんだ!マインや皆はただ巻き込まれただけなんだからな!」

 

 

「モトヤス様…」

 

「うむ、そう言ってくれると助かる」

 

「………」

「………」

 

 

 

こんなにも人を貶めて被害者ぶって……本当にこいつらは……

 

 

…もうダメだ。このままじゃあ俺が怒りで何しでかすかわからない…こんなとこ早く出よう

 

 

「王様、少し気分が悪いので俺はこの辺で」

 

「僕も、少々嫌なものを見たのでここで失礼します」

 

 

周りは俺たちが尚文の蛮行で心を痛めたり。怒りを抱いたと勘違いしたんだろうな

 

 

「うむ。イツキ殿とタクミ殿にも手間をかけてしまったな申し訳ない」

 

 

「イエ、ダイジョウブデス。ソレデハコレデ」

 

「………」

 

 

俺と樹はお辞儀して謁見の間から出ていく

 

 

「樹!拓海!尚文の野郎がやった罪のことで心が辛いだろうが、今は忘れて一緒に世界を救おうな!」

 

 

「弓の勇者様!剣の勇者様!ありがとうございました!」

 

 

 

 

うるさい黙れ耳が腐る

 

 

俺たちは不快な気分のまま城を後にする

 

 

 

 

 

 

 

 

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